学び続けられるグローバルなIT現場ーNomura ITで描くキャリアと成長
グローバルで活躍したい——そう願うエンジニアは多い。一方で、英語力や海外経験への不安から、最初の一歩を踏み出せずにいる人も少なくないだろう。野村證券のITインフラストラクチャー部でグローバルな開発チームを率いる別所史浩氏も、日本生まれ・日本育ちで、留学経験はなかった。就職活動時には英語の自己紹介を丸暗記して面接に臨んだが、後に面接官から「何を言っているのかわからなかった」と告げられたという。それでも現在は、日本・インド・アメリカにまたがる多国籍チームを率いている。本記事では、別所氏がどのようにグローバルな環境でキャリアを築き、学び続けてきたのか、その実践的なアプローチを紹介する。グローバルで活躍したい——そう願うエンジニアは多い。一方で、英語力や海外経験への不安から、最初の一歩を踏み出せずにいる人も少なくないだろう。野村證券のITインフラストラクチャー部でグローバルな開発チームを率いる別所史浩氏も、日本生まれ・日本育ちで、留学経験はなかった。就職活動時には英語の自己紹介を丸暗記して面接に臨んだが、後に面接官から「何を言っているのかわからなかった」と告げられたという。それでも現在は、日本・インド・アメリカにまたがる多国籍チームを率いている。本記事では、別所氏がどのようにグローバルな環境でキャリアを築き、学び続けてきたのか、その実践的なアプローチを紹介する。
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野村證券株式会社
ITインフラストラクチャー部
Group Data Technology兼Japan Data CoE
Vice President
別所 史浩(べっしょ ふみひろ)氏
面接で何を言っているかわからなかったが採用された理由
別所氏は2012年に大学院を卒業後、外資系証券会社に新卒入社した。英語での面接に臨むにあたり、1分半の自己紹介を一言一句すべて暗記し、オランダ人に添削してもらって完璧に仕上げた。手応えを感じて入社したが、1年後の飲み会で衝撃の事実を知る。面接官から「お前、面接で何言ってるかわからなかったけど、いい人そうだから採用した」と告げられたのだ。
この経験を通じて別所氏が伝えたいのは、完璧な準備が整うのを待つよりも、まず一歩踏み出して挑戦することの大切さだ。英語の流暢さは出発点ではなく、実践の中で少しずつ磨かれていく。
2014年に野村證券へ転職した別所氏は、リスク計測システムの開発に従事した。デリバティブ(金融派生商品)のプライシングをモンテカルロ法で行うシステムだったが、もともとの専門は機械学習と自然言語処理。金融の専門知識はまだ十分ではなかった。チーム唯一の日本人として、ロンドンに本拠地を置くチームのサテライトメンバーとして働くことになった。
キャッチアップは泥臭いものだった。午前中のミーティングでわからなかった金融用語を、昼休みに必死に調べ、午後の議論には何とか食らいつく。そうした積み重ねを日々続けていった。英語についても、毎朝オンライン英会話やシャドーイングを欠かさなかった。

転機は英語を使い始めて3年後に訪れた。突然、頭の中で日本語から英語に変換するプロセスがなくなり、言いたいことがそのまま英語で出てくるようになった。別所氏は「ティッピングポイント」と表現する。その瞬間がいつ訪れるかは人それぞれだが、日々の実践を積み重ねていくことで、ある時ふと「英語が自分の言葉として出てくる」感覚に近づいていく。だからこそ、地道に続けることが重要だという。
信頼を築くために、まず一つの強みを作る
グローバル環境で活躍するために別所氏が重視するのは、英語力よりも「専門性と信頼」だ。
チーム唯一の日本人だった別所氏に、上司は一つのモジュールを任せてくれた。VBAで書かれたコードをPythonに書き換えるオーバーホールだ。その領域については誰よりも詳しくなることで、「ここがわからなければ別所に聞く」という状況が生まれた。これが信頼につながり、コミュニケーションも自然と増えていった。
この経験を踏まえ、別所氏はグローバルで活躍する日本人に共通する3つの要素を挙げる。
1つ目は「プロフェッショナルとしての遂行力」だ。時差やステークホルダーの文化的背景の違いがある中で、責任を持って着実に成果につなげる力が求められる。
2つ目は「インフルエンス力」だ。その土台となるのは専門性だという。例えばAWSなら誰にも負けないという領域を持つことで、周囲から頼られる求心力が生まれる。
3つ目は「日本人ならではの強み」だ。文章をしっかり残す、細部にこだわるといった傾向は、グローバル環境でも評価される。相手に合わせるだけでなく、自分の文化的背景から来る強みを意識することが大切だという。

MBAを取得することと、実際に成果を出すことは別だという気づき
別所氏は社内制度を活用してペンシルベニア大学でMBAを取得した。しかし帰国後に痛感したのは、肩書や英語力だけで成果につながるわけではないという現実だった。MBAを保持していることは、実際にビジネスで成果を出すこととは別物だ。
最終的に重要なのは、自分の強みを理解することだと別所氏は語る。自身の強みとして挙げたのは、詳細へのこだわり、知的好奇心、ストーリーを持って語る力の3つだ。グローバル環境に限らず、自分の強みを常に意識し続けることがキャリア形成において重要だという。
現在、別所氏は日本、インド、アメリカにまたがる約20名のグローバルチームでデータ基盤を担当している。13〜14時間の時差をマネジメントしながら、常時20ほどのプロジェクトを回している。

挑戦し続ける姿勢がグローバルキャリアを拓く
別所氏の経験が示すのは、グローバルキャリアは個人の資質だけで切り拓かれるものではなく、挑戦を後押しする環境と、そこで学び続ける本人の努力の両方によって育まれていくということだ。Nomura ITには、国や地域をまたいで協働できる機会や、専門性を磨ける土台がある。その上で、一つの専門性を武器に信頼を築き、英語や業務知識を泥臭くキャッチアップし続ける姿勢が、キャリアの幅を着実に広げていく。面接で英語に自信がなかった新卒が、今ではグローバルチームを率いている。その歩みが示しているのは、最初から完璧である必要はないということだ。comfort zoneから一歩踏み出し、学び続ける人にこそ、成長の機会は開かれていく。
Q&Aセッション
Q. 海外メンバーと仕事をする中で、チームとして一つになれたと思えた瞬間はどんな時ですか?
別所:一つはマイルストーンですね。大きな仕事を一緒に成し遂げた時に、地域に関わりなく一体感を感じられます。ただ、それ以上に障害発生時ですね。時差も関係なく、本気で喧々諤々話し合って一緒に解決した経験が、ワンチームとしての絆を深めてくれました。
Q. 英語の効率的・効果的な学習方法があれば教えてください。
別所:一つの答えはありませんが、絶対におすすめしているのは「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」という青い本です。中学レベルの文法をちゃんと言えるようになることがすごく大事です。また、好きな海外ドラマを1つ持つと楽しみながら学べます。お酒を飲んで文法を気にせず喋る練習も効果的でした。ミーティング中に出てきた言い回しで使えそうだなというフレーズはノートの最後に言い回しのページを作って、フレーズを増やしていきました。最近ChatGPTでスクリプトを書いて英語を喋る人がいますが、実際に海外で自分の言葉で喋れなくなる可能性があるので、使いすぎには注意が必要です。
Q. オンラインでのコミュニケーションでも相手との相互理解を進められるコツがあれば教えてください。
別所:仕事の話だけしていても相互理解はできないので、いかに仕事以外の話ができるかが重要です。自分がどういう人なのかを等身大に出したり、雑談をおろそかにしないことが大事だと思っています。
Q. 今後のキャリアパスのお考えがあれば教えてください。
別所:悩める30代後半ですが、直近はグローバルでのリードという役割を与えられているので、データ分野を突き詰めることに注力しています。チームを持つようになると、後輩にどうパスを作っていくかという視点も出てくるので、そういうことも考えながら日々過ごしています。
Q. 27歳のエンジニアです。夢や目標が決まらないのですが、現時点でやっておくべきことはありますか?
別所:原健一郎さんの「20〜30代前半でキャリアを考える時のフレームワーク」という記事と、森岡毅さんの「苦しかったときの話をしようか:ビジネスマンの父が我が子のために書きためた『働くことの本質』」という本をおすすめします。私自身は、π型人材として強みを2つ以上持つこと、誰と働きたいかで会社を選ぶこと、好きなことを見つけることを意識してきました。
Q. 海外の皆さんと一緒に仕事をする上で、仕事のスタンスで変えたことで上手くいったことはありますか?
別所:逆説的ですが、変えないことは「自分自身でいること」です。また、リスペクトを忘れないことが重要です。文化的背景や様々な事情がある中で、常にプロフェッショナルな姿勢とリスペクトを持ち続けることで、信頼関係が築けました。
Q. 海外から見た日本の仕事の進め方や文化はどう映っているのでしょうか?強みと弱みも教えてください。
別所:いま実際にインドとイギリスのメンバーにチャットして聞いてみました。「とても敬意を持っていて礼儀正しい」「すごく直接的な場面もあり、言ったことをちゃんとコミットしてやりきる」という回答でした。また「もっとコミュニケーションを取ってお互いを知りたい」という率直な意見もありました。
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