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本稿は、日本取引所(以下「JPX」)グループの戦略的なデータ・デジタル事業を担う株式会社 JPX 総研による「生成 AI で“探せなかった開示情報”を見つけ出す 〜 JPX の AI 開示情報検索サービス J‑LENS 〜」について、アーキテクティングと開発をリードされた 太子 智貴 様に寄稿いただきました。 イントロダクション 上場企業が日々開示する適時開示情報は投資家による投資判断だけでなく、企業担当者における同業他社分析・市場動向の把握に活用される重要な情報源となっています。一方で、この開示資料の量は膨大であり、年間で 10 万ページ規模にのぼる情報の中から、関心のあるテーマや企業に関する記載を素早く見つけるのは容易ではありません。加えて、開示資料は年々増加・高度化しており、投資家や企業担当者にとって「必要な情報にいかに早く、正確に辿り着けるか」は大きな課題となっています。 従来型のキーワード検索では、表記ゆれやあいまいな表現、否定形を含む記載などを適切に拾いきることが難しいケースも少なくありません。 こうした課題を解決するため、JPX では、生成 AI を活用した AI 開示情報検索サービス 「 J-LENS(ジェイ・レンズ) 」 を開発しました。 本記事では、J-LENS の背景、仕組み、技術的な工夫、そして今後の展望について紹介します。 会社・サービス紹介 日本取引所グループ(JPX)は、東京証券取引所・大阪取引所などを運営し、日本の金融市場インフラを支えています。その中で 株式会社 JPX 総研 は、データとテクノロジーを軸に、市場参加者の利便性向上や新たな付加価値創出を目的としたサービス開発を担っています。 今回紹介するサービスの J-LENS は、この JPX 総研が中心となり開発した、 上場企業の適時開示情報等(TDnet 開示情報)を対象とした AI 検索サービス です。 J-LENS を使ってみる 課題 日本市場に関心のある投資家が上場企業について理解を深めようとする際、参照すべき情報は多岐にわたります。決算短信を始めとした財務データ、製品情報等のニュース、株主や投資家向けの決算説明資料、業績予想等の適時開示資料など、企業に関する情報は豊富に存在している一方で、それらは複数の開示資料に分散しています。 そのため、投資家は「この企業の成長領域は何か」「直近の業績変化の要因は何か」「事業上のリスクはどこにあるのか」といった関心に応じて、複数の資料を横断的に確認し、必要な情報を探し出す必要があります。 しかし、従来の検索手法では、適切なキーワードを自分で考え、検索結果から関連する資料を選び、さらに資料内の該当箇所を読み解く必要があります。また、同じ意味を持つ用語でも、「TOB」と「公開買付け」のように資料によって表記が異なる場合があり、検索語の選び方によっては必要な情報を見落としてしまう可能性もあります。 特に企業比較や過年度比較などを把握したい場合には、情報収集と整理に大きな手間がかかります。 こうした背景から、投資家が自然な問いかけを起点に、信頼できる企業情報へ効率的にアクセスし、理解を深められるような新しい情報探索体験が求められています。 ソリューション こうした「膨大で分散した開示資料から、意図に合う情報へ自然に辿り着きたい」という課題に対し、JPX 総研では生成 AI を活用した AI 開示情報検索サービス 「J-LENS(ジェイ・レンズ)」 を開発しました。 J-LENS は、ユーザーが入力した 自然な文章の質問を起点 に検索できるよう設計しており、従来のキーワード検索で生じやすい表記ゆれ等による探しづらさの低減を狙っています。 また、生成 AI による検索意図の解析により 日本語以外の入力にも対応 しており、ブラウザの翻訳機能等と組み合わせることで、海外ユーザーにも利用しやすい情報探索体験を提供します。 技術的詳細 活用した主な AWS サービス J‑LENS の基盤には、主に以下の AWS サービスを採用しています。 Amazon Bedrock 生成 AI を活用し、検索クエリの意味理解や回答生成を実施 Amazon OpenSearch Service 開示資料をベクトル化し、意味的類似度に基づく検索を実現 検索精度向上のための AI 補助処理 Step1:開示資料の収集・分割 JPXが保有するデータレイク(J-LAKE)より、決算短信やコーポレート・ガバナンス報告書などの開示資料を収集し、検索に適した単位に分割します。開示資料はページ数や構成が資料ごとに異なるため、単純な固定長分割ではなく、開示種別に応じた内容のまとまりを意識して、分割を行う必要があります。 例えば、決算短信やコーポレード・ガバナンス報告書などはページ数が多く、比較的資料構成が決まっているのでセクション単位で分割し、業績や配当予想の修正のような短い開示資料は開示単位で分割するなど、分割粒度と分割手法も資料種別に応じて切り替えており、後続の検索や要約に活用しやすい形に整えています。 Step2:生成 AI による企業・資料の分析 検索精度を高めるため、資料自体の特徴を分析し、テーマや企業属性に関するタグ情報を付与します。あわせて、各企業の事業内容や特徴に関する情報もメタデータとして整理します。これにより、本文中に明示されていない企業属性や関心テーマも検索に活用しやすくなります。 Step3:Amazon OpenSearch Service への登録 分割した本文情報に加え、フィルタリング条件や画面表示に用いるメタデータをあわせて Amazon OpenSearch Service に登録します。本文の意味情報と構造化された情報を組み合わせることで、自然文検索と条件指定の双方に対応できるようにしています。 Step4:ユーザーの自然文クエリを解析 ユーザーが入力した質問に対して、生成 AI が検索意図を解析します。例えば、対象企業、業種、期間、テーマなどを推定し、Amazon OpenSearch Service で検索しやすい形に整理します。これにより、ユーザーの質問をそのまま検索するだけではなく、検索対象を適切に絞り込むことができます。 Step5:構造化フィルタとベクトル検索の併用 検索期間、上場市場、業種、開示項目などの構造化フィルタと、意味的な近さに基づくベクトル検索を組み合わせて検索を実行します。膨大な開示資料の中から、検索意図に合う可能性の高い資料群に対象を絞り込むことで、関連性の高い結果を得やすくしています。 Step6:検索結果の整理とリランキング Amazon OpenSearch Service から取得した検索結果に対して、検索クエリとの関連性や重要語句などを踏まえて結果を整理・リランキングします。単純なベクトル検索だけでは上位に出にくい資料もあるため、AI を用いて企業名・業種・市場区分・商品名などの重要情報を検索文から抽出し、各チャンクに付与されたメタデータと照合しながら、検索結果を再評価しています。これにより、利用者の検索意図に近い結果をより高い精度で提示できるようにしています。 Step7:回答理由の提示 検索結果とともに、なぜその資料が関連すると判断されたのかを表示します。これにより、利用者は検索結果の妥当性を確認しながら、該当する適時開示資料の本文に進むことができます。また、回答だけに依存せず原文確認につなげることで、事実と異なる回答の抑制にもつなげています。 効果・成果 情報探索の効率化(“探す”から“辿り着く”へ) J-LENS により、投資家や企業担当者は、膨大な開示資料の中から関心テーマに基づく情報へ短時間で到達しやすくなりました。検索結果には資料本文へのリンク、タイトル、開示日等に加え、検索結果が選ばれた理由が提示されるため、内容確認や比較確認にかかる負荷の軽減にもつながります。 単純なベクトル検索だけでは拾いきれない“意図”への対応 開示情報の探索では、本文中の語句の近さだけでなく、「その開示を提出した企業がどのようなビジネスを行っているか」が判断材料になります。たとえば「生成 AI 関連サービスを提供する企業の業績動向」を調べる際、本文に「生成 AI」という語が含まれるかだけでは十分ではなく、システム開発、SaaS、データ分析、業務自動化といった事業領域を踏まえることで、検索意図に近い企業の開示情報を見つけやすくなります。 同様に「海外展開を強化している企業」を探す場合も、本文表現だけでなく、海外売上比率や海外子会社の有無、グローバルな製造・販売網といった企業ごとの事業特性を踏まえることが重要です。 そこで J-LENS では、各企業の事業内容や特徴を生成 AI であらかじめ分析し、検索時に開示資料本文の内容と組み合わせて評価します。さらに、ユーザーの検索クエリについても生成 AI で質問意図を解析し、検索対象となる企業群や資料群を絞り込んだうえで検索を行うことで、膨大な開示資料の中から関心により近い企業や開示情報を上位に提示しやすくしています。 “想定外の発見”と、定性的情報の横断比較を後押し 単純なキーワード一致に依存せず、文脈や意味に基づいて関連情報を抽出することで、従来の検索では見落とされがちであった情報に加え、ユーザーが事前に想定していなかった企業や観点の新たな発見にもつながります。 また、従来は人手で複数資料を読み比べる必要があった定性的な情報についても自然文で横断的な検索が可能となり、投資判断や企業分析における初動調査の効率化が期待できます。 海外ユーザーの利用性 生成 AI による検索意図の解析により、日本語以外の入力にも対応しており、ブラウザの翻訳機能等と組み合わせることで、海外ユーザーにとってもスムーズな情報探索が可能です。 今後の展望 さらなる生成 AI 活用の拡大 J-LENS は現在 β 版として公開しており、利用者からのフィードバックを踏まえながら継続的な改善を進めています。 「検索精度・回答品質のさらなる向上」、「フィルタ機能や検索履歴などの利便性向上」といったフィードバックを踏まえた改善策に加え、ユーザの検索ログ・アクセスログに鑑みたサービスの提供も予定しています。 今後提供するサービスでは、単に情報を「探す」だけでなく、検索結果を起点に企業を「比較・分析し、深く理解する」体験へと進化させていきます。 具体的には検索によって抽出された企業について、事業内容の整理や特徴の深掘り、業界内での位置づけの可視化、類似企業との比較といった分析を可能とすることで、従来は人手に依存していた企業分析プロセスを高度化し、意思決定をより効率的に支援することを目指します。 これらの分析知見の抽出や整理にも生成 AI を活用することで、ユーザーが自然な問いかけを通じて開示検索をきっかけにより深い企業理解を得られる環境の実現を目指します。 執筆者 J-LENS 開発担当(左から、株式会社 JPX 総研 フロンティア戦略部 斎藤裕哉、三村優里香、IT ビジネス部 太子 智貴)
こんにちは、株式会社タイミーで MLOps エンジニアをしている KY です。普段は ML プラットフォームの構築・運用を担当しています。 私たちのチームでは、機械学習エンジニアやデータサイエンティストが開発に集中できるよう、VS Code のリモート開発(Remote SSH および Dev Container)を活用した開発環境を提供しています。本記事では、その中でも 共通 Dev Container Feature によるガードレール にフォーカスし、各チームが自分たちで開発環境を立ち上げられることを前提にしながら、 セキュア・バイ・デフォルト をどう実現しているかをご紹介します。 なぜ Dev Container Feature にガードレールを寄せるのか この記事を書こうと思ったきっかけは、もともと機械学習エンジニアやデータサイエンティスト向けだった開発環境を、データアナリストをはじめとする別職種のメンバーにも広げ始めたことでした。ユーザー層が広がるにつれ、「どこまでを各自の設定に任せ、どこからを仕組みで縛るか」をあらためて考え直す必要が出てきた、というのが出発点です。あわせて、組織として求められるセキュリティレベルも年々高まってきています。 ML プラットフォーム特有の事情として、ユーザーの専門領域が幅広い、という点があります。機械学習エンジニアやデータサイエンティストはモデリングやデータ分析を主戦場としており、依存パッケージの脆弱性管理やコンテナの権限設計といった領域は、本来の業務の中心ではないことが多いです。だからこそ、これらをユーザー個々の習熟度に委ねるのではなく、プラットフォーム側で初期値を配る方針を取りました。 各チームがセルフサービスで開発環境を立ち上げられ、特別な設定をしなくても初期状態でセキュリティのベースラインが担保される 状態を目指しています。推奨パスに乗るだけで安全に進められる、いわゆる「ゴールデンパス」の発想であり、 セキュア・バイ・デフォルト を仕組みで成立させるアプローチです。 この方針を devcontainer.json レベルで素直に表現できる仕組みが Dev Container Feature でした。Feature を1行足すだけで宣言的にガードレールが適用されるため、「各チームが自律的に環境を立ち上げつつ、危険な操作だけは仕組みで塞ぐ」という設計とよく噛み合っています。 共通 Dev Container Feature によるガードレール 私たちの開発環境では、共通化した Dev Container Feature(以下、共通 Feature)を配っています。まず、ベースイメージと Feature の役割は明確に分けています。 Docker Hardened Images(以下、DHI)をベースにした開発用イメージでは、各種開発ツール(Python / uv / gcloud / Claude Code など)をインストールしておきます 。 共通 Feature では、それらツールの設定ファイル配置とガードレール適用のみを担います 。 この前提のもと、各チームの devcontainer.json は以下のようにシンプルで、ベースイメージを指定し、共通 Feature を追加するだけで、後述するガードレールがまとめて適用されます。 { " image ": " asia-northeast1-docker.pkg.dev/<PROJECT>/<CUSTOM_DHI_PATH>:<TAG> ", " features ": { " asia-northeast1-docker.pkg.dev/<PROJECT>/<CUSTOM_FEATURE_PATH>:<TAG> ": {} } } こうしてレイヤーを分けておくと、ツールの入れ物とポリシーの適用が混ざらずに整理されるため、 よりセキュアに締めやすい という体感があります。たとえばポリシー側だけを Renovate で継続的に更新していけるので、イメージの差し替えと独立してセキュリティ設定の追従・レビューを回せます。なお、ベースイメージ側で押さえるべきリスク(OS パッケージの脆弱性など)と、Feature 側で押さえるべきリスク(ツールの権限・設定)をどう切り分けるかといった論点もあります。ただし本記事のスコープ外のため、詳細は割愛します。 この Feature がプロビジョニング時に各種設定ファイルを配置し、ガードレールを自動で効かせます。実際には複数のツール設定を同じ方式で配布していますが、本記事では代表例として AI エージェントの制御を取り上げます。 Claude Code などの AI エージェントの制御 昨今、 Claude Code のような AI コーディングエージェントが普及していますが、無制限の権限を与えると破壊的変更や意図しないデータ送信のリスクがあります。共通 Feature は /etc/claude-code/managed-settings.json を自動生成し、システムレベルで制御を行います。 { " strictKnownMarketplaces ": [ { " source ": " github ", " repo ": " <ORGANIZATION>/<REPOSITORY> " } ] , " allowedMcpServers ": [ { " name ": " <APPROVED_MCP_NAME> ", " command ": " ... " } ] , " permissions ": { " deny ": [ " Bash(sudo:*) ", " Bash(gcloud:*) ", " Read(~/.config/**) " ] } } ※ 実際の設定から一部を抜粋しています。 プラグインマーケットプレイスと MCP サーバーは、社内で承認されたもののみに制限しています(ホワイトリスト形式)。また、 sudo や gcloud などの権限昇格・クラウド操作、 ~/.config/ 配下の機密情報へのアクセスといった危険な操作は、Deny リストでブロックしています。ユーザー側の settings.json では上書きできない managed settings として配置しているため、「うっかり緩めてしまう」ことを構造的に防げます。 Feature に寄せることの嬉しさ これらを共通 Feature として提供していることで、以下のようなメリットが得られています。 各チームの devcontainer.json は Feature を1行足すだけでよく、 セキュリティ設定の知識なしにベースラインを満たせる 。 Feature のバージョンを上げるだけで、 全社的にガードレールを一括更新できる (Renovate で自動 PR される)。 設定の出所が Feature に集約されているため、 監査やレビューの対象が明確 になる。 実際に運用してみると、Renovate の PR を1本マージするだけで全チームの Claude Code 設定が同時に更新されるのは、想像していた以上に運用が軽くなったと感じています。 補足:周辺で効かせている多層防御 共通 Feature だけで全てを押さえようとせず、周辺の仕組みと組み合わせて多層防御を成立させています。ベースイメージには DHI を採用してコンテナ起動時点でのベースラインを引き上げ、ホストとなる Remote SSH 用 VM 側にも同等のポリシーを展開し、依存関係は Dependabot / Renovate で継続的に追従させる、という具合です。 おわりに 今回は、MLOps チームが 共通 Dev Container Feature を使って、ML 開発環境のガードレールをどのように設計・運用しているかをご紹介しました。 振り返ってみると、 ツールは DHI イメージ、設定は共通 Feature、更新は Renovate と責務を分けておくと、それぞれに対するレビューや更新のサイクルを独立して回しやすいのが大きな利点でした。ガードレール自体を作ることよりも、 ガードレールを錆びさせない構造 に落とすことが、各チームの自律性を損なわずにベースラインを引き上げていくうえでの要だったように思います。 参考文献 Claude Code - System settings : /etc/claude-code/managed-settings.json に関する公式ドキュメント Dev Containers - Features : Dev Container Feature の仕様 こうした「セキュア・バイ・デフォルトな ML 開発環境」を、より多くのチームと一緒に磨き込んでいきたいと考えています。 We're Hiring! タイミーでは、ML プラットフォームの構築・運用やセキュアな開発環境の整備に一緒に取り組んでいただけるエンジニアを募集しています! 少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひ以下のリンクから詳細をご覧ください。 MLOpsエンジニア シニアMLOpsエンジニア 募集ポジション一覧
みなさんこんにちは!製造業のお客様を中心に技術支援をしているソリューションアーキテクトの吉川と岩根です。まもなく AWS Summit Japan 2026 が開催されます。今年も千葉の幕張メッセで開催いたしますので是非ご参加ください!今年も製造業向けの展示を出展する予定ですので、その内容をご紹介します!各展示ごとのブログも続々投稿する予定です。 AWS Summit とは AWS Summit は、共に未来を描くビルダーが一堂に会して、アマゾン ウェブ サービス (AWS) に関して学習し、ベストプラクティスの共有や情報交換ができる、クラウドでイノベーションを起こすことに興味がある全ての皆様のためのイベントです。日本最大の “AWS を学ぶイベント”、それが AWS Summit です。基調講演、260を超えるAWSセッション・事例セッション・パートナーセッションがあり、 300以上の展示でオフラインならではの体験ができます。開催期間は 6 月 25 日 (木) と 26 日 (金) の 2 日間で会場は幕張メッセです。 本ブログでは数ある展示とセッションの中から製造業に関する展示とセッションをご紹介いたします。まだ登録してない方は以下のリンクから是非ご登録ください。 登録はこちら 製造業に関する展示は Hall 7 の AWS Expo 内にある AWS Industries Zone にあります。 AWS Industries Zone では、製造、金融、自動車など 13 の業界別に特化したソリューションと、Physical AI の特設展示をご覧いただけます。各業界をリードするお客様の AWS 活用事例や、生成 AI をはじめとする最新テクノロジーの実用的なデモを通じて、業界固有の課題解決方法をご覧いただけます。また、業界に精通したエキスパートと具体的な活用シナリオについて、ご相談いただけます。 製造領域では、Smart Manufacturing を中心としたコンセプチュアルな 製造 Highlight 展示 と、お客様事例展示や、 Product Engineering や Smart Product などの最新のデモを含む 製造 Industry 展示 の2つの展示エリアを用意しています。 展示全体像 赤い枠が製造展示のエリア A WS Expo 内の Industries Zone の図。赤い枠が製造業むけ展示。上が Highlight 展示、下が Industry 展示 製造業 Highlight 展示の概要 Highlight 展示では「 AI で加速する製造業のルネッサンス」をテーマとして、製造業の未来を体感できる展示を行います。3つの展示で構成されており、以下のような配置となっています。その他に、エリア内に設置された100インチモニタを使用して、各ブースの説明をライトニングトーク形式で紹介したり、展示の概観が分かるような動画を投影する予定です。 生産ラインの未来 製造業では、需要と供給が絶えず変動する中、生産ラインの最適な稼働が求められています。本展示では、生産ライン全体のシミュレーションによりボトルネックを特定し、生産効率を最大化する仕組みをご紹介します。 技術要素として、以下の3点を取り上げます。 ソフトウェア定義型の生産ライン ― ライン構成をコードで定義し、リポジトリで管理する仕組み デジタルツインによるシミュレーション ― 現場から収集したデータを基に、仮想空間上で生産プロセスを検証・最適化する仕組み AI エージェントによる意思決定支援 ― 生産ラインを含む多様なデータを活用し、データドリブンな判断を実現する仕組み これら3つの要素を組み合わせた生産ラインの将来像を、実機デモを交えてご覧いただきます。 工場のデジタルツインとシミュレーションを活用して AI アシスタントでボトルネックの分析 ソフトウェア定義型ファクトリー これまでハードウェアとして物理的に存在していた PLC を仮想化し、ソフト PLC(仮想 PLC )として動作させることで、生産ラインの制御ロジックをソフトウェアとして扱えるようになります。本展示では、物理 PLC からソフト PLC への移行を実際にお見せし、その可能性を体感いただきます。 ソフト PLC への移行がもたらす最大の変化は、ライン構成そのものをコードとして定義できるようになることです。これにより、 Git リポジトリを活用したバージョン管理が可能となり、誰が・いつ・どのような変更を加えたのかを完全にトレースできます。 さらに本展示では、エッジデバイスからクラウドまでを一気通貫でつなぐエンドツーエンドの制御アーキテクチャをご紹介します。工場のフロアで動作するエッジコンピューティングと、クラウド上のオーケストレーション層がシームレスに連携することで、生産ラインの柔軟性とスケーラビリティが飛躍的に向上します。 ソフトウェア PLC により制御されるミニチュア工場 サプライチェーン 本展示では、 AI がサプライチェーンの意思決定を変える瞬間を体感いただけます。 需要変動や供給遅延が発生した際に、担当者が AI エージェントに分析を依頼し、在庫枯渇の予測・生産計画への影響・代替調達の選択肢・対応方針案を迅速に導き出す一連の流れを体験いただきます。 AI が在庫や物流の状況をリアルタイムに読み解き、複数の対応策をコスト・リスクとともに提示します。 需要の急変や供給の遅延といった製造現場の日常的な課題に、 AI がどのように応えるのか。今まさに起こっている変化をご覧ください。 市 場の変化に応じて、生産計画に反映できる需要予測を行う AI エージェント 製造業 Industry 展示の概要 Industry 展示では、製造業のお客様の現場で「すぐに使える」テクノロジーを、実機デモを通じて体感いただける展示を多数ご用意しています。 Highlight 展示が「未来の製造業」をテーマにコンセプチュアルに描いたのに対し、 Industry 展示は Product Engineering (製品設計開発)と Smart Product (スマート製品開発・運用)という製造業のものづくりライフサイクルを支える 2 つの軸に加え、エッジ × AWS の選択肢を一望できる AWS 認定デバイスウォール 、そしてお客様自身による事例展示エリアで構成しています。 AWS のソリューションアーキテクトや事例企業の方々と、その場で具体的な活用シナリオをじっくり相談できる、ぐっと現場目線のエリアです。 生成 AI 時代の製品設計開発 CAE 解析や CAD 操作、過去ナレッジの活用など、製品設計開発の現場にはエンジニアの専門性に強く依存する業務が数多く存在します。本展示では、フィジカル AI 時代の到来を見据え、エンジニアの設計開発を加速する 2 つの切り口で実機デモをご覧いただきます。 Engineering and Development HUB( EDH )による HPC 基盤の俊敏な立ち上げ ― 大規模シミュレーション、 CAE 解析、 GPU を用いたモデル作成といった、フィジカル AI 時代の研究開発に欠かせない HPC 環境を AWS 上に短時間で構築する仕組みをご紹介します。仮想ワークステーションとスケーラブルな HPC 基盤を Web ポータルから即座に利用でき、自動スケーリングやコスト管理機能も標準で備えているため、エンジニアや研究者は使い慣れたツールに集中できます。 Engineering and Development Hub (EDH) 設計開発の現場ですぐに実践できる生成 AI ユースケース ― 自然言語による CAD/CAE 操作アシスト、過去設計ナレッジの瞬時検索、実験レポートの自動生成など、明日からでも取り入れられる「使える AI 」の活用例をご紹介します。その場でご覧いただける動作デモに加え、後日体験できるワークショップもご用意しているので、 AI が設計業務をどう変えるのかをじっくり実感いただけます。 生成AI x CAD + CAE + NVIDIA Isaac によるPhysical AI シミュレーション 「フィジカル AI 時代の研究開発をどう加速するか」を、現場のエンジニア目線で体感いただける展示です。 AI 駆動のスマート製品開発とサービス運用 スマート製品の世界では、製品そのものだけでなく、ソフトウェア開発から市場投入後の運用改善までを含むエンドツーエンドのライフサイクル全体が競争力の源泉となります。本展示では、ソフトウェア開発と運用改善の両面で AI エージェントが何を変えるのかを、 2 つのデモでお見せします。 AI エージェントが加速するスマート製品のソフトウェア開発 ― ソフトウェア開発 AI エージェント Kiro を活用し、企画から運用までのソフトウェア開発プロセスを AI と協調しながら進める世界をご紹介します。組み込みシステムやライフサイクルの長いソフトウェアを含む開発全体に AI 支援を適用できること、既存の設計文書やコーディングルールをそのまま活かせること、そしてチケットを用いた責任分担により人間と AI が役割を持ち寄って開発を進められることを、実際のデモで体感いただきます。 製品開発プロセスの調査・計画・実装・リリース・運用全て Kiro で開発を支援 AI エージェントが実現するデータ駆動のプロダクト改善サイクル ― Amazon Quick を使い、専門知識がなくても AI によるデータ分析を実現する仕組みをご紹介します。営業・保守・設計開発・品質保証といった部門ごとに分散したデータに加え、気象などの公開データも統合し、問題の発見から原因の特定、対策の立案まで、 AI がパートナーとなってプロダクト改善の意思決定を支援します。 出荷したフィールド上の製品情報からえた知見を分析し原因の究明と対策計画を Amazon Quick が立案し意思決定を支援 「製品を作って終わり」ではなく、「作りながら、運用しながらより良くしていく」これからのスマート製品開発のあり方を、ぜひその目でお確かめください。 AWS 認定デバイスウォール エッジデバイスとクラウドを連携させるニーズはここ数年で急速に高まっており、「どのデバイスを選べばよいのか」「クラウド連携の検証コストをどう下げるか」というご相談を多くいただきます。 AWS 認定デバイスプログラムは、 AWS の IoT サービスとの接続が検証された信頼性の高いデバイスをラインアップしたプログラムです。本展示では、認定済みのエッジデバイスを「ウォール」状にずらりと並べ、ハードウェアパートナー各社との協業によって広がる選択肢を一望していただけます。日本国内におけるエッジ × AWS のサービス構築を加速し、お客様のビジネスを後押しする取り組みを、実機を通じてご紹介します。 壁一面に展示された AWS 認定デバイスのラインアップ。多様なエッジデバイスをまとめて見比べいただけます。写真は AWS Summit Japan 2025より お客様事例展示 Industry 展示エリアには、 AWS をご活用いただいているお客様自身による事例展示エリアも併設しています。今回の製造業エリアでは、製造現場とエンジニアリングの両面から、特徴的な AWS 活用事例をお持ちのお客様 2 社をお迎えします。 オムロン株式会社「生成 AI を活用した知財 AI エージェント『 ALBERT 』の内製開発」 世界中で日々数千件もの特許が出願されるなか、知財業務の現場では「全特許を網羅的に把握しきれない」「技術と知的財産の双方に通じた専門人材の工数が逼迫している」「機密情報を扱うため社外の生成 AI サービスを気軽には使えない」といった課題が積み重なっていました。 本展示では、オムロンが Amazon Bedrock や Amazon OpenSearch Serverless などの AWS サービスを活用して内製開発した、知財 AI エージェント 「 ALBERT 」 の取り組みをご紹介いただきます。研究開発に特化した自社の生成 AI 活用基盤「 RD Buddy 」の上に AI エージェントを実装することで、情報漏洩リスクとコスト課題を抑えつつ、特許情報の検索・分析・要約といった知財業務を高度化・効率化。 特許調査・発明説明書作成の工数を 90% 削減 という成果を生んでいます。今後は R&D 部門での利用拡大( 60 名 → 120 名)から全社展開まで見据えた、まさに「生成 AI による R&D の DX 」を体現する事例です。 i Smart Technologies 株式会社「 Amazon Bedrock を活用した『 AI 製造部長』」 製造現場では IoT データを集めても「データをどう読み解けばよいか分からない」という壁にぶつかることが少なくありません。 i Smart Technologies は、自社の IoT データ収集サービス iXacs に Amazon Bedrock ( Claude )を組み込み、 多様な製造設備から集まる時系列データを自然言語で解釈する「 AI 製造部長」 を実装しました。 専門知識のない現場担当者が、異常の兆しやその原因、次に取るべきアクションを自然言語で受け取れるようになり、データ解析にかかる時間を 70% 削減という成果を生んでいます。「トヨタのカイゼン文化 × AI 」を体現するこの取り組みは、 IoT 製品そのものに生成 AI を組み込む「組込み AI 」の先行事例としても注目されています。本展示では、収集したデータを「使えるデータ」に変える AI の力を、 COO の松下様ご自身の言葉でご紹介いただきます。 会期中は、お客様ご自身による解説に加え、その場での Q&A も可能です。実装の裏側や苦労した点、運用してみての気づきなど、現場の生の声を直接お聞きいただける貴重な機会ですので、ぜひ足をお運びください! 著者紹介 岩根 義忠 (Yoshitada Iwane) アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト 自動車メーカーの生産技術開発部門を経て AWS Japan に入社し、エンタープライズ事業本部でソリューションアーキテクトとして活動中。前職でソフトウェア開発のアジャイル/スクラムに出逢い、自部門での導入やスケールを主導したことにより、モダンな開発手法やクラウドに目覚める。 趣味はバイクの他にギター演奏、自分の部屋の飾り付けなど。二児の父だが二人とも実家を出ているため、現在は妻と気楽な二人暮らし。栃木県那須塩原市在住。 吉川 晃平 (Kohei Yoshikawa) アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 シニアソリューションアーキテクト ソフトウェア開発者およびシステムインテグレーターとして 20 年以上従事した後、2020 年から AWS Japan で活動中。エンタープライズ事業本部で、日本の多くの製造業や SI 事業のお客様の AWS 活用を支援してきた。 スマートプロダクトのためのサービス開発に興味を持ち、最近は AI 開発エージェントを用いた製品開発ライフサイクルの加速に取り組んでおり、お客様との会話のネタが尽きない毎日を送っている。 趣味は週末のサイクリング、冬はスキー。風を切る乗り物がとにかく好き。  

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