ラックが取り組むこれからのSI事業への挑戦 ──顧客に選ばれ続けるSIerの条件とは?

ラックが取り組むこれからのSI事業への挑戦 ──顧客に選ばれ続けるSIerの条件とは?
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クラウド運用に欠かせない海外製ツールを検証し、その活用を国内顧客に向けてソリューションとして提案するラック。ラックではSIS(システムインテグレーション・サービス)事業を広げる手立てとして、デジタルマーケティングからデジタルセリングに至るマーケティングオートメーションにもチャレンジしている。ビジネスの構造変革に挑むラックのSIS事業統括部のメンバーに話を聞いた。

“人月ビジネス”を超えた新しい知識・技術の提供

ラックのSIS事業は、他のSIer同様に顧客企業からシステム課題をヒアリングし、要件を定義し、その仕様に沿ってシステム開発、保守運用を行うことでお客様に価値を提供してきた。しかし、変化の早い時代には、そうした“受身”の姿勢だけでは、事業で成果を出し続けることは困難である。

顧客の持つ課題を解決する方法は、何もシステム開発(SI)ばかりではない。一つのツール、あるいは、既存のいくつかのサービスを組み合わせることで、顧客が抱える問題を解決することもできる。

「これからの3年後、5年後を見据え、SIS事業の将来像を提示しながら新しい取り組みを試行するチームも必要です」と語るのは、ラックのSIS事業統括部長である山嵜敦之氏だ。

ラックのSIS事業では、業種毎に整理された事業部に権限を委譲して事業を推進している。SIS事業統括部は、各事業部を横串で支援する役割を担っている。それだけではない。デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が、SIer業界だけでなく、一般の事業会社からも叫ばれるようになった時代。SIerという業態がどう変化していくのか、それを見通す役割もSIS事業統括部にはある。

「ラックはセキュリティサービス企業というイメージが強い。実際そこに強みがあるのはたしかですが、それだけでは当社の強みをお客様に説明しづらいと以前から感じていました。例えばJavaの技術者が何人いるとか、アジャイル開発でこんなプロジェクトを遂行したとか。これはラックだけが示すことができる強みではありません」(山嵜氏)


株式会社ラック SIS事業統括部長 兼 データマネジメント部長 山嵜 敦之氏
20年以上にわたってIT企業で営業を経験。前職のシステム開発企業が吸収されるタイミングでラックに移籍。事業部制立ち上げの制度設計や事業部横断の企画などに関わる。2020年からSIS事業に特化し、現職を務める。

プロジェクトの見積もりや作業量を表すものとして“人数×月数”があるが、これも労働集約的な状況を説明しているだけで、必ずしもラックの技術力を示す数値ではないと、山嵜氏は強調する。労働力というかたちではなく、ラックの知識や技術そのものを提供するサービスに変わっていかなければいけないというのだ。

「そのためには、ラックならではの強みを目に見える形で作っていく。さらに、デジタルマーケティングを通して、広く世間に知らせていく。そうした積み重ねで、将来的にもお客様に選ばれることを目指します」(山嵜氏)

だが、こうした努力は口で言うほど簡単なものではない。いわばないものを作り出す作業であり、「先んじてチャレンジして、たくさん失敗をする」試行錯誤が欠かせないのだ。

「新たなソリューションを発掘して、新しいマーケティング手法をビジネスに取り入れていく。我々自身がまずやってみることで成果を示し、理解してもらうまでの過程がとても大事だと思っています」(山嵜氏)

クラウド必須ツールで、未開拓市場に斬り込む試行錯誤

こうした試行錯誤を続けるSIS事業統括部のメンバーの一人が、ビジネス推進部ソリューショングループの前野勇気氏だ。

HashiCorpは、ITインフラの管理・運用を自動化するオープンソースのツール群で知られ、マルチクラウド、DevOps、DXの追い風を受けて急成長している企業だ。その製品は、動的なオペレーションが要求されるクラウド運用にあたって、リソースの構築やネットワークの設定変更などのインフラ作業を自動化し、運用にかかるコストとワークフローを最適化することができる。

ラックは2018年からHashiCorpの日本法人とパートナーシップ関係にあり、2021年にはハイパースペシャライズドという最上位のパートナー認定を受けている。

「現在、様々なサービスで導入が進むクラウド環境。一方で、管理の煩雑さが問題になっています。管理が煩雑になれば、サービスの拡張やアプリ開発のスピードが遅くなり、それはビジネスの進捗にも大きな影響を及ぼします。こうした煩雑さの解消に有用なのが、HashiCorp製品です」(前野氏) 


株式会社ラック ビジネス推進部ソリューショングループ 前野 勇気氏
文系大学院修了後、2016年に新卒入社。アプリケーションエンジニアとして客先常駐するなかでインフラ、クラウドに関心を持つようになり、アジャイル開発センターへ異動。現在はクラウド運用ツールの検証・販売をプリセールスエンジニアとして担当。

例えばそのツール群の一つTerraformでは、コードを叩くだけで、クラウドの構成管理を自動化し、運用コストや人的操作ミスを削減することができる。いわゆるInfrastructure as Code(IaC)のツールで、世界中で毎週10万件以上がダウンロードされている。

「クラウドに完全に移行した企業では、HashiCorp製品はもはや欠かせないツールになっていますが、一方で、クラウドシフトが遅れている企業ではまだ導入が進んでいません。そうした未開拓の市場にどう斬り込むかが、目下の私の課題です」(前野氏)

前野氏は、もともとアプリケーションエンジニア。インフラやクラウドは門外漢だったが、前の部署のアジャイル開発センターでHashiCorp製品に触れ、その習得の容易さや可能性に魅力を感じた。

「自分がクラウド上でアプリケーションを開発するのに、このツールは必須だ」という確信が、現在の拡販に向けたモチベーションの源にある。ただ市場開拓にあたっては、いくつもの試行錯誤があった。

「最初の頃は、ウェビナーを開催するにしても、製品や機能を前面に押し出してお客様に訴求していたんですね。Terraformを使えばクラウドの自動化がこんなに簡単にできます。しかし、それだけではお客様のリアクションがよくない。そこで見方を考えて、技術や製品ありきというより、顧客の課題にフォーカスするようにしました」(前野氏)

クラウドにシフトするにあたって、顧客の課題は何か。それを解決するためにはどんなツールが必要かをまず訴えるようにし、ウェビナーのタイトルから製品名を外したりもした。すると、ウェビナーの集客が3〜4倍にも増えたのだ。

製品が優れていることはわかった。しかし、それだけでは導入は進まない。組織の中でどのように導入を進めていったらよいか、そこに詰まる顧客が多かった。

「そこで、私たちはすでに導入が進んでいる企業の事例を丁寧に説明したり、PoC支援を進めたりしました。自社が関わるSI事例が業種問わずたくさんあることは、ラックの強みの一つ。その知見をHashiCorp製品の販売にも活かすようにしました。そうした積み重ねにより、商談フェーズに入られるお客様が徐々に増えてきました」(前野氏)

属人化を防ぐデジタルマーケティングへの転換を急ぐ

SIS事業統括部には、以前はエンジニアだったり、営業・マーケティング担当だったりなど、様々な経歴を歩んできたメンバーが多い。いずれも最前線で顧客を担当し、そこにSIサービスを提供してきた経験者。いわば現場の感覚を肌身で知った上で、これからのSIサービスをより高度化するために何が必要かを考えるようになった。

松村春奈氏もその一人だ。SIS事業統括部に移る前は、営業として主に金融機関の顧客を担当していた。SIS事業統括部に異動してからは、デジタルマーケティングやデジタルセリングを含む、マーケティングオートメーション(MA)を活用した新しい営業手法を模索している。


株式会社ラック データマネジメント部デジタルグループ 松村 春奈氏
2012年新卒でラックに入社。金融事業部で営業を担当。2020年からマーケティング組織に異動し、昨年からはマーケティングオートメーションの導入に従事。

「これまでのラックのSI事業は、特定顧客とのつながりを属人的な経験で活かすことが多く、デジタルマーケティングの必要性をあまり感じていませんでした。しかし今後は、営業も技術者もマーケティングの知識が不可欠。デジタルマーケティングを全社に導入し、その有効性や再現性を高める必要があります。その先陣を担っているのが、松村です」(山嵜氏)

松村氏がデジタルマーケティングのツールとして2021年春から社内導入を進めるのが、Salesforce社のセールスクラウドと、B2B向けMAツールであるPardotだ。

ウェビナーやキャンペーンの開催、あるいはホワイトペーパーのダウンロードなどを通して見込み客(リード)を集め、成約のために必要な情報を営業担当者にスマートに伝達する。その一方で、有力なリードをフォローアップして顧客を育てる。そうした工程を可能な限り自動化するのだ。

「社内ではまだ誰もやっていないことを進めていく立場。だからこそ、MAを導入して成果が出なければ、みんなにがっかりされてしまいます。いかに継続して成果を出すか、そこが不安でもあり、面白いところです」と、松村氏は言う。

現在は、ウェビナーなどを視聴している顧客情報を蓄積し、メールで継続的にラックの情報を配信するといった施策を進めている。セキュリティとITの最新情報を掲載する“LAC WATCH”というテクノロジーブログでも、顧客が関心を持ちそうな記事が掲載されたら、積極的に伝えていく。それをきっかけに製品のトライアルを始める顧客も増えてきた。

「これまで接点のなかったお客様とのコンタクトポイントを作ることができました。ウェビナーとMAの連動性を高めれば、さらに多数のお客様に同時にタッチできる。営業の効率化には役立っていると思います」(松村氏)

松村氏がMAツールを含めてデジタルマーケティングを意識的に勉強するようになったのは、SIS事業統括部に移ってからだ。

「営業担当だったころは、お客様にメールや電話で約束を取り付け、対面で説明を行い、商品を販売していました。だからこそ、リアルなお客様とのやりとりの苦労もわかるし、デジタルマーケティングのツールのメリットも感じることができます。MA担当は現在3人ですが、このチームでいろいろ議論しながら、勉強しているところです。こうしたチャレンジも、新しい技術への試行錯誤をよしとするSIS事業統括部ならではだと感謝しています」(松村氏)

コロナ禍以前、ラックに限らずSIer業界ではウェビナーを開催する企業は多くなかった。ラックも同様で、SIS事業統括部がウェビナーツールのライセンスを取得したのは、最近のことである。

「それが今では、各事業部から商材に関するウェビナーをやってもらえないかとか、こういうコンテンツを顧客にメールで知らせてもらえないかといった相談が少しずつくるようになりました。それぞれの事業部が独自でソリューションを開発しようという気運も、以前に比べたら活発になりました。私たちの試行錯誤が、少しずつ形になって実ってきていると実感しています」(山嵜氏)

まさに冒頭に山嵜が語った「SIS事業統括部のメンバー自身がまずやってみて、成果が出る過程を見せていく」挑戦が、現在進行形で進んでいるのだ。


ラックに頼んだら安心──顧客の信頼感を醸成するチャレンジ

最後に、SIS事業統括部での「仕事の面白さ」を改めて語ってもらった。

「お客様が普段から使っている技術だけでなく、IT業界の最先端技術や海外でのトレンドなど、まだ取り組んだことのない技術を提案できるのが、SIS事業統括部の面白いところだと思っています」(前野氏)

「デジタルマーケティングは単に導入すれば終わりではなく、どう使えば顧客にとって成果が出せるかを考えていかなければいけない。そういう思いのある人と一緒にやりたいし、そのための情報発信はもっと強化していきたいと思います」(松村氏)

二人の話を受けて、山嵜氏はラックのこれからについてこう語る。

「ラックの事業としては、セキュリティとSIという2つの得意領域がありますが、お客様から見るとその垣根はありません。ラックに頼んだら安心だし、的確な技術や知見を提供してくれるし、自社のビジネスを一番に考えてくれる。そういう信頼関係があるかどうかが決め手になります。そのようなパートナーとして選ばれ、社会に必要とされ続けるような存在になるのが今後の目標です。そのためにも、私たち自身がチャレンジし続けていきたいと考えています」(山嵜氏)


前回紹介したラックの金融事業部では新しい技術の取り組み、エンタープライズ事業部では新しい価値提供へのチャレンジをお伝えしてきた。

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SIS事業統括部では、顧客の課題解決のため、システム開発に留まらない新たな方法を探索している。どの事業部にも共通していることは、新しいことにチャレンジする姿勢だ。新しいことには必ずリスクも伴うが、各事業部のトップが積極的にリスクを取りに行く姿勢を示している。

ラックは課題解決のために、セキュリティ、SIの垣根を越えて、一つのサイバーセキュリティ企業として、SIビジネスを創造していく新たなステージにチャレンジしていくところだ。新しいことを探っていきたい──そう考える営業職やエンジニアが、大いに活躍できる場がここにはある。

株式会社ラック
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