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みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの戸塚です。今週も 週刊AWS をお届けします。 さて、みなさんはゴールデンウィークのご予定はお決まりでしょうか。今年は長期休暇にされる方も多いようですね。私はというと、6月24日・25日に幕張メッセで開催される AWS Summit の準備があり、飛び石連休をつなげての長期休暇は取れそうにありません。その代わり、趣味のパデルの大会にいくつかエントリーしているので、そこでリフレッシュしようと思っています。 AWS Summit では、パデルのフォームを VR で計測できる展示を予定しており、現在鋭意開発中です。VR の世界観も AI を活用して実現しており、日々多くの学びがあります。また、スマートグラスや音声を活用した業務効率化アプリも開発中で、そちらもご体験いただけます。ぜひご来場ください。 それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。 2026年4月20日週の主要なアップデート 4/20(月) Amazon CloudWatch Logs Insights が JOIN およびサブクエリコマンドを導入 Amazon CloudWatch Logs Insights で JOIN とサブクエリコマンドが利用可能になりました。これまで複数のロググループをまたいだ分析では、複数のクエリを実行して手動で結果を組み合わせる必要がありましたが、今回のアップデートで 1 つのクエリで完結できるようになりました。例えば、エラーが多いサービスを特定するサブクエリと、パフォーマンスデータを持つ別のロググループを JOIN することで、エラー頻度と応答時間を同時に分析し、優先対応すべきサービスを効率的に特定できます。詳細は こちらのドキュメントをご参照ください。 Amazon DocumentDB (MongoDB 互換) がバージョン 5.0 から 8.0 へのインプレースアップグレードをサポート Amazon DocumentDB で、バージョン 5.0 から 8.0 へのインプレースアップグレードが可能になりました。従来はクラスタを新規作成する必要がありましたが、今回のアップデートでクリック数回の操作だけでアップグレードできます。バージョン 8.0 ではクエリ処理が最大 7 倍高速化され、ストレージ圧縮も最大 5 倍向上するため、アプリケーションの応答速度改善とコスト削減を同時に実現できます。詳細は こちらのドキュメントをご参照ください。 4/21(火) AWS Lambda Durable Execution SDK for Java 一般提供開始 AWS Lambda Durable Execution SDK for Java が一般提供開始されました。Java 開発者が Lambda で長時間実行されるワークフローを構築できるようになります。注文処理パイプラインや AI エージェント連携、承認フローなどを外部サービスなしで作成可能です。実行を最大 1 年間一時停止でき、進捗も自動で保存されます。詳細は こちらの Document をご参照ください。 Amazon Aurora serverless: 最大 30% のパフォーマンス向上、よりスマートなスケーリング、そしてゼロまでのスケールダウンを継続 Amazon Aurora serverless がプラットフォームバージョン 4 で大幅にアップデートされ、最大 30% のパフォーマンス向上と賢いスケーリング機能を実現しました。従来は複数のタスクが同時実行される際にリソース競合が発生しやすかったビジネス用 Web アプリケーションや API サービスでも、効率的に動作するようになりました。特にエージェント型 AI アプリケーションのように、活動が集中する時間と長時間のアイドル状態が不規則に発生するワークロードに最適で、使用量に応じた自動スケーリングにより無駄なコストを削減できます。詳細は こちらの Blog 記事をご参照ください。 AWS Lambda 関数で Amazon S3 バケットを S3 Files によりファイルシステムとしてマウント可能に AWS Lambda で Amazon S3 バケットをファイルシステムとして直接マウントできる S3 Files 機能が提供開始されました。従来はデータ処理のためにオブジェクトをダウンロードする必要がありましたが、今回のアップデートによりファイル操作が直接可能になります。複数の Lambda 関数が同じファイルシステムに同時接続でき、AI や機械学習のワークフローでデータ共有が簡単になります。詳細は こちらの Blog 記事をご参照ください。 ハイブリッド Kubernetes ネットワーキング向け Amazon EKS Hybrid Nodes ゲートウェイの紹介 Amazon EKS で Hybrid Nodes gateway が提供開始されました。この機能により、クラウドとオンプレミス環境を跨ぐハイブリッド Kubernetes ネットワークが自動化されます。従来は複雑なルーティング設定やネットワークチームとの調整が必要でしたが、これらが不要になります。pod 間通信や AWS サービスとの接続も自動で処理され、EC2 インスタンスに Helm でデプロイするだけで利用できます。中国リージョン以外で追加料金なしで利用可能です。詳細は こちらのドキュメントをご参照ください。 4/22(水) Amazon Bedrock AgentCore が開発者のエージェント構築を高速化する新機能を追加 Amazon Bedrock AgentCore に新機能が追加され、AI エージェント開発が大幅に簡単になりました。新しい managed harness (プレビュー) により、従来必要だったオーケストレーションコードを書かずに、モデルとプロンプト、ツールを指定するだけでエージェントを即座に実行できます。セッション途中でのモデル変更や、タスクの中断・再開も可能で、プロトタイプから本格運用まで一貫してサポートします。追加料金は発生せず、オレゴン、バージニア北部、フランクフルト、シドニーの 4 リージョンで利用可能です。詳細は こちらの Blog 記事をご参照ください。 AWS Secrets Manager が MongoDB Atlas と Confluent Cloud への管理対象外部シークレット機能を拡張 AWS Secrets Manager が MongoDB Atlas と Confluent Cloud の外部シークレット管理に対応しました。従来は各サービスの認証情報を自動ローテーションするために Lambda 関数を自作する必要がありましたが、今回のアップデートで AWS が提供する機能だけで実現できるようになりました。データベースと Kafka を組み合わせたデータパイプラインなどで、複数のサービスのシークレットを一元管理し、運用負荷を大幅に削減できます。詳細は こちらのドキュメントをご参照ください。 Amazon ECS マネージドインスタンス向け GPU ヘルスモニタリングと自動修復機能の導入 Amazon ECS Managed Instances で NVIDIA GPU の健康監視と自動修復機能が提供開始されました。GenAI 推論などの GPU ワークロードでハードウェア故障が発生した際、自動的に故障を検知して問題のあるインスタンスを交換します。これまで GPU 故障時は手動での対応が必要でしたが、この機能により可用性が大幅に向上します。NVIDIA DCGM を使用して継続的に監視し、EventBridge 経由で通知も可能です。対応する NVIDIA GPU インスタンスタイプで追加料金なしで利用できます。詳細は こちらのドキュメントをご参照ください。 4/23(木) Amazon Redshift が Apache Iceberg テーブルに対する UPDATE、DELETE、MERGE をサポート Amazon Redshift で Apache Iceberg テーブルに対する UPDATE、DELETE、MERGE 操作がサポートされました。これまで Iceberg テーブルの個別行を修正するには外部エンジンが必要でしたが、今回のアップデートにより Redshift から直接データ操作が可能になります。データパイプラインの複雑さや遅延を削減でき、変更データキャプチャや緩やかに変化するディメンションなどの一般的なデータ統合パターンで活用できます。詳細は こちらのドキュメントをご参照ください。 AWS Client VPN が AWS Transit Gateway とのネイティブ統合をサポート AWS Client VPN が AWS Transit Gateway とのネイティブ統合をサポートしました。これまで複数の VPC にリモートアクセスするには中間 VPC の管理が必要でしたが、今回のアップデートで不要になり運用が大幅に簡素化されます。さらにエンドユーザーの IP アドレスが保持されるため、セキュリティ監査やトラブルシューティングが容易になります。詳細は こちらのドキュメントをご参照ください。 Amazon Athena がマネージドコネクタでフェデレーテッドクエリを簡素化 Amazon Athena で DynamoDB や PostgreSQL、MySQL、Snowflake など 12 のデータソースに対するマネージド コネクタが提供開始されました。従来は S3 以外のデータをクエリするためにコネクタリソースのデプロイや管理が必要でしたが、マネージド コネクタにより Athena が自動でセットアップと管理を行うため、この手間が不要になりました。データを移動することなく、複数のデータソースを横断してクエリできるため、分析作業が大幅に効率化されます。詳細は こちらのドキュメントをご参照ください。 4/24(金) Amazon Connect が AI エージェントのパフォーマンスを測定・改善するための 8 つの新しいメトリクスを提供開始 Amazon Connect で AI エージェントの性能を測定する 8 つの新しいメトリクスが利用可能になりました。ゴール成功率や忠実度スコア、ツール選択精度などを通じて、AI が顧客の問い合わせを正しく解決できているかを詳細に分析できます。従来は AI エージェントの品質評価が困難でしたが、今回のアップデートで定量的な改善が可能になります。専用ダッシュボードや API を通じてデータにアクセスでき、カスタマーサポートの質向上に活用できます。詳細は こちらのドキュメントをご参照ください。 Amazon Bedrock AgentCore Gateway と Identity が VPC egress をサポート Amazon Bedrock AgentCore Gateway と Identity が VPC egress をサポートし、プライベートネットワーク内のリソースと安全に通信できるようになりました。従来は外部からアクセスできないプライベート環境のリソース呼び出しが困難でしたが、今回のアップデートにより EKS 上の MCP サーバーなどを直接利用可能になります。マネージド設定で簡単に開始でき、複雑な要件には自己管理も選択できます。東京リージョンを含む 14 リージョンで利用可能です。 詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。 Amazon Q がワークフォースインテリジェンスのための Visier の Vee エージェントと統合 Amazon Quick が Visier の AI アシスタント Vee と統合されました。これにより HR や財務担当者が Amazon Quick 内で直接人事データにアクセスできるようになります。従来はツールを切り替える必要がありましたが、今回のアップデートで自然言語による質問で人員数や離職率などの情報を瞬時に取得可能です。詳細は こちらの Blog 記事をご参照ください。 それでは、また来週お会いしましょう! 著者について 戸塚 智哉(Tomoya Tozuka) / @tottu22 飲食やフィットネス、ホテル業界全般のお客様をご支援しているソリューション アーキテクトで、AI/ML、IoT を得意としています。最近では AWS を活用したサステナビリティについてお客様に訴求することが多いです。 趣味は、パデルというスペイン発祥のスポーツで、休日は仲間とよく大会に出ています。
G-gen の高宮です。当記事は、Google Cloud Next '26 in Las Vegas の1日目に行われたブレイクアウトセッション「 Transform cloud operations and management with generative AI 」のレポートです。 G-gen Tech Blog では、現地でイベントに参加したメンバーや、日本から情報をウォッチするメンバーが、Google Cloud Next '26 に関連する記事を発信します。 blog.g-gen.co.jp セッションの概要 ソフトウェア開発の加速と運用側の課題 Gemini Cloud Assist の進化 Gemini Cloud Assist の新しい特徴 エージェントの内部構造 プロアクティブなエージェントと自律化 MCP サーバーによるエコシステム連携 Gemini Cloud Assist を用いたデモ 1. ホリデーセールを想定した負荷テスト環境の構築 2. 既存環境のコンテキスト理解とプロビジョニング 3. 稼働状況の確認と調査の提案 4. インフラとアプリケーションコードの統合分析 5. 修復プランの提示と実行 Replit 社における活用事例 セッションの概要 本セッションでは、Google の Deepak Kallakuri 氏(Group Product Manager)、 Mark Church 氏(Group Product Manager)、そして Replit 社の Scott Kennedy 氏(VP of Engineering)が登壇しました。 セッションでは、生成 AI の普及によって爆発的に増加するアプリケーションを管理するために、 Gemini Cloud Assist がどのように進化し、プロアクティブかつ自律的なクラウド運用を実現するのかについて、デモを交えて紹介されました。 ソフトウェア開発の加速と運用側の課題 生成 AI とエージェントの登場により、ソフトウェア開発の障壁が下がり、かつてないスピードで新しいソフトウェアが生み出されています。しかし、その裏側で運用チームは、急速に開発されるアプリケーションを安全かつ確実にデプロイし、管理するという課題に直面しています。 生成 AI やエージェントを使用して開発されたアプリケーションには、従来のマニュアルが通用しない課題(品質、トレース、ハードウェア要件など)があります。 Gemini Cloud Assist を使用して運用チームがこの状況を解決するためには、単なる「対話型のエージェント」以上の、ワークフローを自動化するエンタープライズグレードの「自律的なエージェント」が必要であると語られました。 Gemini Cloud Assist の進化 Gemini Cloud Assist の新しい特徴 Gemini Cloud Assist はマニュアルなワークフローから、プロアクティブなクラウドライフサイクル管理へと進化しました。主な強化ポイントは以下の通りです。 カテゴリ 概要 詳細・特徴 Design & Deploy インフラ設計とデプロイ Terraform における YAML を用いたインテント駆動型設計。セキュリティ設計。 Operate & Manage リソース操作の代行 gcloud と kubectl、bq コマンドの連携。Human-in-the-Loop を伴うコマンドの実行。 Investigate 調査・トラブルシューティング プロアクティブな調査。サポートケースの作成と引継ぎ。 Optimize コストの分析と最適化 プロアクティブなコスト分析。コスト異常の検出。 参考 : Gemini Cloud Assist overview 参考 : Gemini Cloud Assist Investigationsを解説。AIエージェントでトラブルシューティング - G-gen Tech Blog エージェントの内部構造 Gemini Cloud Assist を支えるエージェントの内部構造として、大きく以下の3つの要素が追加・強化されたことが解説されました。 機能 概要 詳細・特徴 Reasoning loop 推論ループ ユーザーのプロンプトや解決すべき課題について推論し、ツールの呼び出しを実行。以前の実行結果に基づいて次の呼び出しを調整し、複雑なトラブルシューティングの際には複数の推論ループを並行して実行することが可能。 Agent Session History エージェントのセッション履歴 ユーザーのセッションを理解し、コンソール画面やプロジェクト内のリソースからコンテキストを取得。 Long-term memory 長期記憶 環境やユーザーの好みを長期的に学習することで、時間の経過とともにより的確な回答を返すように進化。 プロアクティブなエージェントと自律化 Proactive agents は、アラートが発生した際にエージェントが自律的に調査を開始する機能です。これまではアラートが発生してから人間が調査を開始していましたが、この機能により、深夜にアラートが発生しても、エージェントが自動的に関連するアラートをグループ化し、調査を実行して根本原因と修正案を作成しておきます。運用担当者が確認したときには、すでに解決の準備が整っているという、プロアクティブな運用への転換を実現します。 参考 : Set up Proactive Mode 参考 : Automate actions based on Proactive Agent results MCP サーバーによるエコシステム連携 Gemini Cloud Assist が Model Context Protocol (以下、 MCP )をサポートしました。これにより、 Gemini CLI や Claude Code 、あるいは自作のカスタムエージェントから、 Gemini Cloud Assist の調査機能やコスト分析機能をツールとして呼び出せるようになります。Google Cloud の専門知識を持つエージェントの能力を、既存の開発ワークフローにシームレスに組み込むことが可能です。 参考 : Integrate Gemini Cloud Assist with third-party tools using MCP 参考 : MCP Reference: geminicloudassist.googleapis.com 参考 : Google Cloud MCP Serversを解説 - G-gen Tech Blog Gemini Cloud Assist を用いたデモ 1. ホリデーセールを想定した負荷テスト環境の構築 セッションでは、強化された各機能を活用し、チャットアプリケーションの負荷テスト環境の構築から、それに伴う障害の調査と解決までを一気通貫で行うデモが披露されました。 デモのシナリオとして、チャットベースのアプリケーション(Chatly)に対してホリデーセールをシミュレーションするために、擬似的にトラフィックを生成するジェネレータを追加する状況が示されました。 Gemini Cloud Assist に対して、自然言語で「トラフィックジェネレータを追加して」と指示を出します。 2. 既存環境のコンテキスト理解とプロビジョニング 指示を受けたエージェントは、プロジェクト内の既存リソースの状態を理解し、必要なインフラ構成を推論します。この際、すでに別のトラフィックジェネレータが存在していることを検知すると、「すでに存在しますが、新しく作成しますか? それとも更新しますか?」とユーザーに確認を求めました。 これは、エージェントが単に指示を実行するだけでなく、環境のコンテキストを理解して重複作業を回避する能力を示しています。運用担当者が実行を承認( Human-in-the-loop )すると、エージェントがユーザーの権限を代理行使してトラフィックジェネレータをデプロイしました。 3. 稼働状況の確認と調査の提案 負荷テストの実行後、アプリケーションのトラフィック、レイテンシ、エラー率などを尋ねると、エージェントは Cloud Monitoring などから情報を収集し、それらを包括的に提示しました。ロードバランサから 503 エラーが返され、レイテンシが悪化していることを検知したエージェントは、自発的に「詳細な調査を実行しましょうか?」とユーザーに提案し、トラブルシューティングのフェーズへとスムーズに移行しました。 4. インフラとアプリケーションコードの統合分析 デモ環境は、フロントエンドおよびバックエンドの Cloud Run と、永続化層の Cloud SQL で構成される3層アプリケーションです。 Gemini Cloud Assist が調査を開始すると、複数の仮説を並行して検証しました。高い CPU 使用率や、ログに出力された OOM(Out of Memory)メッセージなどのインフラストラクチャのシグナルを収集します。 さらに、ソースコードのデプロイメントと連携し、アプリケーションのコードベースまで踏み込んだ調査を行いました。結果として、「アプリケーションコード内に、150万個の辞書オブジェクトを生成する非効率なループ処理が存在し、それが設定されたメモリ上限を超過させている」という根本原因を特定しました。 5. 修復プランの提示と実行 開発チームにコードの修正を依頼してデプロイを待つ間にもシステムを復旧させるため、 Gemini Cloud Assist は暫定的な修復プランとして「 Cloud Run のメモリ割り当てを 2GB に増やす」ことを提案しました。運用担当者が提案内容を確認し、実行を承認すると、エージェントが迅速に設定を変更し、障害を解消させました。 Replit 社における活用事例 Replit 社の Scott Kennedy 氏からは、同社のプラットフォーム上で稼働する 120 万以上の公開アプリを支えるために AI がいかに不可欠であるかが語られました。 Replit では、ユーザーがアプリを公開した後に直面する「運用の罠(コスト、信頼性、セキュリティの不安)」を解決するために、 Gemini Cloud Assist を活用しています。ワンクリックで稼働状況の調査、原因特定、そして修正の適用までを自律的に行える環境を構築しています。将来的には、AI が第 1 次オンコール担当となり、人間はより複雑なアーキテクチャの設計に集中できるようになると展望を述べました。 高宮 怜 (記事一覧) クラウドソリューション部クラウドエクスプローラ課 2025年6月より、G-genにジョイン。前職は四国のSIerで電力、製造業系のお客様に対して、PM/APエンジニアとして、要件定義から運用保守まで全工程を担当。現在はGoogle Cloudを学びながら、フルスタックエンジニアを目指してクラウドエンジニアとしてのスキルを習得中。 Follow @Ggen_RTakamiya
G-gen の山崎です。当記事は、Google Cloud Next '26 in Las Vegas の3日目に行われたライトニングトークセッション「 Humanoid robots in pediatric care 」のレポートです。 G-gen Tech Blog では、現地でイベントに参加したメンバーや、日本から情報をウォッチするメンバーが、Google Cloud Next '26 に関連する記事を発信します。 blog.g-gen.co.jp セッションの概要 現在の高齢化社会における課題 ケアワーカーの人員不足 小児医療の現場における課題 高齢者介護の現場における課題 ヒューマノイドロボット Miroki の特徴 人中心のデザインと導入要件 ハードウェアインターフェースと安全性 医療および介護現場での導入事例 小児医療での利用 高齢者介護施設での利用 Google の AI 技術との統合 質疑応答 質問1 : 物理的な力が必要なタスクへの対応 質問2 : 感情の知覚 質問3 : ロボットのデザイン 質問4 : システム構築における課題 ブースでの実機レポート セッションの概要 Enchanted Tools 社の Firas Farraj 氏により、小児医療および高齢者介護の現場で活躍するヒューマノイドロボット「 Miroki 」と Google の AI 技術との統合について紹介されました。 現在の高齢化社会における課題 ケアワーカーの人員不足 現在の高齢化社会において、介護および医療業界は深刻な負担を強いられています。 高齢者、子供をケアするケアワーカー(介護・医療従事者)への負担は増大し続けており、2030年までに世界中で現在より 2,000万人 のケアワーカーが必要になると予測されています。 施設は人材の採用に苦労しており、人員不足の解決が急務となっています。 小児医療の現場における課題 小児医療の現場に目を向けると、毎年 40万人 の子供たちががんと診断されており、そのうちの 3分の1以上 が放射線治療を必要としています。 これまで経験したことのない新しい状況と慣れない環境での治療は、子供たちに大きな恐怖を与えます。 彼らには、時間をかけてそばに寄り添い、守ってくれるケアワーカーの存在が必要です。しかし、ケアワーカーは日々の膨大な業務に追われており、一人ひとりの子供に対して十分な時間を割くことは困難です。 高齢者介護の現場における課題 高齢者介護の現場においても状況は同様であり、高齢者介護施設のスタッフは毎年 40% が離職しているという事実が示されました。この高い離職率は、施設運営における知識の喪失や採用コストの増加など、ビジネスにとって非常に厳しい影響を及ぼします。 このような業界の課題を解決するため、ロボットが実行可能なタスクを担い、ケアワーカーを支援するアプローチが求められています。 ヒューマノイドロボット Miroki の特徴 人中心のデザインと導入要件 Enchanted Tools 社が開発しているヒューマノイドロボット Miroki は、これまでの産業用ロボットとは全く異なるコンセプトで設計されています。Firas Farraj 氏は、人の生活空間にロボットを導入するためには、以下の3つの要素が不可欠であると述べました。 信頼(Trusted) ロボットが常に安全に稼働し、100%の確率でタスクを遂行する。 有用性(Useful) 単に見た目が良いだけでなく、実際に現場で役立つ機能を持っている。 愛着(Loved) 利用者が「そばにいてほしい」と感じるデザインである。 もしロボットが威圧的なデザインや、70 kg もある巨大な機械であった場合、子供や高齢者のそばに置いておきたいと思う人は多くありません。 そのため Miroki は、魅力的で親しみやすいキャラクターとしてデザインされています。単なる実用性だけでなく、人を中心とした環境においては感情的なつながりを作り出すことが必要です。 ハードウェアインターフェースと安全性 ロボットが環境内のあらゆる物体を100%の成功率で操作することは、2026年4月現在のロボット工学の技術レベルにおいては困難です。 この課題を解決し、ロボットに何ができて何ができないかを利用者に明確に伝えるため、Enchanted Tools 社はロボット専用のハンドルとアクセサリーのエコシステムを開発しました。 Miroki は、この専用ハンドルが取り付けられた物体のみを安全に操作できるように設計されています。これにより、利用者はハンドルの有無を見るだけで、Miroki ができることを直感的に理解できます。 また、特殊な移動システムを採用しており、柔軟かつ静音性が高く、人のすぐそばで安全に稼働できるように設計されています。 医療および介護現場での導入事例 小児医療での利用 フランスのモンペリエにあるがん研究所では、小児がんの放射線治療において Miroki が導入されています。放射線治療室は地下壕のような構造になっており、治療中は患者以外は立ち入ることができません。治療自体に痛みはありませんが、巨大な機械が患者の周囲を動き回る空間は、子供たちにとって非常に恐ろしいものです。 これまで、恐怖心を和らげるために子供たちには事前に鎮静剤が投与されていました。そのため、本来は 10分 で済む治療プロセスが 1時間以上 かかっていました。 現在では、事前に子供と Miroki の間に関係性を築いた上で、治療室に Miroki が同席する取り組みが行われています。Miroki がそばにいることで子供たちは安心し、鎮静剤を使用せずに治療を受けることができるようになりました。この結果、1回のセッション時間が 50分 から 25分 へと半減し、同じ時間枠で2倍の数の子供たちをケアできるようになりました。 高齢者介護施設での利用 高齢者介護の環境において、Miroki はケアワーカーの業務を多角的に支援しています。具体的なタスクとしては、受付、高齢者向けの朝の体操の進行、記憶力ゲームの実施、食事トレイの運搬補助、グループ活動全般の支援などです。 Miroki がこれらの業務をサポートし、スタッフに寄り添うことで、スタッフと入居者双方の生活の質を向上させています。初期の導入結果では、スタッフと入居者の間で 80% の満足度が得られています。スタッフの満足度を高く保つことは定着率の向上につながり、課題である40%という高い離職率を低下させるための重要な要素です。 Google の AI 技術との統合 Enchanted Tools 社は、Google DeepMind 社と緊密に連携し、ロボットのアーキテクチャに Gemini を統合しています。 参考 : Google DeepMind 音声認識および対話機能には Gemini Live の音声機能が使用されており、自然なコミュニケーションを実現しています。また、周囲の環境を認識し理解する機能には Gemini Robotics が使用されています。 参考 : Gemini Live 参考 : Gemini Robotics セッション内のデモ動画では、利用者が「メガネをなくしてしまった」と伝えると、Miroki がエリアをスキャンしてメガネを発見し、さらに本を読むための居心地の良い場所を提案する様子が紹介されました。音声だけでなく状況を視覚的に捉え、複数のタスクを連続して支援する能力が示されました。 質疑応答 本セッションの後半では、参加者と登壇者による質疑応答が行われました。 質問1 : 物理的な力が必要なタスクへの対応 質問 高齢者介護において、患者や入居者を持ち上げたり移動させたりするような、物理的な力が必要なタスクへの対応はどのようになっているか。 回答 2026年4月現在、まだその段階には到達していないが、現在の技術の加速を考慮すると、2〜3年のタイムラインで物理的タスクにも対応できるようになると予測している。技術の進歩に合わせてケアワーカーを全面的に支援できるように機能を拡張していく方針だ。 質問2 : 感情の知覚 質問 誰かが怒っている、悲しんでいるといった感情の知覚についてどこまで進んでいるのか。 回答 感情の検出には、視覚分析、声のトーンや表現方法の分析、そして発話されるテキストの分析という3つのモダリティを使用している。Gemini のマルチモーダル機能により、人が感情を表現している場合は十分に把握可能となる。人が感情を表現していない場合は、非言語的なシグナルを読み取る必要があるため、難易度が高い。 質問3 : ロボットのデザイン 質問 なぜロボットがキツネのような見た目をしているのか。 回答 ロボットのデザインを人の外見に近づけすぎてしまうと、人ができることはすべてできるはずだと利用者が認識する可能性があるため、人とペットの中間のような、これまでにない新しいキャラクターをデザインした。 質問4 : システム構築における課題 質問 システムに Gemini を組み込むことによって直面した課題はあるか。 回答 Google DeepMind 社の素晴らしい働きにより、モデルのパフォーマンスに関する課題は発生していない。一方で、モデルをクラウド上で実行するため、ネットワークの通信環境が悪い環境下では課題が残っている。将来的にはオフライン環境下においても十分なパフォーマンスを発揮できるようにしたい。 ブースでの実機レポート セッション終了後、会場内の Enchanted Tools 社の展示ブースに立ち寄り、Miroki の実機を見ることができました。 展示ブースでは、スムーズに移動しながら展示ブースに訪れた人々と自然な会話を行う姿を見ることができ、ハードウェアの工夫と AI 技術の統合が実用的なレベルに達しつつあることを感じました。 山崎 曜 (記事一覧) クラウドソリューション部 元は日系大手SIerにて金融の決済領域のお客様に対して、PM/APエンジニアとして、要件定義〜保守運用まで全工程に従事。 Google Cloud Partner Top Engineer 2025 選出。 Google Cloud 全 13 資格保有。 フルスタックな人材を目指し、日々邁進。 Follow @Akira_Yamasakit

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