【レポート】AWSの最先端クラウド技術と導入事例:クラウド技術最前線![第2部]- TECH PLAY Conference 2017
IoTオートスケレーションサービス enebularを実現するAWSの技術
第2部の最後の登壇はウフルの石川さんです。石川さんは「AWS IoT」を利用した事例を紹介します。
石川悟(いしかわ・さとる)/株式会社ウフル プロダクト開発本部 本部付シニアアーキテクト。早稲田大学卒。SIerでの勤務を経て、2015年にウフルへ入社。「TOEIC」のスコアは920。
ウフルは主にBtoBのクラウドインテグレーションを事業としている企業。「AWS」のサービスを利用すれば、収集、保存、分析・フィードバックの各フェーズに適したIoTシステムのインテグレーションも可能です。
しかし、ウフルではベンダーとしては「AWS」を使えるだけ弱いと捉え、IoTの領域でまだ解決されていない下記3つの課題に着目しました。
・エッジ側での処理や演算が必要になるケースがある
IoTでは通信コストが高かったり、通信コネクションが切断されてしまったり、そもそも通信するレイテンシが許容できないなど、様々なケースでエッジ・コンピューティングが必要になる可能性が考えられます。
・処理をアップデートする仕組みが必要なケースがある
ユースケースの変更への対応、データの構造の変更、プロダクトを早期にリリースした後の改善など、処理をアップデートしなければならないケースは多く想定されます。
・システム全体を管理できる仕組みがない
「クラウド」を管理する仕組みが整っていても、「クラウド+エッジ」まで管理できる仕組みがありませんでした。
これらの課題を解決すべく、ウフルではIoTオーケストレーションサービス「enebular」を開発しました。
「enebular」は、クラウド、エッジ、エンドデバイスの全てをつなぎ、IoTの開発・運用の課題を解決するためのサービス。ウェブ上でデータ処理の開発ができる機能を始め、開発した処理をエッジデバイスやIoTゲートウェイ、サーバーレス環境などへデプロイする機能、IoTシステム全体を運用監視する機能をワンストップに提供しています。
続けて石川さんはそれらの機能がどのように実装されているかを紹介します。まず、GUIでデータ処理を開発できるツールには「Node-RED」を採用。そして、デプロイ機能には「AWS」のサービスを採用しています。
まず、サーバーレス環境へのデプロイにおいては「AWS Lambda」を利用。開発したフロウを「Node.js」のアプリケーションとして「AWS Lambda」に配置しています。
次に仮想マシンやコンテナ、IoTゲートウェイへのデプロイには「AWS IoT」を利用。
「AWS IoT」が提供する機能のひとつに「Device Shadow」があります。「Device Shadow」は、デバイスとクラウド間で設定情報などを同期する機能。「enebular」のデプロイ機能を使うことで、「AWS IoT Device SDK」が組み込まれたエージェントと通信し「JSON」を差し替えています。
「enebular」の大きな特徴のひとつがエッジデバイスへのデプロイができることです。これは「AWS Greengrass」との差別化のポイントでもあります。
最後に石川さんは、風力発電事業をIoTでモニタリングする三菱重工業株式会社のユースケースなど「enebular」の導入事例を紹介しました。
第2部の講演は以上です。