2018年6月定例会

2018/06/27(水)19:00 〜 21:00 開催
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イベント内容

プログラム

6月27日(水)19:00~

リーンならありだ!

アジャイル開発とリーン開発の源流をたどり、エンタープライズアジャイル開発の実現のために「統合」されるべきいくつかの概念について考えます

講師:

依田 智夫 :株式会社シナジー研究所

1978年慶應義塾大学大学院工学研究科管理工学科修士課程修了。同年東洋エンジニアリング株式会社入社。社内情報システム開発担当後、オブジェクト技術を活用したコンサルティング、ソリューション開発などを行う。1997年株式会社シナジー研究所を設立。代表取締役・プリンシパルコンサルタント。現在、シナジー研究所にて、要求開発手法の教育、ITシステム調達プロジェクト支援、アプリケーション・アーキテクチャ設計、ソフトウェア資産分析などを手がける

概要

  1. アジャイル開発をめぐる二つの異なる理解
  2. アジャイルとリーンの源流
  3. エンタープライズシステムとエンジニアリングの役割
  4. シナジー研究所アジャイル開発センターの取り組み

アジャイル開発が良くわからないという声をしばしば耳にします。世の中ではアジャイル開発について異なる二つの理解が存在し、それがあるべき開発手法についてのアジャイルな議論を妨げるという皮肉な現象が生まれています。

今や、誰もが理解するように、効率的な、つまり「アジャイルな」ソフトウェア開発は、社会の喫緊の課題であり、その解決が、企業や国の競争力を直接的に支配するものになってきました。あるべき開発手法の議論にムダな時間を費やしている暇はありません。

アジャイル開発の異なる理解の一つ目は、開発者・技術者による理解であり、方法論、プロセス、プラクティスとしてのアジャイル開発で、いわばHOWの側面に相当する理解です。二つ目は、顧客、ユーザーによる理解であり、「なんでもすぐに始められて、いきなり成果が出る(システムが動き始める)結構な手法」としてのアジャイル開発です。これはWHATとしての理解であると言って良いでしょう。幸か不幸か、この後者の理解が今や急速に広まりつつあるように見えます。

しかしながら、エンタープライズシステム、つまり、大規模・複雑なシステムにおいて、この後者の理解がどれくらいリスクの高いものか、ソフトウェア開発を経験する者ならだれでも知っています。これらのWHATとHOWは齟齬のないものとして「統合」されなければなりません。

一方で、リーン開発という言葉もあり、アジャイル開発とよく似た考え方として 整理されていることが多いようですが、視点しだいでこの二つは正反対に見えることがあります。なぜならアジャイルからのメッセージは「動け」であり、リーンからのそれは「動くな」だからです。

アジャイル開発は経営者の理解を訴えますが、リーン開発の背景となるリーン思考は経営者を含む組織全体による実践が求められます。ここでは、「動け」と、「動くな」が「統合」されなければなりません。

注目を集めつつある、エンタープライズアジャイル開発ですが、それが大規模・複雑を意味するなら、リーン開発の方がよりふさわしい手法と考えています。なぜなら、リーン思考はトヨタ生産方式の別名であり、それはすなわち、大企業中の大企業、トヨタ自動車の継続と発展を支えてきた手法であるからです。

しかし、製造のノウハウがなぜソフト開発に使えるのでしょう。答えを先に言うなら、「リーン思考自身は特別に製造のノウハウではない」が答えです。

講演では、エンタープライズアジャイル開発において望まれるエンジニアリングの役割にも触れたいと思います。ここで説明するエンジニアリングの役割とは、依田が出身会社であるプラント建設会社で体験したもので、プロジェクトにおけるいわゆるゼネコンの役割と言い換えても良いものです。

アジャイル開発の文脈では悪役として登場することの多いゼネコン(SIer)ですが、果たしてそうでしょうか。大規模で複雑なシステムを構築し稼働させるためには、顧客が望む最終成果物を構成するすべての要素をいったんはプロジェクトのスコープ内に投入することが必要です。たまたま案件を受注した企業の得意不得意で、プロジェクトのスコープがゆがめられることがあってはなりません。

しかし、個別技術、個別作業分野を担当する企業がスコープ全体をカバーすることは難しく、ここにゼネコン(SIer)誕生の歴史と本来の役割があります。実在するゼネコン各社の価値はさておくとして、産業の知恵としてのその役割を再定義する必要があります。

エンジニアリングを支える知識体系、たとえばPMBOKにも今日変わらぬ価値があり、知識体系へのアジリティーの導入だけが問題なのだと思います。計画は悪ではなく、計画にこだわることが悪です。計画と俊敏性、ここでも「統合」が必要であり、ライフサイクル・マネジメントにその答えがあると考えています。

シナジー研究所では特定プロジェクトのために最近、アジャイル開発センターをオープンしました。名前はアジャイルであるものの、ねらいはリーンです。まだまだこれからですが、これまでの取り組みについてもふれたいと思います。

懇親会について

プログラム終了後、近所の居酒屋にて懇親会を行います。申込時に懇親会に参加登録してください。懇親会は有料で普通の飲み会程度のお代をいただきます。時間の都合で途中で帰ることも可能です(状況により適宜精算)。

注意事項

  • 当日はチケットを表示できるデバイスまたは印刷したチケットをお持ちください。チケットをお持ちいただけない場合、入場の確認にお時間を頂く場合がございます。
  • 参加のご都合が悪くなった際にはキャンセル手続きを行い、他の方に席をお譲り下さい。キャンセル手続きなしの欠席が一定数を超えた場合今後の参加をお断りする場合があります。
  • 顔の見える運営をこころがけております。可能であれば参加登録時には、実名・実際の所属名を明らかにして申込みいただきますようにお願いいたします(匿名でもかまいませんが、当日は実名でご参加下さい)。アジャイル開発とリーン開発の源流をたどり、エンタープライズアジャイル開発の実現のために「統合」されるべきいくつかの概念について考えます

注意事項

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