RPA、AI、Agilityで変革するプロジェクト事例 - 技術が変わり、金融ビジネスが変わる -

イベント
RPA、AI、Agilityで変革するプロジェクト事例 - 技術が変わり、金融ビジネスが変わる -

2018年8月23日(木)19時30分より、「技術が変わり、金融ビジネスが変わる - RPA、AI、Agilityで変革するプロジェクト事例 -」が開催されました。

アクセンチュアが主催する本イベントは、「金融業界におけるデジタルトランスフォーメーション」がテーマです。約180名からの申し込みがありましたが、当日は抽選によって選ばれた約80名が参加しました。

当日の講演のテーマと登壇者は下記の通りです。

「デジタル時代における金融IT部門の在り方」
アクセンチュア株式会社 新井英明さん

「デジタルテクノロジーを活用したオペレーティングモデル改革」
アクセンチュア株式会社 高橋さん

それでは内容をご紹介します!

デジタル時代における金融IT部門の在り方

前半は新井さんの登壇です。


新井英明(あらい・ひであき)/アクセンチュア株式会社 金融サービス本部 テクノロジーコンサルティング統括。電気通信大学を卒業後、1992年に新卒でアンダーセンコンサルティング(現、アクセンチュア)に入社。

新井さんはまず、これまでの金融機関におけるIT部門の状況を振り返ります。

「今から15年前、金融機関のIT部門はベンダーと強固な関係を築いていました。ユーザー部門とIT部門の間には非常に距離がありましたね。一定規模以上のプロジェクトは、IT部門がガバナンスをきかせていました。

そのミッションは『絶対的安定・高品質・耐障害性』『大量処理・重厚インフラ』『高生産性・低コスト』といったものです。すると、当然のことながら新しい技術ではなく、成熟した技術を適用することになります。

また、規模が大きくなると専門性が求められますから、IT子会社を作って品質優先のガバナンスを行い、人材の調達を実践してきました。これは規模の経済を活かしたITベンダー活用モデルと見ることができるでしょう」(新井さん)

しかし、新井さんは「デジタル化が進み、金融でもオープン化が進んだこの5年間で、状況はかなり変化してきました」と続けます。IT部門に近年求められていることを、新井さんは「デジタル領域」と「基幹系」に分けて次のように説明します。

  • デジタル領域

「デジタル領域には収益向上への貢献が求められますよね。つまり、スピード勝負になるわけです。

そのため、人材を内部だけで揃えるのではなく、オープンイノベーションによる協業が必要となります。さらに、新技術を活用した機動的な開発が行える人材も不可欠ですね」(新井さん)

  • 基幹系

「基幹系に求められているのは、これまでのようにコスト効率向上への貢献です。

現在そこに必要なのは、後発技術の目利きができたり、クラウド化やモダナイゼーションなど有益技術を確実に取り込むことができたりする人材ですね」(新井さん)

最後に新井さんは、システム開発機能の3つの調達方法を比較して講演をまとめます。

■ ユーザー部門が直接内製化する

  • デジタル領域
    → 機動性には優れるが、高鮮度・高解像度の技術的知見獲得が課題になる
  • 基幹系
    → あまり現実的ではない

■ユーザー部門が、IT部門、IT子会社を経由してITベンダーを調達する

  • デジタル領域
    → 先端技術の知見提供がIT子会社からは期待しにくく、機動性が弱まる
  • 基幹系
    → 構成・リソース配分・調達力の全体最適が利かせやすく、ガバナンスも強い

■ユーザー部門がITベンダーを直接調達する

  • デジタル領域
    → 最も高い機動性を期待でき、高鮮度な知見をベンダー経由で獲得することも可能
  • 基幹系
    → コスト最適化が利く可能性はあるが、ガバナンス面にやや課題がある

「今、おかげさまでアクセンチュアの業績は好調です。業務課題を私たちが上流でコンサルティングし、同時にITチームと先行着手し、スムーズに開発まで始められる点をクライアントが評価してくれているからだと思います。

これまでの基幹系では、ユーザー部門がIT部門、IT子会社を通じてベンダーを調達するデリバリモデルでした。しかし、このモデルではどんなにすばやく上流工程を回しても、IT部門が調達するタイミングで2ヶ月もかかってしまうことがざらにあるのです。

ですから、現在はデジタル領域を中心としてユーザー部門とベンダーが直接動くモデルが増えつつあります。ここには、言ってみれば『上流』『下流』という概念はなく、お互いがインタラクティブに動く必要があります。このモデルは多くのIT部門の将来像にもなるのではないでしょうか」(新井さん)

デジタルテクノロジーを活用したオペレーティングモデル改革

後半は高橋さんによる講演です。


高橋(たかはし)/アクセンチュア株式会社 金融サービス本部テクノロジーコンサルティング シニア・マネージャー。SIerでの勤務を経て、2008年にアクセンチュアへ入社。

まず高橋さんは金融機関を取り巻く環境を共有します。

「現在、みなさんがご存知の通り金融機関ではRPAやAIの導入が加速しています。まずグローバルではRPA/AIの市場は年平均31%で成長を続けており、今後も規模は拡大するでしょう。

国内の金融機関も例外ではありません。昨年末、メガバンクはRPA/AIを使った業務改革に取り組むとプレスリリースを発表しています。このプレスリリースには定量的な目標も記載されているのですが、メガバンクのリリースに定量的な目標があることは珍しく、どれだけ注力しているかが伺えますね。もちろん、銀行だけではなく、証券会社や保険会社でも業務効率化にRPAやAIの導入が進んでいます。

しかしながら、国内金融機関はまだまだ遅れているのが実情です。例えば、ヨーロッパの先進メガバンクにおけるデジタル変革ロードマップを見てみましょう。

このデジタル変革には3つの段階があります。まずは、デジタルを活用して既存の業務を効率化する取り組みです。その次の段階がオペレーティングモデル改革です。これは、デジタルソリューションを前提とした業務プロセス再構築の取り組みです。さらに最後の段階が異業種とデジタル連携を含めたビジネスモデルの改革です。

欧州のメガバンクでは現在2つ目の段階にいますが、日本企業はまだ1つ目の段階です。経営効率は約17%も差が開いているという調査もあります。

日本企業が追いつくためには、デジタル化がさらに進展することを前提としたビジネス・業務の再構築が必要だと私たちは考えています。そのためには、これまでは人間が行うことが前提になっていた業務を、基本的にはテクノロジーが行う前提とし、業務そのものをゼロから再構築する必要があります」(高橋さん)

それでは、業務の再構築はどのように行うべきなのでしょうか? 高橋さんは「ZBP(Zero-Based Process)」というキーワードを使って説明します。

「これまでのテクノロジーの活用は、既存の業務プロセスに着目し、いわば『点』にRPAなどを導入してきました。しかし、『ZBP』では、業務プロセスそのものを見直します。

この『ZBP』では、業務については『インプット』をもとに、処理をして、『アウトプット』を出すものと捉えています。また、そこで重要なのは、処理における『制約』です。この『制約』にはコンプライアンスや法令遵守はもちろんのこと、既存のシステムやどうしても外せない社内手続なども含みます。『ZBP』では、業務におけるインプット、アウトプット、制約の3点を遵守し、テクノロジー活用を前提としてゼロベースで業務プロセスを作り直す考え方です。

さらに『ZBP』においては、人の役割は『人にしかできない仕事』にシフトします。人は業務を横断してエラーや例外に対応したり、顧客へデータを送信する前の承認を行ったりすることになります」(高橋さん)

高橋さんは次に銀行の口座開設業務において、紙を介在させずに「ZBP」の考えに基づき行った事例を紹介。さらにZBPによる抜本的な業務改革を進める方法を共有します。

「私が担当したZBPによる業務効率化のほとんどは、一般的なBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)と同様の進め方をとってきました。

つまり、『As-Is業務分析』『To-Be業務設計』『システム要件定義』『システム開発〜移行・導入』と進みます。

しかし、ZBPによる業務効率化を進めるうえで気をつけなければならないポイントがあります」(高橋さん)

高橋さんは業務のフェーズに沿って、計6点のポイントを次の通り列挙します。

■As-Is業務分析

1. As-Is 業務分析は必須
→ 「To-Beからでいい」とクライアントが言うことはよくあるが、As-Is業務分析は必須。人それぞれ作業が異なるので、可視化しないと必ず漏れが生じる
→ As-Isがなければ、To-Beを描いた後に比較や、第三者による検証ができない

2. 業務精通者のアサイン
→ 業務自体を自動化するためには、現在の業務を詳細に洗い出す必要がある。そのためには、精通者をアサインすることが必要になる

■To-Be 業務設計

3. まずは業務統廃合・標準化 → As-Isをそのまま自動化しようとしても効率化に至らないことはめずらしくない。例えば、金融機関では同じデータを違う人が様々なタイミングで取得していたり、社内で複数回の承認があったりする。これが本当に必要なのかを見極め、現行業務をまずスリム化

4. 自動化前提の業務設計
→ テクノロジーが業務を行うことを前提とした業務設計をする。自動化できないものを見極め、実装までイメージすることが求められる

■システム要件定義

5. 連携先既存システムへの影響把握
→ 自動化によって、連携先システムのトランザクション発生タイミングや、時間あたりの処理量が変わってしまう可能性があるため、その影響の確認が必要

■システム開発〜移行・導入

6. 綿密な業務移行計画の策定・実行
→ 変革に伴い、業務ユーザーに対して説明やトレーニングを十分計画しなければならない

続いてのテーマは、ZBP実現に向けたITプラットフォームについて。高橋さんは「抜本的な業務改革には、必ずといっていいほど横断的に活用できるプラットフォームが付随する」と指摘します。

「これまで各業務の効率化に取り組む際は、個々の業務でソリューションを選択したり、個別に基盤を構築していたりしました。それはありがちなケースだとは思いますが、抜本的な業務改革に取り組む上では開発のスピードも落ちますし、非効率になってしまいます。

必要なのはデジタライゼーションに求められる機能群をあらかじめ準備しておき、業務要件に応じてテクノロジーを選択して活用できる体制です。私たちが提供する『デジタルエンタープライズ』は、それを可能にするソリューションです」(高橋さん)

高橋さんはアクセンチュアの「デジタルエンタープライズ」のフレームワークについて、提供する機能を3つの領域ごとに次の通り紹介します。

■デジタルワークフォース
営業活動支援を自動化する「セールス」、顧客との対話を自動化する「コミュニケーション」、定型的事務作業を自動化する「オペレーション」、定型的なデータ収集・分析作業を自動化する「アナリティクス」の機能を提供

■デジタルセキュリティ
定期的なセキュリティ対応を自動化する「サイバーセキュリティコントロール」、コンプライアンス関連の定期的なチェックを自動化する「コンプライアンスコントロール」の機能を提供

■デジタルプラットフォーム
紙媒体の情報をデータ化する「データキャプチャー」、構造化・非構造化データを管理する「データマネジメント」、業務タスクのコントロール・進捗管理をする「ワークフローマネジメント」、社内外のシステムと簡単に連携できる「コネクションマネジメント」、使用するAIソリューションを変更した場合にも過去の資源を再利用可能とする「AIマネジメント」の機能を提供

「例えば、『業務効率化』『営業効率向上』『新サービス構築』という3つの取り組みがあった場合、必要となる要素はもちろん異なります。

『デジタルエンタープライズ』の強みは、各用途に応じてあらかじめ提供されている機能を導入することで、全社横断で活用できたり、目的が変わっても再利用することができる点なのです」(高橋さん)

高橋さんは「AI OCR」「RPA」「セールスフォース・ドットコム」を組み合わせた、「住宅ローンの審査業務」の自動化における事例を紹介した後、「改革のアプローチ」をテーマにして講演を続けます。

「大規模で抜本的な改革へのアプローチには、大きく3つのステップが必要だと私は考えています。

まず初めのステップでは、業務効率化に向けて新たなプロセスの検討をし、構築に着手することになります。しかし、『抜本的な改革』にはどうしても時間がかかります。ですから、並行して旧来型業務をRPAなどにより短期間かつ低コストで効率化し、効果を早期に創出することが重要です。

次のステップは、新業務プロセスをリリースして効果を創出する段階です。ただ、この新しい業務プロセスが全ての業務をカバーしているわけではありません。旧来型業務も継続して自動化を推進することが求められます。

最後のステップでは、新業務プロセスのトランザクションを拡大して、旧来型業務を縮小・廃止していきます。これまで並行して進めてきた旧来型業務の効率化が、この段階で廃止されることになります。それはつまり、導入してきたRPAなども破棄されることを意味しますが、その点を割り切ることが必要と考えます」(高橋さん)

最後に高橋さんは、「この改革を進める上では組織づくりも大切」と指摘し、「改革を推進する組織には次の5つの観点が求められる」と講演をまとめました。

  • 経営直轄
    この改革が重要な経営アジェンダだと自覚できている。また、経営層に対しダイレクトにコミュニケーションをとることが可能
  • 独立運営
    この組織に改革を全うするための権限が付与されている
  • 内外とのコラボレーション
    新しいテクノロジーを活用する人材を内部から見つけ出すのは困難。外部の人間を取り込んで、外部パートナーと連携できる組織であることが大切
  • 次世代を担う人材確保
    社内のエース級人材、外部の人材を積極的に採用できる環境であること
  • ”出口”の設定
    組織に参加したメンバーの、改革実現後のインセンティブ・キャリアパスが明確化されている

懇親会!

新井さん、高橋さんの講演終了後は懇親会です!

アクセンチュアには、今回の講演で紹介された以外にも、様々な金融機関での事例があります。多くの参加者が、さらなる事例の情報を求めて登壇者とお話ししていたようです。

またのご参加をお待ちしています!

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