【開催レポート】「"まちGrowth Hack!"アイデアソン2026」~データと発想で、仙台市内商店街の実店舗の課題を解き明かす1日~
「来訪者が減少傾向」など、駅前エリアの商店街が抱える課題解決に取り組むため、仙台市では2026年9月28日にクリスロード商店街およびそこに実在する店舗を盛り上げるアイデアを立案する「"まちGrowth Hack!"アイデアソン2026」を開催しました。クリスロード商店街およびそこに実在する店舗を盛り上げるため、どんな発想が出てきたのか。当日の様子をレポートします。「来訪者が減少傾向」など、駅前エリアの商店街が抱える課題解決に取り組むため、仙台市では2026年9月28日にクリスロード商店街およびそこに実在する店舗を盛り上げるアイデアを立案する「"まちGrowth Hack!"アイデアソン2026」を開催しました。クリスロード商店街およびそこに実在する店舗を盛り上げるため、どんな発想が出てきたのか。当日の様子をレポートします。
仙台駅前エリアの商店街を盛り上げよう

少子高齢化や人口減少など、日本が直面する社会課題に先進的に向き合う仙台市ではこれらの社会課題をITやデジタル技術で解決するため、様々な取り組みを行っています。TECHPLAYが共催している首都圏IT人材向けのUIJターン推進プログラム「TechDriveSendai2026」もその一つです。
同プログラムは「知る(オンラインイベント)」「考える(東京開催アイデアソン)」「体験する(仙台現地バスツアー)」「実践・検証する(地域共創型実証プログラム)」の4つのステップで構成。8月29日に東京都中央区で開催されたのが、考えるステップの「"まちGrowth Hack!"アイデアソン2026」です。今回のアイデアソンテーマは「データと発想で、仙台市内商店街の実店舗の課題を解き明かす1日」です。
仙台駅前エリアにある商店街を盛り上げるためのアイデアを提案するため、集まったのは20代から60代までの幅広い年齢層のIT領域に関わる参加者。多様な職種・バックグラウンドを持つ24人が、AチームからHチームの7チーム(※Dチームを除く)に分かれ、技術や企画の知見を生かし、地域の店舗・商店街の活性化を後押しするアイデアを創出すべくワークショップに取り組みました。
また、このアイデアソンでは、地域企業枠として仙台市に拠点を置く匠ソリューションズ株式会社の社員もチームに参加し、共に知恵を出し合いました。
今回のアイデアソンの審査員を務めたのは、クリスロード商店街振興組合専務理事の岩本富貴氏と仙台市のIT企業、株式会社GROWTH JAPAN TECHNOLOGIES代表取締役の我妻裕太氏。
またクリスロード商店街からもこのアイデアソンを盛り上げるため、複数人が参加。審査員の岩本氏、我妻氏をはじめ、商店街の人たちもグループディスカッション中に各テーブルを回り、参加者の質問に答えるなど、アイデア創出を支援しました。
仙台市中心部商店街が抱える課題とは
オープニングセッションで挨拶を務めたのは、仙台市経済局イノベーション企画課成長産業係長の菊地氏。参加者への感謝を述べた後、「この取り組みを通じて、仙台でITスキルを活用した働き方を想起する機会になればと願っています。また今年度はアイデア実証に生かすプログラムも予定していますので、引き続き、仙台への関心を持っていただければ幸いです」と参加者への期待を語りました。
仙台市中心部商店街の課題は、駅前の開発に伴い、駅前と6つのアーケード商店街が密集する中心部の人流が逆転してしまったこと。そこで菊地氏は「商店街のある中心部への人流を取り戻したい」という考えを述べました。
続いて岩本氏がクリスロード商店街の現状について説明しました。クリスロード商店街は全長285メートルのアーケード型商店街。「東北地方で最も人通りが多く、地域の商業の中心として長い歴史もあります」と岩本氏は話します。
クリスロード商店街の現状の課題は、通行量の減少だけではありません。ナショナルチェーン店が増え地域に根差した店舗が減少していること、街を引っ張る後継者不足という課題もあると言います。
「商店街が魅力的な場所であり続けるためには、自然と人が集まり、売上が見込める街作りをすることです。そしてそのためにも、それを実行していく人材の確保・育成が欠かせません。ぜひ、クリスロード商店街、および仙台市内の商店街の新たな可能性を引き出すアイデアをいただきたいと思います」と岩本氏は参加者に商店街が抱える課題を提起しました。
クリスロード商店街の個別店舗が抱える課題をインプット
クリスロード商店街でそば店「丸よし」を営む大友優氏は、丸よしの現状を紹介しました。
丸よしは創業120年の老舗そば店。「平日は地元で働く会社員で賑わっていますが、休日の来店客数が少ないことが課題」と大友氏。
「今回、皆さんと考えたいのは、昔ながらの個人店でも無理なく続けられるデジタル活用施策です。商店街の2階にある立地の悪さでも、新しいお客さまに見つけてもらう方法、日曜日の集客を改善していく方法、蓄積したデータを販売や経営改善に繋げていく方法などに関するアイデアをいただければと思います」と大友氏は参加者に呼びかけました。
続いて、同じくクリスロード商店街の蒲鉾店「阿部蒲鉾店」の現状を、同蒲鉾店の國分氏が紹介しました。阿部蒲鉾店は1935年創業、「笹かまぼこ」の名付け親でもあり、最近は「ひょうたん揚げ」が「仙台食べ歩きグルメ」として取り上げられるなど、老若男女が訪れる人気の蒲鉾店です。
その一方で、コロナ禍以降、笹かまぼこの手焼き体験ができる場所を使えていない状況だと言います。「手焼き体験ができる空間をうまく使えるアイデアをぜひ、考えていただきたいと思います」と國分氏は参加者に協力を仰ぎました。
「仙台市Growth Hack オー!」の掛け声の下、アイデアソンスタート
今回のアイデアソンで、参加者は商店街の人流データと個店の購買データが一気通貫で把握できる「まちテックBI」、クリスロード商店街の人流データツール「PASSER-CLAUDE」、「仙台ダッシュボード」、「仙台市オープンデータカタログページ」、「せんだいくらしのまっぷ」、丸よし、阿部蒲鉾店の店舗情報などのツールを自由に使用しました。
それに加えて、クリスロード商店街の岩本氏、丸よしの大友氏、阿部蒲鉾店の國分氏に各15分間、直接ヒアリングする時間も用意。各チーム1回はヒアリングタイムを設けることも条件として提示されました。
12時45分、「仙台市Growth Hack オー!」と場を盛り上げる掛け声の下、アイデアソンがスタート。

まず各チームが取り組んだのが、クリスロード商店街に長くいたくなるための、アイデア出しです。様々なツールを使ってデータ分析を行い、その結果を基に考えや意見を出し合うことに加え、クリスロード商店街の岩本氏や丸よしの大友氏、阿部蒲鉾店の國分氏には、直接ヒアリングを実施し、課題の深掘りに努めていました。仙台市の担当やクリスロード商店街の方々も各チームのアイデア出しを支援すべく、質問に答えたり、アドバイスを送っていました。
長時間のグループワークでも集中が途切れないよう、机の上には阿部蒲鉾店の笹かまぼこをはじめとした仙台の銘菓が配布され、参加者は適宜、それらを口にして気分転換を図りながら、アイデアの創出に熱心に取り組んでいました。
プレゼンテーションタイムが始まる10分前頃から、各チーム、決められたフォーマットに発表内容をまとめる作業に。参加者の皆さんは、より良いプレゼンテーションができるよう、ギリギリまで時間を使って発表準備を行っていました。
各チーム熱のこもったプレゼンタイム
グループワークが終了し、15時20分よりプレゼンテーションタイムへ。各チームのプレゼンテーションに使える時間は審査員からの質疑応答を含めて4分。短い時間ながら、各チーム、熱のこもったプレゼンが行われました。
Bチーム:「朝・夕をつなぐ『阿部蒲鉾店×丸よし』。
「そば教室&かまぼこ朝食・ペット向けかまぼこ」という新サービス・新商品の提供を開始するという施策です。そば教室で訪日客の滞在時間を延ばし、ペット向けかまぼこの提供で、新たな地元客を獲得することで、「現行営業時間の外側に来店機会を作れていない」という課題を解決します。
Eチーム:「まちなかトライアウト」
「出店したい人」「来街者」「仙台中心部の商店街」をつなぐ共通プラットフォームを構築し、若者が楽しめるようなポップアップショップを期間限定で開き、支持されたショップを常設テナントに育てていくという施策です。仙台中心部で店舗を構えてみたい人にとってはハードル低く試せるチャンスとなり、商店街にとっても空き店舗により、活性化が期待できます。
Gチーム:「若い人が集まるよりみちOS|3タップで生まれる、もう1軒」
クリスロード商店街で用事を済ませ、次の予定まで10~30分ある来街者に向け、3タップで次に寄り道すべき1軒を案内するWebアプリです。次の1軒をおすすめするだけで終わらず、行動まで測定・評価してより状況に合う寄り道を提案することで、滞在時間の向上を図ります。
Hチーム:「無罪」
食べ歩きをしたいが、太るのは嫌な方に向け「罪の意識を感じさせない食べ歩き」企画です。クリスロード商店街で健康的なアクションをするとスタンプが溜まり、かつ実際のアクションにつながる商品券がもらえるため、集客の向上が期待できます。またこれまで取得できていなかった店舗間の実所要時間・実回遊数などのデータの取得ができるという効果も得られます。
Aチーム:「まちのショーケース」
商店街の人が多く通行する場所に、例えば平日朝から昼までは地元客向けにお弁当、土日は観光客向け商品を販売するなど、時間限定で商店街に地場のお店のショーケースを作るという施策です。顧客への地場のお店の認知向上が期待できるほか、POSやLINE会員登録機能を持つ顧客基盤を構築すれば、商店街側は実行した企画の効果測定が可能になるため、新たな企画の立案にも役立てることができます。

Cチーム:「やってみっちゃ」
お客さまが「自分だけのオリジナルレシピ」を作れるアプリを用意し、そのレシピを実際の店舗で食べられる・作れるという、子どもや家族を巻き込んでいく参加型の施策です。子どもに楽しい体験・思いをさせることで、商店街のファンになってもらうことで、来訪機会を促します。また商店にとっても週末のファミリー層の集客や体験施設の利用促進だけでなく、顧客データに基づいた新商品開発につなげることができます。
Fチーム:「商店街の今!を見るサイネージシステム」
商店街の入り口付近、または中央付近にサイネージを設置し、その前を通る人に最適な店舗の情報を発信するという施策です。サイネージには飲食店の混雑情報や旬の取り組みが表示されるため、来訪者にとっては新たに店舗を発見できる機会が得られ、店舗にとっては新規顧客の獲得が期待できます
優勝チームの発表、審査員からは「試したいと思えるアイデアばかり」
発表が終了し、審査員は別室に移動し、審査タイムに入りました。
具体的な審査基準は、次の図の通り。(1)~(3)は全審査員共通の審査項目ですが、(4)(5)は岩本氏と我妻氏が特化した視点で採点する項目として設定されました。

審査は審査員だけではなく、参加者も行います。自チームをのぞく最も良い発表をしたチームに投票。そして審査員の得点と参加者の得点の合計点で、優勝チームが決まります。
そして気になる結果は、3位がHチームの「無罪」、2位はEチームの「まちなかトライアウト」、優勝はAチームの「まちのショーケース」でした。2位、3位のチームにはクリスロード商店街より阿部蒲鉾店の蒲鉾、優勝チームには一人1万円のVisa e ギフトカードが贈呈されました。ちなみに4位以下のチームには、参加賞としてオリジナル仙台お土産詰め合わせが配られました。
表彰後、審査員の講評が行われました。
丸よしの大友氏「自分では思いつかないようなアイデアがあって、勉強になりました。個人的にはCチームのファミリー層を取り込む『やってみっちゃ』が面白いと思いました」
阿部蒲鉾店の國分氏「今日のアイデアは、他の社員にも共有したいと思います。個人的にはGチームの『3タップで生まれる、もう一軒』が気に入りました」
我妻氏「審査員を務めるのは今回で2回目です。昨年も面白かったのですが、今年はそれを超える面白い企画が目白押しでした。特に印象に残ったのが、Hチームの『無罪』。タイトルが非常に面白かったです。またAチームの仙台に対する情熱も印象に残っています。アイデアソンでは情熱を持って楽しく取り組めることが大事だなと改めて感じました」
岩本氏「結果として順位は付いたのですが、すぐ実現できそうなアイデアをたくさん出していただきありがとうございました。Hチームの『無罪』は『有罪』をテーマにして展開しても面白いのではと思いました。仙台はまだまだ可能性があるんだということを実感しました」

表彰チームのインタビュー「これからも仙台市の発展に力を尽くしたい」
賞品授与の後の懇親会では、
あちこちで参加者同士はもちろん、参加者と審査員のお二人やクリスロード商店街の方々、仙台市の担当などと談笑する姿が見られました。会場が盛り上がる中、表彰された3チームには個別インタビューを実施しました。
優勝:Aチーム
「他のチームよりもニーズに合った提案ができたと思う」と語るAチーム。当初は課題が大きくどこにスコープを当てるか悩んだそうだが、個別にヒアリングすることによって、課題が明確になり、スコープを絞ることができたと言います。また全員が仙台に住んだことがあり、仙台への思い入れが大きかったこと、帰省するたびに商店街の様子を見ていたことなどが、「リアルな提案につながった」と語ってくれました。「今後も仙台市の発展に向けて、力を尽くしていきたい」と笑顔を見せてくれました。

2位:Eチーム
アイデアをどう具体化していくかについては、かなりディスカッションを重ねたとというEチーム。「今日はあくまでも机上で考えたアイデアなので、実際の現場を見てみたい」という、力強い言葉も聞かれました。皆さん、「仙台をよくしたいという思いはずっとあるので、これからも仙台市を盛り上げる企画があれば、参加したい」と、前向きなコメントで締めてくれました。
3位:Hチーム
「もっと上にいけるかなと思ったけど、いけなかったのが残念です」と語るHチーム。審査員に好評だった「無罪」というネーミングは、蒲鉾の「低カロリーで高タンパク」という特徴や、そばが持つヘルシーなイメージから、「罪がない=無罪」という発想になったと言います。無罪というユニークな提案に結びついたポイントは、「チームワークの良さ」と語ってくれました。
昨年以上に、すぐに取り組めそうなアイデアがたくさん提案された今回のアイデアソン。このあと、9月中旬から12月にかけて、今回のアイデアソンにご参加いただいたクリスロード商店街の「丸よし」様協力の下、地域共創型実証プログラムを実施します。今回生まれたアイデアや参加者の知見も生かしながら、実際の店舗をフィールドとした事象に取り組む予定です。今回のアイデアがどう実装されていくのか。これからが楽しみになるイベントでした。

おすすめイベント
関連するイベント















