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本記事は 2025/10/10 に公開された “ Transform Supply Chain Logistics with Agentic AI ” を翻訳したものです。 AI はあらゆるサプライチェーンプロセスを変革する可能性があります。予測分析、モノのインターネット(IoT)、機械学習(ML)などの既存技術は、サプライチェーンの効率性と可視性を向上させましたが、組織は依然として重大な課題に直面しています。今日のサプライチェーン実務者は、地政学的緊張から自然災害に至るまでの複雑なシナリオに対応しながら、複数のシステムに散在するデータを管理しなければなりません。これらの課題は、大きなビジネスインパクトを生み出します。例えば、複雑な組立品で 1 つの締結部品(ボルト・ナット等)が欠けているだけで、納品が数週間遅れ、重大な財務損失と顧客体験の低下を招きます。他のすべてのプロセスが完璧に機能していてもです。エージェンティック AI(サプライチェーンエージェント)は、これらの根強い課題を解決できるでしょうか?このブログでは、Amazon Web Services(AWS)プロフェッショナルサービス(ProServe)が、組織が本番運用可能なレベルのエージェンティック AI ソリューションを実装し、サプライチェーン業務変革をどのように支援しているかを説明します。 サプライチェーンにおけるビジネス価値の機会 生成 AI は、サプライチェーンに大きな影響を与えると考えられています。マッキンゼーによると、サプライチェーンの総コストは運用コストの 3〜4%分、全産業合計で 2,900 億ドルから 5,500 億ドル削減可能とされています。この可能性により、EY(アーンスト・アンド・ヤング) はサプライチェーン組織の 40% が生成 AI 技術に投資していると指摘しています。これは、企業が生成 AI の価値を認識しており、アーリーアダプターがこの技術をサプライチェーンプロセスの中核に採用し始めていることを示しています。 生成 AI は、以下のようなビジネス成果を生み出す可能性があります: 関連する洞察や文書を速く見つけ、サプライチェーン専門家の時間を定型業務から解放し、労働生産性を向上させます。 原材料の状態の可視化と基礎データへの信頼性により過剰在庫を削減し、緊急配送や航空輸送の回数を減らします。 処理の自動化と自動生成される推奨事項により意思決定プロセスを最適化し、専門知識の活用、管理業務、ステークホルダーとの調整を効率化します。 エージェンティック AI システムが協力して複雑なタスクを解決 エージェンティック AI システムとは、独立して動作し、相互作用し、動的な環境で自律的な決定を下すデジタルシステムを指します。これらのシステムは、複数のエージェントを調整し、他の AI システムと通信してタスクを効率的に遂行し、複雑な問題解決と自動化を可能にします。生成 AI はエージェンティック AI システムとエージェントの基盤を提供し、AWS では顧客は Amazon Bedrock AgentCore を利用します。論理ベースの推論と文脈理解を通じて、エージェントはアクションを計画し、他のエージェントと協力し、タスクを効率的に実行し、人間の論理と推論を模倣します。サプライチェーン実務者がしばしば複数のシステムや部門横断的なチームやパートナーを扱うため、AI エージェントを使用することで、組織はより効率的になり、価値を生み出すことができます。 モデルベース、目標ベース、学習ベース、自律型、LLM、エージェンティックエージェントなど、異なるタスクを完了するためのエージェントタイプが増えています。これらのエージェントは、異なる機能を持ち、協力して目的の結果を達成します。例えば、顧客が納品を迅速化することを要求したとします。1 つのエージェントが納品のステータスを確認し、別のエージェントが在庫を確認します。さらに、別のエージェントが迅速化テーブルとコストを確認し、最後のエージェントはすべての情報に基づいて次の推奨アクションをまとめます。これらのエージェンティック機能は、複数のデータソースを組み合わせて、内外の顧客体験を向上させます。さらに、情報をまとめて推奨を行うだけでなく、組織が許可すれば、エージェントがシステム上のデータを更新することができます。 物流における AI エージェント 物流はリアルタイムでのステータス更新の必要性、絶えず変化するビジネス環境、そして異なる形式の複数のシステムとデータソースが存在するため、課題に溢れています。多くの企業は、アラートとプロアクティブなモニタリングでこれらの課題を解決していますが、これらのアラートには文脈情報が不足し、潜在的な解決策を提供せず、問題を 1 か所で解決する事ができません。 ガイドラインとして、AI エージェント(メイン)は物流エージェント、在庫エージェント、補充エージェント、調達エージェントなどの焦点を絞ったペルソナを持つことが推奨されます。これらのエージェントは共通の目標に向かって協力します。AI エージェントチームが協力して作業する様子を図 1 に示します。焦点を絞ったペルソナは、エンドユーザーがエージェント(メイン)の担当タスクを理解しやすくします。また、ユーザーデータアクセスを制限し、エージェントが処理する必要があるデータの量を減らします。特に物流では、倉庫、品質、文書生成、補充、関税/規制コンプライアンス、調達/契約、内部・外部の顧客体験など、様々なタイプのエージェントのユースケースがあります。焦点を絞ったペルソナを定義した後、次のステップは、エージェントが解決するべき問題とデータへのアクセス方法を定義することです。以下では、物流エージェントに焦点を当てます。 図 1: 協力して作業する AI エージェントチーム AWS ProServe が A*STAR 向けに物流エージェントを作成 2024 年 9 月、AWS はシンガポール貿易産業省(MTI)と科学技術研究庁(A*STAR)が設立した 製造セクター AI センター・オブ・エクセレンス (AIMfg)の立ち上げに参加しました。これはシンガポールの国家 AI 戦略 2.0 の一環です。このコラボレーションの最初の取り組みは「物流の未来」の探求に焦点を当てており、AWS ProServe は Amazon Bedrock を活用した物流エージェントを開発しました。 先進再製造技術センター (ARTC)は A*STAR 内の研究機関です。このセンターは航空宇宙、陸上輸送、消費財、バイオメディカル製造、エネルギーの 5 つの主要分野にわたる 96 のコンソーシアムメンバーで構成されています。この組織は、次の 4 つの戦略的テーマで研究開発を推進しています: 次世代製造プロセス 自律型製造 ネットゼロ製造(脱炭素製造) 強靭なバリューチェーン Industry 5.0 の人間中心的、持続可能、強靭な生産を重視する A*STAR ARTC は、プラントチームにエージェンティック AI を提供しています。これにより、仮想 AI エージェントが以下のような機会を創出します: 計画、実行、サプライヤー協業にわたる 組織の知識を集約 し、それを組織の業務 DNA に組み込む 目標駆動型の意思決定を行い、フィードバックループを通じて自己改善し、文脈の認識を維持することで、 自律的に運用する 。 AWS ProServe と共同で、A*STAR ARTC は物流の専門家とデータ分析者向けにカスタマイズされた AI エージェントを開発しました。このインテリジェントシステムにより、サプライチェーンの実務者は以下の項目を実現することができます: リアルタイムデータを集約・統合 します。ERP(基幹業務システム)、TMS(輸送管理システム)、WMS(倉庫管理システム)、顧客向けポータルからデータを収集します。 内部および外部の問い合わせに対して即時かつ正確な回答 を提供します。これにより、手動での検索と照合の作業負荷を最大 50% 削減します。 緊急配送コストを総物流費用の 3〜5%削減 し、逸失収益を軽減します。また、納品から配送までのサイクルを短縮します。 手戻り作業を最小化することで計画担当者の 生産性を向上させ 、例外管理、ネットワーク最適化、戦略的サプライヤー連携に集中できるようにします。 迅速で透明性の高い更新情報と予測到着時刻(ETA)のインサイトを通じて、 顧客満足度を向上 させます。 一時的な効率向上を超えて、この AI 駆動型アプローチは堅牢なデータ戦略を支え、キャパシティプランニングからアフターサービスまでのオペレーションバリューチェーン全体にわたり、物流をスマートで情報に基づく意思決定を促進する触媒として位置づけられます。 物流エージェントの構築アプローチと結果 AWS ProServe チームと A*STAR は協力して、エージェントが解決すべき複数の問題やタスクを定義しました。例えば、出荷最新の情報や影響を受ける発注書のアラートなどです。サプライチェーンの専門家は、自然言語と会話型 AI を使用してデータと対話します。これにより、問い合わせに対して変更、キャンセル、推奨を行うことができます。チームが様々な問題やタスクを定義した後、Amazon Bedrock やその他の AWS サービスを利用して物流エージェントを構築しました。 ビデオ 1:AI エージェント – 問題の定義から実行まで ビデオ 1 に示されているように、物流エージェントの導入により、チームは複数のソース(天気、出荷状況など)からより速く最新の情報を取得し、実行可能な対策についての洞察を得て、問い合わせに対する標準的な回答を受け取ることができます。例えば、ユーザーが発注書の更新を要求し、自然言語で質問を入力します。AI エージェントは質問を理解し、適切なデータソースを識別します。これには、構造化または非構造化データの分析が含まれます。これには、ERP システムや Excel スプレッドシートなどの内部データソース、または港湾のウェブサイトや航空貨物運送業者へのアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)接続などの外部ソースが含まれます。次に、AI エージェントは関連データにアクセスし、自然言語処理を使用して質問に答え、正確な回答を提供します。データ接続とエージェントのセットアップがどのように設定されているかの可視化については、図 2 を参照してください。 図 2:内外のデータへのアクセスを持つエージェントセットアップの例 要約すると、ロジスティクスアナリストは手動で情報を検索し、洞察を導き出したりする必要がなくなり、より戦略的なタスクに集中できるようになりました。これは一つの例ですが、サプライチェーン全体で適用可能な例は多くあり、生成 AI とサプライチェーンエージェントが組織の運営方法を変革しています。AI エージェントは洞察を即座に導き出し、エンドカスタマーの問い合わせに数秒で回答し、セルフサービスの問い合わせを可能にし、カスタマーエクスペリエンスの向上に役立ちます。 まとめ エージェンティック AI 機能は、物流の実務者が日々の業務を遂行し、エンドカスタマーエクスペリエンスを向上させる方法を変革しています。物流 AI エージェントにより、サプライチェーンチームは自然言語で対話し、組織のコンテキストを理解し、適切なデータソースを自動的に識別し、AI 推論を利用して結論を導き出したり、次の最善のアクションを推奨したりすることができます。ビジネス価値を基礎とする取り組みにより、サプライチェーンのあらゆる機能において、生産性の向上、収益の増加、速度の向上、コストの削減、無駄の排除につながる機会があります。エンドカスタマーの要求がさらに厳しくなる中で、この分野のリーダーは、価値を早期に得て、競争優位性に変えることができるでしょう。 この技術を導入する企業は、ビジネス価値をより早く実現し、すぐに競争優位性を獲得できます。AWS のお客様は、Amazon Bedrock サービス群やその他の利用可能なサービスで、今日から構築を始めることができます。変革の旅を加速させたいお客様は、 AWS プロフェッショナルサービス のアカウントエグゼクティブまたは AWS アカウントマネージャーにお問い合わせください。 物流エージェントの初期構築に貢献した Sam Gordon、さらなる開発と継続的なサポートを提供した Annie Naveh、追加のサポートとガイダンスを提供した Emily O’Kelly に特別な感謝を申し上げます。 翻訳は、ソリューションアーキテクトの山本が担当しました。 <!-- '"` --> Joe Pazak Joe Pazak は、アジア太平洋・日本(APJ)のエンドツーエンドのサプライチェーンとデジタルトランスフォーメーションを支援する責任者です。Joe は、需要計画、供給計画、生成 AI、高度な分析、物流、調達をカバーする複数の業界との大規模な変革プロジェクトから、深いサプライチェーンの専門知識をもたらします。彼は顧客を支援することを熱望しており、次世代のサプライチェーンツールとテクノロジーに移行するにつれて、大きなアイデアを考えるよう促します。Joe はシドニーを拠点としています。 Dr. Manuel Baeuml Dr. Manuel Baeuml は、ASEAN の AWS 製造・小売プラクティスをリードしています。Manuel は、スマート製造、顧客体験、サプライチェーンに注目し、製造および小売企業が重要なデジタル機能の定義・構想・実装を支援しています。過去 15 年間、Manuel はアジア太平洋とヨーロッパの業界リーダーと働いてきました。Manuel はシンガポールを拠点としています。
2026 年 2 月 2 日週に行われた注目のリリースとアップデートをご紹介します。これらはすべて、AWS での構築、スケーリング、イノベーションに役立てることができます。 2026 年 2 月 2 日週のリリース こちらは、2026 年 2 月 9 日週私の目に留まったリリースです。 まず、コンピューティングとネットワークインフラストラクチャに関するニュースから始めましょう。 Amazon EC2 C8id、M8id、R8id インスタンスの導入: これらの新しい Amazon EC2 C8id、M8id、R8id インスタンスにはカスタム Intel Xeon 6 プロセッサが搭載されており、前世代のインスタンスよりも最大 43% 優れたパフォーマンスと 3.3 倍のメモリ帯域幅を提供します。 AWS Network Firewall が料金の新たな値下げを発表: AWS Network Firewall が、Network Firewall セカンダリエンドポイントとサービスチェーン接続されている NAT ゲートウェイに時間単位の割引とデータ処理割引を追加しました。また、暗号化されたネットワークトラフィックの Transport Layer Security (TLS) インスペクションを可能にする Advanced Inspection の追加データ処理料金も廃止されました。 Amazon ECS がリニアデプロイとカナリアデプロイに対する Network Load Balancer サポートを追加: NLB の使用が一般的なアプリケーション (TCP/UDP ベースの接続、低レイテンシー、長時間接続、または静的 IP アドレスを必要とするアプリケーションなど) で、更新のロールアウト時に ECS からネイティブにシフトするマネージド増分トラフィックを利用できるようになりました。 AWS Config が 30 の新しいリソースタイプのサポートを開始: これらは、Amazon EKS、Amazon Q、AWS IoT を含めた主要サービスを対象とするものです。この拡張によって AWS 環境のカバレッジ範囲が広がるため、これまで以上に広い範囲のリソースの検出、評価、監査、修正をより効果的に行うことができます。 Amazon DynamoDB グローバルテーブルが複数の AWS アカウント間でのレプリケーションのサポートを開始: DynamoDB グローバルテーブルは、フルマネージド型、サーバーレス、マルチリージョン、かつマルチアクティブなデータベースです。この新機能により、複数の AWS アカウントおよびリージョン間でテーブルをレプリケートできるため、レジリエンシーが向上するとともに、アカウントレベルでのワークロードの分離、異なるセキュリティコントロールとガバナンスコントロールの適用が可能になります。 Amazon RDS がデータベース接続のためのコンソールエクスペリエンスを強化: 新しいコンソールエクスペリエンスは、Java、Python、Node.js、その他プログラミング言語の既製のコードスニペットに加えて、 psql コマンドラインユーティリティといったツールを提供します。これらのコードスニペットは、データベースの認証設定に基づいて自動的に調整されます。例えば、クラスターが IAM 認証を使用している場合、生成されたコードスニペットはトークンベースの認証を使用してデータベースに接続します。コンソールエクスペリエンスには統合された CloudShell アクセスも含まれているため、RDS コンソール内からデータベースに直接接続できます。 次に、AWS でのセキュリティと認証方法に関する 3 つのニュース記事を見つけました。 AWS ビルダー ID が「Apple でサインイン」のサポートを開始: AWS ビルダー ID は、AWS Builder Center、AWS トレーニングと認定、AWS re:Post、AWS スタートアップ、Kiro などの AWS アプリケーションにアクセスするためのプロファイルです。この ID が、ソーシャルログインプロバイダーとしての Apple でのサインインをサポートするようになりました。サインインオプションの拡張は既存の「Google でログイン」機能を踏まえたもので、AWS で別個の認証情報を管理しなくても AWS リソースにアクセスできる効率的な手段を Apple ユーザーに提供します。 AWS STS が Google、GitHub、CircleCI、OCI からの特定のアイデンティティプロバイダー固有のクレームの検証をサポート: これらのカスタムクレームを IAM ロール信頼ポリシーとリソースコントロールポリシーの条件キーとして参照できるようになりました。これは、フェデレーションアイデンティティにきめ細かなアクセス制御を実装する能力を拡大するとともに、データ境界の確立にも役立ちます。この機能強化は、OIDC 互換の外部アイデンティティプロバイダー経由で認証されたユーザーに一時的な AWS 認証情報を付与できる、IAM の既存の OIDC フェデレーション機能を基盤としています。 AWS マネジメントコンソールがアカウントの特定を容易にするためのアカウント名をナビゲーションバーに表示: アカウントを一目で簡単に特定できるようになりました。今後は、アカウント内のすべての承認済みユーザーに表示されるナビゲーションバー上のアカウント名を使用して、アカウントを視覚的にすばやく区別できます。 Amazon CloudFront がオリジンに対する相互 TLS 認証サポートを発表: オリジン mTLS サポートにより、運用上の負担を排除する、標準化された証明書ベースの認証アプローチを実装できるようになりました。この機能は、組織が独自のコンテンツに厳格な認証を適用できるようにすることで、検証済みの CloudFront ディストリビューション以外は AWS オリジンとオンプレミスサーバーからサードパーティークラウドプロバイダーと外部 CDN におよぶバックエンドインフラストラクチャへの接続を確立できないようにします。 最後は AI 関連のニュースです。こうしたニュースを聞かない週はありません。 Amazon Bedrock が Claude Opus 4.6 の提供を開始: Opus 4.6 は、Anthropic 史上最高のインテリジェンスを備えたモデルであり、コーディング、エンタープライズエージェント、専門的業務のためのプレミアモデルです。Claude Opus 4.6 は、エージェンティックタスク、複雑なコーディングプロジェクト、深層推論と信頼性を必要とするエンタープライズグレードのワークフローのための業界トップクラスのパフォーマンスを含めた高度な機能性を Amazon Bedrock のお客様に提供します。 Amazon Bedrock が構造化出力の提供を開始: Amazon Bedrock が構造化出力のサポートを開始しました。これは、基盤モデルからユーザー定義の JSON スキーマに準拠した一貫性のある機械読み取り可能な応答を提供する機能です。プロンプトで有効な JSON を指定したり、アプリケーションで追加のチェックを行ったりする代わりに、必要な形式を指定して、その形式に合った応答を受け取ることができるため、プロダクションワークフローの予測可能性とレジリエンシーが向上します。 今後の AWS イベント カレンダーを確認して、近日開催予定のイベントにサインアップしましょう。 AWS Community Day Romania (2026 年 4 月 23~24 日): このコミュニティ主導の AWS イベントでは、AWS ヒーロー、ソリューションアーキテクト、および業界エキスパートによる 10 を超えるプロフェッショナルセッションのために、開発者、アーキテクト、起業家、学生が一堂に会します。参加者は、エキスパートによるテクニカルトーク、世界的なカンファレンスで経験を積んだ講演者からのインサイト、参加者だけのネットワーキングブレイクでつながる機会を得られ、これらのすべてがコラボレーションとコミュニティエンゲージメントをサポートするために設計されたプレミアム会場で行われます。 このイベント外でもつながりを維持する方法をお探しの場合は、 AWS Builder Center に参加して、AWS コミュニティのビルダーとともに学び、構築し、つながりましょう。 2026 年 2 月 16 日週の Weekly Roundup もお楽しみに! – seb 原文は こちら です。
みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの稲田です。 2026 年 1 月 22 日〜23 日の 2 日間、AWS Loft Tokyo にて「合同 AI-DLC Unicorn Gym」を開催しました。日立産業制御ソリューションズ、三菱電機ビルソリューションズ、パナソニックエレクトリックワークス、DNP、TOPPAN、すかいらーく、JR東海、JTB、アルプスアルパイン、第一三共、しまうまプリント(順不同)の 11 社から計 87 名のエンジニア・ビジネスパーソンが集まり、AI による開発プロセスの変革を体験していただきました。 AI 駆動開発ライフサイクル (AI-Driven Development Lifecycle, AI-DLC) とは AI 駆動開発ライフサイクル (AI-Driven Development Lifecycle, AI-DLC) は、AI を開発プロセスの中心に据えた新しい開発手法です。従来のソフトウェア開発手法は人間主導の長期的なプロセスとして設計されており、計画や会議などの本質的ではない活動に多くの時間が費やされてきました。AI をアシスタントとして単純に後付けするだけでは、その能力を制約し、時代遅れの非効率性を助長することにもなりかねません。 AI-DLC では「AI が実行し人間が監視する」というアプローチを取ります。AI が体系的に詳細な作業計画を作成し、積極的に意図のすり合わせとガイダンスを求め、重要な決定は人間に委ねます。ビジネス要件の文脈的理解と知識を持つのは人間だからです。そして、チームはリアルタイムでの問題解決、創造的思考、迅速な意思決定のために協力します。この孤立した作業から活気のあるチーム作業への転換が、イノベーションと成果物の提供を加速させます。 2 日間で何が起きたか 各社はエンジニア 4〜6 名、ビジネスサイド 2 名の計 6〜8 名でチームを構成して参加しました。ビジネスとエンジニアが一体となって取り組むことが、AI-DLC の効果を最大化するポイントです。 1 日目は「Inception(開始)」フェーズ。午前中は AI-DLC の概要説明とチーム編成を行い、午後から本格的に Inception に取り組みました。各社が持ち寄ったテーマについて、AI がビジネス意図を詳細な要件、ストーリー、ユニットに変換していきます。これを「モブエラボレーション」と呼ばれる形式で進め、チーム全体が AI の質問や提案を積極的に検証しました。ビジネス担当者とエンジニアが同じ画面を見ながら議論することで、「何を作るのか」についての共通理解が深まっていきました。 *エラボレーション(精緻化): 学習中の新しい情報を既存の知識と関連付けていくことで、新たにインプットしている情報に詳細を付け加えていくプロセスのことです。エラボレーションのプロセスでは What (何を) 学習しているかよりも、学習中のトピックの背後にある How (どのように) や Why (なぜ) により重きを置きます。 第一三共チームの開発風景 2 日目は「Construction(構築)」フェーズ。朝から夕方まで集中的に実装に取り組みます。前日に固めた要件をもとに、AI が設計、コード、テストを提案します。「モブコンストラクション」を通じて、チームが技術的決定とアーキテクチャの選択についてリアルタイムで明確化していきました。17 時からは各社が成果を発表し、2 日間の学びを共有しました。発表会の後は懇親会。異なる業界のエンジニア同士が、AI 駆動開発の可能性について熱く語り合う姿が印象的でした。 三菱電機ビルソリューションズチームの開発風景 参加者が達成したこと 2 日間のワークショップで、数週間から数ヶ月を想定していた開発を完了させる成果が生まれました。 ある企業は IT 資産管理システムの開発に取り組み、フロントエンド、バックエンド、ダッシュボード構築を並行して進め、AWS 環境へのデプロイまで完了。当初 8 週間を想定していた開発が 2 日間で完了しました。 別の企業は、行動変容を促すサービスの PoC 用アプリケーションを開発。認証、アカウント登録、データ収集、通知機能を含む Web アプリを 2 日間で構築しました。 IoT センサデータを分析するクラウドシステムに取り組んだ企業は、UI とバックエンド API の連携まで 2 日間で完了。当初 6 ヶ月を想定していた内容でした。 金融機関向けシステムの更改に取り組んだ企業では、「要件定義のドキュメント化に 1 ヶ月近く、10 人弱で会議を重ねていた工程が、6 人で 2 日間に短縮された」という声がありました。 特筆すべきは、ある企業の部長職の方が 2 日間フルで参加し、自ら AI ツールをインストールしてプロダクト開発に取り組んだ事例です。マネジメント層が現場と同じ体験を共有することで、AI 駆動開発の価値を実感として理解できたと語っていました。 パナソニックエレクトリックワークスチームの開発風景 参加者の声 「システム開発に産業革命のような大きなインパクトを与えると感じた」 「パラダイムシフトを感じることができました」 「ビジネスサイドとの密なコミュニケーションで手戻りが大幅に減少した」 「会話を中心にプロジェクトを進めることが新鮮で、とても楽しく学びのある研修になりました」 イベント後のアンケートでは、満足度は 5 点満点中 4.56 点、98.8% の参加者が肯定的な評価を寄せました。そして 92.5% が継続的なフォローアップを希望しており、この 2 日間が「終わり」ではなく「始まり」として受け止められたことがわかります。 一方で、実務適用に向けた課題も見えてきました。最も多く挙がったのはセキュリティ・コンプライアンスに関する懸念です。社内のセキュリティ統制や、個人情報・機密情報の取り扱いをどうするか。また、既存の社内制度や承認プロセスとの整合をどう取るかという声もありました。AI が生成したコードのレビュー体制についても、「レビューする側の知識が追いつかない」という指摘がありました。これらは AI-DLC の導入が単なる技術導入ではなく、組織文化と制度の変革を伴うものであることを示しています。 しまうまプリントチームの開発風景 これからの展開 AI-DLC は AI をうまく使うための方法ではありません。多くのお客様が語っている通り、AI-DLC は AI によって人と人のコミュニケーションをより活発に、円滑にします。これまでのソフトウェア開発において、最もボトルネックになっていたのは人間同士の認識合わせ、見解の調整とそのための準備(認識合わせのための詳細なドキュメンテーションや断続的な複数の会議、複数回のレビューによるゲートウェイなど)でした。これは、人間がアウトプットを担当する限り、書類などの準備にかかる時間があるために解決できない問題でした。AI はこれを変革します。AI のアウトプットの速さは関係者を一か所に集めた上でその場で意思決定のためのアウトプットを作成することを可能にします。これによって、ボトルネックが解消し、チームの意思決定の速度が劇的に向上します。 AI-DLC は特定のツールに依存した方法論ではないことも重要です。AI ツールの進化は早くそれはこれからより加速するでしょう。1 年後に皆さんがどのような AI ツールを利用しているかは誰にも予想できません。しかし、ツールだけでは真の課題は解決できないこともわかっています。AI による変革を実現するためにはみなさんの働き方そのものを変える必要があります。AI-DLC はウォーターフォールやアジャイルのようなソフトウェア開発の方法論を update し AI による変革を実現するためのガイドラインです。 今回の合同 AI-DLC Unicorn Gym をきっかけに多くの参加企業の方々がそれぞれの企業の文化やビジネスに合った形でのAIによる開発方法の変革を実現されると信じています。AWSはこれからもそれを支援し、また業界全体の発展のためにもそれぞれの発見や学びを共有できる機会を提供していきたいと考えています。 AI-DLC に興味を持たれた方は、ぜひ aidlc-workflows をチェックしてみてください。Kiro を使って AI-DLC を始めるためのワークフローやテンプレートが公開されています。























