イラストでわかる!LINE NEWSを支える技術、仮想通貨と規制の話──LINE DEVELOPER DAY 2019【気になるセッション_Day1】
【来場者3000人以上!LINEが仕掛ける巨大技術カンファレンス】
日本での開催が5回目となった技術カンファレンス LINE DEVELOPER DAY。毎年規模を拡大してきたカンファレンスですが、今年はググッとパワーアップしての開催です。
※今回はLINEさんからの依頼により、湊川あいがイラストでレポートします
特徴は次のとおり。
・エンジニア以外も参加OK、どなたでも参加無料
・初の2日間開催
・セッション、ハンズオン、ブース、豪華ゲストによる講演などてんこもり
2日間で、68個ものメイントーク、42個のショートトラック、9個のポスターセッション、6つのハンズオンセッション、19個のブースが提供されたというから驚きです。 デザインやプロダクトマネジメントの話もあるので、エンジニアだけでなくデザイナーやマネージャーの方も楽しめる内容になっています。
会場の広さは昨年比250%とのこと。今回のカンファレンスに、LINEがどれほど力を入れているかがお分かりいただけるでしょう。
68個ものメイントークすべてをイラストでレポートできるのが理想ですが、残念ながら筆者は分身の術を会得しておりません。 よって、Day1で4つ、Day2で4つ、計8つのセッションをピックアップし、前編・後編2つに分けてお届けいたします!
【Keynote】CTOが語る、LINEの注力サービスとテクノロジーの現況
LINE DEVELOPER DAY 2019 は、LINEのCTO Euivin Park さんの登壇で幕を開けました。
LINE MINI App とは、コミュニケーションアプリ LINE 上で、企業や店舗などのサービスを使えるサービスです。
現在開発中のサービスで、たとえばクーポンやポイントカードを表示したり、チケットを購入したり、座席を予約したりといった独自のサービスを利用できるようになります。
企業や店舗が独自でいちからアプリやWebサービスを作ろうとすると、時間もコストもかかります。また、ユーザーに新たなアプリをダウンロードしてもらうというハードルもあります。LINE MINI Appを使えば、IT知識が少ない店舗の担当者でも手軽にLINE上でサービスを提供できると言います。
Euivin Park さんは「多くのアクティブユーザーを抱えるLINEというプラットフォームを利用できるのは、企業や店舗にとって大きな強み」と強調しました。
続いて、LINE株式会社 LINE BRAIN室の室長であり、プラットフォームエバンジェリストでもある砂金(いさご)信一郎さん、ITサービスセンター Verda室 室長の三枝慶寛さん、サイバーセキュリティ室 室長の市原尚久さんの順に登場。
最近「全自動手書きレポートマシン」を作ったことで話題になった大学生、たむさん (@tamu_misw)をご存知でしょうか?
「令和にもなって手で書かせるなんて…」大学生開発の“全自動手書きレポートマシン”が本当にすごい! | FNN PRIME
「なんで俺、手書きでレポートを書いているんだろう……」 そう感じた たむさんは、自分の筆跡を模した手書き風文字を機械で出力するために、LINEのマシンラーニングの技術を活用しました。 その結果、機械が書いたのか人間が書いたのか、見分けがつかないほど精巧なレポートが仕上がりました。 たむさん自作の「全自動手書きレポートマシン」による筆記のデモも行われ、会場は大いに湧きました。
LINEの機械学習技術は、様々なサービスで活用されています。たとえば、LINEアカウントの乗っ取り件数。マシンラーニングによって乗っ取り犯のパターンを抽出・学習し、精度を上げることで、2018年にはなんと乗っ取り件数を0件にすることができました。
LINEが大切にしているのは透明性。多くのユーザーの情報を取り扱うサービスだからこそ、プライバシーファーストな姿勢を追求し続けます。
▶︎もっと詳しく見る! スライドはこちらで公開中:Keynote / LINE Park Euivin
【Inside of Blog】15年熟成されたサービスの光と影、カオスとレガシーへの挑戦
Keynoteが終わり、次に向かったのはLINE株式会社のサーバサイドエンジニア 大森 貴博さんのセッションです。 「15年熟成」「カオスとレガシー」……タイトルからすでにおもしろそうな予感!
大森さんが実際に開発の現場で出会った「カオスでレガシー」なエピソードが炸裂! エンジニアなら共感できるアレコレに、会場の皆さんは大盛り上がり。
「LINE BLOGは、実はライブドアブログの仕組みをフォークして作られていた」。この事実に驚いた方も多かったのではないでしょうか。
サービスの歴史が古い分、使われている仕組みを最新のものにするには大変な労力がかかります。LINEのエンジニアチームは、なんと半年で何万行というコードを書き換え、先に挙げたカオスとレガシーの数々をすべて排除し、モダンなシステムに刷新しました。
大森さんは最後に、こう締めくくりました。
「皆さんも普段、ソースコードやレビュー、ドキュメントを書いていると思います。今、最新の技術を使っていても、時が経てばすぐに古くなってしまいます。ですから、15年後どうなるのか想像しながら書くことをおすすめします」
「カオスとレガシーへの戦いはすでに始まっています。未来を変えるために、何か1つでも行動してみましょう!」
▶︎もっと詳しく見る! スライドはこちらで公開中:Inside of Blog; 15年熟成されたサービスの光と影、カオスとレガシーへの挑戦 / LINE 大森貴博
月間120億PV、6800万MAUを超える「LINE NEWS」記事配信を支える技術
続いて紹介するのは、LINE株式会社 サーバサイドエンジニア 稲葉さんのセッションです。
月間6800万人ものアクティブユーザーを抱える LINE NEWS は、どのように支えられているのでしょうか?
「LINE NEWSの仕組みについて語り始めると、サーバサイドからフロントエンドまで多岐に渡ってしまうので、このセッションでは記事のレコメンド機能に絞ってお伝えします」と稲葉さん。
LINE NEWSの「おすすめ記事」が表示されるのは、現在3箇所。そのうち1つの画面は人間が手動で選んだ記事を、残りの2つの画面はマシンラーニングでユーザーに合わせたものを自動で表示しているそうです。
とはいえユーザーごとのレコメンドデータを継続的に更新し続けるのはなかなか大変です。Importerの中の処理を、20スレッドで非同期・並列で実行することで、毎時間、約1億人分のレコメンドデータのインポートを実現しているそうです。想像を絶するデータ量ですね。
Importer を3つ使っているので、20スレッド × 3 で合計60スレッドが同時に走っている状態です。
設定ファイルの更新があると、最新の情報をクライアント側に保持してくれます。こうすることで、クライアント側はいちいち設定ファイルを取得しにいく必要がないので、より高速な閲覧が可能になるというわけです。
▶︎もっと詳しく見る! スライドはこちらで公開中:LINE NEWSの記事配信を支える技術 / LINE 稲葉大樹
仮想通貨と規制の話 〜カストディ/KYC/AML 〜
Day1 の最後に向かったのは、LVC株式会社 ビジネス企画担当者で弁護士でもある永井幸輔さんのセッションです。 仮想通貨界隈には疎い筆者ですが、勉強させていただきます。いざ突撃!
「仮想通貨への規制が厳しくなる一方で、規制があるからこそイノベーションが生まれる面もある」と永井さんは語ります。
規制が増えると、それに伴って手続きが煩雑になり、企業もユーザーも離脱してしまいがち。そこであきらめるのではなく、技術で解決していく姿勢が大切です。 エンジニアと法律家でタッグを組んで、法的にも正しく、技術的にも安全なシステムを作っていくことの必要性を説きました。
▶︎もっと詳しく見る! スライドはこちらで公開中:仮想通貨と規制の話:カストディ/KYC/AML / LVC 永井幸輔
最新技術にふれて楽しめるブースエリア
ブースエリアは19個もあり、LINEの最新技術や開発環境にふれて楽しめるようになっていました。その中からいくつか紹介しますね。
19個のブースには、それぞれLINEのエンジニアが立っており、来場者は気軽に質問できるようになっていました。
イベント後の懇親会も大盛り上がり!
Day1のおわりには、メインホールで懇親会が行われました。
参加者や登壇者で語らいながら、ワイワイと交流を深めました。
後編、Day2のイラストレポートへ続く
以上、Day1のレポートでした。後編では、Day2の気になるセッションを絵でレポートします!
Day2のレポートは こちら !
著者プロフィール
湊川 あい
フリーランスのWebデザイナー・漫画家・イラストレーター。マンガと図解で、技術をわかりやすく伝えることが好き。著書『わかばちゃんと学ぶGit使い方入門』・『わかばちゃんと学ぶ Googleアナリティクス』・『わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本』『運用ちゃんと学ぶシステム運用の基本』
・Twittre:@llminatoll
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