Honda SENSINGを創るデータ分析組織と最先端AI技術とは──「認知・予測・判断」の裏側と開発最前線

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Honda SENSINGを創るデータ分析組織と最先端AI技術とは──「認知・予測・判断」の裏側と開発最前線
運転の安全性を高めるための先進安全運転支援システム「Honda SENSING」。Hondaは内製でのデータ分析を基盤とし、運転の安全性を高めるべく独自のAI技術の開発・実装に取り組んでいる。今回の「Honda Tech Talks #2」セッションでは、最先端AI技術の活用やデータ分析の取り組み、それらの課題解決に挑んだ事例やトライアンドエラーが語られた。

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ソフトウェア開発を爆速進化させ、交通事故ゼロの安全な社会の実現へ

創業から75年を迎えるHondaは現在、第二の創業期と位置づけ、数多くの変革を進めている。Hondaが目指す世界や開発の取り組みなどを紹介する「Honda Tech Talks」。2回目となる今回のテーマは「AD/ADAS」。データ分析やAIについて語られた。

本田技研工業株式会社 長島正明氏
本田技研工業株式会社
電動事業開発本部 BEV開発センター
ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部
先進安全・知能化ソリューション開発部 部長 長島正明氏

最初に登壇した長島正明氏は、2000年にHondaに新卒入社後、エンジン制御開発を担当。アメリカ駐在を経て、2017年からAD/ADAS関連のプロジェクトに従事。現在は先進安全・知能化領域の責任者を務めている。

長島氏は技術的なセッションに入る前に、Hondaのカルチャーがわかるこんなエピソードを紹介した。

「今から20年ほど前に、上司から『アメリカに行って、生活も含めて勉強してきなさい』と言われたんです。ただし、大学は自分で選んで、連絡も自分でするようにと。そのとき、Hondaは自律を重んじる会社なのだと実感。以降は自律的な姿勢で仕事に臨むようになりました」(長島氏)

Hondaでは「環境」「安全」という大きく2つのテーマに重きを置き、価値提供を進めている。環境においては、再生エネルギーの利用などで地球環境への負荷を軽減する。

一方、安全においては、本イベントのテーマである自動運転技術の推進を行っている。このような世界を実現するためには、ソフトウェアによる価値提供が重要であると、長島氏は強調する。

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実現に向けては、社会課題やニーズに対してデータを活用することで的確に把握。アジャイル開発などにより、お客様の期待を超える高品質なサービスや価値ならびに安心を、最速で届けていく。

ただし、Hondaのエンジニアの根底にあるのは「人の生活を豊かにしたい」という想いであり、目の前の業務に臨みながらも、イノベーションを生みだすクリエイターでありたい。そして、そのようなイノベーション、アイデアがすぐに試せる環境が整っている場でもあると、長島氏はHondaで働く環境・カルチャーについて述べている。

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Hondaが開発する安全運転支援システム「Honda SENSING」では、事故ゼロへの挑戦を掲げており、自動車内外の状況をAIが理解することでヒューマンエラーを減らしていく。一方で「いくらいいものであっても、使ってもらえないと意味がない」と、長島氏は語る。

「ドライバーの意図を理解し、一人ひとりに最適化することで安心と信頼あるサービスであることを理解してもらう。加えて、車を運転したくなるような驚きの移動体験も重ねることで、Honda SENSINGをより進化させていきたいと思います」(長島氏)

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「驚きを与えると人は感動します。その大事な要素が“自動化”です」と、長島氏は続ける。例えば、車内が暑くなったときに自動でエアコンが作動するような体験であると説明した。

このような自動化のシーンは、乗車時から目的地到着までシームレスに行われる必要があると語り、Hondaが目指している世界観のイメージも紹介した。

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現在Hondaは、特に難しいとされる一般道路での自動運転にチャレンジしている。データの収集から分析、開発、検証といったループを高速で回し、“爆速進化”していくことで、Hondaが目指す世界を最速で実現していくのである。

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データ分析の内製化で、データ活用を“爆速”する

続いては、SIerで20年ほどデータ分析業務に従事した後、自動車メーカーにキャリアチェンジした米森力氏が登壇。米森氏は、キャリアチェンジした理由を次のように語った。

「SIerではリアルなデータを手に入れることが難しいと感じていました。実際、自動車メーカーにはリアルデータがたくさんあり、楽しく仕事ができています」(米森氏)

本田技研工業株式会社 米森力氏
本田技研工業株式会社
電動事業開発本部 BEV開発センター
ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部
先進安全・知能化ソリューション開発部
先進安全プラットフォーム開発課 課長 米森力氏

具体的に自動車メーカーでは、どのようなデータを扱っているのか。以下スライドの左上からフロントに設置されたカメラやビデオにより、車外や周囲の状況データを取得。そして、「車両運行データ」でいつどこを走っているかなどを把握している。

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「メタデータ」は試験走行などの開発データであり、危険情報なども記録されている。「カスタマーボイス」はSNSなどのユーザーの声などであり、「レファレンスデータ」はLiDARや高精度な地図からのデータ。さらには、AIモデルやクラウド地図など、様々なソースからデータを取得している。

これらのデータを組み合わせ、開発のフィードバックループに乗せることで、新しい機能やサービスに反映していく。「データは価値創出のキーである」と、米森氏は述べている。

自分たちで得られる開発データは大量である一方で、ドライバーから得られるデータ量は少ないという特徴がある。

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中でも新開発に向けてのFOT (Field Operation Test)により得たデータはボリュームが多く、位置情報や危険シーンなど車両の動きを詳細に再現するために重要だという。車両のトランクに大量に搭載したロギングシステムにより得ている。

一方、ドライバーの状態や車両の故障情報といった市場データは、車両に搭載された通信モジュールを介して取得。搭載してある機能の使われ方などの情報も取得しており、こちらも次の車両の開発に活かす。

このようにして取得したデータはData Lakeに集約され、そこからユーザーそれぞれが利用したいデータを取得。取得したデータを活用し、機能改善や新サービスを開発。テストを経て実装されていく。

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世界初の自動運転レベル3を実現した「LEGEND」の開発も、このようなデータ取得・活用の流れで進んだ。ところが自動運転を実施している試乗会の最中、トラブルが発生する。

横からトラックが割り込んで来た際にドライバーが危険だと感じ、ブレーキを踏んだのである。その後、シミュレーションを行うと安全であることは判明したが、これからも起きるであろう重要な課題だと捉え、さらなるデータ分析・活用を目指し、専任のデータ分析組織の立ち上げに挑んでいくことになる。

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米森氏は、まずHondaにおけるデータ活用の状況を調べた。すると、データの種類や取得量は多いが、活用、価値創出という点ではインパクトが出してきれていないことがわかった。「データの提供が遅い」「求めていた内容ではない」といった課題も見えてきた。

「社外のベンダーにデータ分析を依頼すると専門用語が通じないなど、どうしても様々な壁が発生しがちです。開発者自身が内製で分析すればいいと思いがちですが、そもそもデータ分析のノウハウが乏しく、人材が不足しているなどの問題がありました」(米森氏)

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米森氏は、求めていた内容と異なり、期待値に応えられていない状況について市場監視を例に紹介した。端的に説明すれば、外部のデータ分析のプロはデータをダッシュボードに上げればいいと、考えがちであることがうかがえる。

データの受け手側はデータ分析の専門家ではないため、ダッシュボードを見ただけでは理解できない情報もある。そこで大切になってくるのが「知恵」だと米森氏は言う。

具体的には、ドメイン知識をもとに過去の事例などの情報を追加することである。そうすることで本当に役立つデータ、受け手側にとって有益なデータの取得や分析に活用できるというのだ。

そして、このような経緯から「データ分析支援サービス」を立ち上げることになる。データ分析支援サービスのポイントは、それまで外部に依頼していた分析をAD/ADASの部門内に立ち上げた分析専門組織で行うことだ。

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AD/ADASの専門家というベースがあり、かつ、同じ組織内のメンバーであることで、先に挙げた課題が解消されると考えたのである。さらには部署内の組織のため、費用がかからないというメリットもあった。

サービスを進めるにあたり、ニーズのヒアリングならびにプロトタイピングを行った。するとニーズは多いこと、これまでは1〜2カ月かかっていた業務が10日ほどでできるとわかり、サービスの成立性を確信し、本格的に進めていった。

組織においてはデザインと実装の役割を分離することで、自動車業界のドメイン知識が乏しいソフトウェアエンジニアでも、すぐに業務が実行できる。逆に、ソフトウェアの知識が乏しい自動車エンジニアも、デザイン業務に集中できる。そしてこれらのメンバーがプロダクトオーナーと共に3名でバディを組む体制に工夫した。

「デザイン・実装両方のスキルを備えた人材を集めるのは難しいのですが、この体制であれば既存のメンバーでも対応できると考えました」(米森氏)

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スクラムガイドに記載されたプラクティスを、愚直に踏襲することも意識した。その結果、サービスの提供フローでは、分析側が何をしているのかを依頼側も把握できるようになった。加えて現在は、提案型・突発型といったフローにも対応しているという。

実行管理においても同じくスクラムガイドのプラクティスに準じることで、データサイエンティストが書いたコードではあるが、品質は維持。役割分担を明確にすることができたと、米森氏は手応えを語っている。

「これまでの2~3倍近い分析業務に従事することができ、データ分析人材の育成という副次的効果も出ています」(米森氏)

米森氏は分析支援サービスを使ったデータ活用事例を2つ紹介した。1つは、一部の区域で法定速度が120kmに引き上げられたことによる、運転支援機能の作動範囲の検討である。

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もう1つは交差点における安全機能支援ターゲットの特定分析だ。地図データから網羅的かつ迅速に対応候補箇所を分析することができ、支援範囲拡大を検討する際の価値判断に利用できた成果を発表している。

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最後に米森氏は「データ分析を通じて、何よりも安心・安全なクルマ作りに関われることがやりがいです」と述べ、セッションを締めた。

教師あり・なし学習を組み合わせたAIモデルをスタートアップと共同開発

続いては電機メーカーでデジタルカメラの画像処理技術の研究開発に従事した後、2019年Hondaに入社した古山貫一氏が登壇した。

古山氏はこれまでのキャリアを活かし、世界初となるレベル3の自動運転を実現した機能「Honda SENSING Elite」のカメラセンシングを担当。現在は次世代先進安全知能化技術開発に携わる。

本田技研工業株式会社 古山貫一氏
本田技研工業株式会社
電動事業開発本部 BEV開発センター
ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部
先進安全・知能化ソリューション開発部
知能化ソリューションラボ(六本木)課長 古山貫一氏

世界初の自動運転レベル3を実現するなど、進化を続けるHonda SENSING。冒頭で長島氏が紹介したように今後はあらゆる場所やシーンにおいて、さらなる安全運転支援が求められていく。中でも重要となるのが、長島氏が「チャレンジ」と発言した一般道だ。

「一般道では、ガードレール、標識、ビルなど様々な対象が存在し、その数は無限大であり、すべてを瞬時に認識することは難しいからです」(古山氏)

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そこで古山氏は、自動運転開発におけるAIについてクルマを運転する人間の脳に近い機能を持ったコンピュータプログラムだと考えたという。

例えば、対象物が人であった場合、一般的なAIは「人」「歩いている」「男性」など捉えた情報を正しく認識する。ただ、これでは先に述べたように情報量が多すぎる。そこで古山氏は運転時の人間の脳の認識のメカニズムを考えた。

速い速度で運転しているときはそこまで詳細な情報を得ているわけではなく、ぶつかる危険があるかどうか。大まかなシーンとして捉えており、自動運転におけるAIは人の脳、認識に近づけるべきだという考えに至る。

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実現に向けては、まずは人の視覚認知知能をモデル化していった。目から情報が入ってきた際、人は以下スライド左上の「ジスト」で、全体像や大まかな印象を知覚する。そして次の段階が「ゲシュタルト」と呼ばれ、先の全体像から対象オブジェクトが何なのかを理解していく。

さらに人はコーヒーカップを判断する際にも、すべてのコーヒーカップを記憶しているわけでなく、形状、これまでの行動からコーヒーカップだと認識する。これを「アフォーダンス」と呼び、さらには咄嗟に行動を調整する「レジリエンス」などを行い、対象物を概念的に認知していると、古山氏は説明した。

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つまり、人の視覚認知はいい意味で曖昧であることがわかったのである。そして古山氏は、人の曖昧さに緻密さも加え、一般道でも自動運転を可能にするHonda SENSINGならではの技術の実現を目指していく。

人の認知である曖昧さを「概念理解」とし、ビルやガードレールといった無数にあるオブジェクトを対象物とする。一方、標識や信号などは緻密、「詳細理解」が必要なオブジェクトとして分けることとした。

そして前者においては相性のよい教師なし学習で、後者においては教師あり学習でとAIの学習スタイルを分け、最終的に両者を組み合わせるという流れで開発を進めた。

Honda SENSINGを創るデータ分析組織と最先端AI技術とは──「認知・予測・判断」の裏側と開発最前線 スライド18

ただ教師なし学習のアプローチにおいては、Honda内では有力な技術がなかった。そこで、世界中の有力なスタートアップの情報をキャッチアップしているHonda Xcelerator Venturesを介し、教師なし学習AIと数学的モデリングを組み合わせた高精度・高効率なAIの米国スタートアップ、Helm.aiとの共同開発に至る。

だが、外部のスタートアップとの協業では、先ほど米森氏が示したような課題、壁が生じることになる。このような流れではこれまで度々出てきているHondaのソフトウェア開発の“爆速”は難しい。

そこで以下スライド右上図のように、Hondaのみでも自動運転に適合するためのAI追加学習環境を構築した。

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また、既存のAIモデルでは車種適合などが難しかったため、車種ごとのカメラ取付のパラメータに適合できるようモデルを変更するなど、Honda側の知見も合わせていった。つまり、お互いの技術や知見を融合して開発を進めたのである。

セッションで公開されたデモ動画では、こうして作られたモデルを実装した車両、道路、標識、建物、人などが大まかな概念として、正確に分けて捉えられている。難しいと言われるビルや街路樹などもしっかり区別、認識していることがわかる。

Honda SENSINGを創るデータ分析組織と最先端AI技術とは──「認知・予測・判断」の裏側と開発最前線 スライド20

古山氏は、今回のスタートアップの連携を通じて感じたことや気づきも話した。

「これまでのサプライヤーとの関係性では、完璧なものを要求し受領する独立した関係でした。しかし、スタートアップとの連携では彼らの強みを活かし不足しているところを我々の知見で補うことで、良好で一体感のある関係が築けたと思っています」(古山氏)

また、スタートアップはある特定領域においては高いレベルのコア技術を持っているため、Hondaも同等のスキルや技術を持っていないとディスカッションも含め、良好なコミュニケーションが取れないだろうとも指摘。次のように付け加えた。

「会社の規模や立場も異なりますが、一人のエンジニア同士、お互いを尊重しつつ本音で議論すること。ワンチームとなって業務を進めていくことが、良い結果に繋がると思いました」(古山氏)

実際、現在も3カ月に一度は現地に出向き、フィジカルなディスカッションを進めているという。

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今後の「ヒューマンライクな知能化へのさらなる挑戦」として、いわゆるヒヤリ・ハット。「あそこの車の間から人が飛び出てきそうだ」といった人ならではの危険認知を、大まかな情報収集とリスク想定から熟練ドライバの感覚モデルを加えることで様々なドライビングシーンに対しAIを活用していくことでいつでも安心して運転を任すことのできる車を実現していく。と、古山氏は表現した。

古山氏は「同時に、運転する個々のドライバー特性を理解することでパーソナライズしたクルマを実現したい」と述べ、セッションを締めた。

【Q&A】参加者からの質問に登壇者が回答

セッション後は、イベント参加者からの質問に登壇者が回答した。

Q.スタートアップとの連携で苦労したことは?

長島:スキルや方向性などは、すぐにできるものではありません。やはりコミュニケーションが重要だと思います。

古山:時間軸が異なる点です。自動車開発は時間がかかりますが、スタートアップは早く成果を出して収益を出したいからです。ただ今回はその点も理解してもらい、協力してもらうことができました。

Q.データ構造のバラつき対策は?

米森:カタチのバラつきであれば、インターフェースやデータごとの保存形式をしっかり定めることです。一方、統計的なバラつきの場合は基礎統計を取り、適切なサンプリングをします。その上で外れ値を認識し、入れるのか除外するのか判断する流れで進めています。

Q.「認識開発」と「AI開発」のデータはどのように分別しているのか

米森:AI開発はジェネラルであり、その中に認識開発があるイメージでどちらも似ています。具体的に認識開発に特化したデータは、認識したいレーン、道路、オブジェクトに特化したデータセットになり、目的別に用意する必要があります。

Q.教師なし学習でセグメンテーションした対象が何なのかは、どのように理解しているのか?

古山:歩行者、車、走路、フリースペースなど、対象物をいくつかにクラス分けし、曖昧なセグメンテーションに数学的な知見を活用し、正解値を上げていくアプローチをしています。それが実現できるのがHelm.aiの強みです。

Q.熟練ドライバーでも判断や回避できない場合や状況時の対応は?

長島:シーンをどれだけ多く収集していくのか、AIにどう落とし込んでいくのか。2つの観点があると考えています。

米森:熟練ドライバーの判断を超える危険、ヒヤリ・ハットのシナリオを準備することが大事です。熟練ドライバーが試験走行時にオーバーライドしたら、ブレーキだったのか、ハンドルだったのかをデータとして取得するなど、Hondaではすでに集めています。

古山:緊急ブレーキの性能自体は、すでに人間の能力を超えています。ただ、熟練ドライバーであってもその運転が正しいのか、場合によってはAIが判断した方が適正な場合もあるため、神様のAIを作らなければいけない。大きな挑戦だと思っています。

長島:すべてのシーンを網羅することは難しいので、シミュレーションも組み合わせて検証する地道な作業が必要だと考えています。

Q.チーム間の協力などの組織体制は?

長島:それぞれの専門領域に特化しながらも、組織としては融合、コラボレーションして進めています。AIを使った方が早い場合は、AIの専門部隊に依頼しています。

本田技研工業株式会社
https://www.honda.co.jp/
本田技研工業のキャリア採用情報
https://www.honda-jobs.com/
本田技研工業の採用情報
https://global.honda/jp/jobs/?from=navi_footer_www

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