生成AI革命
書籍情報
発売日 : 2024年01月22日
著者/編集 : 野口悠紀雄
出版社 : 日経BP 日本経済新聞出版
発行形態 : 単行本
ページ数 : 312p
書籍説明
内容紹介
ブロックチェーン、デジタル社会論などのITがもたらす変化に関する先駆的な解説で知られ、情報技術の動向に詳しい野口悠紀雄氏による本格的な生成AI論。 本書の目的は、「生成AIがある社会とは、どのようなものか?」を予測することだ。そして、それは生成AIがなかった世界に比べてより良い社会なのか、それとも悪い世界なのかを評価することだ。つまり、生成AIが経済活動と社会にもたらす影響を分析することだ。 AI(人工知能)が人間の自然言語を理解し、人間の質問や指示に対して自然言語で的確な答えを返せるChatGPT など「生成AI」と呼ばれる新しい技術の活用によって、人間の知的活動は、これまでとはまったく違うものになる。これは、人類の歴史における大きな区切り点となる変化だ。「生成AIのなかった世界」がこれで終わりになる。では、どこがこれまでのコンピュータや従来のAIと異なるのか。 第一に、これまでの技術が主としてブルーカラーの仕事を自動化したのとは違い、生成AIの最も大きな影響は、ホワイトカラーの、それも知的に高度な仕事に及ぶ。 第二に、生成AIは、特定のタスクだけを自動化するのではなく、さまざまな仕事を自動化する。一般的な用途を持つ技術をGPT(General Purpose Technology:一般汎用技術)と呼ぶが、ChatGPTは、まさしくGPTなのだ。 両極端のシナリオが考えられる。第一は、作業が自動化される結果、生産性が向上し、豊かな社会が実現されるケースだ。つまり、生成AIは、ユートピアを実現する可能性を持つ。 しかし、自動化は失業をもたらす可能性が高い。これが第二のケースだ。所得分配が平等化する可能性もあるが、格差が拡大する可能性もある。問題は、ホワイトカラーの仕事だけではない。社会のあり方が根底から覆されてしまう可能性がある。生成AIの用途は、事務処理の効率化だけでなく、カスタマーサービスやマーケティング、研究開発、さらには企業の意思決定にまで及ぶ。企業がこれらの分野でどのように 生成AIを用いるかによって、人々の働き方は大きく変わる。 生成AIによる自動化によって経済が拡大するか、それとも失業が増えるかは、需要が拡大するか否かに大きくかかっている。日本の場合には、全般的な経済停滞のために、需要が拡大しない可能性が高い。だが、このような問題があるからといって、変化を恐れて新しい技術を導入しなければ、日本は世界の進歩から決定的に立ち遅れてしまう。 ところが、日本企業は、生成AIの影響を、文書処理の効率化程度としか捉えていないのではないか。政策担当者が適切な問題意識を持っているのかどうかも、大いに疑問だ。考えれば考えるほど、日本の将来に危機感を覚える。本書の目的は、こうした事態に対して警告を発することだ。
目次
はじめに
第1章 ChatGPTはどのように使われているか?
第2章 企業はChatGPTをどこまで使うことができるか?
第3章 データドリブン経営が可能になるか?
第4章 医療や法律関係にもChatGPTが進出
第5章 知識の伝達・教育機関・知識の価値に大変化
第6章 大規模言語モデルの仕組み
第7章 未曾有の大失業・大転職時代
第8章 未来はディストピアか?
第9章 ユートピアを実現できるか?
おわりに
参考文献
索引
第1章 ChatGPTはどのように使われているか?
第2章 企業はChatGPTをどこまで使うことができるか?
第3章 データドリブン経営が可能になるか?
第4章 医療や法律関係にもChatGPTが進出
第5章 知識の伝達・教育機関・知識の価値に大変化
第6章 大規模言語モデルの仕組み
第7章 未曾有の大失業・大転職時代
第8章 未来はディストピアか?
第9章 ユートピアを実現できるか?
おわりに
参考文献
索引
著者情報
野口悠紀雄