ウェルビーイングを高めるプラットフォーマー、アドバンテッジリスクマネジメントが創る「新たな価値創造とエンジニア文化」
「日本の会社と従業員の元気を創り出す」というビジョンに共感
──アドバンテッジリスクマネジメント(以下、アドバンテッジ)への入社の経緯と現在の担当業務を教えてください
眞子:前職では、コンシュマー向けのビジネスでWebサービスの開発を担当していました。アドバンテッジは企業と従業員向けの障害所得補償保険やメンタルヘルスケアサービスを提供しており、事業の社会貢献度が高いところにまず興味を持ちました。「企業に未来基準の元気を!」というコーポレートメッセージにもあるように、日本の会社と従業員の元気を創り出すビジネスに関心を抱いたのです。
当時は社内の開発体制がまだ十分ではなかったので、組織構築から開発体制、開発文化の醸成から関わってほしいと言われ、そこにも惹かれました。一介のエンジニアが自社の開発文化の創造から関われるタイミングで参加できる機会など、めったにないと思い、2020年に入社を決めました。
現在主管しているDX開発1部では、ストレスチェックやエンゲージメントサーベイなど、ウェルビーイングに関する様々なサービスの開発を担当しています。その中でも私が主にサービスの構築を担当しているのが「アドバンテッジ ウェルビーイング DXP」です。例えば、企業の従業員向けのストレスチェックなどのヘルスデータや人事労務関連データを統合し、ダッシュボードで可視化します。
それらのデータから組織・従業員個人の全体像を把握し、最適な施策実行、効果分析までをワンストップで提供するサービスです。従業員の健康意識が変わるだけでなく、企業はウェルビーイングの実現を通して、人的資本経営や健康経営を実現することができます。
最近、HRテック領域のビジネスが活況を呈していますが、当社の「ウェルビーイング DXP」は、第7回HRテクノロジー大賞の人的資本経営サービス部門で初代の優秀賞を受賞したソリューションで、導入先は日本を代表するような大手企業がほとんどです。
DX本部 DX開発1部 部長 シニアエンジニア 眞子(まなご) 正太朗 氏
エンジニアの組織作りから関わる面白さに惹かれて入社
柄澤:私も2020年に入社しました。前職はSIerで、通信キャリア向けのシステム構築などを担当していました。17年ほど勤めていたのですが、顧客のための構築だけではなく、自社サービスを展開しているIT企業で仕事をしてみたいと思うようになりました。アドバンテッジのCTOが知り合いで、誘われたことが転職のきっかけでした。
眞子さんも言うように、組織を作るところから関わるのは面白そうだと思いましたね。HRテックの業界は未経験でしたが、メンタルヘルスで重要な心理学はデータ分析や統計学とITを組み合わせることで、新しいことができるのではないかという期待感もありました。
私が統括するDX開発2部では、産休・育休や私傷病等で休業している従業員と会社を繋ぐクラウドサービス「ADVANTAGE HARMONY(アドバンテッジ ハーモニー)」というサービスを展開しており、その構築を担当しています。休業者の管理は、当社の創業以来の事業である団体長期障害所得補償保険 (GLTD)のサービスとも密接に関係しているので、その連携を含めたシステムを開発しています。
DX本部 DX開発2部 部長 柄澤 啓之 氏
市場と壁打ちしながら新しいサービス価値を提供する
──アドバンテッジの事業・サービス展開におけるエンジニアの役割はどのようなものだとお考えですか?
眞子:アドバンテッジは1995年の創業で、最初はGLTDの保険代理店としてスタートしています。現在は、GLTDだけに止まらない総合的な人事ソリューションを提供するようになりました。以前からある保険サービスやストレスチェックのサービスは、手続きがかなり業務フロー化できるものです。
そのため以前は、情報システム部が業務フローを起こして要件を定義し、実際のメイキングは外部のベンダーに依頼するというフローで開発していたようです。私たちが採用された前後から、社内のエンジニアには情シス的な業務に加えて、新しいサービス価値を考えるというミッションが課せられるようになりました。
面接の場でも、「顧客企業のウェルビーイングを実現するためには、ストレスチェックだけでは足りない。人事部が保有するHRデータを含めた社内データの統合化によって、その先の領域にも踏み込み、顧客に新しいサービス価値を提供していきたい。そのための仕事をしてほしい」と言われました。
ただ一般的な業務フローの構築と違って、新しいサービス価値の提供となると、顧客と一緒に市場と壁打ちをしながら、何が求められているのか、今このフェーズでは何をしなければいけないのかを考えながら作っていく必要があります。アドバンテッジのエンジニア、特にDX開発部に求められているのは、一口でいえば、サービス志向型の開発ですね。
──市場との壁打ちとは、一般のエンジニアにはなかなか体験できないようなフェーズを担当するわけですね。その面白さはどこにありますか
眞子:アドバンテッジは事業部制であり、組織は基本的には縦割りです。ただDX開発部と事業部間の意思疎通は密で、営業・販売部門からの販売データや顧客満足度の調査データなどは常に共有されているので、開発項目に入れ込むようにしています。
サービスとは企画セクションだけが立案するものではなく、全社員が考えるもの。エンジニアも、エンジニア視点からみたサービス提案、サービス品質の向上を常に考えています。マーケットにより近いところでものづくりができるのは、とても面白いですね。
データセキュリティのニーズにも敏感
柄澤:私も客先に同行することはよくありますが、担当が休業者管理・復職支援のクラウドサービス「ADVANTAGE HARMONY」ということもあって、データのセキュリティについて話をすることが多いですね。
「休業している」ということは、社員の方が何らかの傷病を負っているということでもありますから、絶対に外部には漏出してはいけない機微データです。お客様もそれをとても気にされるので、「クラウドでの運用であっても、安心・安全にお使いいただけます」という説明をすることが多いですね。お客様の心配事を具体的に知ることができるので、ヒアリングはサービス開発にあたって欠かせないものになります。
ちなみにハーモニーというサービスは、人事担当者の休業者管理の手間を圧倒的に減らせることが最大のアドバンテージです。休職者は一斉に休んで一斉に復帰するわけではなく、そのタイミングはバラバラ。さらには、男性も含む育休取得者も休業者扱いになりますから、従業員の多い企業ではその管理がとても大変なのです。
そこで、これまでの表計算ソフトを使った管理からハーモニーを導入されるお客様が増えています。アドバンテッジが市場のニーズをがっちりと掴み、最適のサービスを開発できた成功例の一つと言えると思います。
ベンダーとのつき合い方がとことん学べる
──今後は内製化を進めるとしても、当面は外部ベンダーさんの力も必要となります。ベンダーコントロールではどんなご苦労がありますか?
眞子:開発現場ではありがちなことですが、コミュニケーションのギャップはやはりありますね。発注側の我々は、ターゲットニーズの背景を理解した上で仕様を起こしているのですが、ニュアンスがすり合わないこともあり、それらをどうやって埋めていくか。コミュニケーションと信頼の構築は永遠の課題だと思います。
柄澤:アウトソースもしながら、いかに開発のスピードと品質を上げていくか。これもよくある話ですが、我々も開発の過程で「もっとこんな機能が必要だ」と考え、仕様を変更したくなることがあります。
より良いシステムを作るには欠かせないことではあるのですが、ベンダーの方々と話し合いながら、リソース確保も含めて調整し、求められるタイミングに合わせて製品をリリースする。そこにはいつも苦労しています。
眞子:ただ、依頼先のベンダーとはもう長い付き合いなので、開発の苦労を共にする仲間という気持ちを持っています。そうした意識醸成、共感醸成はできているのかなと。
柄澤:現在アドバンテッジのエンジニアは全体で20名弱ですが、我々が入社した直後は、ベンダーを探すところから始めました。初期の頃は、社内の開発人材の派遣をしてもらったこともあります。
安心・安全と価値創造──両軸のソリューション開発
──お二人は、開発組織や開発文化を創り上げるところから関われているとのことですが、アドバンテッジの開発文化というのはどのようなものですか
柄澤:「開発の自由度がある」ことだと思います。最終的に達成したいものは明確なので、それを実現する手段や技術は、私たちが自由に選択できる。それこそJavaを使うのか、Pythonを使うのか、言語の選定も自由にやらせてもらいました。それがここ数年、醸成されてきたアドバンテッジの開発文化のベースにあるものだと思います。
開発の自由度があるということは、エンジニアにとって開発が楽しいということでもあるし、若手も活躍できるということでもある。最近も入社2年目の若手エンジニアが、RFP(提案依頼書)作成から参加して、ベンダーの選定から進捗管理、最終的なリリース、さらに現在は保守運用に至るまで、一気通貫でプロジェクトをリードしてくれました。
眞子:彼女の活躍は、私も横から応援していました(笑)。RFPを書いてベンダーを調達する業務は、従来の常識であれば新人には任せられないし、任せたとしてもなかなかできないもの。頑張っているなと思いながら見守っていました。
もちろん、アドバンテッジの開発文化は、まだ発展途上であるとは思います。「自分たちのプロダクトを自分たちで開発・運用まで行う」ことができてこそ、本当の意味で市場と向き合っているということ。今後は、さらに内製化を進めていきます。
同時に、市場ニーズに最適にフィットするものを、さまざまな手法・技術を組合せながら開発するために、我々はアーキテクトとしての能力をもっと高める必要があります。例えば、他社と比べたアドバンテッジらしさでいえば、ヘルスケア領域やHRテック領域は、動きが速く、小回りも効くスタートアップやベンチャーがたくさん参入しています。
アドバンテッジはこの業界では古参で顧客基盤もしっかりしていますが、市場に対して細かくピボットをかけて、エッジの効いたサービスを提供するという点ではまだ弱いところもある。そのスピード感を増していくという意味でも、内製化は一つのカギとなるでしょうね。
弊社の取り扱うサービスは、顧客社内の機微情報を含むデータをお預かりして、それを「見える化」したり、業務フローシステムに落とし込んだりなど、手堅いデフェンシブな側面があります。同時に、新サービスや新事業をオフェンシブに攻めていくという面もある。ディフェンスとオフェンスを両輪でやっていかなくてはなりません。
安心・安全を担保しながら、この領域における新しい価値の発信をリードしていく。そうしたサービスやプロダクト開発が今以上にできるようになれば、それはアドバンテッジという会社の新しい強みになると考えています。
群雄割拠のHRテック業界。そこでキャリアを築く意味
──アドバンテッジで技術開発をするというキャリアの選択肢。HRテック業界の将来性はどうお感じになっていますか
柄澤:人事業務をITの力でサポートするビジネスは現在急成長中ですし、様々なHRテックのサービスが登場しています。アドバンテッジでもウェルビーイングのサービスと人事のタレントマネジメント製品との接続なども進めているところです。
このように近接領域がどんどん繫がっていくと、人事担当者も業務の負担が減り、我々としてもより統合的なサービスの市場を切り拓くことができる。まさに今はそこへ向かう過渡期だと感じています。HRテックの仕事は、エンジニアにとってもワクワクするものになるのではないでしょうか。
眞子:HRテック業界は今まさに面白いですよね。例えば、アドバンテッジと直接競合しない人材会社でも、エンゲージメントサーベイの新規サービスを作っていたりしています。勤怠管理ソフトから入るか、メンタルチェックサービスから入るか、それこそ入口はさまざまですが、人事業務全体のDX化はこれからますます進むと思います。
ある意味、この市場は群雄割拠。競争があるということは、その分の市場があるということでもあります。自分たちのエンジニアリングで、市場のパイを勝ち取る意欲を持って開発できる。エンジニアにとっても挑戦のしがいがある環境じゃないでしょうか。
──そこで求められるエンジニアの知識やマインドは何でしょう?
柄澤:「これとあれとを組み合わせたら、こんなことできちゃう」みたいな化学反応が頭の中で描ける人にはぜひ来てほしい。アドバンテッジには、この30年間で膨大なデータが蓄積されています。そのデータを使って「こんなことも、あんなこともできるんじゃないか」って、アイデアを妄想できる人だったら楽しめる環境だと思います。
眞子:アドバンテッジのデータ統合プラットフォームに蓄積されたデータを、今後は従業員一人ひとりに最適化した健康改善ソリューションにつなぐ開発を進めています。そこでは機械学習的なアプローチなど、AIの技術も必要になるでしょう。
現在はそうしたAIプラットフォームがあるわけではないのですが、AIはこれからのエンジニアには必須の知識。いずれはAIを使ったサービスを展開するでしょうから、AI技術をアドバンテッジで活用するチャンスはあると思います。
社内のウェルビーイング環境はエンジニアも嬉しい
──アドバンテッジはウェルビーイングをお客様に提供するだけではなく、ウェルビーイング環境を自社社員向けにも作り、健康経営を目指しています。福利厚生や働き方の充実さを、最後にアピールしていただけますか
柄澤:人事ソリューションを提供している企業なので、ウェルビーイングな仕組みはほぼ全部整っています。その中でも私が快適だと思うのは、エンジニアがどこでもフルフレックスで働けること。私も在宅で、子どもの面倒を見ながら仕事をすることがよくあります。
眞子:労務管理と人事施策がすごい柔軟だと思いますね。人事施策を大きく変えるのはとてもエネルギーの必要なことですが、アドバンテッジは課題があると「それを組織的にどう解決するか」「人事部としてどう解決していくか」という前向き姿勢で取り組みます。改善するためには何ができるのかを常に考えてくれるので、その恩恵はいつも感じていますね。
柄澤:健康経営銘柄にも選ばれ、社内部署に「健康管理室」もあります。1日8,000歩歩く会という社内強歩イベントに私も参加しています。自分の健康増進はもちろんですが、チームで歩数を競い合うのが楽しいですね。歩いた分のポイントがもらえ、その一部を会社が外部に寄付するという取り組みもあります。
これからのエンジニアが健康であるためのナレッジやサービスを、アドバンテッジでどんどん作っていきたいですね。