“テクノベート”な夜が、エンジニア・デザイナーのイノベーションマインドを刺激する 「Technovate Night Produced by GLOBIS」7月から始動!

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“テクノベート”な夜が、エンジニア・デザイナーのイノベーションマインドを刺激する 「Technovate Night Produced by GLOBIS」7月から始動!
「エンジニアは、システムやWEBサイトを作るだけが仕事なのか」 「デザイナーは、プロダクトのパッケージや広告クリエイティブを美しく飾り付けるだけの存在なのか」 こうした問題意識を抱いているエンジニアやデザイナーは、少なくないだろう。世界に目を向ければ、テクノロジーやデザインの力を積極的に活用する企業が、既存のビジネスモデルの破壊を続けている。今や企業にとってエンジニアやデザイナーは、何かを形にするために存在するのではなく、イノベーションをリードするために存在する時代になった。ただ、それぞれの専門領域にだけに閉じていては、イノベーションをリードすることは難しい。では、何が必要なのか。日本最大のビジネススクールであり、多くのエンジニアやデザイナーが学ぶグロービス経営大学院とのトークセッション「Technovate Night Produced by GLOBIS」が7月から始まる。

「Technovate Night」は、各業界の最前線で活躍する企業の経営層やエンジニア、デザイナーが登壇し、ビジネスの「創造」、組織や事業の「変革」、「イノベーション」などをテーマにした最先端の実践知を学ぶ連続セッションだ。コーディネイターは、グロービス経営大学院経営研究科長の田久保善彦氏。「Technovate Night」開催に向けた想いを聞いた。

「イノベーション」をリードするエンジニア・デザイナーに求められるもの

—トークセッションのタイトルに使われている「テクノベート」という言葉、耳新しい気がします。

田久保:「テクノベート」は、テクノロジーとイノベーションを掛け合わせたグロービスが生み出した造語です。この言葉にはテクノロジーだけでなくデザインも活用して未来を創るという意味合いも含めていて、グロービスで4~5年前からよく使っている言葉です。グロービスは、組織開発のコンサルティング事業やベンチャーキャピタル事業、ビジネススクール事業などを行っており、それらの事業で経営者や業界の最前線にいる人たちと日々議論をしています。そうした議論を通じて、AI、IoT、ビッグデータ、ロボティクスなどテクノロジーの進化やユーザーの体験価値を向上させるデザインには、ビジネスの構造を大きく変える力があると認識していました。そこで、テクノベートという言葉を作り、その重要性を世に訴えることにしたのです。ですから、何年も前からビジネススクール事業では、国内外のビジネススクールが「ヒト・モノ・カネ」という伝統的な経営理論を教える中で、テクノベートを意識した独自のカリキュラムを提供してきましたし、ベンチャーキャピタル事業では、テクノロジー駆動型(テクノロジー・ドリブン)企業やユーザー体験の向上に重きを置く企業への投資を増やしてきました。

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グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長
学校法人グロービス経営大学院 常務理事 田久保善彦氏

慶應義塾大学理工学部卒業。三菱総合研究所にて調査、研究、コンサルティング業務を経て現職。経済同友会幹事、ベンチャー企業社外取締役等も務める。修士(工学)、博士(学術)
『創業三〇〇年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか』、『志を育てる』、『これからのマネジャーの教科書』(すべて東洋経済新報社)など著書多数。

—グロービス経営大学院のカリキュラムの中にある「テクノベート」領域には、具体的にどのような科目があるのでしょうか。また、グロービスではどんな授業を展開しているのでしょうか。

田久保:「テクノベート・シンキング」「テクノベート・ストラテジー」「デジタル・テクノロジー戦略」「デザイン思考と体験価値」「デザイン経営(デザイン駆動型のイノベーションとブランディング)」といった科目があります。

グロービスの授業は、実践力の強化を徹底して追求しています。こうした科目を受講いただく方には、テクノロジーやデザインの力を活かして、自らイノベーションをリードできる存在になってもらうことを目指しています。そのため、授業は教員が一方通行で話す講義形式ではなく、実務を想定して実際に存在する企業の事例(ケース)に沿って、ビジネスの意思決定を疑似体験するディスカッション形式を採用しています。グロービスで学んでいるのは、いわゆるビジネスサイドの人材、つまりテクノロジーやデザインの力を活用してイノベーションを起こしたいと考える次世代の経営人材だけではありません。最近はビジネスサイドの人材との協業を通じて、新たなビジネスの創造や所属組織の変革をリードしたいと考えるエンジニアやデザイナーの方々も増えています。

—ビジネスサイドの人材がテクノロジーやデザインを理解し、エンジニアやデザイナーがビジネスを理解する場になっているということでしょうか。

田久保:グロービスが目指しているのは、ビジネスサイドにいる社会人学生が実際に高度なプログラミングをできるようになる、エンジニアやデザイナーの社会人学生が詳細な資金調達の計画を作成できるようになる、といったことではありません。もちろんそういうことができる人が出てくることはありますが(笑)

例えば、ビジネスサイドの社会人学生には、プログラミングのために必要な考え方やアルゴリズムとは何かなどを理解してもらい、エンジニアの発想やものの見方を認識し、協業できる状態になることを求めています。その結果、さまざまビジネス課題をテクノロジーを活用して、解決できるような存在になってもらいたいと考えています。一方で、エンジニアやデザイナーの皆さんには細かい簿記を理解してもらうのではなく、財務諸表からどのようなビジネスの課題が見えてくるのかを検討してもらい、今携わっている仕事でその課題解決にアプローチする方法はないかなどを考えてもらいます。

つまり、グロービスで目指しているのは、ビジネス✕テクノロジー✕デザインの領域全般の概念を理解した上で、それぞれのフィールドで培った知見を活かし、自らの専門領域以外の人材と協業し、イノベーションを起こす人材を育てることです。

アジャイル開発を例にしてみましょう。現在は、環境変化が激しく顧客ニーズの移り変わりが早い時代ですから、顧客を中心に据えたうえで、そうした変化への対応力が競争を勝ち抜くためのポイントとなるからこそ、アジャイル開発が注目されているのだと思います。開発をウォーターフォール型で行っていては環境変化に素早く対応するのは難しいからですね。つまりアジャイル自体は決して目的ではないはずです。ビジネスサイドの人材はこうしたことを理解した上で、エンジニアつきあい、ビジネス上の戦略など考えるべきだと思います。一方で、テクノロジーサイドの人材は、ビジネスの特性などを理解し、戦略的発想を持った上で競争に勝つ方法を模索するべきです。グロービスで学ぶことの価値は、自分の専門領域以外のビジネスパーソンと議論することで、考え方やものの見方を強制的に広げ、深めることにあると思っています。

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目の前のリンゴをデッサンするように顧客に接しているか

—科目の内容の一例をご紹介いただけますか。

田久保:以前、私自身がデザイナーの思考を学ぶためにトレーニングを受けたことがあります。その中でリンゴをデッサンしたのですが、目の前にあるのにうまく再現できない。デザイナーの方がいかに形や色味、模様や位置関係などを精緻に観察しながら描いているのかを知る良い機会となりました。「これがデザイナーの皆さんが身に付けている解像度の高さなのか」と驚いたことをよく覚えています。もちろんこうした解像度の高さは、デザイナーに限った話ではないでしょう。エンジニアの方々も例えば、要件定義やコーディングの際に発揮しているでしょうし、ビジネスサイドにいる人たちも例えば、需要予測や価格設定のシミレーションなどで同様の力を用いているでしょう。

このような3つの領域、つまりテクノロジーとデザイン、そしてビジネスの融合をテーマにした「デザイン経営(デザイン駆動型のイノベーションとブランディング)」という科目があります。この科目では「デザイン経営」のコンセプトやフレームワークを学ぶのではありません。例えば、デザイン経営を実践する企業が、どこまで突き詰めて顧客体験を設計しているのか、顧客体験の解像度の高さがどのレベルで行われているのかなどを体感します。また、デザインドリブンの組織をどのように設計するのか、つまりデザイン経営を組織に根付かせる方法なども学びます。 ビジネスサイドの人材であれ、エンジニアやデザイナーであれ、顧客のことを考えるのは当然のこと。考えていない人はいないと思います。大切なのは、限られたリソースの中でどこまで深く考えるべきなのか。デザイン経営を実践する上で、多くの気づきを与えてくれる科目になっていると思います。

—グロービスが提供している科目は、エンジニアやデザイナーにも学ぶ意義がありそうですね。

田久保:私たちが生きているのは、市場や競合などの外部環境の変化がとても早い時代です。エンジニアやデザイナーを顧客から遠いところに配置をし、ビジネスサイドにいる人たちが彼らに顧客情報を提供し、じっくり議論しながら改善していては、競争に勝てない時代です。そのため、エンジニアやデザイナーも顧客と直接向き合う最前線に配置し、ビジネスサイドの人材と協業する必要があるのですが、その際に問題なるのは「ビジネスの共通言語」の有無です。ですから、ビジネスの共通言語を有するエンジニアやデザイナーの希少価値は今後、高まり続けるでしょう。

—しかし、今も多くの企業では、エンジニアやデザイナーとビジネスサイドを切り分けていますね。例えば、顧客のことを考えるのはマーケティング担当者の役割と考え、マーケティング担当者の話にデザインやUIを合わせるという仕事の進め方がまだ主流な印象を持っています。

田久保:その通りだと思います。そうしたやり方では、エンジニアやデザイナーの皆さんの潜在能力を引き出し切れないのではないか、というのが私たちの問題提起なのです。デザイナーやエンジニアが、分業の中で与えられた条件に沿って考えているだけでは、創造性は発揮されないと思いますし、イノベーティブなサービスやプロダクトが生まれる可能性を摘み取ってしまっていると思います。

例えば、優れたデザイナーやエンジニアは、ドアノブの新商品を開発してほしいと言われた時、単にドアノブの絵を描く、設計するだけでは満足できないのではないでしょうか。そのドアノブが付いているドアのこと、そのドアが置かれている家の壁や部屋の構造、その家に住む人のこと、さらにはその家が建つ街並みのこと……というようにどんどん思考の対象範囲を拡大しイメージを広げた後、再びドアノブに収斂させて、斬新なデザインや機能を備えたドアノブを生み出していく。このように与えられた領域の境界線を自由に飛び越えていくデザイナーやエンジニアこそが、イノベーティブなプロダクトを生み出す人だと思います。

ですから、私はエンジニアやデザイナーの皆さんが今任されている領域をどんどん飛び越えて欲しい。そして、経営戦略やマーケティング、ファイナンスなどを学び、ビジネスプランを提案し、経営層やビジネスサイドの人たちと対等にディスカッションするべきだと思います。エンジニアやデザイナーが顧客により近い場所に行き、ユーザーの全体像とビジネスの全体像の両面を捉えながら、プロダクトやサービスだけでなく、ビジネスそのものをクリエイトして欲しいと思っています。こうした人たちがたくさん生まれると、今の日本では考えられないほど多くのイノベーションが生まれるはずです。

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—越境型のエンジニアやデザイナーがイノベーションをリードするということですね。

田久保:例えば、今や誰もが複数の銀行口座や複数枚のクレジットカードを持つのが当たり前になりました。そうした中、画期的なサービスを世に送り出した企業のひとつが、「マネーフォワード」だと思います。残高や利用明細、支出の予定など口座を横断してスマホアプリで見られるようにしました。ありそうでなかったサービスです。一つひとつの機能で見れば小さな改良かもしれませんが、それを統合して提供することで、日本人一人一人のお金の流れの管理の習慣を変えようとしています。これは、大きなイノベーションだと思います。

イノベーションを生み出す人たちの「頭の中」を知る

—そうしたイノベーションをエンジニアやデザイナーがリードするためには、ビジネスの共通言語を身につける必要があるのですね。

田久保:実は「Technovate Night」開催には、グロービスで学ぶエンジニアやデザイナーが近年急激に増えてきたという背景があります。「Technovate Night」では、登壇するビジネスパーソンが自らの実践例を語り、その事例から何を学べるかを参加者と共にディスカッションするという形で進めたいと考えています。

―「Technovate Night」は、グロービスが大事にしている5つのカテゴリーで構成されています。

田久保:「Technovate Night」には、各業界の今後をリードする企業のCTOやCEOクラスの人たちに登壇していただきたいと考えています。自らの手でプロダクトやサービスを生み出し、新たなマーケットを創出してきたイノベーターであり、成功の陰で無数の努力を重ねてきた人たちです。だからこそ、その話は含蓄に富み、発する言葉の熱量は高いと思います。こうした刺激に触れることで、エンジニアやデザイナーの皆さんにビジネスサイドへの関心を深めてもらいたいと思っています。

人生100年時代にエンジニアやデザイナーが生き残る術について

—「Technovate Night」にはどんな人に参加してほしいですか。

まずは、「エンジニアは、WEBサイトやシステムを作るだけが仕事なのか」「デザイナーは、プロダクトのパッケージや広告クリエイティブを美しく飾り付けるだけの存在なのか」 といった問題意識を抱いている方々に来ていただきたいですね。加えて、将来は経営の一翼を担いたい、今の会社で経営層や事業企画サイドと対等に話をしたい、これまでにないプロダクトやサービス、顧客体験を生み出したい、新しいビジネスモデルを創出し社会の価値観を変えたい、といった方々にも参加していただきたいと思っています。

ちなみに、「Technovate Night」は、今所属している他部署の人たちと議論するための共通言語を探している人にも多くのヒントを得られると思います。自分が持っている技術やアイデアを社内でプレゼンしたり、クライアントに説明する時にも、今ビジネスサイドで話題となっている重要なテーマを踏まえて説明することは必須ですので。

—テクノベートは、これからの時代を生きるエンジニアやデザイナーに必須のキーワードということになりますね。

人生100年時代と言われ、例えば今30歳のビジネスパーソンも、あと50年は働き続ける時代になりました。今持っている専門知識だけで、生き残っていくのは難しい時代です。ビジネスを野球に喩えれば、一塁しか守れない選手の現役生活は短くなるということです。専門分野を越境し、学び続ける人だけが生き残れるのです。

エンジニアやデザイナーの皆さんには、今まで以上にビジネスサイドに触れることで、有している専門知識や技術、アイデアの可能性を広げてほしいと思います。その結果、イノベーションを起こせる可能性も人生の幸福度も高まると私は考えています。「Technovate Night」が、皆さんの人生を変えるきっかけになれば嬉しいです。

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