【コラム】未経験からアドテク開発に取り組んできた「ジンジニア」が語る、カルチャー重視のチームづくり
アドテク領域を中心に事業を展開するFringe81株式会社では、「自社のカルチャーを大切にした組織づくり」に取り組んでいる。
同社でエンジニア採用の責任者を務めるのは佐藤拓人さん。佐藤さんは、自身の役職を「ジンジニア」と呼ぶ。自身もプロダクトの開発に取り組むエンジニアの出身だからだ。しかし、佐藤さんはなぜ現在はエンジニアリングの現場を離れ、採用活動を行っているのだろうか?
本稿では、Fringe81の組織づくりや開発体制、同社のカルチャーについて佐藤さんにお話を伺った。
佐藤拓人(さとう・たくと)/Fringe81株式会社 エンジニア採用責任者。1986年生まれ。秋田県出身。北海道大学卒。ウェブ広告代理店の営業としてキャリアをスタートし、2014年にエンジニアとしてFringe81に参画。メロコア好き。
エンジニアに必要なのは「チーム力」
―― まず、Fringe81の開発している事業領域をご紹介いただけますか?
佐藤 私たちは、インターネット広告事業をメインに、インターネットテクノロジーの軸はぶらさずに、新規事業を立ち上げていく、ということをやっています。
―― 現在メンバーはどのくらいの規模ですか?
佐藤 全体で130名くらい、社員だけだと90名くらいですね。そのうち、エンジニアは30名ほどいます。
―― 佐藤さんがFringe81にジョインした経緯を教えてください。
佐藤 私はWed広告代理店に新卒で入社しました。職種は営業です。
そこには2年いたのですが、後半は営業をやりながらも、プログラミングにも携わることができました。
しかし、エンジニアリングをするのは、私ともう1人しかいなかったこともあり、データベースもサーバーもネットワークもほぼわからなかったので、一人前のエンジニアへの道のりはかなり遠いものでした。
ただ、そうした活動をしている中で、自分もエンジニアとして一流になりたい、自分の子供のように愛するプロダクトを作ってみたいという想いが沸いてきました。そして、転職先を探し、2014年にFringe81へ入社しました。
―― では、まだかなり経験が浅い状態でエンジニアとして転職されたのですね。
佐藤 そうですね。 転職活動をする中では、ほとんどの企業に断られてしまいました。
”あなたはエンジニアでなくコピペエンジニアですね”と言われたこともありますし、内定をもらった!と思ったらエンジニアではなかった、ということもありました。
その中で、Fringe81は、熱意を見てくれた会社でした。
入社後は、既にリリースされているプロダクトのオペレーションなど、できることなら何でもという気持ちで取り組んでいました。
とはいえ、早く開発に入りたい!という想いの下、昼休みや就業後に先輩と二人三脚、就業後や週末はわからないこと知らないことをとにかく潰す日々でした。
―― 当時はどのような開発体制だったのでしょうか?
佐藤 メンバーは全社で40名くらいの頃でしたが、今よりも、全員がフルスタックに携わる開発体制だったと思います。今もその名残りはありますが、得意分野にフォーカスする体制を敷けるようになってきました。
―― 佐藤さんは現在エンジニア採用の責任者を務めていると伺いました。
佐藤 そうですね、一通りの開発、そして新規事業のシステム責任者を経て、2017年からはエンジニアの採用を担当しています。
―― 採用活動するにあたって、1番重要視しているのはどのようなことなのでしょうか?
技術に貪欲であることと、「チーム力」を大事にしている人をいつも探しています。
―― 「チーム力」ですか?
佐藤 はい。大きいプロダクトを作ろうと思ったら、当然、人の手が必要です。
その時に、5人集まって3人力になるのか、5人集まって7人力になるのか、はすごく重要な話ですよね。
弊社は5人で7人力、そして10人力にしていくために、どうすればいいのかを本気で取り組んでいて、
それを成し遂げるために、私たちはチーム力を大事にしています。
そのチームがしっかり組み合って機能するには、文化やビジョンに共感できるかどうか、が非常に重要になってきます。
ただそこまで求めだすと、やはり人に任せて採用、とはできないはずで、エンジニアがしっかり採用のことを考え、責任を負う、ということが重要になってきます。
―― 佐藤さんが採用担当になる前の体制はどのようなものだったのでしょうか?
佐藤 エンジニアのリーダー、マネージャーが担当していました。その役割を引き取って、私が人事に専念しました。
―― エンジニアとしてプロダクトを作りたいという気持ちで入社されたわけですが、エンジニアリングの現場から離れることに葛藤はありますか?
佐藤 最初は本当に自分の道はこれでいいのか?と考えたりもしました。
しかし今は、自分がここをなんとかしないといけないという自覚でやっていて、迷いはありません。
またエンジニアリング方面は、信頼できる仲間が沢山います。それであれば背中を預けて、自分が人事に専念した方が貢献できると考えました。
「チーム力」がもたらす価値
―― エンジニアには「チーム力」が必要だと伺いましたが、「チーム力」は具体的にどのようなところで発揮されるのでしょうか?
佐藤 例えば、「事業と技術のつなぎ」などはそうですね。
弊社のエンジニアは、仕様通りコードを書く、だけでは務まりません。自社開発の新規事業をやっていく中で、
ビジネスの状況によって、大きく作るものが変わってきたりします。
その時に、自社のプロダクトを成功されるためにはどうすればいいのかを考えて、
他者のことも考えた上で、自分には何ができるのか?すべきなのか?を意識して動ける。これも「チーム力」だと思っています。
―― では、プロダクトの改善は事業部門の方だけではなく、エンジニアチームからも生まれているのですね?
佐藤 はい。「ここから先は事業の人たちが考えればいいでしょ」とエンジニアが考えていたら、そこにより良いブラッシュアップは生まれません。
職種を超えて互いに歩み寄り、リスペクトし合う文化が「チーム力」に繋がっています。
また、事業責任者がエンジニアである、というプロダクトも現在開発しているところです。
―― 他にも「チーム力」を高めるための取り組みがあれば教えてください。
佐藤 新しい人を受け入れるカルチャーづくりは意図的に行っていますね。
例えば、異なるプロジェクトのメンバーを横串にして組織される「バンチ」というチームがあります。
―― 「番地」ですか?
佐藤 いえ、カタカナの「バンチ」です。弊社のユニークなワードです。新しく入社したメンバーがいたら、普段の業務で関わるプロジェクトチームだけではなく、「バンチ」でもご飯に行ったりして受け入れるわけです。
ここでは、プロダクト問わず、そして派遣アルバイトCTOも関係なく、全てのメンバーがどこかの「バンチ」に割り振られます。
そして、バンチの長「バン長」は若手がやっています。
活動としては、月に1度は「バンチ」ごとの対抗戦を行っていて、朝に代々木公園に集合して駅伝をしたことも、ミニ四駆対決をやったこともあります。
―― 横の交流を深めることで「新しいメンバーを受け入れる」こと以外に何か影響はありますか?
佐藤 人を知る、ということが一つ挙げられます。交流することで、その人が詳しい技術領域を知れたり、普段気軽に質問できたりということもできるようになります。
また、エンジニアチーム全体の一体感が生まれるので、バグが出てしまったり、リリースギリギリのピンチの時でも、皆で乗り切ろうと励まし合ったりできています。
―― 本当に組織力を重要視しているのだと感じます。プロダクト開発においてその組織、チームを引っ張るリーダーはどのような存在であるべきでしょうか?
佐藤 リーダーに関しては、「責任をとる覚悟を持っていること」が重要だと思います。
いくらいいチームであっても、「俺が最後に責任をとるんだ」という人がいなければ、結果、成果物の質が最終的に担保されていないプロダクトが生まれてしまいます。
なので、プロダクトに強い想いがあって、情熱と責任を持って結果にコミットする役割は重要だと思っています。
―― 最後に、どのような人がFringe81のカルチャーにマッチするとお考えなのか教えてください。
佐藤 繰り返しになりますが、「チームを求めているエンジニア」ですね。技術も高めたいのはもちろんですが、仲間と一緒に、アツく楽しくやっていきたい!という人はとても合うと思います。
新規事業にもガンガン取り組んでいるので、スクラッチで新技術にチャレンジすることも多いです。そのような刺激を求めている方が、Fringe81にはマッチします。