個人開発の”熱量”と”癖”が集結!「生成AIなんでも展示会」熱狂の裏側に迫る
生成AIを使った多彩な作品が一堂に会する「生成AIなんでも展示会」。2025年9月6日に開催された「生成AIなんでも展示会 Vol.4」では、出展者・来場者あわせて1000人以上が集まり、活気と熱気に包まれました。そもそも「生成AIなんでも展示会」とは一体どんな場で、なぜここまで熱狂あるイベントへ成長しているのでしょうか……?今回運営メンバーであるようさんとサルドラさんを独自取材!展示会誕生の裏側や、運営に込める想いを聞きました。生成AIを使った多彩な作品が一堂に会する「生成AIなんでも展示会」。
2025年9月6日に開催された「生成AIなんでも展示会 Vol.4」では、出展者・来場者あわせて1000人以上が集まり、活気と熱気に包まれました。
2024年にVol.1 を開催してからわずか1年で、倍以上の規模へと成長した同展示会を主催するのは、「TECH PLAY」上で活動するコミュニティ団体「え〜あい部」です。
そもそも「生成AIなんでも展示会」とは一体どんな場で、なぜここまで熱狂あるイベントへ成長しているのでしょうか……?
今回「TECH PLAY」では、「え〜あい部」の運営メンバーであるようさんとSald ra(以下サルドラ)さんを独自取材!展示会誕生の裏側や、運営に込める想いを聞きました。
インタビュイー
ようさん
@ayousanzゲーム会社でUnityエンジニアとしてゲーム開発に従事。 個人活動として、 AIキャラクターの開発や日本語TTSモデル学習にも注力。ゲーム開発で培った技術とAIの知見を組み合わせ、新しいエンターテイメント体験を日々探求。
Sald ra(サルドラ)さん
@sald_ra著書:「AI Tuberを作ってみたら生成AIプログラミングがよくわかった件」(日経BP)
学生時代にバーチャルYouTuberの運営に携わり、現在はIT企業所属のエンジニア。個人では、AIキャラクターを配信する「AITuber」の開発に従事するほか、「生成AIなんでも展示会」の主催、「ローカルLLMに向き合う会」などのLLMコミュニティの運営にも携わっている。
雑談から始まった!?「え〜あい部」5人でつくった最初の展示会
──簡単に自己紹介をお願いします!
ようさん:今日は、よろしくお願いします!本業ではゲーム開発に携わっており、個人の趣味で「生成AIなんでも展示会」などのAIイベントを運営しています。
サルドラさん:サルドラと申します。本業はIT企業所属のエンジニアですが、個人でAIキャラクターの開発やイベント運営に関わっています。
──まず、「生成AIなんでも展示会」を主催している「え〜あい部」について教えてください。そもそも何人で運営されていて、どのような背景で立ち上げられたのでしょうか?
ようさん:「え〜あい部」は、もともと別々に活動していた5人が集まってできた団体で今は8人で運営しています。当初ローカルLLMのミートアップを主催していて、サルドラさんと一緒にデモ会を開いていました。
サルドラさん:私たち2人と別の3人は、当時生成AIのLT会を主催していました。それぞれおもしろいことをやっていたのですが、あるとき「デモ会でLT会も開催できたらおもしろそう」という話になりまして。一緒にご飯を食べながら雑談して、「一回やってみよう!」という流れで2024年4月21日に「生成AIなんでも展示会Vol.1」の開催が決まりました。
「好き」「おもしろい」があればなんでも展示OK!
──改めて「生成AIなんでも展示会」は、どんなイベントでしょうか?
サルドラさん:LLM、音声生成、画像生成などジャンル問わず、とにかく「生成AIの技術を使っておもしろいものを展示しよう」という趣旨の会で、半年に一度ペースで開催しています。個人で出展する方が多いですが、最近はスポンサー枠を用意して一部企業さまにも会を盛り上げてもらっています。
──展示会を運営するなかで、大切にしている価値観はありますか?
サルドラさん:「好き」や「おもしろい」を自由に持ち寄れる場にすることです。技術的に"すごい"ものである必要は全くなく、自分が「これおもしろい!」と思ったものを堂々と見せられる場を目指しています。
サルドラさん:業務効率化を軸にした生成AI系のイベントも世の中にはありますが、「生成AIなんでも展示会」には細かい出展基準はありません。運営メンバーそれぞれもオタクで、生成AIの技術を使ってLLMや音声、ゲーム制作をただただ好きでやっているので、同じような人が熱量を持って集まれる場になれば良いなと思っています。
ようさん:「おもしろい」といってもさまざまな基準がありますが、僕たちのいう「おもしろい」は、「見たことがない」あるいは「自分がやってみたいことにつながる」のような切り口を大切にしていますね。
──名前の通り、生成AIを使ったおもしろい作品なら「なんでも」展示する場なんですね!
サルドラさん:そうです。企業の人もいれば、お子さま連れのファミリーで来場される方もいて、出展者も来場者もそれぞれに目的が違うのがおもしろいです。
ようさん:たしかに、ファミリーで来る人は会を追うごとに増えている気がする。Vol.4ではお子さま連れの方を結構見かけましたね。出展者の年齢層でいっても、10代から50代まで本当に幅広く、「生成AIで何かおもしろいものを作ってみた」「見てみたい」方に世代を超えて集まっていただいています。
1年で来場者数2倍!広がる「好き」の輪と会場の熱気
「生成AIなんでも展示会Vol.4」会場の様子
──Vol.4はかなり盛況だったそうですね。
ようさん:はい。Vol.4は出展団体が約110、1100〜1200人と多くの方に会場にお越しいただけました。Vol.1は出展37団体、来場者500人くらいだったかなと思います。
──1年ちょっとで倍以上の規模に成長されたということですね……!
ようさん:改めて振り返ると、そういうことになりますね(笑)。最初は正直ここまで大きくなるとは思っていませんでした。Vol.1を企画していたときなんかは、「300人来たらすごいよね」って話していたんですよね。
──すごい成長スピードですね。これまでに印象的な展示内容はありましたか?
サルドラさん:例えば「犬型招き猫ロボット」は、衝撃的でしたね。犬の着ぐるみを着せてあるけど、招き猫の動作をするロボットです。見た目はかわいいのに、中にパソコンがぎっしり詰まっていて、めちゃくちゃ機械なんですよ(笑)。子どもさんが、それにハグするのを見てほっこりしました。
ようさん:AIを使ってVRゲームを展示していた方もいましたね。子どもたちがずっとそれで遊んでいて、制作者の方が「作った甲斐があった」ってすごく喜んでいたのを覚えています。
サルドラさん:ほかには、競馬AIもありました。AIの美少女に馬券を勧められるがままに、その場で実際に賭けた人が、本当に20万円近く勝ってしまったというオチまであります(笑)。イベント中にちょっとした伝説が生まれた事例の一つです。
──個人の「好き」が来場者に伝わるからこそ、「生成AIなんでも展示会」は熱量が高いのだな、と納得しました。
ようさん:そうですね。技術的に高度な作品はもちろんありますが、それだけではなく、ちょっとしたアイデアや趣味から生まれた作品にたくさん出合えます。
サルドラさん:参加者それぞれが持ってきた「好き」が混ざり合って、会場全体が盛り上がっていますよね。
作品が出会いを生み、「次」への原動力に
「生成AIなんでも展示会Vol.4」LT中の様子
──展示会の話を伺っていると、単に作品を「見せる」「見る」だけでは終わらない、何か次のアクションが生まれる場になっているように感じます。「好き」や「おもしろい」を持ち寄る自由な空気があるからこそ、自然と人がつながり、新しい挑戦や出会いが生まれているのでしょうか。
ようさん:そうですね。先ほど紹介したVRゲームを開発された方は、自分の作品を使ってもらって、リアルな反応をその場で見られるのが魅力だと言ってくれました。
サルドラさん:僕自身、3人のチームでAIシミュレーションゲームを一緒に開発して出展したことがあります。AIそれぞれにキャラクターや個性があって、AIにシミュレーションゲームをプレイさせ、それを人間がじっと見るという作品です。当初メンバーの1人は非エンジニアだったのですが、開発後に改めて自分で勉強し、「生成AIなんでも展示会」に向けて何度かプロダクト開発を続けていったところ、なんと最近エンジニアに転職しました!
──すごい!展示会がその方の人生を変えるきっかけになったのですね。
ようさん:人と人がゆるくつながって一緒に何か開発したり新しい技術を試してみたりと、それぞれの「次」が生まれる場所になれていれば嬉しいですね。
サルドラさん:イベント当日は、来場者のリアクションでさらにテンションが上がって、次の展示や開発につながることが多いです。熱がちゃんと循環しているというか、いい意味で場のエネルギーが生まれているんですよね。
ようさん:僕たちの周りでも、「締め切りがあるから作りきれた」という人はすごく多いです。やっぱり、あの場で皆に見てもらえるモチベーションは大きいようですね。
サルドラさん:めちゃくちゃありますね。私たちはこれを「締め切り駆動開発」と呼んでいるのですが(笑)、展示会の日程に合わせて「間に合わせるしかない!」と頑張って作品の開発を進める人は結構いると思いますよ。
ようさん:半年に一回ペースでプロダクトを作るのはなかなか大変です。リピーターさんも多いですが、そういった背景から半分くらいの出展者は新しい出展者です。
──毎回違うものに出合えるからこそ、何度も行きたくなる魅力がありますね!
目指すは幕張メッセ!生成AI好きの「ハレの日」をもっと大きく
──最後に、今後の「生成AIなんでも展示会」や「え〜あい部」の活動について、どんな展望をお持ちですか?
サルドラさん:今後は5000人、1万人規模の展示会に育てて、「幕張メッセ」など大きな会場で「生成AIなんでも展示会」を開催してみたいです!会場が大きくなると、純粋にストレスなく展示できますし、もっと多くの「好き」が集まれるためです。
ようさん:高校生だったときにフリーゲームの展示会に行ったことがあります。それをきっかけにゲーム制作に関わりたいと思い、今の仕事や個人の活動につながっています。そういった意味で、世代を問わず展示会をきっかけに制作や創作など何かが「始まる」場になれば良いな、と思っています。国内の個人開発の現在地が体感できる、日本一熱量あるイベントに育てていきたいです!
サルドラさん:「生成AIなんでも展示会」が参加してくださる方にとっての「ハレの日」になれば嬉しいですね。趣味で開発したものを使ってもらって、目の前で反応が見れる機会はそう多くありません。日常では真面目にコツコツ仕事をして、別の時間軸では「ハレの日」に向かって「好き」をお披露目するために楽しく準備していく。そんな場にしたい気持ちが大きいです。
ようさん:そうですね。展示会は僕たちだけでつくっているわけではなく、出展者や来場者皆で一緒につくっています。運営をサポートしていただく形でも良いですし、出展者として何かを開発してみる、あるいはまずは見に来てくださるだけでも大歓迎です。次の展示会の告知は、僕たちを含む主催5名のSNS及び「TECH PLAY」で行っています。ぜひ、お好きな形で「生成AIなんでも展示会」に参加してください!
取材=菅井 祐太、宮口 佑香(パーソルイノベーション)
文=宮口 佑香(パーソルイノベーション)
※所属組織および取材内容は2025年10月時点の情報です。
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