スポーツデータ分析から考える、データ活用に大切なこと
どうも、totokoです。
さてはて、現在進行形で世の中ではデータを活用したあれこれが増えてきているのは、今更わざわざ言わなくてもいいかと思います。
――というのは、業界各所の中の人だったらわかることではあるのですが、どうしてもお客さんとしてだといまいちピンと来なかったりするはずです。
まあ、大々的にデータ分析使ってまっせ! とは言いませんからね。
ですが、実際には様々な場面でデータ分析の恩恵を受けたりしてはいます。
身近な例だとアマゾンの「おすすめ商品」はデータ分析の典型的な例だと言えますね。
細かいからくりはさておいて、あれは自分がこれまで買った商品や見た商品等のデータを元に、アマゾン側が「多分君はこれが好きだろう?」と教えてくれるものです。
これも立派なデータ分析の活用例です。
ことほどさようにあるサービスの一部をデータが担っているものはあるのですが、それそのものをメインとしているのはなかなか見当たらないから、ピンと来ないのだろうと思います。
あとは企業側がわざわざ言っていないというのもありますがね。
さてはて、前置きはこの辺にして、今回はそんなデータ分析の中から、最近熱い「スポーツ」に関するデータ分析、およびデータ活用についてお話しようかと思います。
そもそもスポーツでデータを使うとは?
漫画やアニメなどでは結構「データキャラ」みたいなのはいると思います。
眼鏡かけてて、分厚いファイル片手に「あいつは○○が弱い!」とか言って、はじめは有利を取っているのですが、後半になると「なに! あいつはデータを超えただと!」とか言って負けちゃうキャラです。
スポーツにおけるデータ活用というのはまんまそれに近いので、特に小難しく考えなくても大丈夫です。
ただ、彼らと違うのは「データを超えただと!」に対してもちゃんと対応できるという点でしょうか。
日々のデータを更新し、常に最新のデータを用いてプレイに生かす。
これがスポーツにおけるデータ活用の基本的な考え方でしょう。
日本人に身近なスポーツですと、丁度シーズンですし、野球がデータ活用競技の代表かと思います。
セイバーメトリクスという言葉はどこかで聞いたことあるかと思いますが、これはたくさんの試合データを分析し、統計学的な考え方から選手のプレーを客観的に評価しようというアメリカ産まれの考え方のことです。
ここで重要なのは統計学的見地から、というよりも「客観的に評価」するということです。
意外と忘れがちな「客観的にデータを評価する」
セイバーメトリクスという言葉が出る前から、日本でもスコアラーという人がいますし、スコアブックというものもあり、そこから選手の癖やデータを記録して試合に臨むという文化はありました。
では、それがアメリカのセイバーメトリクス的なデータ分析・活用と何が違うのかというと、「データへの向き合い方」にあります。
日本の場合だと「○○をする方がよいということに説得力を持たせるために、データを使う」という、主観的な感想の補強材料としてデータを使っています。
対して、アメリカの場合だと「こいつは○○のデータがよいから、評価できる」というあくまでも、データによって評価をしているという客観的な評価のために使っているという違いがあります。
結構データ活用の場面で忘れがちなのが、この「客観的な評価」というものです。
選手のプレーそのものを評価するのではなく、そのプレーをデータ的(わかりやすく言えば数値的)に評価した場合、何点をつけることができるのかということが「客観的な評価」にあります。
例えば、野球ですと、よく外野手がスライディングキャッチでフライアウトを取る場面をよく見受けられます。
これは一見すると「ファインプレイであり、それは彼の守備が上手いからだ」と思ってしまうのでしょうが、意外とこのプレイそのものは、数値としては評価点は低いです。
逆に同じ落下地点、同じ外野手のスタート地点等の条件を同じにした場合に、スライディングキャッチではなく、普通に走ってキャッチした場合の方が、数値としては評価点は高くなります。
なぜなら、後者の方が守備範囲が広いという評価が得られるのです。守備範囲が広いから、わざわざスライディングキャッチというリスクを冒さなくても、普通に走ってキャッチし、フライアウトを取ることができるからです。
そして、その選手の方が、外野守備の補強という目的の場合、真っ先に優先される選手になるはずです。
なぜなら、守備力の評価において、派手なプレイはありませんが堅実なプレイをしてくれる確率が高い(=リスクのあるプレイを行う確率が低い)からです。 実はこれって、以前スポーツ番組でID野球の生みの親でもある野村克也さんも言われていました。
「守備が上手いやつは派手なプレイはしない。難しいボールを簡単にさばける奴が本当に守備が上手いやつだ」
的な感じのことです。これはまんま、先ほど述べた守備力の評価と同じですね。
データ活用は常に客観的な評価を大切に
どうしても派手なプレイ、派手な動きをしたものを評価しがちになります。これは野球に限らず、ゲーム等でもそうでしょう。
どうしても、キルを取ったプレイヤーを上手い! と評価しがちですが、もっと視野を広げると渋いところでいい動きをした人がいるはずです。
そして彼のお膳立てがあったので、キルをとれたと見える場合があるはずです。 なので、データ分析をし、活用する場合において大切なのは「客観的な評価のための指標」です。
データ評価の項目等がいかに客観的なものとなっているのか、そして、実際の現場でのデータ活用がその評価点に即しているか、こういうことも考える必要があります。