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NECソリューションイノベータ株式会社
デリバリモデル・トランスフォーメーション機能/イノベーションラボラトリ
本間 詩野氏
業務を工夫して取り組み、チームに貢献することが、キャリアにつながる
講演に先立ち本間氏は、「キャリアを考えると自分の成長に気づいたり、自分らしく働けたりしている感覚が得られるようになるなど、まさに自分と向き合うことだと考えています」と、述べた。
大学では教育学部に所属し、元々は教員を目指していた本間氏だが、教育実習などを経験するうちに、教員ではない仕事をしたいと思うようになる。
数学科であったためコーディングの経験もあり、卒業後はさまざまな業界の各種システムやサービスを開発する、NECソリューションイノベータにエンジニアとして入社する。
配属されたのは東北支社で、はじめてのプロジェクトは、「子育て支援に関する新事業の企画・開発」。プロジェクトに自身の希望もあり、アサインされる。チーム構成はすべて女性の4名。子育て世代の女性メンバーの想いから始まったプロジェクトでもあった。
本間氏だけでなく、チームメンバーも新事業開発は初めてであったため、新人、知識が乏しい本間氏の意見でも、チームのメンバーは受け入れた。
チームが受講していた事業開発のワークショップでも「イノベーションを起こすには多様性が必要」という言葉を知り、まさに新人、できない自分も多様性の一つである、と考えるようになる。
そして本間氏は、二つの貢献軸をイメージする。まずは、現時点でチームに貢献できそうなことに取り組む。もう一つは、成長することで貢献していくことだ。
前者においては先述した内容と重なるが、積極的に意見を伝えること。さらには、企画チームと開発チームの知識ギャップを埋めるような、チーム作りへの貢献も考える。
後者においてはエンジニアとして、ものづくりに関する技術を高めることを掲げた。その後、サービス自体は開発に至るが、ユーザーに価値を届けられないといった理由から、プロジェクトはクローズすることになった。
同プロジェクトを経て本間氏は、技術も含め価値を生み出すプロダクトを作れるような、そのような事業開発を担えるエンジニアになりたい、というキャリアを描くようになる。そして2024年度からまさに、希望していた部門に異動。新事業開発と同事業をグロースするための技術獲得の実現に取り組み出す。
ただ、現在の部門でも新たな壁にぶち当たる。スキルの高いエンジニアや、周りから一目置かれる人材など、端的に言えば優秀な人材が多いため、自分のスキルの低さを改めて痛感したからだ。そしてこのことは、本間氏が掲げるチームへの貢献も、当然低いことにつながる。
一方で、個人のスキルは高いが個人プレーが多いように見えたり、組織として目指すべきミッションの解像度が低いと感じたりするようになる。そしてこのような発見や考えこそが、まさに先述で掲げたテーマの後者、今の自分でも貢献できる内容につながっていく。
周りのメンバーからの言葉を思い返しても、自分の言葉をしっかりと聞いてくれる。その上で、認めてもくれている。さらにはなぜ自分が評価されているのかを深堀りすることで、自分が貢献できる領域や自分の強みが次第に明らかになっていった。
そしてここからが、本間氏ならではの取り組みと言えるだろう。本間氏は、自分の強みを顕在化するために、自分が気になることを自分の個人テーマとして置くようにした。具体的には、お客さんの業務観点を理解していない、ビジネスチームとの対立構造などである。
そして、これらの気になる点を解消すべく、ビジネスの背景を本間氏が理解することで、両チームならびにメンバー同士をつなげる。結果として、価値が生まれる。そのような存在となることで、チームに貢献していこうという考えに至る。
本間氏は個人テーマを持ったことで、目の前の業務にプラスアルファの意識で仕事に臨めるようになった。また、自分がやりたいことを周りに伝えるようにもなり、人となりを理解してもらえたり、関連業務を依頼されたりするようになった。
そして今ではスクラムマスターに挑戦したいという新たな目標も持つようにもなった。本間氏は次のように述べ、セッションを締めた。
「目の前の業務に工夫して取り組むことや、チームに貢献しようとすること自体がキャリアを考えることにつながると思います。ですから私はこれからも、考えることをやめないでいようと思います」(本間氏)
【Q&A】参加者からの質問に登壇者が回答
登壇セッションが終わった後は、イベント参加者からの質問に登壇者が回答する、QAセッションも行われた。抜粋して紹介する。
Q.異なる環境、異なる技術を扱う部門への異動に際しての心構えやスタンスなどについて聞かせてほしい
本間:うまくいかずに落ち込むこともありましたが、私の場合は新事業開発は希望部門であったため、もうちょっと頑張ってみようと、このような取り組みを重ねたことで、次第に楽しさが見えてきたように思います。
Q.異動はしやすい環境か。また、身近にロールモデルはいるか?
本間:異動しやすい環境だと思います。具体的には公募に自由に申請できたり、ジョブチャレンジ制度などが整備されています。ただ私の場合はこれらの制度ではなく、自分がやりたいことを周りに伝え続けていたら、関連部門からお声がかかりました。
ロールモデルとなる方はいませんが、あの先輩のこんなところ、この先輩のあんなところを身に付けたい。身に付けるためにはどうすればよいのか、そのような考え方をしていることが多いです。