魅力的な技術イベントの作り方【TECH PLAY -Branding Method- 第4章】
10年間で500社以上のエンジニア採用ブランディングを支援してきたTECH PLAYのノウハウを凝縮した「Branding Method」を基に、成功事例と具体策を解説するシリーズの第4弾。こんにちは。TECH PLAYプランナーの坂本です。これまで80本以上のエンジニア向けコンテンツを企画・制作してきた経験を踏まえ、「TECH PLAY -Branding Method-」をもとに、エンジニア採用や採用ブランディング、エンジニア向けのコンテンツ企画に役立つ実践的なノウハウをお届けしています。
このシリーズでは、私がナビゲーターとして、全5回にわたり「TECH PLAY -Branding Method-」を順を追ってご紹介していきます。
第4回となる今回は、競争が激しいエンジニア採用市場で転職潜在層に自然な接点をつくるための「技術イベント」を深掘りします。
企画設計からページづくり、集客・運営、事後施策、そして最新のトレンドまで、現場で明日から活かせる観点を具体的に整理しました。
全編をまとめた資料をダウンロードいただければ、採用ブランディングの全体像をより体系的に理解し、自社施策に活かすことができます。
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この記事で分かること
- 技術イベント成功に効く4ステップ
- テーマ探しに役立つ「5つの軸」
- 成果につながるイベントページ設計のコツ
- 集客・運営・事後施策までの実務ノウハウ
- 最新の技術イベントトレンドと採用への活かし方
こんな方にオススメ
- エンジニア採用で他社との差別化を図りたい人事担当者
- 採用ブランディングを強化したい広報・採用企画担当者
- イベント運営を通じて自社の魅力を発信したいエンジニア
技術イベントの企画設計|成功への4ステップ
イベントは、ノリや勢いだけで準備すると高確率で失敗します。参加者が本当に欲しい情報を提供しつつ、自社の狙いも達成するためには、設計段階からの型化が不可欠です。
1. 技術イベントは「誰に参加してほしいか」で成否が決まる
イベント成功の第一歩は、「どんなエンジニアに参加してほしいか」を明確にすることです。
たとえば「Webアプリエンジニア」と一口に言っても、現場メンバーとマネージャー層では求める学びが大きく異なります。さらに「新規プロダクト開発の経験を積みたいのか」「組織づくりに関心があるのか」といった興味・関心によっても響くテーマは変わります。
ここで有効なのが、「職種 × 職位 × 関心テーマ」の三軸でターゲットを設計する考え方です。

- 職種:サーバーサイドエンジニア、フロントエンドエンジニア、データエンジニア、インフラエンジニアなど
- 職位:メンバー、リーダー、マネージャー、経営層など
- 関心テーマ:技術スキル向上、チーム立ち上げ、開発効率化、先端技術の活用など
この三軸を掛け合わせることで、「どのような人にとって価値のある場にするのか」が具体化されます。
たとえば「サーバーサイドエンジニア × リーダー層 × 開発効率化に関心」というペルソナを想定すると、テーマは「高速開発を支える設計ノウハウ」や「開発チームの効率化事例」といった切り口になります。
つまり、「誰に届けたいか」をここまで具体化することで、イベントの内容は格段に“刺さる”ものに変わるのです。
2. 企画書の作り方|棚卸しからテーマ設定、タイトル案へ
ターゲットが定まったら、次は「企画書」として形に落とし込みます。ここでは、単にイベント概要を書くのではなく、採用ブランディングの観点で必要な要素を整理しチームで共有できる基盤を整えることが大切です。
まずは以下の項目をテキストで棚卸ししてみましょう。
- ターゲット:職種/職位/関心テーマ
- 実施目的:このイベントで解きたい自社課題
- 例:認知度向上、特定職種との接点づくり、カルチャー理解の促進など
- 実施形式:講演、パネルディスカッション、他社とのコラボなど
- ゴール設定:定量と定性を両面で定義
- 定量:集客数、満足度、アンケート回答率 ほか
- 定性:認知・共感・理解の状態定義 ほか
- ペルソナ:代表的な人物像を簡潔に言語化
- ターゲットの興味:知りたい論点・習得したいスキル
- 提供する学び:開示可能な知見・実装ノウハウ・失敗談
これらを踏まえて、設定したイベントテーマや切り口と企画概要の整合を確認しましょう。
ターゲット・目的・提供する学びがテーマに反映されていれば、企画の軸がぶれにくくなります。
整合がとれていると判断できたら、次のステップとしてイベントタイトルのたたき台を作成してみましょう。タイトルはキャッチーさよりも「誰向けか」「何が学べるか」が一目で伝わることが大切です。
最後に、ここまで整理した内容を実際の企画書として形に落とし込んでいきましょう。
企画書は登壇者や関係者との共通言語にもなるため、「目的」「ターゲット」「ゴール」「学びのポイント」を端的にまとめておくことが重要です。
以下に、サンプルとしての企画書フォーマット例を紹介します。
企画書のフォーマット例
- イベント名:『新規プロダクト開発時のスピード開発×安定運用の両立ポイントを考える会』
- 実施目的:来年度に新規プロダクト開発を数本控えているため、今年度内にリードエンジニアを採用する必要がある。人材紹介や広告媒体だけだと母集団形成が厳しいため、技術イベントを通して自社の認知度を上げていきたい。
- 実施形式:自社単独講演
- ゴール:
- 定量:集客数50名、満足度4.3以上(5段階平均)、アンケート回答率30%以上
- 定性:事後アンケートで「XX社が新規プロダクトの開発経験が豊富である」との認知を得ること
- ターゲット:リードエンジニア(バックエンド開発経験3年以上 × リーダー経験あり)
- ペルソナ:組織マネジメントよりも開発の方が好き。新規プロダクト開発に従事しており、スピード感ある開発と安定運用の両立に悩んでいる。
- ターゲットの興味:
- 新規プロダクト開発時の運用を見越した技術選定や仕様検討のポイントを知りたい
- スピード感を持ちながらアジャイル的に改善する際の留意点を把握したい
- 提供する学びポイント:自社の新規プロダクト開発経験を振り返り、運用後のトラブル事例やスピードを上げる工夫などを公開する。
開催形式のバリエーション
目的やターゲットに応じて、開催形式を柔軟に選ぶことも企画段階の大切なポイントです。
- 自社単独イベント
- 外部企業とのコラボイベント
- 講演セッション形式
- パネルディスカッション形式
- LT形式
- 大喜利形式
- ハンズオン
- ライブコーディング
- アイデアソン/ハッカソン など
形式を工夫することで、同じテーマでも参加者体験を大きく変えることができます。
3. 企画書と趣意書の違い|登壇者を動かすための工夫
イベントを設計するうえでよく混同されるのが「企画書」と「趣意書」です。どちらも必要ですが、役割が異なります。
- 企画書:イベント施策の共通認識をとるための資料。人事・広報・経営層など社内関係者と「なぜやるのか」「どんな成果を目指すのか」を揃えるために使います。
- 趣意書:登壇依頼の際に使う資料。開発メンバーやゲストに「なぜ自分に声がかかっているのか」を理解してもらい、安心して協力してもらうためのものです。
そのため、企画書に記載している内容だけでは不十分です。
趣意書では、登壇者の立場に立ち、依頼に必要な情報を明確にすることが大切です。
趣意書に盛り込むべき内容の例
- 登壇のご依頼背景
- 例:来年度に予定している新規プロダクト開発に向け、リードエンジニア採用を強化しています。今回のイベントでは、現場でのリアルな経験を共有いただき、候補者に自社の魅力を伝えたいと考えています。
- イベントの目的
- 例:候補者に「新規開発に挑戦できる環境がある」と理解してもらい、採用母集団の形成につなげる。
- 依頼したいこと
- 例:ご自身の経験をもとに「高速開発と安定運用の両立」というテーマで30分の講演。
- イベントターゲット
- 例:リードエンジニア(バックエンド経験3年以上 × リーダー経験あり)
- イベント日時
- 例:yyyy/mm/dd 19:00〜20:00
- 開催方法(オンライン/オフライン/ハイブリッド)
- 例:オンライン(YouTube Live、Zoomウェビナーなど)
- イベントタイトル
- 例:『新規プロダクト開発時のスピード開発×安定運用の両立ポイント』
- イベント概要
- 例:新規プロダクト開発で直面するスピード感と安定性の両立について、実務経験から得られた知見を共有いただきます。参加者は「具体的な設計の工夫」や「チーム運営のポイント」を学ぶことができます。
- タイムスケジュール
- 例:
- 19:00〜19:05 オープニング
- 19:05〜19:35 ご講演
- 19:35〜19:55 質疑応答
- 19:55〜20:00 クロージング
- 例:
- イベント当日までのタスク
- 例:
- yyyy/mm/dd 投影資料の提出(資料の事前レビューを実施します)
- yyyy/mm/dd 事前リハーサル実施
- 例:
- 当日の集合時間と拘束時間
- 例:yyyy/mm/dd 18:30集合、20:15解散予定。
- その他留意事項
- 例:講演資料は社外公開前提。参加者からの質問はSlidoやQ&A機能で受け付けます。
さらに、趣意書を展開したあとは登壇者との打ち合わせが重要です。
この場で特に大切なのは、採用説明会ではなく「参加者に学びや気づきをシェアする技術イベント」として登壇者と共通認識を持つことです。
また、打ち合わせのゴールは登壇者自身が具体的な登壇イメージを持てるようになること。このイメージを共有できれば、準備や発表の質は大きく高まります。
そのために、登壇者が持つ経験やノウハウをどう活かすかを丁寧にすり合わせていきます。具体的には次のようなステップがあります。
- 採用イベントではなく、技術イベントであることを明確に伝える
- 登壇者の経験やノウハウを発信し、参加者に学びや気づきを提供する場にすることを共有する
- 登壇ネタになりそうな経験や事例をヒアリングし、壁打ちしながらターゲットが関心を持つ切り口を探る
- 打ち合わせのゴールは「登壇者自身が登壇イメージを持てること」
- 過去の似たイベントや他社の成功事例を共有し、目線合わせを行う
こうしたプロセスを踏むことで、登壇者が「ただ話す」ではなく「参加者に価値を届ける」意識を持てるようになり、イベント全体の完成度も高まります。
4. 資料作成で意識すべき3つの成功ポイント
最後のステップは、登壇内容を資料に落とし込む段階です。ここでの工夫次第で、参加者にとっての理解度や満足度が大きく変わります。特に意識したいのは次の3点です。

- ストーリーテリング
- スライドを単なる情報の羅列にせず、起承転結の流れを意識して構成します。参加者が自然と引き込まれ、学びを整理しやすくなります。
- 透明性
- 成功事例だけでなく、失敗談や試行錯誤のプロセスも率直に盛り込みましょう。リアルな体験があることで、参加者の共感と信頼を得やすくなります。
- 学びのGive
- 自社アピールを前面に出すのではなく、参加者が「明日から活かせる」知見やノウハウを優先して提供することが大切です。
この3つを意識した資料は、参加者にとって実務に直結する価値を持ち、イベント後の「また参加したい」という意欲にもつながります。
テーマ設計のコア|「人・技術・環境/待遇・組織・事業」の5軸
イベントの集客や満足度を大きく左右するのは「テーマ設定」です。
漠然とした題材では人は集まらず、内容が薄ければ参加者の満足度も下がります。
そんなときに役立つのが、私たちが実際に使っている5つの切り口です。

【人】CTOや著名エンジニアの発信は最強の集客フック
外部への影響力を持つCTOや著名エンジニアが在籍しているなら、その存在自体が強力な集客フックになります。
もし社内に該当人材がいなければ、ゲスト登壇をオファーするのも有効です。
また、自己研鑽の取り組みや「AI時代のエンジニア生存戦略」といったテーマは幅広い層の共感を呼びやすい切り口です。
「外に出していきたい社員」を戦略的に登壇させ、セルフブランディングを後押しするのも採用ブランディングの一環になります。
【技術】技術選定や実装プロセスは鉄板テーマ
アーキテクチャ設計、技術選定、実装プロセス、本番運用後の改善などの具体的な話は、「明日から使える学び」として強い関心を集めます。
多くのエンジニアが自分の現場で直面するケースと重ねやすく、壁にぶつかったときの乗り越え方を知りたいというニーズに直結しているからです。
【環境や待遇】働く環境を見せることでリアルな魅力を伝える
評価制度、リモート勤務、開発スペック、研修制度など、働く環境そのものをテーマにすると、参加者は「自分の働き方と合うか」を具体的にイメージできます。
とくに日常的に直面する働き方のリアルは共感を呼びやすく、候補者の参加動機にも直結します。
【組織】体制やカルチャーを共有して共感を醸成する
意思決定プロセスやチーム体制、社内ハッカソンなどの文化をテーマにすると、「ここで働いたらどうなるか」を具体的に想像してもらえます。
単なる制度説明ではなく、日常のカルチャーや開発における思想やスタンスが伝わると、強い共感を得やすい切り口です。
【事業】ミッションや挑戦を語り共感を引き出す
「なぜこのサービスをつくっているのか」「どんな社会的インパクトを目指しているのか」を語るテーマは、事業そのものへの共感を生みやすい切り口です。
技術的な挑戦と組み合わせることで説得力が増し、採用ブランディングにも直結します。
この5軸を使えば、「何をテーマにすべきか迷う」状態を避けられます。社内の小さな工夫や課題意識が、候補者にとっては大きな共感ポイントになります。テーマ選定の視点を持つこと自体が、採用ブランディングを強化する第一歩です。
実践的なテーマの探し方
テーマは意外と身近なところに隠れています。以下の観点をチェックすると、低工数でも実施可能なテーマが見つけやすくなります。
- 過去の技術記事から探す
- エンジニア向けの社内研修資料から探す
- 社員に登壇ネタを呼びかける
- エンジニアのSlackや社内コミュニケーションツールをチェックする
- 戦略資料を確認し、直近の開発テーマから検討する
- TECH PLAYやconnpassで人気のイベントを参考にする
- XやGoogleトレンドで注目を集めている記事を探す
- 人気書籍から着想を得る
- ターゲットに合わせてゼロから検討する
こうした観点を意識することで、「テーマが見つからない」という状況を避けられ、参加者に刺さる題材を効率的に設計できます。
イベントページ設計|参加意欲を高める“見せ方”の鉄則
イベントテーマや開催概要、登壇者が決まったら、いよいよ集客準備に取りかかります。ここで重要なのは「どう見せるか」。イベントページは候補者にとって最初に触れる窓口です。ここで「自分に関係がある」と思わせられるかどうかが、集客を大きく左右します。
タイトル作成|“学び”と“悩み”に直結する言葉を使う
タイトルはキャッチーさよりも具体性が重要です。「対象者」「技術」「学び」が伝わることに加えて、エンジニアが日々直面しているシーンを言葉にするのが効果的です。
たとえば「レガシー環境のリプレイス」「本番運用の制約をどう乗り越えるか」「マイクロサービス化の設計判断」といったリアルな場面を盛り込むと、自分ごと化しやすくなります。
抽象的なコピーではなく、「〇〇の裏側」「△△の実践知」のように話す中身を想起させる構造にすると、参加意欲が高まりやすくなります。
概要文|背景→内容→学び→対象者の流れで共感をつくる
概要文は、参加者が「このイベントは自分のためだ」と思ってもらえるかどうかが勝負です。以下の流れで整理すると読み手に届きやすくなります。加えて、ストーリーテリングを意識し、親しみやすい言葉で書くことで申込みハードルを下げられます。
- 背景:なぜ今このテーマなのか?
- 業界の変化やエンジニアが直面している課題に寄せることで、参加者が「自分も同じだ」と共感しやすくなります。
- 内容:このイベントでは何を語るのか?
- セッションで扱うテーマを端的に示し、抽象的な言葉ではなく「アーキテクチャ設計のリアル」「生成AI活用の実装ノウハウ」など、具体的にイメージできる表現を心がけます。
- 学び:参加するとどんな気づきが得られるのか?
- 「明日から試せるヒントが得られる」「壁に直面したときの乗り越え方が見える」など、エンジニアの技術的好奇心やキャリア意欲を刺激する一文を入れると効果的です。
- 対象者:どんな人に来てほしいのか?
- 職種やスキルなどのハードスペックだけでなく、「まさに同じ課題に直面している方」といった状況や「技術に興味がある方」といった志向性も記載すると、参加者が自分ごと化しやすくなります。
タイムスケジュール|プログラムで参加イメージを具体化
タイムスケジュール欄は、単に時間を並べるだけではもったいない部分です。ここは参加者に「時間を確保してでも聞きたい」と思わせる、強力なフックになります。
- セッションタイトル:発表内容を端的にまとめつつ、キャッチーさを意識しましょう。
- 例:「高速開発を支える設計ノウハウ」や「生成AIを活用した開発効率化の裏側」など、具体的でイメージしやすい表現が効果的です。
- 詳細欄:セッションの中で取り上げるトピックスを、できる限り具体的に記載しましょう。
- 例:「実際の障害対応事例」「運用を見据えたアーキテクチャ選定のポイント」「チーム効率を改善した工夫」など。
こうした工夫を加えることで、タイムスケジュールは単なる時間割から「参加者の期待感を高めるコンテンツ紹介」に進化します。
イベントバナー|ビジュアルで印象に残す
イベントバナーは視覚的に印象が残りやすく、クリック率向上に効果的です。
- 可読性と視認性
- イベントタイトルやイベント実施日程などの情報は、ユーザーが申込みの決め手となる重要要素のひとつです。見やすい・読みやすい・分かりやすいを意識しましょう。
- ロゴの掲載
- 企業ロゴやブランドロゴなどを掲載することで、イベントの信頼性が向上し、申込率向上に繋がります。
- パッと目を惹くビジュアル
- ユーザーが思わずクリックしたくなるような、視覚的な印象に作用するビジュアルに仕立てましょう。
タグ設定|TECH PLAYの検索性を活かすキーワード選び
TECH PLAYでは通常のキーワード検索に加えて、タグ検索でイベントを探すことができます。
タグは最大3つまで設定可能で、検索性や関連イベント表示に直結する重要な要素です。テーマや対象を的確に表すタグを選ぶことで、参加者がイベントを見つけやすくなり、集客効果を高められます。
実際にTECH PLAYでグループを作成したり、イベントページを公開したい方は、「TECH PLAY でグループを作ってイベントをはじめよう」を参考にしてください。
申込アンケート|期待を把握し満足度に直結させる
申込時にアンケートを設けることで、参加者が「このイベントで何を得たいのか」を事前に把握できます。進行に反映すれば当日の満足度向上に直結し、事後の改善材料としても役立ちます。
アンケート設計の具体的な考え方や設問例は、第5章で詳しく解説します。ここでは「期待を把握し、次の企画や改善につなげるために必須の仕組み」と捉えておけば十分です。
関連記事:[技術イベントの振り返りと改善【TECH PLAY -Branding Method- 第5章】]
ページづくりは「告知」ではなく「設計」です。ターゲットに合わせて、タイトル・概要・タグ・登壇情報・アンケートを戦略的に組み立てることで、イベントの成果は大きく変わります。
集客・運営・事後施策|成果を最大化する実務ポイント
良い企画やページができても、集客と運営、そして事後施策が伴わなければ成果は出ません。ここからは、私たちが現場で実践しているノウハウを紹介します。
集客戦略|25日以上の期間と施策設計で母集団を形成
集客は「日数」「推移の傾向」「チャネル活用」「改善サイクル」の4点を押さえることが重要です。

- 集客日数を考慮する
- 集客期間はできる限り 25日以上 設けましょう。20日未満だと十分な集客が難しく、期間中のリカバリーも困難になります
- 集客推移の傾向を押さえる
- 申込は 初日〜2日目にピーク を迎え、3日目以降は鈍化する傾向があります。施策は集客中盤に仕掛けると効果的です。
- 集客チャネルを多角的に活用する
- イベントプラットフォームでの周知に加え、SNS投稿、広告、プレスリリースなどを組み合わせることで集客数を最大化できます。規模や予算に応じて選択しましょう。
- 集客開始後はデータを見て改善する
- 申込数の推移をウォッチし、伸び悩んだ場合はページをテコ入れします。
- PVが少ない場合
- タイトルやバナーを改善(簡潔・魅力的・具体性/可読性・ロゴ・目を惹くビジュアル)
- CVが少ない or CVRが低い場合
- 概要文や登壇情報を改善(目的明確/対象意識/具体的内容/魅力訴求、キャッチーで具体的なタイトル)
当日運営|成功のカギは事前準備にあり
イベント当日を円滑に進めるための最大のポイントは、直前に慌てないように事前準備を徹底することです。運営資料や登壇資料を整理し、体制を固めておくだけで、当日の満足度は大きく変わります。

- イベント運営資料/台本の作成
- 定型フォーマットを活用し、進行の流れを可視化しておきましょう。
- 登壇資料の事前レビュー
- レビュー項目やチェックプロセスをあらかじめ整理して決めておくことで、登壇内容のクオリティを安定させられます。
- イベント運営体制の検討
- 司会・タイムキーパー・サポートメンバーの体制を事前に設計しておくと、トラブル発生時にもスムーズに対応できます。
- 盛り上げの工夫
- アイスブレイクを設けたり、チャット・投票機能を活用したりして双方向性を作ると、参加者のエンゲージメントが高まります。
事後施策|イベントを“次につながる資産”に変える
イベントは開催して終わりではなく、振り返りと改善サイクルまで設計してこそ資産になります。事後施策で得られたデータや反応を次回企画に活かしましょう。
- 事後アンケートの回収と分析
- イベント中や終了直後に案内を送り、翌日にリマインドすることで回答率が高まります。「満足度」「印象に残った学び」「改善点」を必ず聞くようにしましょう。
- 申込者/参加者データの整理
- 申込数・参加数・参加率などの定量データを整理すると、集客施策の効果検証ができます。
- 登壇者・運営チームとの振り返り
- 登壇者のフィードバックや、運営体制の改善点を短時間でも共有することで、次回の質が上がります。
- ナーチャリング施策につなげる
- イベント参加者に関連コンテンツや次回イベントを案内することで、継続的な関係構築につながります。
アンケート設計や振り返り改善の具体的な方法については、第5章で詳しく解説します。
関連記事:[技術イベントの振り返りと改善【TECH PLAY -Branding Method- 第5章】]
集客・運営・事後施策をひとつの流れとして設計することで、単発イベントを「次につながる資産」に変えることができます。採用ブランディングの武器としてイベントを活かすには、このサイクルを繰り返すことが欠かせません。
最新トレンド|2024-2025年 技術イベントテーマランキング
ここで、最新のイベントテーマのトレンドを押さえておきましょう。候補者が「いま」関心を持っているテーマを理解することは、イベント設計の成否を左右します。
調査概要
本ランキングは、パーソルイノベーション株式会社が運営する『TECH PLAY』上で、2024年4月から2025年3月までに公開された約1万件のイベントデータを対象としたものです。申込者の職種データを基に、Webアプリエンジニア、デザイナー、PdM/PMMごとに注目度の高かったテーマを分析しています
《出典》IT・DX人材育成支援サービス『TECH PLAY』、 イベントテーマのトレンド調査で「Web業界編」を初実施

総合ランキング
1位:データ分析(昨年1位)
2位:DX(新規)
3位:生成AI(昨年30位→急上昇)
4位:UX(昨年19位→上昇)
特に注目すべきは「生成AI」。昨年30位から一気に3位へとランクインし、業界全体での注目度が急速に高まっています。
一方で、データ分析やDXといったテーマは引き続き上位を維持し、継続的な重要性が確認できます。
職種別ランキング
Webアプリエンジニア:生成AIが1位(昨年25位→1位)
デザイナー:UXが1位、CXが3位に急浮上、生成AIも4位
PdM/PMM:データ分析が不動の1位、生成AIが4位に上昇
調査結果が示すのは、「生成AI」がすべての職種で急速に注目されている一方で、データ分析・DX・UX/CXといったテーマは依然として強いニーズがあるという事実です。
全社的なビッグトレンドと職種固有の関心事を両立させることこそ、イベント企画の鍵と言えるでしょう。
まとめ

ここまで見てきたように、技術イベントは単なる採用施策ではなく、エンジニアと企業が自然に出会い、学び合う場です。だからこそ大切なのは、イベントを“自社の宣伝の場”として終わらせず、「参加してよかった」と思える体験をどう設計するかです。
さらに、最新調査の結果からもわかるように、「生成AI」という全社的なトレンドと、職種ごとに根強い関心があるテーマを組み合わせることが重要です。あなたのチームが次に企画するイベントは、どんなテーマから始めますか?
より詳細を知りたい方へ
本記事では「TECH PLAY -Branding Method-」第4章の内容を中心に解説しました。
全編をまとめた資料をダウンロードいただければ、採用ブランディングの全体像をより体系的に理解し、自社施策に活かすことができます。
[▶「TECH PLAY -Branding Method-」全編資料をダウンロードする]
次回は「第5章:技術イベントの振り返りと改善」を解説します。
執筆者

坂本 奈穂
パーソルイノベーション株式会社
TECH PLAY BRANDING
2016年にパーソルキャリア(旧 インテリジェンス)に新卒入社し、約4年間IT・インターネット業界への採用支援を担当。その後、エンジニア領域の転職支援に従事。2022年よりエンジニア向け採用ブランディングのプランナーとして『TECH PLAY』に参画。これまで80本以上のイベントや動画・対談を企画。自動車業界をはじめメーカー・小売・IT・Web・スタートアップなど、様々な業界で企業の採用ブランディングを支援。













