生成AI×起業時代に、コンサル出身者が直面する課題と突破口 『いま、構想を現実に変えるとき』
アクシスコンサルティング株式会社は、生成AI時代におけるコンサルタント出身者の起業支援を目的にオンラインイベント「生成AI×起業時代に、コンサル出身者が直面する課題と突破口『いま、構想を現実に変えるとき』」を2025年9月9日に開催した。 創業2年で売上数億円規模に成長した株式会社デジライズ・代表取締役 茶圓氏が語る生成AI市場への参入戦略から、株式会社エクサウィザーズ・エグゼクティブアドバイザー 石山 氏が独自に提唱するサービス精神論まで、コンサルタントの構想力を起業の武器に変える実践的な道筋を探る。 市場選定の迷い、技術への不安、そして労働集約型からの脱却──。生成AI時代を迎えた今、これらの課題にどう向き合うべきか。アーカイブ動画
生成AIの現在地と可能性
株式会社デジライズ
代表取締役
茶圓 将裕(ちゃえん・まさひろ)氏

なぜ今、生成AI市場での起業が狙い目なのか

最初に登壇したのは、株式会社デジライズ 代表取締役の茶圓 将裕氏。同社は2023年に創業したtoB向けにAIの研修・開発コンサルティングを提供している企業で、創業から2年2カ月で約350社・3万5000名の顧客を抱え、2028年に上場を目指している。
茶圓氏:起業においては市場選定とモデルが8割ぐらいだと思っているので、戦う市場はちゃんと決めた方が良いです。
学生時代から何度も起業を経験してきた茶圓氏は、起業成功の前提として事業を立ち上げる領域が重要だと話す。

茶圓氏:弊社が事業を展開している市場は生成AIですが、皆さんご存じの通り日本のAI導入は世界的に見てかなり遅れていることが、さまざまなデータから明らかになっています。今はもう少し増えていますが、「フォーチュン500(アメリカ合衆国のフォーチュン誌が年1回発行するリストの1つ)」での「ChatGPT」の利用率は9割以上である一方、日本の東証プライム企業における導入割合は約10%となっています。

日本企業でAIを使わない理由として、茶圓氏は人材不足を挙げる。あるデータによると米国ではおよそ6〜7割の方がAI知見を持つ一方、日本では15%前後にとどまるなど圧倒的に詳しい人材が不足している現状が明らかだ(IPAレポート「DX動向2024」より)。

茶圓氏:IT人材が多いカリフォルニア・シリコンバレーでは私たちのようなAI研修企業は少ないと聞きました。一方で人材不足の観点で、日本を含むアジア圏ではAI人材を育成する事業が成り立つと考えています。実際に市場は大きく、国内のAI市場は今でもう2兆円弱といわれており、2029年になると4.2兆円程度にまで成長するともいわれています。毎年大体30%弱の成長ですね。

しかし、この巨大市場に圧倒的王者がまだ存在しないのがポイントだという。
茶圓氏:国内のAI市場が2兆円近くあるにも関わらず、圧倒的王者がまだいない。有名企業でも売上約170億円など、2兆円市場に比べるとシェアは1%程度にとどまります。まだまだ一強がいないのでチャンスは大きく、市場全体の成長に乗っかれば等しく伸びていく産業だと思っているので、今起業を考えているなら生成AI領域が無難なのではないでしょうか。
AI領域で勝負すべきは「アプリケーションレイヤー」
では、AI領域で起業するとすればどのレイヤーを狙うべきか。茶圓氏はAI市場を4層で解説した。

茶圓氏:大きく4つのレイヤーがあります。下から①半導体、②クラウド、③モデル、④アプリケーションです。半導体は、生成AIを動かすエンジン的な駆動力。クラウドは、生成AIを動かす環境にあたります。その上のレイヤーに「GPT-5」や「OpenAI o3」などのモデルがあり、その上にようやく我々が利用している「ChatGPT」などの生成AIツールが登場する。
茶圓氏:どうすれば日本でAIの領域で勝てるかと聞かれるのですが、そもそもこのレイヤーが存在すること、それぞれの違いが分かっていることが前提。どこの産業で起業するにしても、誰よりも詳しくなっているのが必須条件だと思うので、人一倍市場を分析するのが大事です。
茶圓氏:そのうえで、結論、モデルから下のレイヤーはこれから参入するのはかなり壁が高いです。一方で一番上のアプリケーションレイヤーはまだまだ勝てる余地があるのかな、と思います。現在生成AI市場は半導体レイヤーの規模が一番大きく、アプリケーションレイヤーが最も小さいです。ただ、15年前のクラウド市場の動向を考えると、必ずアプリケーション領域が生成AI分野でももっと成長していくと思われます。これが生成AIで起業するならアプリレイヤーにすべき最大の理由です。
さらにアプリケーションレイヤーを紐解くと、プロダクト開発とソリューション提供の2種類に分かれる。
茶圓氏:基本的にプロダクトで戦うのは結構難しいと思います。「ChatGPT」が万能すぎるためです。議事録作成AIなど議事録特化のAIもありますが、「ChatGPT」でもできる。プロダクトで戦う場合は相当な知見とメンバーが揃っていないと厳しいでしょう。
一方、研修開発コンサルティングといったソリューション側には可能性があると茶圓氏は見る。
茶圓氏:世界のAIが進化していく一方で、日本のリテラシーはそこまで上がらない。これは国民性や日本企業の体質による背景が関係しており、そのギャップは存在し続けます。これを埋める研修開発コンサルは、原価が必要ないのもあり無難に成功確率が高いと考えています。
起業で成功するために必要な5要素
講演後半で学生時代から4〜5回の事業転換と3回の共同創業失敗を経験した茶圓氏は、起業成功に必要な5つの要素を提示した。

1 戦う領域と事業モデル
茶圓氏:1つ目は、戦う領域と事業モデルです。正直これが8割を占めると思っています。衰退産業ではなくて伸びゆく市場で戦うことが一点。それから少数精鋭で回せる事業モデルを頭を使って考えること。この2つを頭に汗をかくくらい考えると良いです。
2 経営するメンバー
茶圓氏:2つ目は、経営メンバーです。私自身経験しましたが、共同創業はなるべくせず、1人でやるべきだと思います。共同創業するとすれば、各々に被らない専門領域がある場合は可能かもしれません。1回目の起業から大成功する確率はかなり低いと思っており、まずはとにかくキャッシュを得て売上と利益を大きくすることに集中するのが良いと思います。
3 圧倒的量と狂気
茶圓氏:3つ目は、圧倒的量と狂気です。たとえば私の事業であるAI研修開発は日本の多くの企業が課題に感じているので、1日1000件架電すれば1、2件は案件を獲得できますよね。本気で利益を作りたければ、そのくらい狂気的に行動すれば会社は伸びます。いきなり質にこだわらず、まずは圧倒的な量を驚くほどこなすこと。その気概が大事です。
4 誰よりも社長が働く
茶圓氏:4つ目は、社長ならば誰よりも働くべき、ということです。誰よりも働く姿勢に打たれる人はやっぱりいます。あとは、事業ドメインに誰よりも詳しくなること。時間を投下すれば必ずできるはずなので、社長自らが一番働いてそのドメインに詳しくなるべきです。
5 形でなく結果にこだわる
茶圓氏:最後は、形ではなく結果にこだわるということ。泥臭く、いわゆる売上利益にこだわり抜いている企業が伸びているイメージです。最初からキレイに成長し、進んでいる企業は少ないので、まずは成功体験や勝ちにこだわって地道に積み重ねていると、その延長線上に今や誰もが知る企業がある、そうなれると思います。
最後に茶圓氏は、起業を考える人がまずとるべき行動を示した。
茶圓氏:本当に今は起業しやすい。この講演が終わった瞬間に「ChatGPT」でリサーチして、「Manus AI」で資料を作成し、「Cursor」や「Claude」でプロダクトを作る。ここまで2時間でできるんですよね。簡単なモックはすぐに作れる。このように生成AIで何かを形にしてみるなど、まずは行動することをメインに始めてもらうと良いのではないでしょうか。
技術の民主化が進む今こそ、起業に挑戦するハードルは下がっているのかもしれない。しかしながら、即座に行動を起こし、圧倒的な量をこなす泥臭さが大切である、という起業家精神の本質は変わっていないようだ。
コンサル出身者の「戦士」と「魔法戦士」の分岐点
株式会社エクサウィザーズ
エグゼクティブアドバイザー
石山 洸(いしやま・こう)氏

起業家として成功するには「魔法戦士」になるべし…?
次に登壇したのは、株式会社エクサウィザーズのエグゼクティブアドバイザーを務める石山洸氏。冒頭で自身のキャリアを振り返りながら講演を始めた。
石山氏:私は新卒で入社した会社の最初の上司が外資系大手コンサルティングファーム出身だったこともあり、コンサルティングファームの若手がやるような仕事と結構似たようなことをしていたと思います。
石山氏:結果としては1年目で営業力とコンサル力、それからデータサイエンスの3つの力が身につけられたのはすごくラッキーでした。今自分が起業してみて考えても、すごく役に立つスキルだったと思います。
その後、エクサウィザーズを起業し、多くののコンサルティングファーム出身者を採用・育成した経験を持つ石山氏は、コンサル出身者の起業についてこう述べる。
石山氏:成功してるコンサル出身の起業家の方がたくさんいるので、そこは恐れる必要はないと思います。

一方で、コンサル出身者が起業で成功するには、従来のスキルセットからの進化が必要だと石山氏は指摘する。
石山氏:コンサルティングファーム在籍時に身につく力を「戦士」とすると、起業家になるには「魔法戦士」にならなければならない。
「戦士」、「魔法戦士」とは?彼らが持つ力とは?以降の講演でその真相が明かされた。
カギは、労働集約からハイグロースへの転換

石山氏:労働集約的だったコンサルタントのビジネスを、「ハイグロース」いわゆる売上成長率が高いビジネスモデルに転換することがどうしても必要です。
石山氏:コンサルの仕事は投資家目線でいうと労働集約的なビジネスだと見られることが多くあります。人単位なので人件費がすごくかかり、営業利益率があまり高くない、というバイアスがあり、客観的にもそのようなデータが多いマーケット。なのでコンサル出身者がコンサルのビジネスで起業しても投資家からの期待値は低めになっちゃう。
この課題を解決するカギが、ハイグロースなビジネスモデルへの転換だ。石山氏が典型例として挙げるのがSaaS(Software as a Service)である。
石山氏:そもそもSaaSはソフトウェアベースなので労働集約的ではなくスケールしやすい。イコール売上高成長率も上がりやすいということなので、投資家から好まれるビジネスとして存在していました。
コンサル出身者が身につけるべき「魔法」の正体とは
ここで重要なのが、SaaSビジネスの捉え方だと石山氏は指摘する。


石山氏:SaaSとは何かと聞かれたときに、コンサル出身者の99%ぐらいは「ソフトウェアのビジネス」だと答えるのではないでしょうか。もちろんそうなのですが、もう1つ重要な点があります。これがコンサル出身者の多くに抜けていて「魔法戦士」になるために重要なポイントなのですが、SaaSは「サービス」だということです。
石山氏によれば、SaaSの本質を理解するには「Software as a Service」という言葉の後半部分の「Service」に注目する必要があるという。

石山氏:コンサルから起業家にシフトする際に、ベースとなる仕事に加えてどのようなサービスで付加価値が高いビジネスを構築していくという考え方が重要。この感覚を持ってソフトウェア開発ができるかという思考が欠かせません。
ソフトウェア化する前に、高いサービス精神を持ち、多くの人が思いつかないレベルにまでサービス精神を追求することが、差別化されたソフトウェアを生み出す原動力になると石山氏は強調する。
石山氏:ということで労働集約的な仕事から、ハイグロースなビジネスになっていくことが必要だと冒頭お話しましたが、ハイグロースなビジネスには「魔法」が必要。その「魔法」の正体こそ、サービスだということです。
ここで石山氏は、実際に訪れたレストランでの体験を例に挙げた。
石山氏:夏でもおいしく食べられる料理として「生ハムメロン」はよく知られていますが、この店では「うなぎマンゴー」が出てきました。「生ハムメロン」でも80点は取れるはずですが、「うなぎマンゴー」まで考えていたか?これがサービス精神の差です。サービスは、ライトネスではなくてリッチネスが求められます。労働集約からもう一段ハイグロースなビジネスにして、ソフト化しようとすると、その差がとても重要なわけです。
差別化されたサービス精神で具体的な要件定義まで落とし込めているかがポイントで、それこそがソフトウェア化すべき独自の価値を生み出す源泉となるのだ。
サービス精神(=マンゴー)がイノベーションを起こす
石山氏は、「うなぎマンゴー」の発想を生成AIのビジネス構造に展開して解説した。



石山氏:うなぎは生成AIです。誰でも大手プラットフォームのAPIで簡単に仕入れられますが、そのまま提供するだけでは激戦になります。そこにマンゴー(サービス精神)を組み合わせることで、うなぎとマンゴーの新結合、つまりイノベーションが生まれます。
さらに石山氏は、技術の階層構造でこの概念を整理した。

石山氏:まとめると、うなぎの養殖技術のような科学的な発見や高度な専門知識に基づく革新的な技術で課題を解決するのがディープテック、うなぎ自体がAIレイヤー、そこにマンゴーを加えるという発想がSaaSの領域で、これらをいかに垂直投合していくかが重要。要するに差別化された要件を考えられるかということ。その源泉は、サービス精神を持ちながら多くの人が考えつかないところまで踏み込むことです。

最後に石山氏は、コンサル出身者が起業家として成功するためのポイントに言及した。
石山氏:コンサルのメンタリティだけでなく「サービス業に従事するんだ」と覚悟を持って飛び込めれば良いプロダクトができます。簡単そうで難しいので、修行をし続けなければなりません。ただその限界を打破した先に起業家になれる。ぜひ、コンサルタントから起業していただけるといいかなと思います。
コンサルタントとしてのハードスキルを活かしつつ、サービス精神という「魔法」を身につけて、労働集約型から脱却したハイグロースビジネスを構築する。生成AI時代において、顧客の期待を超える価値を提供する「うなぎマンゴー」の発想こそが、起業家としての成功を左右するのかもしれない。
【Q&Aセッション】
Q&Aセッションでは、株式会社デジライズ 茶圓氏と株式会社エクサウィザーズ 石山氏の2名がイベント参加者から投げかけられた質問に回答した。
Q. 数億から数十億の売上に成長するには何が必要だと思うか
茶圓氏:ビジネスモデルによりますが、法人向けビジネスなら代理店などの外部リソースを活用することが1つだと思います。業種によって異なるので抽象化して回答すると、少ない人数でいかにスケールする仕組みを作るかを考えるべきです。
石山氏:質問が半分答えになっていますね。数億円作れるということは、それを10個作れば数十億円のビジネスに成長させられる(顧客数を10倍にするか、顧客あたり単価を10倍にするか、その掛け合わせを戦略的に考えるのはコンサル出身者の得意技)。ただ10倍頑張らなければなりませんが、掛け算の発想で事業を拡大していけばよいということです。
Q. 企業を狙うドメインで一番詳しくなることが重要とのことですが、その粒度はどのくらいか
石山氏:ChatGPT×○○×○○のように、3つの掛け合わせが重要で、複数領域の境界線で新結合を生み出すこと。例えば介護は医療・ヘルスケアでもあり、介護保険というファイナンス領域でもある。1つの問い合わせに対して複数部署をたらい回しされるような問題がありますが、それをワンストップで解決できるサービスにヒントがあります。
茶圓氏:私は2つの掛け合わせで十分だと思います。AIと製造業など、テクノロジー×ドメインの粒度で良いです。狭すぎるとニッチになるので。Webで拾える情報にあまり答えはないので、それよりも重要なのは現場の人に直接話を聞くことだと思います。工場の所長に話を聞いて、そこから提案につなげる。先に顧客を作ってから事業を考える順番で進めれば、絶対失敗しません。
Q. 起業には優秀な仲間が欠かせないが、自分が何者でもないところからそういった仲間を集めるためにどんな努力をしてきたか
茶圓氏:何よりもまず自分を磨くことが重要。私は何者でもなかったのでXでの発信をとにかく頑張っていました。それを通じて想像以上にたくさんの人とご縁ができたと思います。自分が光らなければ優秀な人と組めないので、まずは自分磨きです。また、基本的には1人でできるビジネスモデルを目指すのが良くて、人が増えるほど良い面もあればマイナスの要因も増えることは知っておくと良いですね。
石山氏:茶圓さんが「自分磨きが重要」と仰っていましたが、磨き方にポイントがあります。自分が「できること」とプレゼンしがちですが、「できないところもある」といかに凸凹を見せるかが重要。そうすると相手が「足りないところを埋めてあげなきゃ」と思って、助けてくれることがあります。ちなみに私は一人では限界を感じたので仲間を集めました。
Q. たくさんの起業の相談を受けると思うが、成功しそうな人は分かるものか
石山氏:コンサルのハードスキルを持ちながら、ちょっと変わった一面を持つ人ですね。もう1つは最後までやりきれる人。「嘘を本当にする」のが起業家の仕事みたいなところがあるので、その辻褄を合わせるところまでやりきれる感じの人とそうじゃない人は見るとなんとなく分かります。
茶圓氏:相談しに来られる時点ですでに事業を持っている人や行動している人は優秀だと思います。この人は何でも売る、ツボでも売る、くらいの覇気を感じる人は間違いなく成功します。
Q. 「うなぎマンゴー」のような組み合わせを見つけるためにはどのような取り組みが有効だと思うか
石山氏:サービス精神は「人たらし」からしか学べない面があり、感染するものです。サービス力の高い人と時間を共にし、顧客として体験するだけでなく、サービスする側として共同体験すると良いでしょう。サービスを受ける方法もありますが、それ以上にサービス提供側での共同体験の方が学ぶものが多いと思います。
茶圓氏:好奇心を持って、疑問をすぐにAIに聞くことは見についているかもしれません。そのなかでも、人との会話から耳にしたことから認識した課題をベースに考えています。困ったことがあったらすぐ「deep research」に聞いて、ちょっとしたサービスを「Cursor」や「Claude Code」で作ってSNSの反応を見ていますね。
Q. 自然言語だけでアプリ開発してそのままリリース・収益化することは可能だと思うか
茶圓氏:可能だと思います。アプリ開発のAIに決済機能はないので、その辺りを解決すればできますね。エラーが出ても諦めずに「ChatGPT」と一緒に解決策を探したり、専門性の高い部分はエンジニアに相談したりすると良いです。「不可能はない」と思ってまず試してもらいたい。
Q. 石山氏が今から起業するなら、どのような事業やサービスに挑戦したいか
石山氏:今、新潟日報 生成AI研究所の取締役研究所長として、地域の中小企業への生成AI導入に取り組んでいます。地方では労働力不足が深刻で、中小企業の生産性向上が地方創生の鍵になると考えているので、そういった軸でビジネスを創ろうとしているのがまさに今です。
Q. ビジネスアイデアはどのように見つければ良いか
石山氏:私は逆張り派です。私がAIを研究していたころ、AIは完全に冬の時代でした。その時から逆張りAIでビジネスを創ろうとやってきました。「伸びているマーケットはレッドオーシャン。儲からない領域はブルーオーシャン。このトレードオフが辛い」という人もいますが、これを突破する軸を自分に持たなければなりません。
その方法としては全く同じもので後発参入するより、アナロジーを使って似たような領域でこういうことが起きるだろうから先行して参入する、というやり方です。ここはコンサルの人なら得意なはずです。「マーケットに火がついてないと参入が怖い」と思ってしまうのは心の弱さの話だと思います。
茶圓氏:誰も本当に手をつけていない領域ならやめた方が良いと思います。市場規模と参入可能性を測るために、まずはTAM(全体の市場規模)・SAM(獲得可能市場)を調べて数字で判断するべきです。メタトレンド(ロボット普及など)に沿った領域なら後発でも十分勝機があります。何兆円規模あるなかで生成AI市場は1%程度。そのくらいなら気合と根性で十分可能なはず。実際に「Facebook」も十何番目にリリースされたSNSだという話もあるので、後発が逆にやりやすい面もあると思います。
文=宮口 佑香(パーソルイノベーション)
※所属組織および取材内容は2025年9月時点の情報です。
アクシスコンサルティング株式会社
https://axc-g.co.jp/
AXIS Matching Accelerator Program
https://bd.techplay.jp/axis-amap
おすすめイベント
関連するイベント










