メタバース進化論ーー仮想現実の荒野に芽吹く「解放」と「創造」の新世界

書籍情報

発売日 : 2022年03月19日

著者/編集 : バーチャル美少女ねむ

出版社 : 技術評論社

発行形態 : 単行本

書籍説明

内容紹介

原住民の実体験×大規模調査、ソーシャルVRのリアルがわかる!

目次

■はじめに
物理現実で語るザッカーバーグ、メタバースから覗く原住民たち
「バーチャル美少女ねむ」の人生と来歴
メタバース原住民1,200人を分析「ソーシャルVR国勢調査」
本書の目的と内容
メタバースは荒野のフロンティア
ホモ・メタバース――人類の進化のてがかり

■■第1章 メタバースとは何か
■メタバース前史
「メタバース」という言葉の由来
セカンドライフと初期のメタバース概念

■メタバースの定義:実現に必要な七要件

■メタバースは世界と世界を結びつける
オープンメタバースとクローズドメタバース
リアルワールドメタバース

■メタバースではないもの
メタバースはSNSのことではない
メタバースはオンラインゲームのことではない
メタバースはAR・VRのことではない
メタバースはNFT・ブロックチェーンのことではない

■メタバースがもたらす三つの革命
メタバースはアイデンティティの革命
メタバースはコミュニケーションの革命
メタバースは経済の革命

■■第2章 ソーシャルVRの世界
■ソーシャルVR:既にある「必要最小限のメタバース」
「ソーシャルVR」とは何か
ソーシャルVRの利用動向:VRChatが世界的に人気

■VRChat:ソーシャルVRの概念を確立した存在
圧倒的な人口とコンテンツ自由度の高さ
ソーシャルVRとしての基本的なしくみ
仮想世界最大のマーケットイベント「バーチャルマーケット」
メタバース時代の覇権を握るには山積する課題

■Neos VR:メタバースを体現するソーシャルVR
仮想世界で循環する創造性と経済性
人類のクリエイティブを加速する革新的なしくみ
メタバース内でミュージックビデオを共創してみた
敷居の高さが人口増加への課題

■cluster:メタバース時代のイベントホール
圧倒的な収容力とアクセス性
メタバース内で気軽にイベントを開催できるしくみ
個人でもイベントに1,000人以上集められた
個人の商用利用が認められていない

■バーチャルキャスト:仮想空間の超高性能撮影スタジオ
ニコニコ動画が生んだ配信のためのメタバース
配信を軸にした新たなコミュニケーションのしくみ
物理現実と仮想現実が融合したイベントを作ってみた
今後ソーシャル的な活用が広がるか

■比較からわかる四大ソーシャルVRの個性
メタバースの七要件に基づいた評価
特徴と目的に合わせた利用実態

■ソーシャルVRユーザーのプロファイル
累計プレイ時間:半数が500時間超え
プレイ頻度:半数がほぼ毎日
一回あたりプレイ時間:半数が3時間以上
年代と性別:20代男性がボリュームゾーン

■Horizon Worlds:Metaの新サービスは何をもたらすのか
統一感のあるアバターの世界観
「なりたい自分になれる権利」への姿勢はまだ不透明
一般ユーザーへのきめ細かいナビゲーションと創造性の提供
メタバースになるための課題、交錯する期待と懸念

■■第3章 メタバースを支える技術
■メタバースのために積み重ねられた人類の技術

■「バーチャルリアリティ」とは何か

■VRゴーグル:VR体験の核
被るだけで仮想空間に没入できる
VR元年からQuest 2の普及まで
没入感を実現する三つの映像性能
仮想空間でどれだけ動けるか:3DoFと6DoF
ハイエンドなPCVRと手軽なスタンドアローンVR
VRゴーグルの三つの「リスク」

■トラッキング技術:仮想空間で自在に動く
物理現実の動きをリアルタイムに追跡する技術
アウトサイドイン方式とインサイドアウト方式
フルトラ:アバターの全身を動かす
調査から伺えるフルトラの圧倒的な需要
指トラ:アバターの指を自由自在に動かす
アイトラ:アバターと目の動きが連動する
顔トラ:アバターの顔と一体になる

■アバター技術:仮想世界でなりたい自分になれる
「アバター」とは何か
「なりたい自分になれる権利」がぶつかる課題
VRM:アバターの統一規格
絵を描くようにアバターを作れる「VRoid Studio」
VRMがもたらした「なりたい自分になれる権利」
「アバターの人格権」を守るしくみ
「なりたい自分になれる」今後のメタバースの課題

■■第4章 アイデンティティのコスプレ
■魂にアイデンティティを「纏う」革命

■名前:言霊世界のアイデンティティ
新しい人生は名乗りから始まる
メタバースでの実名利用率
仮名でも「オープンで透明な世界」に向けて

■アバター:視覚世界のアイデンティティ
性別も種族も全てが自由
アバターの性別:男も女も女性アバター
「心身の性別の不一致」でなりたい性別で暮らす人も
女性アバターが選ばれる三つの理由
日本における「バ美肉」文化
美少女は「枯山水」
アバター種族の多様性
アバター種族:亜人間がトップシェア 45%

■声:音響世界のアイデンティティ
「なりたい自分」への最後の鍵
声コスプレ:加工音声によるコミュニケーション わずか16%
無言勢:非音声コミュニケーション 8%
文化によって違う加工音声の好み
男も女もkawaiiボイスになりたい
ボイチェン勢:機械の力で声を変える勢力 9%
両声類:筋肉の力で声を変える勢力 5%
バ美肉紅白:声コスプレの一般化に向けて

■魂の新しいかたち
分人主義:人間な多様な側面を認める価値観
今、歩きだす「分人」
自己のイデアの発見

■■第5章 コミュニケーションのコスプレ
■本当のコミュニケーションを「加速する」革命

■メタバースでの距離感
空間が縮める心の距離
VR飲み会:「昭和の飲み屋街」で起こる最先端コミュニケーション
なぜZoom飲みは流行らなかったのか
メタバースでは距離感が近くなる 76%

■メタバースでのスキンシップ
物理的な触覚がなくても大切な「スキンシップ」
アバター同士のスキンシップをする 74%
不愉快なスキンシップに注意

■メタバース恋愛
メタバースでも「恋」は芽生える
メタバースで恋に落ちたのは40%
恋愛に物理性別は重要でない 75%
アバターごしの恋の決め手は「性格」64%
メタバースでの「お砂糖」とは?
「お砂糖」できたのは30%
メタバースでの恋人は物理世界では恋人ではない 68%

■バーチャルセックス
「バーチャルセックス」とは何か
バーチャルセックスが変える性のありかた
バーチャルセックスの経験率と適正

■社会の新しいかたち
人類を霊長たらしめたコミュニケーション能力
人類社会のプロトコルを書き換える

■■第6章 経済のコスプレ
■メタバース経済前夜:十年以内に百兆円の経済規模?

■ミクロ・マクロ両面で経済を「拡張する」革命

■分人経済:多面性が生むクリエイターエコノミーの究極形
はじめての分人経済学
アバター経済圏
メタバース×ファッション
Skebのアバターポートレート経済圏
分人経済が人々のクリエイター化を加速する
アバターワークなら在宅で接客業ができる
分人経済で一番重要なこと

■超空間経済:経済が地球の空間の限界から解放される
はじめての超空間経済学
都市のデジタルツイン化
心象イメージによる超空間デザイン
ワールドの広告表示権が巨大産業になる
メタバース×地方創生
メタバース×学術
個人クリエイターによる超空間革命

■メタバースで生まれる職業
3Dクリエイター:メタバース世界の創造神
メタバースイベンター:仮想空間の人流をコントロールする存在
メタバース接客業:仮想空間での触れ合いが価値になる

■経済の新しいかたち

■■第7章 身体からの解放
■生まれ持った肉体を「脱ぎ捨てる」

■ファントムセンス概論
「ファントムセンス」とは何か
メタバース原住民たちは何を感じているか
ファントムセンスの原理:クロスモーダル現象と共感覚

■ファントムセンス実態調査
どんなファントムセンスを感じるか:触覚が45%
ファントムセンスを感じる部位:頭・顔が90%
ファントムセンスとスキンシップ文化
ファントムセンスの鍵は「想像力」?
強くなる感覚と弱くなる感覚
ファントムセンスを「生やす」方法

■触覚スーツ

■BMIによる「フルダイブVR」
「BMI(ブレイン・マシン・インタフェース)」とは
「ニューラリンク」の革命と「フルダイブVR」の夢

■私たちの新しい身体

■おわりに
鏡の中の「私」へ
ホモ・メタバース――肩を寄せ合い、手と手をつないで
メタバースが広まるために本当に必要なこと

著者情報

バーチャル美少女ねむ
メタバース原住民にしてメタバース文化エバンジェリスト。「バーチャルでなりたい自分になる」をテーマに2017年から美少女アイドルとして活動している自称・世界最古の個人系VTuber。VTuberを始める方法をいち早く公開し、その後のブームに貢献。2020年にはNHKのテレビ番組に出演し、お茶の間に「バ美肉(バーチャル美少女受肉)」の衝撃を届けた。ボイスチェンジャーの利用を公言しているにも関わらずオリジナル曲『ココロコスプレ』で歌手デビュー。作家としても活動し、自筆小説『仮想美少女シンギュラリティ』はAmazon売れ筋ランキング「小説・文芸」部門1位を達成。フランス日刊紙「リベラシオン」・朝日新聞・日本経済新聞など掲載歴多数。VRの未来を届けるHTC公式の初代「VIVEアンバサダー」にも任命されている。