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Google SEOのメディア論

3,300円 (税込)

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Google SEOのメディア論

書籍情報

発売日:

著者/編集:宇田川 敦史

出版社:青弓社

発行形態:単行本

ページ数:368ページ

書籍説明

内容紹介

検索エンジン・グーグルというメディアはどのように日常化し、その介在が意識されないインフラへと変容したのか。現代のデジタル・プラットフォームの権力構造を再考する書。 検索結果のランキング、すなわちキーワードに対するウェブページの並び順は、「アルゴリズム」によって決められている。このアルゴリズムは「ブラックボックス」だと表象され批判の対象にされてきた。しかしこの「ブラックボックス」とは一体何を指し示しているのか、そしてその批判に通底する「プラットフォーム悪者説」ははたして妥当なのか。 本書では、グーグルのランキング・アルゴリズムがどのように変容してきたのか、ウェブの「送り手」の語りと、それに対するグーグルの反応に着目してその過程を明らかにする。具体的には、1990年代から2020年までのSEO(検索エンジン最適化)を中心とした送り手の活動における言説の歴史を分析することで、アルゴリズムを構築する様々なアクターとその権力構造を検証する。 デジタル・プラットフォームの設計・運営に実務家として携わった著者が、インフラ化した検索エンジンの歴史的・社会的な構築のプロセスを、メディア論の視座から学際的に捉えなおす刺激的な試み。

目次

はじめに 第1章 検索エンジンの日常化を問う  1 なぜプラットフォーム研究か  2 なぜ検索エンジン研究か  3 なぜSEO研究か  4 本書の問いと構成 第2章 プラットフォームとは何か  1 メディアとしてのプラットフォーム  2 プラットフォームは「フィルタリング」する  3 プラットフォームは「コントロール」する  4 プラットフォームは「分配」する  5 概念整理――プラットフォーム、アーキテクチャ、インフラ 第3章 検索エンジン・アルゴリズムの確立――SEO前史(一九九三―二〇〇五年)  1 ウェブ1.0時代とパソコン雑誌  2 サーフィン=サーチの時代(一九九三―九五年ごろ)  3 サーフィンからサーチへ(一九九六―九七年ごろ)  4 ポータルの出現とWWWのマスメディア化(一九九八―九九年ごろ)  5 ポータルからプラットフォームへ(一九九九―二〇〇一年ごろ)  6 ランキングのブラックボックス化(二〇〇二―〇五年ごろ) 第4章 SEOによるアルゴリズム変容の全体像――二〇〇六年から二〇年までの通時的分析  1 ウェブマスターのパースペクティブ  2 「Web担当者Forum」というメディアの成り立ち  3 SEO記事の頻出語と特徴語  4 年代によるトピックの変化  5 時代区分とその特徴 第5章 並列するSEO――複数検索エンジンへの対応(二〇〇六―一〇年)  1 第一期(二〇〇六―一〇年)の特徴コード  2 一般名詞としての「検索エンジン最適化」  3 計算論的な「選び手」への最適化  4 ブラックハットとホワイトハット  5 アメリカから始まった検索エンジンの再編  6 グーグル「ガイドライン」の出現  7 Yahoo! Japanのグーグル化 第6章 中心化するSEO――グーグルによる秩序化(二〇一一―一四年)  1 第二期(二〇一一―一四年)の特徴コード  2 「裁き手」としての検索エンジン  3 「パンダ」の出現と「排除」の論理  4 「ペンギン」の出現と「ガイドライン支配」の確立  5 「ガイドライン」を徹底させるメディア 第7章 脱中心化するSEO――モバイルによる秩序の揺らぎ(二〇一五―二〇年)  1 第三期(二〇一五―二〇年)の特徴コード  2 多重化する最適化  3 ペナルティのほころび  4 「標準化」の推進と限界  5 「モバイルファースト」の困難  6 「ガイドライン」とアルゴリズムの深い溝 第8章 検索エンジン・アルゴリズムの「権力」を問い直す  1 アルゴリズムはどのようにブラックボックス化したのか  2 プラットフォームへの「メディア論的想像力」  3 プラットフォームのメディア・リテラシーとは  4 「メディア・インフラ・リテラシー」の可能性と展望 あとがき

著者情報

宇田川 敦史

1977年、東京都生まれ。武蔵大学社会学部メディア社会学科准教授。東京大学大学院学際情報学府博士後期課程修了。博士(学際情報学)。京都大学総合人間学部卒。複数のIT企業でウェブ開発、デジタル・マーケティング、SEO、UXデザインなどに従事したのち現職。専攻はメディア論、メディア・リテラシー。著書に『AI時代を生き抜くデジタル・メディア論』(北樹出版)、分担執筆に『世界は切り取られてできている――メディア・リテラシーを身につける本』(NHK出版)、『プラットフォーム資本主義を解読する――スマートフォンからみえてくる現代社会』(ナカニシヤ出版)など。