RESASのデータから地方創生を考える熱い2日間!(1/4)

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RESASのデータから地方創生を考える熱い2日間!(1/4)

「東京で考える地方創生!RESAS-API ハッカソン」開催背景

 2015年4月にリリースされたRESAS(リーサス)=Regional Economy and Society Analyzing Systemは、内閣官房「まち・ひと・しごと創生本部事務局」が官民のビッグデータ(産業、人口、観光、農業等)をまとめ、ビジュアル的に掌握できるようにシステム化したもので、人口急減・超高齢化に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的に、地方自治体が自らの現状と課題、強みと弱み等を把握し、その特性を踏まえた地方創生実現のための戦略立案に活用されています。

 この2016年11月、RESASのデータを自由に取り出せるAPIが公開され、このAPIを利用して地方創生を考える「RESASアプリコンテスト」も今後開催される予定になっています。そこで、API初公開を記念し、またコンテストに応募するための作品作りを支援することを目的とし「東京で考える地方創生!RESAS-API ハッカソン」が11月6日(日)と13日(日)の2日間にわたり開催されました。

 参加者はあらかじめ「興味のある地域」を申告して参加表明を行い、6日(日)に初顔合わせとなりました。

(写真提供:RESAS_API@teamLab)

まずはRESAS-APIの説明から

 はじめに、本ハッカソンの主催、そして審査員でもあるチームラボ株式会社 カタリスト床並 展和 氏よりRESAS-APIの説明がありました。

「その地域に住み、活動している方々は、大概どの地方でも『この特産品が自慢』とか『海がきれい』といったセールスポイントを持っています。でも、その特性により実際にどのくらいの集客ができているのか、どれだけの経済効果を生んでいるのか、他の地方に比べてどれほど優れているのかといった点を客観的に検証するにはデータしかないのです。そこで、国として、財政的支援や人的支援と同時に、情報的支援を行うことにした、それがRESASです」

 「『産業』『地域経済循環』『農林水産業』『観光』『人口』『消費』『自治体比較』と大きく7つのカテゴリに分かれたRESASのデータを具体的に活用し、地方創生に活かす方法を考えるのが、このハッカソンの最大のポイントとなります。」

 ここで、RESASを使って福島県をどうやって元気にしていくかをテーマにした動画を観て、シナリオに沿ってRESASを使ったプロジェクトのケーススタディを解説していただきました。

「いままでRESASのサイト画面上で参照できるだけだったデータがAPIとして公開され、無料の利用登録さえすれば誰でも利用できるようになりました。RESASは、現状分析のデータに特化したシステムです。全国の情報が同じ形式で揃っているというのが、ポイントの1つ点になります。とはいえ、RESASのデータだけでは課題を解決していくのは難しい。そこにもう一歩踏み込み、SNSや民間のデータなど新しいデータを加えることで、新たな価値が見えてくるはずです。そこをポイントに、自分たちの目線で課題解決に向けて楽しいものを作っていきましょう」

RESAS
https://resas.go.jp

RESAS API
https://opendata.resas-portal.go.jp/

RESASアプリコンテスト
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/resas/pdf/h28-11-22-appli_contest.pdf

協賛 IDOMの登壇

 本ハッカソンに協賛として参加している、株式会社IDOMの執行役員 新規事業開発室長 北島 昇 氏よりご挨拶がありました。自動車販売の「Gulliver」が2016年4月に株式会社IDOMに社名変更し、更なる事業拡大に向けてステップアップしようとしています。

「キャンピングカーを借りられるようになったことがきっかけで、今までなら行けなかった場所に行き、今までならできなかった体験ができる。僕らは単なるクルマ屋ではありますが、いかに『おでかけ』や『体験』を促すことができるかという視点でサービス開発をしているという点では、今回の『地方創生』に重なるところが多いと考えています。クルマが人生をアップデートするためのサービスとなり得る、という可能性もぜひ今回のアイディアに取り入れていただけたらと思います。また、僕ら営業マンが8割という企業としては、理解しきれていないエンジニアリング領域での新たな出会いに大いに期待しています」

株式会社IDOM
http://221616.com/idom/

豪華なデータスポンサーによる提供データの数々

 次に、データスポンサーとなる各企業の方々よりご挨拶と、企業および提供データに関する解説がありました。


 はじめに登壇されたのは、アソビュー株式会社 取締役執行役員 営業統括責任者 江部 隼矢 氏です。

「アソビューは『モノの充足』に重きをおいて動いている世の中で、『心の充足』に関してはどうだろう? という点に重きを置いてサービスを提案、余暇の充実という課題で皆さまの幸せを実現して行こうと考えている会社です。インドア・アウトドアを合計し、400ジャンルほどのレジャー・体験プラン15,000プランをWEB上で予約できるサービスを提供している『asoview!』、そして読むとお出かけしたくなる遊びのニュース、レジャー情報などをを提供している『asoview!NEWS』、旅先で楽しめるいろいろな情報を提供する『asoview!TRIP』という3つのメディアを運営しています。今回は、『asoview!』に掲載されている15,000プランのデータを丸ごと提供いたします。ほぼ全国のプランを網羅しており、都道府県のエリア情報だけでなく緯度経度の情報も入っていて正確な位置を示すことができますので、RESASの情報とのコラボレーションがしやすいのではないかと思います」

 今回は『asoview!賞』を設定し、遊びを通じて地方創生に積極的に取り組む作品や、人の移動を生み出すことで一時的でなく長期的な地域活性を促すような作品という点で、選べるレジャーチケットを賞品としてご用意いただきました。地方創生事業を担当している役員の高村氏が、審査員として最終発表に立ち会う事になります。

アソビュー株式会社
https://www.asoview.co.jp/


 次のデータスポンサーは、駐日外国政府観光局協議会(ANTOR-JAPAN)。事務局の中山 圭太郎 氏がご登壇されました。

「ANTOR-JAPANAntor-Japanは、外国の観光局が40局程加盟しており、海外の観光局の日本支部の代表です。今回は海外からの観光客のデータをご提供いたします。ポイントとなるのは海外からの観光客数だと思いますが、今回のデータにはビジターとツーリストを足した数がカウントされています。またツーリストの中には観光目的やビジネス、療養目的、宗教的な旅などいろいろな目的をもったものもありますので、データを使う際にはどういった目的のデータなのかということをよく理解しながら使うといいと思います。今、インバウンドが非常に盛り上がっており、一方、アウトバウンドが激減しているという困った状況もあります。国連では国際観光が活発化することは、世界平和につながるとも言われていますので、海外からの観光客を呼び込むとともに、日本の方々が積極的に海外へ観光に出かけるきっかけになるようなアイディアに期待しています。今回のハッカソンはたった2日の開催ですが、国が変わるほどの非常に重要な内容だと思っています。また、観光データは世界的にオープンデータ化されていますので、各国語で検索するとそれらを見つけることもできますので活用しても良いかもしれません。今回ANTOR-JAPAN賞を設け、グローバルな視点でアプローチしたプロジェクトに授与したいと考えています」

駐日外国政府観光局協議会(ANTOR-JAPAN)
http://www.antor.jp


 次のデータスポンサーはESRIジャパン株式会社より、プラットホームプロダクトグループ 佐藤 和可菜 氏が登壇し、実際にRESASのデータを使ったデモもご紹介いただきました。

「ESRIジャパンは地図や、地図データの解析ソフトやサービスを皆さんにご提供しています。今回は『RESAS×ビジュアライズマップ』として皆さんにご紹介したいと思います。当社ではGIS=Geographic Information Systemという、地球上にある物事をすべて地図上にデータとして可視化する事ができる情報システムを簡単に誰でも扱えるようにするための『Arc GIS』というサービスを提供しています。具体的にはWEB MAPを作成し、誰でも簡単に閲覧できる『Arc GIS Online』というクラウドサービスがあり、RESASのデータを入力することで地図を作成することができます。各デバイス用の開発キットを用意していますので、ぜひ活用してください。また、米国ESRIが持っているマップデータ、ESRIジャパンがサイトで公開しているオープンデータもご利用いただけます」

ESRIジャパン株式会社
http://www.esrij.com


 最後に日本マイクロソフト株式会社より、テクニカルエバンジェリスト 増渕 大輔 氏が登壇されました。

「今日提供するのは、MicrosoftのクラウドAzureのAPIです。参加した皆さんにAzureパスを提供しますので、すべての機能をお使いいただけます。サーバを立ち上げたりすることもできるのですが、APIで最近注目されているのは例えばCognitive Services、人工知能系のAPIです。この解説ビデオには実在の視覚障害を持ったLondonのMicrosoftのエンジニアが登場しているのですが、スマートグラスで撮影した画像をリアルタイムで解析して、そこに何が写っているかを音声で伝える、というようなことができ、こういった機能もすべてAPIで使えます。テキスト解析や翻訳、ビジョン系の顔認識や表情による感情解析、写真にキャプションを振る、声認識、音声翻訳なども使えます。また、API以外にもBOTを作るためのSDK、自分で機械学習をカスタマイズするためのシナジーなども使えます。Microsoft賞としては、受賞者が継続して開発をしてもらえることを確認できた場合に、このAzureを3年間使える権利を差し上げることにしました」

日本マクロソフト株式会社
https://www.microsoft.com/ja-jp/

Microsoft Azure
https://azure.microsoft.com/ja-jp/

いよいよ開発スタート。午前中は地域別に分かれてアイディアソン

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ここで5分間の休憩をはさみ、もう一度チームラボ床並氏より、開発スタートに際してのアドバイスがありました。

「まず地域課題ってなに?ということを自分ゴトとして考えてみてください。そして新たなサービスを提供して喜ぶターゲットは誰なのかを想定すること。例えばどこの地域にどの国の人が何人来ているという情報はよくありますが、何人来たという数字だけでなく、SNS上に発信されたその地域の観光スポット情報がどのくらいバズっているのかなど、インサイトの情報の分析も付随させると観光施策を考えている方にとっては価値が高く、これまで自分たちの経験則から考えざるを得なかった施策を客観的データに基づきながら考え直すことが出来てきます。RESASの情報とその他の情報をうまく組み合わせると、考え方や自地域の見え方が全く変わってくるので、そういうソリューションを提供できるように考えてみてください。」

 ここからアイディアソンがスタート。事前に申告していた興味のある地域ごとに仮チームを結成し、各自がその地域が抱える問題や地域の特色、観光資源やセールスポイントなどを断片的にポストイットに書き出してどんどん提案します。ランチタイム中もアイディアソンは続行。チームでランチを取りながら親交を深めるとともに、ランチタイム終了までに、ひとりひとつずつ取り組みたいアイディアを決定し、ポストイットにメモをまとめました。

 12時30分にランチタイムは終了。手元に各自ポストイットがある状態で、午後のアイディアソンがスタートしました。活性化させたい地域、その地域の好きなところ、解決したい地域課題、課題を解決することでどのような人が喜ぶか、解決策の概要と利用したいデータ(RESASとRESAS以外)などを情報シートに記入します。

人気投票で決まった仮リーダーたちの発表

 記入済みの情報シートをテーブルに置いた状態で、参加者全員が各テーブルを周回。ほかのテーブル(チーム)の情報シートの内容をチェックし、良いと思ったものに投票します。各テーブルでいちばん投票が多かった人が、仮リーダーとして壇上に上がりました。


地域:群馬県
「地方に仕事がない、地方で仕事を見つけられないという問題を解決したいと思います。地方の就職情報誌などは大都市以外の求人広告はほとんどなく、そして、地方に住んでいる人は意外と自分の住んでいる所の主要産業がなにかもわかっていません。そういう情報を集めて、自分が住みたい場所、戻りたいところに戻れるかどうか調べることができるサービスを作りたいです」

地域:福井県鯖江市
「リアル宝探しを通じて地域を活性化したいと思います。ジオキャッシングというサービスを地方自治体が認可してくれたら実現可能で、普段何気ない通勤や通学の途中で隠された宝を探し、ついでにインフラの老朽化なども発見できたら理想的。鯖江市はフリーでオープンな感じなので認可してくれそうだなと思って地域を設定しました」

地域:広島県
「もともと歴史建造物が好きなので、地域にある観光資源を活かし、最適な観光経路を提案するシステムを作りたいと思います。電車やバスを乗り継いだときに、人混みや時間、値段などを考慮して行き方をスマートフォンでサジェストします。その経路を選んだ理由を明快にして、Googleなどと差別化したい」

地域:静岡県
「静岡はお茶の名産地ですが、年々茶葉の消費量が落ち込んでいます。最高級品である手揉み茶も売上が減り、伝統技術が廃れつつあるので、老人や富裕層が多い地域にピンポイントで地域の高級な特産品をマーケティングできるシステムを作りたいと考えました」

地域:長野県
「市民向けの行政情報をビジュアライズして提供するサービスです。地方自治体の選挙では雰囲気や人柄で投票している人が多く、政策や成果を認識して投票している人は殆どいないので、選挙候補者の情報やその他の情報をビジュアルでわかりやすく伝えたいと思います。4年前から長野県の軽井沢でインターナショナルスクールを作る仕事をしていて、政府の対応をしている最中に感じた疑問から思いついたアイディアです」

地域:神奈川県
「各自治体間での力を比較するダッシュボードをつくりたいと考えて提案しました。対象には政治家または市民を位置づけており、現状をビジュアル化して共有するのと、評価指数のようなものを変数として作成する、指標そのものを作ってみたいと考えました」

地域:東京都三鷹市
「三鷹市は税収がプラスなので地方交付税が付与されていない自治体です。そのため、例えば街路灯も数少ない個人事業主の商店街が支えているなど、財政的な問題を抱えています。これは50年ほど前に作った制度のまま運用されていて、地方自治体のポートフォリオに入っていないために起きている問題です。これらを見える化したいと考えました。」

地域:大阪府
「クーポンが使えるお店を地図上にマッピングするサービスを作りたいと思います。理由は、お昼をコンビニに買いに行ったのですが、コンビニの食べものはおいしくないな、でもおいしそうなお店が見つからないなと思って思いつきました」

地域:岩手県
「日本全体の地域を活性化させたいということで、観光情報を各ユーザーに個別にカスタマイズして届けるシステムを考えました。知らない地域、自分の地域にない『光』を『観る」のが本来の観光ではないかと思ったのです。例えば、山も海もない渋谷区に住んでいる人には、山や海への観光案内や山で取れた美味しいものを提案する、そういうシステムを作りたいと思っています」

地域:北海道
「結婚できないという問題を解決したいと考えました。北海道リゾートウェディングというものを提案し、北海道でデートしたり結婚したりしてもらおうという企画です。少子化対策でもあります。北海道でお見合いや結婚式をしてもらうことで、お土産や引き出物など産業的な活性化につながるのではないかと考えます」

投票選抜に漏れたけど、是非やってみたいという情熱的な発表者たち

 ここまでは情報シートを見ての投票が多かった選抜企画ですが、特別枠として、選ばれなかったけどどうしても自分の企画をやってみたい!という意気込みの4名も壇上に登りました。


地域:日本全国
「日本全体の少子化対策のためのシステムを考えました。地方自治体によっては結婚する人や子供を産んだ人にさまざまな助成が設定されていますが、これらは結婚する前、子どもを作る前に知らないともらえません。そこで、引っ越しするときに、どこで子供を産んだり育てたりすればどれだけ得があるかをデータ化し、ランキング形式で表示。自分にあった助成金、補助金の多いところを教えてくれる仕組みを作り、お金がかかると言われている子育てをサポートしたいと思います」

地域:静岡県沼津市
「沼津はアニメ(ラブライブ)の聖地になり人が来るようになりましたが、地元のボランティアなどと話をしているとアニメとタイアップして成功している店と成功していない店があるということがわかりました。頭の固い組合や店主などは、アニメに乗っかるということに拒否反応を示す人も少なくありません。そこで、いままでの『アニメの聖地』の成功データを経済効果や旅行者数などをビジュアルで表示し、提案できるシステム、アニメのタイトルで検索できるアニメ版RESASのようなものを作りたいと考えました」

地域:岩手県
「ターゲットは日本全体ですが岩手県から始めたい。私が作りたいと思っているのは、ソーシャルオペレーションシステム。新しい社会を運用する仕組みです。自治体独自の地域経済券を実現し、それをダッシュボードで可視化し、地域住民と自治体がリアルタイムに可視化できるというソリューションを作りたいと思っています。具体的にはブロックチェーンをベースに地域通貨を実現し、通貨のやりとりを自治体と企業、個人の間で可視化できるダッシュボードを作ります」

地域:東京
「東京のいいところは新しい文化がどんどん生まれるところだと思います。私自身、社会人になって毎日色々なことを体験していますが、その体験や興味のある物事が蓄積されてくると、次にどんなことをしたらいいか、行くべき地域などがわからなくなることもあると思いました。そこで、長い目で見て、自分のやってきたことや見たもの、興味を持ったことなどをデータとして蓄積し、やるべきことをレコメンドしたり、転職先を提案したりすることで、生活の質を向上するサービスを考えました」


 以上でアイディアのプレゼンが終了。参加メンバーは賛同する仮リーダーのところに集まり、またリクルーティングを行い、各チームの人数、エンジニア・デザイナーのバランスを考慮してチームビルディングが行われました。残念ながらメンバーが集まらず、立ち消えとなったアイディアもありました。


>>「RESASのデータから地方創生を考える熱い2日間!(2/4)」へ続く

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