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こんにちは。AWS プロフェッショナルサービスの Spatial Computing (空間コンピューティング) 領域の担当チームです。普段主に企業様向けのゲーム、シミュレーション、トレーニング等の用途で利用する 3D 空間の AWS 上への導入・企画支援を行っています。 AWS Summit Japan 2026 の AWS Village にて展示ブースを出展予定です。本ブログではそちらの展示内容をご紹介します。 AWS Summit Japan 2026 登録はこちら ブース A160:SDMA で繋ぐ現実世界とAIシミュレーション Physical AIを支える3Dアセット管理基盤を体験 SDMA (Spatial Data Management on AWS) から取得した 3D パーツで障害物コースを自動生成し、仮想ロボットが AI で走り方を学ぶ様子をリアルタイムで体験できます。大量のロボットが同時に試行錯誤する学習の様子や、学習済み AI の自律走行の体験など、シミュレーションからロボット制御へつなぐ AI 開発の流れを体感いただけます。 こんな方におすすめ 来場者像 ブースで得られること ロボットエンジニア   ロボットモデルの学習向けシミュレーション環境の効率的な構築方法 デジタルツイン推進担当   デジタルツイン環境の構築と AI シミュレーションへの活用例 展示内容 以下の 2 つの AI ロボットデバイスを題材にしたデモをご紹介します。 自律走行車両 自律飛行ドローン 各デバイスは仮想空間上に構築されたシミュレーション環境で強化学習が行われています。本デモでは、その仕組みを説明しながら、Spatial Data Management on AWS (SDMA) を活用したシミュレーション環境の効率的な構築・管理方法についてご紹介します。 補足 : Spatial Data Management on AWS (SDMA) とは Spatial Data Management on AWS (SDMA) は、2025 年 12 月にリリースされた、3D アセットなどの空間データ (Spatial Data) 管理基盤を構成するための AWS ソリューションです。OBJ、GLB、USD、PLY といった空間を表現する多様なフォーマットのデータを AWS のベストプラクティス構成で一元管理でき、AWS サービスとシームレスに連携したパイプライン実行が可能です。 下の図が SDMA のアーキテクチャ図です。公式サイトで提供されている CloudFormation ベースのテンプレートから AWS サービス群をデプロイできます。他の AWS サービスとの違いとして、専用のデスクトップアプリケーションが用意されており、PC から簡単な操作でAWS 上に構成されたデータ管理基盤にアクセス可能です。 デモ 1. 自律走行車両 概要 障害物が散在する不整地環境を、AI が自律的にゴールまで走行するデモです。Aalborg 大学が開発したオープンソースの強化学習フレームワーク  RLRoverLab をベースに構築しています。 強化学習の仕組み 車両は強化学習により、障害物を避けながらゴールに到達するポリシー(状況に応じた自律的な行動の決定ルール)を獲得しています。NVIDIA の Isaac Sim を活用し、報酬を設定した上でパラメータを変化させながら、数百の車両が同時並列で強化学習を行います。 学習に関係する要素 説明 観測空間   車両周囲の地形の凹凸(LiDAR スキャン)、ゴールまでの方向と距離 行動空間   車両の側面についている 6 つの車輪の操舵角および角速度 報酬設計   ゴールに近づくほど高評価、到達でボーナス(加点)、障害物に衝突するとペナルティ(減点) シミュレーション環境の構成 車両が走行するシミュレーション環境は、 地面 と  障害物 の 2 つの要素で構成されています。地面は起伏のある 3D 地形、障害物は 3D モデルで作成された岩で、地面に無数に配置されています。 SDMA によるシミュレーション環境の自動生成 本デモでは、地面と障害物の組み合わせを変化させ、別のパターンのシミュレーション環境を構築します。地面と障害物に対応する画像から 3D データを生成するパイプラインを構築し、SDMA 経由で実行させる例をご紹介します。 SDMA のデスクトップアプリを使用し、地面と障害物に対応する画像をそれぞれ SDMA にアップロードします。 すると、事前定義した AWS Step Functions のワークフローが自動実行されます。 地面の画像から 3D Gaussian Splatting(写真や動画から高精細な 3D 空間を構築する技術 / 点群データで構成され、3次元ガウシアン分布で広がりのあるデータを持つ)形式で 3D 地形点群データを生成する(Image to 3DGS API を利用 – 例:Marble) 障害物の画像から 3D メッシュモデルを生成する(Image to 3D API を利用 – 例:Meshy AI) 生成した 3D 地形点群データから物理判定用のコリジョンメッシュ(車両が重力下の地面を走行し凹凸を認識するために必要)を生成する  3D 地形点群データとコリジョンメッシュを重ね、その表面に障害物の 3D メッシュモデルをランダムに配置し、シーンデータとして合成(USD 形式)した上で、 SDMA に登録する その後、EC2 インスタンス上から SDMA を経由して生成されたシーンデータがダウンロードされ利用されます。 新しいシミュレーション環境の利用 生成した新しいシミュレーション環境上で、学習済みモデルが自律走行する様子を確認できます。地形と障害物が異なる環境でどのように走行するかを見ることで、汎化性能(学習時と異なる環境でも適切に動作する能力)を評価できます。必要に応じて、そのシミュレーション環境で追加学習を行うことも可能です。 デモ 2. 自律飛行ドローン 概要 複数のゲート(通過ポイント)で構成されたコースを、AI ドローンが飛行しながらゲートを順番に通過するレースデモです。オープンソースの  isaac_drone_racer  をベースに構築しています。来場者はコントローラーでドローンを操縦し、AI とレースで対決できます。 強化学習の仕組み ドローンは強化学習により、ゲートを順番に通過しながらコースを完走するポリシー(状況に応じた行動の決定ルール)を獲得しています。最大 4096 機が並列にシミュレーションされ、大量の試行錯誤を短時間で行うことで高速に学習が進みます。 学習に関係する要素 説明 観測空間   機体の速度・角速度・姿勢、次ゲートへの相対位置・方向 行動空間   4 つのプロペラを駆動する各ローターの角速度(=推力) 報酬設計   ゲート通過で加点、ゲートへの接近・後退で進捗評価、衝突・コース逸脱で減点 シミュレーション環境の構成 ドローンが飛行するシミュレーション環境は、 ゲート と 障害物 の 2 つの要素で構成されます。ゲートはコースの経路を定義する通過ポイントで、障害物はゲート間の飛行経路上に配置されることで回避行動を要求します。 SDMA による障害物の配置 障害物の 3D モデルは SDMA で管理されています。SDMA のデスクトップアプリから障害物に対応した 3D モデル(GLB 形式)をアップロードすると、AWS Lambda によるフォーマット変換(GLB → USD:NVIDIA Isaac Sim で利用される3Dフォーマット)が自動実行されます。 変換された 3D モデルは、ブラウザ上の Web UI から SDMA 経由でダウンロードできるようになり、シミュレーション環境上での障害物の種類や配置を自由にカスタマイズできるようになります。 新しいシミュレーション環境の利用 カスタマイズした新しいシミュレーション環境上で、学習済みのモデルでドローンがどのように飛行するかを確認できます。ゲート配置や障害物の有無の影響を見ながら、AI の汎化性能を評価することができます。必要に応じて、そのコースで追加学習を行うことも可能です。 システムアーキテクチャ 利用している AWS サービス・ソリューション Amazon EC2 — GPU計算基盤 Spatial Data Management on AWS — 3Dアセットの管理・検索・配信基盤ソリューション Amazon API Gateway + AWS Lambda — バックエンド API Amazon S3 — 3D アセットデータストア Amazon DynamoDB — メタデータストア Amazon EventBridge — 3D アセット操作イベント通知 AWS Step Functions — ワークフローオーケストレーション Amazon Cognito — 認証・認可 その他技術要素 Amazon DCV — EC2 上でのシミュレーションツールのリモートデスクトップ配信 NVIDIA Isaac Sim + NVIDIA Isaac Lab — 物理シミュレーション・強化学習の実行環境 活用ユースケース 本デモで紹介した 3D のシミュレーション環境の構築パイプラインは、以下のようなユースケースでの活用が考えられます。 分野 ユースケース 物流・倉庫   AGV/AMR におけるパスプランニング、レイアウト変更時の再学習 建設・インフラ   ドローン点検の飛行経路最適化、現場 3D スキャンデータの活用 製造   工場フロアでの自律搬送ロボット導入シミュレーション エンターテインメント・スポーツ   カメラドローン自律飛行、スタジアム運営シミュレーション ブース情報 ブース ID   A160 エリア   AWS Village(AWS Expo エリア内) 日程   2026 年 6 月 25 日 (木)・26 日 (金) 会場   幕張メッセ まとめ AWS Summit Japan 2026 の AWS Village( ブース A160 )にて、2026年6月25日(水)・26日(木)の両日展示します。 デモを通して AI シミュレーションの概要をご覧いただきながら、AWS を活用したシミュレーション環境構築をお気軽にお立ち寄りください。 AWS Summit Japan 2026 公式サイト
みなさんこんにちは!関西で製造業のお客様を中心に技術支援をしているソリューションアーキテクトの河井です。今年も AWS Summit Japan 2026 の季節がやってまいりました!会場は千葉県の幕張メッセです。今年も製造業向けの展示を出展する予定ですので、ぜひ遊びに来てください。AWS Summit の概要と製造ハイライト展示の見どころは こちらのブログ に掲載していますのでご覧ください。 本ブログではハイライト展示内の Supply Chain ブースの展示について紹介します。今回のブースでは、サプライチェーンの意思決定を AI で加速する 2 つのアプローチを展示します。1 つ目は AWS のサービスを組み合わせて作る AI エージェントを活用したアプリケーション で、マーケットサインを起点に需要予測から生産計画提案までを一気通貫で実行するデモです。2 つ目は SaaS 形態でサプライチェーンの Decision Intelligence (DI) をエージェントとして提供する Amazon Connect Decisions で、サプライチェーン上で発生している問題を自動検知し、AI が根本原因の分析と推奨アクションを提示するマネージドサービスです。それぞれ異なるアプローチでサプライチェーンの意思決定を加速する様子をご覧いただけます。 製造業が直面するサプライチェーンの課題 製造製造業のサプライチェーンを管理する方々の頭を悩ませる課題は多くありますが、ざっくりとまとめると下記のように分類できるのではないでしょうか。 需要変動の兆候を掴んでも、定量化できない:  政策発表や市場トレンドの変化を感じても、「実際にどれだけ需要が増えるのか」を定量的に見積もれません。結果として対応が後手に回ります。 需要変動への対応に時間がかかる:  需要が急変したとき、在庫・生産キャパ・部品調達の見通しを確認するために、営業、生産管理、調達部門など様々な部署からの情報が必要で数日かかります。 物流の不確実性: 海上交通を使う場合はコンテナ不足・港湾混雑など予期せぬ問題が発生する可能性があります。そのほかにも地政学的リスクなどにより、輸送のリードタイムが突然倍増し、供給計画が崩れます。 在庫配分の判断の難しさ: 限られた在庫を複数の製品ラインにどう再配分するか、人手では即座に最適解を出せません。 これらの課題に共通するのは、「 情報はあるのに、それを統合して迅速に意思決定する仕組みがない 」 ということです。 AWS サービスを組み合わせた アプリケーションの概要 本デモでは、架空のドローンのメーカー「AnyCompany」(横浜工場)を題材に、マーケットサイン(政府のインフラ点検プロジェクト閣議決定)を起点として、AI エージェントに分析を依頼するだけで以下を一気通貫で提示する仕組みを体験いただけます。 需要予測 — 過去の受注履歴と公共入札件数から、今後 6 ヶ月の需要を予測 在庫・供給状況の可視化 — 現在の在庫水準、サプライヤー別の供給力、コンテナ不足の影響を即座に一覧化 増産シナリオ別の生産計画提案 — 需要予測の各シナリオに対して、3 製品間の生産配分最適化と売上影響を計算 総合提案 — 時間軸別(即時/短期/中期)の具体的なアクションリストを提示 従来なら数日かかる「需要変動への対応策立案」を、AI エージェントへの一言の依頼で数分に短縮します。 (需要予測) (増産シナリオ別の生産計画の提案) AI でどのように解決するのか このデモのアプローチは 3 つのステップで構成されています。 ステップ1:不確実な需要を「数字」に変える 市場の変化を感じても「増えそうだ」という感覚のままでは動けません。時系列基盤モデルが過去の受注履歴と外部指標(公共入札件数)を組み合わせて、「月 180 台(+50%)」のように確率区間付きで需要を予測します。これにより、感覚ではなくデータに基づく判断が可能になります。 ステップ2:制約の中で「何ができるか」を即座に計算する 需要が増えても、部品の供給制約や在庫水準によって実際に対応できる範囲は限られます。AI エージェントが在庫・供給データを取得し、複数製品間の生産配分を利益率・季節需要・納期制約を考慮して最適化します。 ステップ3:段階的な対応策を提示する 「まず生産配分の見直しで即座に対応(追加コストゼロ)→ 需要が上振れしたら追加調達」という段階的な提案により、過剰投資を避けつつ機会損失も防ぎます。AI エージェントがサプライヤー情報や過去の調達実績を検索し、具体的なコスト・リードタイムを含めた調達オプションを提示します。 使用している技術要素 Amazon Bedrock AgentCore Amazon Bedrock AgentCore は、AI エージェントの構築・デプロイ・運用を統合的に提供するプラットフォームです。エージェントにツール・メモリ・データを装備し、複雑なワークフローを処理させることができます。インフラ管理は不要で、セキュアかつスケーラブルなランタイム上でエージェントを実行できます。本デモでは、AgentCore 上に構築したエージェントが担当者の自然言語での依頼を理解し、需要予測の呼び出し → 在庫データの取得 → シナリオ計算 → Knowledge Base 検索を自律的にオーケストレーションします。従来であれば複数部門にまたがっていた確認作業を、1 つのエージェントが一気通貫で実行します。 Chronos-2(時系列基盤モデル) Chronos-2 は Amazon が開発した時系列予測の基盤モデルです。単変量・多変量、さらに影響を及ぼすその他の要因(共変量)を含む予測タスクを、追加学習なしで処理できます。グループアテンション機構により、複数の関連する時系列間で効率的に情報を共有し、高精度な予測を実現します。本デモでは、産業用ドローンの月次受注数(ターゲット系列)とインフラ点検関連の公共入札件数(共変量)を入力として、今後 6 ヶ月の需要を確率区間付きで予測します。単なるトレンド延長ではなく、外部要因の影響を反映した予測が可能です。 Amazon Bedrock Knowledge Bases Amazon Bedrock Knowledge Bases は、RAG(Retrieval Augmented Generation)ワークフローをフルマネージドで提供する機能です。データの取り込みから検索、プロンプト拡張までを、カスタム統合やデータフロー管理なしで実現します。本デモでは、サプライヤー別の基本情報(所在地・供給シェア・リードタイム)、部品仕様、過去の調達実績(増量交渉の実績・コスト増の目安)、航空便切り替え時のコスト情報を格納しています。AI エージェントがシナリオ分析の中で調達オプションを提示する際に、これらの情報を検索して正確な根拠に基づいた提案を行います。 これらの技術要素が同一プラットフォーム(AWS)上で動作するため、予測結果をエージェントに渡すための API 変換レイヤーや、Knowledge Bases へのアクセスのための認証統合を個別に設計する必要がないのも良いところです。IAM による統一的なアクセス制御のもと、エージェントが各サービスをネイティブに呼び出せます。 (アーキテクチャ図) ここからは、サプライチェーンの問題検知と対応を継続的に行うためのマネージドサービス、Amazon Connect Decisions を紹介します。 Amazon Connect Decisions コンセプト:発生した問題を即座に捉え、原因分析から対応策までを自動で提示する サプライチェーンの現場では、在庫不足・供給遅延・需要との乖離といった問題が日々発生します。これらの問題に対して、従来は担当者がデータを突き合わせて原因を調査し、対応策を検討する必要がありました。Amazon Connect Decisions は、この「問題の検知 → 原因分析 → 対応策の提示」という一連の流れを AI で自動化します。 検知(Detection) — あらかじめ定義したメトリクスとルール(例:「在庫カバー日数が 15 日を下回ったら」)に基づいて、サプライチェーン上の問題を自動的に検知します。 洞察(Insight) — 検知された問題に対して、AI が根本原因を分析します。例えば「2025 年に発注した入庫注文 2 件(計 5,169 EA)が未受領のまま 200 日以上経過し、補充パイプラインが完全に途絶している」といった具体的な原因特定を行います。 推奨アクション(Recommendation) — 分析結果に基づき、「発注書作成:17,105 EA」「サプライヤーパフォーマンスレビューの実施」「未受領注文の調査」といった具体的な対応策を優先度付きで提示します。 主な機能 Insights(問題の検知と分析): ビジネスルールに基づいてサプライチェーンの問題を検知し、 AI が根本原因の分析と推奨アクションを生成します。ユーザーは自社のオペレーションを記述した S&OP を AI に読み込ませて「ガイドライン」を設定します。 Demand Planning(需要予測): Amazon が培ったノウハウを組み込んだ AI/ML モデルが、過去の販売実績から自動的に需要予測を生成します。少ない履歴データでも初日から利用可能です。営業見込み・顧客コミットメントなど複数部門からのインプットを 1 つの合意予測(Consensus Plan)に統合する仕組みも備えており、AI Teammate(自然言語インターフェース) に「なぜこの予測値になったのか」と聞いて根拠を確認することもできます。 Supply Planning(供給計画): 需要予測や受注データをもとに、素材の利用可能性・リードタイム・生産キャパシティ・倉庫スペースといった現実の制約を考慮した供給計画(生産・調達スケジュール)を生成します。計画の定期実行スケジュールも設定でき、プランナーが計画を調整・確定したうえで下流プロセスへ公開できます。 ( Insights の検出) (根本原因と推奨アクション) まとめ サプライチェーンの意思決定には、大きく 2 つの局面があります。1 つは市場の変化や突発的な事象に対して「次にどう動くか」を素早く判断する局面。もう 1 つは、日々発生する在庫不足や供給遅延といった問題に対して「いま何が起きていて、どう対処すべきか」を把握し続ける局面です。本ブースでは、前者に対しては AI エージェントがマーケットサインから需要予測・生産計画提案までを一気通貫で実行するデモを、後者に対しては Amazon Connect Decisions が問題を自動検知し、根本原因の分析から推奨アクションまでを提示するデモをお見せします。 注文を待ってから動くのではなく、不確実な時点から先手を打つ。問題が大きくなってから調査するのではなく、発生した瞬間に原因と対応策を手にする。この 2 つのアプローチで、ビジネスのアジリティを強化します。あなたのビジネスへの次の装備となるこの AWS Summit のサプライチェーンブースのデモを、ぜひ体験しに来てください。 著者について  河井信彦(Nobuhiko Kawai) アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 シニアソリューションアーキテクト セキュリティベンダーを経て AWS Japan に入社し、エンタープライズ技術本部でソリュー ションアーキテクトとして活動中。関西の製造業のお客様を中心担当している。趣味はサッカーとフットサル。
2026 年 4 月 14 日、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下、AWS ジャパン)は、「フィジカル AI 開発支援プログラム by AWS ジャパン」の採択企業向け勉強会を東京の AWS 目黒オフィスにて開催しました。勉強会では、 NVIDIA 加瀬 敬唯氏より、NVIDIA Robotics Solutions をご紹介いただきました。AWS からは、Physical AI 開発 「データ生成」 フェーズにおける AWS の活用方法と Remote AWS Develop Station のご紹介を行いました。本プログラムについては、過去のブログも参照してください。 「フィジカル AI 開発支援プログラム by AWS ジャパン」の応募受付を開始 「フィジカル AI 開発支援プログラム by AWS ジャパン」キックオフイベントを開催しました 「Physical AI on AWS 勉強会 #1」を開催しました NVIDIA Robotics Solutions のご紹介 Physical AI が今注目される背景と、NVIDIA のシミュレーション技術、そして、世界モデル Cosmos とヒューマノイド向け基盤モデル GR00T について、NVIDIA Robotics Solution Architect の 加瀬 敬唯氏よりご紹介いただきました。 Agentic AI の次のステップとして注目されているのが Physical AI です。Physical AI という言葉は、ヒューマノイドだけでなく、監視カメラ・自動運転・ドローン・工場ロボット等、物理世界を理解し行動する AI 全般を指します。従来の産業ロボットはルールベースで柵の中でしか動けませんが、Physical AI は経験から学習し非構造化環境で動作します。最大の課題はデータ不足で、実ロボットから取得できるデータには物理的限界があるため、シミュレーションによる大規模データ生成が鍵となっています。 Physical AI における最大の課題、データ不足に対して、NVIDIA は実世界におけるロボットの動きを再現しデータを取得できる、さまざまなシミュレーション技術を開発し、提供しています。オープンソースのロボットシミュレーター Isaac Sim を中核に、実環境を iPhone 撮影から 3D Gaussian Splatting で再構築する NeuDex、柔軟物シミュレーションに対応する次世代物理エンジン Newton を提供しています。学習フレームワーク Isaac Lab では強化学習・模倣学習に加え、VR デバイスによるシミュレーション内テレオペレーション(Isaac Teleop)も可能です。 Physical AI のモデル開発においては、シミュレーションによるデータ収集に加え、データの前処理・拡張(Augmentation)・品質評価といった一連のデータパイプラインの整備が不可欠です。NVIDIA からは、この工程を実行するツールやモデルとして、Cosmos Curator(動画キュレーション)、Cosmos Transfer(背景変換)、Cosmos Reason(Physical AI 特化 VLM)を提供しています。 シミュレーションやデータパイプラインに加え、NVIDIA が開発・公開しているモデルやデプロイ向けツールの紹介もありました。Cosmos v2 は、3500 万時間の動画データで学習された世界モデルで、入力映像の続きを予測・生成することでロボットの検証やベンチマークに活用できます。ヒューマノイド向け基盤モデル GR00T N は VLM(System 2)と 120Hz 制御の Diffusion Transformer(System 1)の 2 層構造です。デプロイ向けには GPU 最適化 ROS パッケージ群 Isaac ROS や、異種 GPU リソースを統合管理する OSMO も提供されています。 Physical AI 開発 「データ生成」 フェーズにおける AWS 活用 Physical AI の開発では 「データ生成・収集 → モデル学習 → モデル配信・推論」 の 3 ステップを繰り返します。この各ステップにおける、AWS から提供される NVIDIA GPU の選択肢と、データ生成フェーズにおける AWS の活用方法について、Solutions Architect の杉山より紹介しました。 Physical AI 開発の各フェーズに最適なインスタンスをその理由とともにご紹介しました。データ前処理において、 GPU が不要な場合は、Amazon EC2 C8/M8 等のコンピュート最適化インスタンス、シミュレーションにはレイトレーシングに特化した RT コアと大容量 VRAM を備えリアルタイムレンダリングが可能な Amazon EC2 G6e/G7e (NVIDIA L40S Tensor Core GPU / RTX PRO 6000 Blackwell Server Edition 搭載) インスタンスを推奨しています。学習フェーズでは、VRAM 消費が比較的軽い LoRA ファインチューニングにはAmazon EC2 G6e、大容量 VRAM が必須となるフルファインチューニングには Amazon EC2 P5 (NVIDIA H100 Tensor Core GPU 搭載)インスタンスが適しています。さらに事前学習から取り組む場合は、大規模な分散学習に対応した Amazon EC2 P5en/P6-B200 (NVIDIA H200 / B200 Tensor Core GPU 搭載) インスタンスがおすすめです。 Physical AI モデル開発に利用するデータ生成目的のシミュレーションは、Amazon EC2 上にインストールされた Issac Sim で実行します。そして、生成されたデータは、スケーラブルでコスト効率に優れたオブジェクトストレージである Amazon S3 への保存するのが一般的です。AWS の東京リージョンでは、Issac Sim のリモートデスクトップによるグラフィック操作を快適に行える Amazon EC2 G6e/G7e インスタンスがご利用いただけます。さらに、高性能リモートデスクトッププロトコルである Amazon DCV を利用することで、より快適なシミュレーション環境を実現できます。EC2 間の DCV 接続は無料です。 また、Kubernetes ベースのワークフローオーケストレーターである NVIDIA OSMO もご紹介しました。NVIDIA OSMO は、Physical AI の開発パイプラインである、 「データ生成・収集 → モデル学習 → モデル配信・推論」 を Kubernetes 上で定義・自動実行するオーケストレーターで、各ステージに最適な GPU リソースを自動で割り当てる点が特徴です。NVIDIA OSMO は AWS 上でも利用でき、G 系・P 系インスタンスの選択が自動最適化されるため、インスタンス選定の手間が軽減されます。 スライド資料 Remote AWS Develop Station (RADS)​ Physical AI 開発に便利な Amazon EC2 ベースの開発環境を​簡単に起動/接続/管理できるサンプル 「Remote AWS Develop Station (RADS)​」 を Solutions Architect の原田より、ご紹介しました。 RADS は Amazon EC2 ベースの開発環境を Web ポータル経由で提供するサンプルソリューションです。Isaac Sim や ROS を使ったシミュレーションワークロードを AWS 上で手軽に始められることを特徴としており、ユーザー自身の AWS 環境にデプロイして使うセルフマネージド環境です。接続方式は Amazon DCV(Web / ネイティブクライアント)、code-server(ブラウザ IDE)、SSH(Systems Manager 経由)の 3 種をサポートしています。Web ポータルからインスタンスタイプ・AMI・EBS サイズを選ぶだけで環境が立ち上がり、チームメンバーごとに独立した環境をセルフサービスで作成・停止・削除できます。 ゴールデンイメージには NVIDIA ドライバー・ROS・Isaac Sim に加え、Amazon Bedrock 連携の AI コーディングエージェント(Claude Code 等)もセットアップ済みで、約 5 分で開発を開始できます。 Physical AI 開発におけるユースケースとしては 2 つあります。1 つ目は Issac Sim などを用いたシミュレーションで、DCV 接続まで含めたセットアップ済み環境により、初めての方でもすぐに始められます。2 つ目は AI 駆動開発です。ローカルから分離されたサンドボックス環境として開発環境が起動するため、ローカルに保存された機密データの AI エージェントによる漏洩や改変を心配することなく、長時間エージェントを稼働させたり、大量のエージェントを並列で実行することができます。 利用開始方法もシンプルです。インフラは全て AWS Cloud Development Kit (AWS CDK, コードでクラウドインフラを定義・プロビジョニングするフレームワーク) で定義されており、2 つのコマンドを実行するだけで約 30 分〜 1 時間でデプロイが完了します。現在オープンソース公開に向けて準備中です。 今後のスケジュール 時期 内容 2026 年 5 月中旬 ロボット勉強会: AI 開発者がロボット業界に入っていく上で知っておくべき知識の共有(内容・日程調整中) 2026 年 6 月 1 日 Community Meetup #1 – 登録ページは こちら 2026 年 6 月 25-26 日 Demo Day(中間報告会)at AWS Summit Tokyo 2026(幕張メッセ) 2026 年 7 月中旬 Community Meetup #2 2026 年 7 月下旬 最終成果報告会(AWS 麻布台ヒルズ オフィス 予定) おわりに 本勉強会では、NVIDIA の Robotics Solutions に加え、Physical AI 開発の各フェーズに最適な Amazon EC2 GPU インスタンスの選び方、そしてシミュレーション環境を手軽に構築できるサンプルソリューション RADS をご紹介し、AWS 環境でシミュレーションを実行するための実践的な知識を共有することができました。参加された企業の皆様が、既存の環境と合わせて活用いただくことで、より開発を加速させることができるよう、AWS ジャパンとしても引き続き支援をさせていただきます。 AWS ジャパンは、本プログラムを通じて日本のフィジカル AI の発展に貢献してまいります。採択企業の皆さまの挑戦と、成果発表会をどうぞご期待ください。 関連リンク : –  フィジカル AI 開発支援プログラム by AWS ジャパン(発表ブログ) – 「フィジカル AI 開発支援プログラム by AWS ジャパン」キックオフイベントを開催しました – 「Physical AI on AWS 勉強会 #1」を開催しました

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