社内外から優秀なコンサルタントが集結する NECの「DX戦略コンサルティング」の実態に迫る
アーカイブ動画
登壇者プロフィール
川又 健氏
日本電気株式会社
DX戦略コンサルティング事業部
Business Platform統括
エグゼクティブ・コンサルタント・リード
コンサルティングファームにて、オペレーショナル コンサルタントとして業務可視化・改善実行をサポート。シェアードサービスセンターの設立、Pre/Post M&Aで業務統合、自立型改善組織構築、IT組織統合などを実現。 外資生命保険会社にて、Program Directorとしてお客さま向けデジタル戦略の策定・Agile開発、CRMシステムの導入戦略・ガバナンスモデルを構築。
望月 礼氏
日本電気株式会社
DX戦略コンサルティング事業部
Business Platform統括
大手電機メーカーにて、ハードウェアエンジニアとして医療機器の開発・設計や薬事業務支援に従事。その後、コンサルティングファームにて、業務プロセスコンサルタントとして流通・サービス業、製造業等をクライアントとし、BPR支援、全社DX推進のための戦略検討、施策立案、基幹システム刷新のPMO等に従事。2021年4月にNEC入社、IT構想策定、ビジネスプロセスマネジメント推進、データマネジメントの提案を行う。
鬼原 悠二氏
日本電気株式会社
DX戦略コンサルティング事業部
Business Platform統括
コンサルティングファームにて、企業や官公庁に対して業務可視化、システム化構想策定、システム調達支援などに従事。その後、OA機器メーカーにおいてコンサル事業の立ち上げや、ソリューション開発経験を経て、主に大手金融機関、官公庁に対するDX推進支援などに従事。2021年3月よりNECにて、DXオファリングの企画・開発や、SaaSを活用した大規模プロジェクトなどを担当。
中野 麻子氏
日本電気株式会社
DX戦略コンサルティング事業部
Business Platform統括
ソフトウェア開発(制御系、医療検査、ビルセキュリティ)を経て、海外でIT業務に従事。セキュリティベンダにて携帯電話に関するセキュリティソリューションおよび脅威レポートを提供。その後、原子力関連企業にてプロジェクト管理の社内コンサルティングに従事。2021年7月よりNECにて、お客様向けセキュリティコンサルタントとして、OT、ITシステムのセキュリティ領域で、製造業、電力会社などのお客様にセキュリティアセスメント、ポリシー策定、セキュア開発プロセス整備支援などを行っている。
柏崎 亮太氏
日本電気株式会社
DX戦略コンサルティング事業部
Human Resource Business Partner
外資系組織人事コンサルティングファームにてジョブ型人事制度の設計、ビジネスモデル転換に伴う風土改革、管理職登用のアセスメント・フィードバック等に従事したのち、NECに入社。 現在は、デジタルビジネスプラットフォームユニットのHRBPとして人材・組織開発、戦略コンサルティング組織の立ち上げを推進中。
全社横断で事業部との協業でDX戦略コンサルティングを提供
最初に登壇したのは、DX戦略コンサルティング事業部の立ち上げ時期から参画し、現在リードポジションを務める川又健氏。事業部の構成や具体的な提供サービスなどについて、紹介した。「DX戦略コンサルティング組織が発足したのは、2020年です。当初は約10名のメンバーでスタートし、現在は120名ほどの組織に成長しました。大きく6つのスコープでビジネスを進めています。まだまだ成長段階で、今後いい意味で大きく変わろうとしています。」
NECの組織は基本的に顧客に合わせたインダストリー軸でビジネスユニットが構成されている。今回設立されたDX戦略コンサルティング事業部は、インダストリー軸のビジネスユニットを、横断する方で連携している組織であるデジタルビジネスプラットフォームユニットに位置付けられている。
同事業部所属のコンサルタントが、各インダストリー組織に所属するプロフェッショナル、同ユニットに所属するプロフェッショナルと協力しながら、戦略コンサルティングサービスを提供する。その上でお客様にサービスを包括的に提供するのが、NECにおけるコンサルティングの特徴と言える。なお、同ユニットに所属するプロフェッショナルは約1500名にも上る。
また、DX戦略コンサルティングも含め、NECのサービスを社内外共に強く発信するため、「Thought leadership」の業務領域を設けていることも、「これまでのNECにはない動き」だと川又氏は説明した。
NECのDX戦略コンサルティングが提供しているサービスとしては、川又氏は大きく以下3つの要素を挙げた。
- ビジネスプロセス
- テクノロジー
- 組織・人材
「NECの特徴は、幅広い業界・テクノロジー領域での多種多様な経験をもとにしたソリューションを、お客様に提供していることです。メーカーとしての強みにDX戦略コンサルティングをかけ合わせた『DXオファリング』というサービスを提供しています」
オファリングとは、それぞれの業界・テクノロジー・組織や人材ごとにカスタマイズしたDX戦略コンサルティングのことを意味する。また繰り返しになるが、各ビジネスユニットと協力しながら、人材や技術を最適なかたちでデリバリーしていくサービスでもある。
川又氏は、自身が所属するBusiness Platform統括部門の役割についても紹介した。部門名が表すように、DXを効率的に進めていくためのプラットフォーム、組織基盤作りを担っている。
「基盤については、これまでのように各部署それぞれが使いやすいシステムやインフラを用いていた体制から刷新し、共通・標準としています。例えば、データ・マスター管理、API連携、電子署名などです。一方、基盤の上に乗ってくるアプリケーションやシステム、人材などについては、いつでも柔軟に入れ替え可能な状態としておきます。このようなシステム構成とすることで変化の対応に早く、強く、そして多様なサービスが生み出せると考えています」(川又氏)
NECではこのような経営基盤やシステム構成を「コンポーザブル」と標榜し、同社のDX戦略コンサルティングの基本概念としている。そしてこの基本概念を社内外に広く認知してもらうための活動も平行して取り組んでいる。たとえば、同事業部の事業部長である桃谷英樹氏が、2021年12月に上梓した書籍『コンポーザブル経営』(プレジデント社)である。
外資系特有の“軽いノリ”も含め、多様で個性的なメンバーが揃う
続いては川又氏に加え、同じくBusiness Platform統括チームに所属するコンサルタント、望月礼氏、鬼原悠二氏、中野麻子氏の4人によるトークセッションと、同事業部のHRBP(ビジネスパートナー人事)、柏崎亮太氏も交えた質疑応答が行われた。
──入社前に抱いていたNECのイメージや入社のきっかけは?
鬼原:アビームコンサルティングと業務提携している印象が強くありました。しかし転職エージェントから、NEC本体にコンサル部隊を作ることを知り、純粋なコンサルファームと比べて差別化要素があると思い、興味を持ちました。
というのも、前職のコンサルファームでは、上流部分のみ担当することが多かったのですが、NECのコンサルチームは、上流から下流まで一気通貫で担当できる。自社技術も数多く持っていて、ソリューションとして提供できることにも魅力を感じ、入社を決めました。
望月:鬼原さんと同じく、私も前職では上流で関わるプロジェクトが多く、プロジェクトが終わった後は、他部門に引き継がれました。そのため担当した案件に最後まで関われず、その後どうなっているのかとモヤモヤしていました。元々メーカーで働いていたこともあり、自分が携わったプロジェクトがかたちになるところまで携われる仕事に就きたくて、転職を検討することにしました。
ところが事業会社では、社内のDXを推進するコンサルティング業務がほとんど。そうではなく、私は社外にもサービスを発信する組織にこだわっていました。適した先がないかと探していたところ、偶然にもNECからオファーをいただきました。
NECにコンサル部隊があることは知りませんでした。しかし上流から下流まで関わることができ、社外にも発信できるコンサルティングサービスは、まさに私がやりたい仕事だと思い、入社しました。
中野: NECにコンサルティング組織があることを知ったのは、転職エージェントから紹介されたのがきっかけです。ただ私はずっと外資畑なので、日系企業は合わないだろうと思い、最初はお断りしていました。ところが、そのようなタイプが今まさに、NECのコンサルティング組織が求めている人材だとエージェントに言われて、一度話を聞いてみようと思いました。
面接の場にいたのが、川又さんでした。NECのイメージを払拭する、いい意味で外資系キャリア特有の軽いノリを備えた人だったので、一緒にやっていけると考えて、入社を決めました(笑)。
川又:中野さんが言うように、これまでのNECのイメージとはいい意味で違うタイプのメンバーを集めているので、特殊な組織だと言えます。バックグラウンドもさまざまですし、コンサルの経験がないメンバーもいる。7割ほどが中途入社ですが、新卒社員もアサインしているので、若いメンバーもいます。
私がNECに入社したのは、このような新しい組織を立ち上げる仕事を面白そうだと感じたからです。実際、入社時のプロジェクトメンバーは数名だったのが、現在では100名以上にまで成長させました。まだまだ大きくしていこうと意気込んでいます。
──エンジニアからコンサルタントに転職するときに、特別な勉強は必要か?
望月:エンジニアは専門知識が必要でしたが、顧客先に出るような業務はありませんでした。一方、コンサルはクライアントの課題を解決するのが仕事ですから、課題解決能力やコミュニケーション能力が必要です。まわりから教えていただく場もありますが、自分で積極的に勉強することで、知識を身につけてきました。
川又:コンサルティングスキルに加え、NECが持つAIや画像認識といった技術領域についての知識を、該当する専門部門から学ぶことができます。また、現在はコンサルティングの教育プログラム「DOP(DX Organizer Program)研修」も実施しています。
柏崎:DOPは初級編、上級編があり、初級編では本日登壇している外部のコンサルファームから転職してきたメンバー、あるいは社外のアカデミックな講師などを招き、コンサルタントに必要な基本の思考や知識、ビヘイビアを学べる内容となっています。
一方、上級編は実際にクライアントとやり取りをしながらの実地研修。テーマが与えられ、具体的にDX戦略案を立案します。内容がよければ、そのまま案件獲得につながる研修になっています。
上流から下流まで、事業部のエキスパートとサービスを提供
──実際に入社してみて印象の違いや意外だったこと
中野:私が入社したのは2021年の7月。DX戦略コンサルティングチームそのものは新しいものの、NECにおけるセキュリティコンサルティングにおいては長い歴史があり、プロフェッショナルが多い。現在はそのベテランの方たちから、いろいろ学んでいます。
鬼原:NECは大規模案件も多く、仕事を通じて社会貢献できるということも入社を決めた理由の一つでした。そして現在携わっているのは、Salesforceを活用した官公庁系のシステムです。充実した日々を過ごしており、NECに転職してよかったと思っています。
望月:いい意味で意外だったのが、情報を自ら取りにいかなくても自然に入ってくることです。たとえばトップ(社長)が、毎月一度の頻度でウェビナーを通じ、全社員に現在の状況を伝えています。一方で私たちのチームは、大企業にありがちなプロセスの重さがなく、自由度が高い。これは組織が新しいからかもしれません。
川又:日系大企業にありがちなお堅いところも、正直あると感じています。ただこのようなことはどこの会社でもあることですし、許容範囲内だと認識しています。
中野:残念なところを挙げるとすれば、女性が少ない。会社としてはダイバーシティを掲げていますが、まだまだこれからというところです。
──競合との違いや強み、プロジェクトのやりがいについて
川又:NEC本体の組織であることが、事業会社のコンサルティング組織との違いであり、強みだと感じています。上流ストラテジーだけでなく、AIや画像認識などの先端技術を組み合わせて、コンサルティングからデリバリーまで一気通貫で全社一体となって提供できるからです。
例えばAIのデータ分析業務では、AIの専門家と協力して、セキュリティ案件ではまさに中野さんが所属するチームの技術メンバーから最新技術の提供を受け、サービスやソリューションとしてデリバリーする機会が頻繁にあります。
鬼原:最近のプロジェクトでは、AIアナリティクス事業部と共に取り組んでいます。その結果、AIチャットボットをプロジェクトに組み込むなど、他のコンサルにはない技術的な強みがあると考えています。
──NECが以前から持っているナレッジやリソースを活かすことの付加価値とは
中野:社内の多くの部署と連携することで、お客様の負担を減らすことができます。今まさに取り組んでいる案件は、DX認定を取得したいというクライアントのサポート。私たちのチームはアセスメントを担当し、監査業務においてはNECの事業部が担うなど連携して取り組んでいます。
望月:入社直後に携わったプロジェクトは、ある企業へのITの構想策定。私たちの役割は、お客様の課題をいかに解決するかです。その提案においては、ソリューションやシステムを開発・構成する各事業部のスペシャリストの意見も聞いた方が粒度も高く、提案の幅も広がります。NECのソリューションを導入することが決まった際でも、担当SEたちと連絡を取りながら、デリバリーまでしっかりと見届けることができます。
川又:グローバル共通のフレームワークをそのまま使うのではなく、それぞれのお客様に最適なコンサルティングを提供しています。もちろん共通のフレームワークを活用することはありますが、一般的なコンサルタントとしてのスキルはもちろん、より難易度の高いスキルが身につく環境だと感じています。
発案から提案まで自ら動き、NECを本気で変えてくれる人材を採用中
──給与など制度も含めた働く環境について
望月:入社当初に携わったITの構想策定プロジェクトは、完全にリモートだったため、顧客先はもちろん、NECのオフィスにもほとんど行きませんでした。対して現在携わっているプロジェクト管理案件では、ほぼ毎日クライアント先に常駐。クライアント先は札幌なので、本日のイベントも札幌から参加しています。もちろん、週末は自宅に戻っています。
鬼原:私は入社以来ずっとクライアントに常駐しています。
川又:給与制度に関しては、市場とアンマッチにならないよう調整中です。言ってみれば私たちで実証実験していると言えるかもしれません。
柏崎:働き方においても、NECでは今まさに大改革を行っており、カルチャー変革の真っ只中とも言えると思います。オフィスは基本的にはフリーアドレス制、コワーキングスペースもあり、自宅はもちろん地方などの遠隔地からも、リモートワークで働ける仕組み・制度があります。アサインや評価においても、ジョブ型人事制度への移行を進めています。
DX戦略コンサルティング事業部は、このような全社的な大改革を牽引する、旗印的な役割も担っています。
──顧客獲得も含め、NECのコンサルサービスをどのようにセールスしているか
川又:冒頭で紹介したように、インダストリー軸の事業部と連携しながらコンサルティングを進めていきます。既存顧客に新しくDX戦略コンサルティングサービスができたことを伝え、依頼を受けるケースが現状では大半です。
現在は既存顧客に注力していますが、いずれは新たな顧客を直接獲得するために、イベントの登壇や書籍の出版、メディアに露出するなどの周知活動にも力を入れています。
──NECのコンサル組織に向いている人物タイプは?
川又:バックグラウンドが幅広く、かつ、その中でも確固たる強みを持っている。顔認証など、NECが持つ技術を使って具体的に何か成し遂げたいアイデアを持っている。そして考えているだけでなく、プロジェクトとして提案できる。コミュニケーション力があり、前向きで積極的な方が向いていると思いますし、そのような方と一緒に働きたいですね。
鬼原:自分で仕事を作れる方だと活躍できると思いますし、私も一緒に働きたいですね。私のチームではSaaS製品を活用した案件を広めていこうと、特にセールスフォースに着目しています。そのためセールスフォースの有資格者であれば、即戦力として歓迎したいと思います。
望月:様々なプロジェクトやテーマに携わることができる環境なので、自分が得意ではない領域のテーマであっても新たな知識を得られ、前向きに取り組むことができます。そうしたマインドの方であれば、毎日が楽しめると思います。
中野:入社してから感じたことですが、今のNECを変えたいと思っている人が大勢います。私たち新たなメンバーが新たな風となり、ときには壁にぶつかりながらも、NECを変革する意気込みを持つ人と一緒に、NECを変えていきたいと考えています。