クライアントとコンサルティング会社との新しい関係 ~MaaSが支えるサステナビリティトランスフォーメーション~

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クライアントとコンサルティング会社との新しい関係 ~MaaSが支えるサステナビリティトランスフォーメーション~
昨今、イノベーションによる既存の産業構造の変化、気候変動に伴う自然災害による経済リスクの高まり、またSDGsの浸透やESG投資への注目度上昇によって、社会のサステナビリティへの貢献が強く求められるようになってきています。 このような状況下、企業は、短期的な業績の向上を追い求めるだけではなく、中長期的な視点で社会のサステナビリティへの貢献と企業活動のサステナビリティの実現を両立させることが必要となります。 この両立の実現に向けた取り組みとして、東日本旅客鉄道と日立製作所および日立コンサルティングが推進するMaaSプロダクト“Ringo Pass”の事業開発プロジェクトを事例に、「クライアントとコンサルティング企業との新しい関係」と「MaaSが支えるサステナビリティトランスフォーメーション」について紹介しました。

こちらのコラムでは、講演後のパネルディスカッションの一部をご紹介いたします。イベント動画へのリンクはページ下部をご参照ください。

●登壇者プロフィール


篠田 恵
東日本旅客鉄道株式会社
MaaS・Suica推進本部 (MaaS事業部門 MaaSサービス開発グループ)

MaaS事業の推進に向け、プロダクト“Ringo Pass”アプリの企画・開発業務に従事


西岡 千尋
株式会社日立コンサルティング
デジタル・イノベーションコンサルティング事業部
デジタルイノベーションコンサルティング本部 マネージングディレクター

デジタル技術を活用した経営・業務改革、ベンチャーや研究所などの外部と連携したサービス開発に従事。近年は働き方改革や健康経営にも注力。


隈田 樹一郎
株式会社日立コンサルティング
デジタル・イノベーションコンサルティング事業部
デジタルイノベーションコンサルティング本部 マネージャー

デジタル技術を活用したサプライチェーン改革、マーケティング業務支援などのコンサルティングプロジェクトに従事し、近年は事業開発プロジェクト中心に活動。

~イントロダクション~

西岡「JR東日本から篠田さんをお迎えし、“MaaSが支えるサステナビリティ”というテーマでパネルディスカッションを行います。まずはこの動画をご覧ください。」

篠田「JR東日本、MaaS・Suica推進本部の篠田と申します。このRingo Passプロジェクトには約3年前に参画致しました。主にアプリケーションUI/UX設計や開発を担当しております。本日はよろしくお願いします。」

~SX(サステナビリティトランスフォーメーション) x MaaS~

西岡「では早速ですが、パネルディスカッションを始めたいと思います。今回のテーマはMaaSが支えるサステナビリティトランスフォーメーションというテーマなのですが、JR東日本の考えるサステナビリティトランスフォーメーションとMaaSの関係性などをお伺いしてもよろしいでしょうか?」

篠田「はい。この数年は多くの企業がSDGs達成への指針を示すなど、大企業のサステナビリティへの関心が増してきていることはご存知かとおもいます。JR東日本も例にもれず、サステナビリティと自社の成長は不可分と考えており、当社の変革2027中期経営ビジョンの中でもSDGsについては言及されています。」


篠田「ご覧のスライドはJR東日本グループ経営ビジョンから抜粋した資料になりますが、JR東日本Grの成長は、SDGsの達成への貢献を前提としていることがわかると思います。こちらは2019年度の弊社のサステナビリティレポートからの抜粋になります。SDGsを達成するための要素として”MaaSの推進”は不可欠なものとして記載されています。 とくにNo.9”産業と技術革新の基礎を作ろう”、No.11の”住み続けられるまちづくりを”の達成に貢献できると考えています。」

西岡「移動の手段というのは、人々の生活を支える重要なインフラだと思いますので、サステナビリティとMaaSの関係というのは非常に重要であると考えております。」

~MaaSについて~

西岡「これまでMaaSという言葉が何度も出てきていますが、ここでMaaSについて、JR様の中でどのような定義で使われているのかご説明いただけますか?」

篠田「MaaSはモビリティアズアサービスの略語です。移動手段を各個人がバラバラで手配する従来の移動方法ではなく、交通サービスを一括手配でき、シームレスな移動ができること、がMaaSと言われています。JR東日本においても、シームレスな移動というのは変革2017の中でも掲げられており、私たちはそれを『モビリティ・リンケージ・プラットフォーム』と呼んでいます。お客様が駅から駅へ移動したいがために鉄道をご利用されるのではなく、今いる場所から目的地までシームレスに快適に移動したいという、JR東日本としてお客様視点から改めて考えた結果、このような構想が生まれました。」


篠田「Ringo Passにおいても、このモビリティ・リンケージ・プラットフォームを構成する一部のものとなっております。この新しいMaaSを企画するにあたりまして、日立コンサルティング様と一緒に検討を進めてまいりました。」

~役割分担について~

隈田「ここで少しだけ、MaaSアプリRingo Pass Projectにおける我々日立コンサルティングの役割分担について少しお話しさせてください。」


隈田「こちらの資料では一般的な新サービスローンチのプロセスと役割を記述しています。一般的にはビジョナリーによるビジョン策定に始まり、ストラテジスト、UXデザインをするヒップスターと呼ばれる人たち、システム開発をするハッカーが製品を作り上げ、ハスラーと呼ばれる営業・広告宣伝チームが顧客を獲得し、またストラテジスト、ビジョナリーへと役割が返ってくるというプロセスになっております。この中の赤枠で囲った部分について日立コンサルティングとして主に支援させていただきました。」

隈田「具体的には、ストラテジストの役割としてワークショップ形式での戦略の策定、サービスの検討。獲得ユーザー数のKPI設定や試算についてもともに実施させていただきました。また、ハスラーの役割としては、サービスローンチ後のプロモーション施策の検討や結果の分析、改善の提案なども支援させていただきました。Web広告のクリエイティブの配信結果を比較し、次の配信広告クリエイティブをどれにするか・どれをやめるかというような議論も一緒にやらせていただいておりました。また我々は何も机の前に座ってお客様を支援しているわけではありません。実際のタクシー事業者の交渉についてもお客様と共に伺い、交渉を仕掛けていくこともありました。」

西岡「ありがとうございます。MaaSも都市と地方では役割が違うそうですが、JR様としてはどのようにアプローチが違うのか、教えていただけますでしょうか。」

~都市でのMaaSについて~

篠田「はい。都市型MaaSと地方型MaaSは現時点では異なるアプローチをしています。Ringo Passとはまず都市のユーザーをターゲットとしてサービスを拡大させています。サービス当初はタクシーの決済予約から始まりましたが、最近ではタクシー配車、サイクルシェアの利用ができるようになっております。特にサイクルシェアの利用については、コロナ禍において利用の増加がデータから見えております。こちらのグラフを見てわかるように、タクシーの利用は昨年の緊急事態宣言から利用が下がってしまい、そのあとなかなか元の水準までは戻っていないんですけれども、サイクルシェアの利用については2020年の3月から利用が増加しておりまして、現時点でも約5倍ほどまで伸びております。」


篠田「これはRingo Passアプリだけの傾向ではなく、サイクルシェア全体の需要が増加していることが要因となっております。満員電車を避けて通勤でサイクルシェアを初めて使ってみたユーザー様が、平日のみならず休日の利用にまで拡大しているということはデータからわかっています。」

西岡「5倍というのはすごいですよね。JR様のアプリでサイクルシェアに乗れるというのがまず画期的だと思いました。鉄道との接続についてはいかがですか?」

篠田「鉄道ですが、昨今のニュースでもあります通り、コロナウイルス感染拡大防止による外出自粛の影響を受けまして、利用者数は減少してきております。ただ、弊社といたしましても、それに対応できるような様々な取り組みをしております。一つはSuicaのような非接触乗車券であるとか・・・(続きは下記動画よりご視聴ください)

●当日プログラム

【オープニング】
デジタルイノベーションコンサルティング本部のご紹介

【講演】
クライアントとコンサルティング企業との新しい関係
~MaaSが支えるサステナビリティトランスフォーメーション~

【パネルディスカッション】
(1)都市におけるMaaSの役割
(2)観光地・地方におけるMaaSの役割

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世界では環境、エネルギー、教育、医療などに関する多くの問題が生じています。こうした地球社会、地域社会の課題の解決に貢献して持続可能な社会を実現するために、“ITで高度化された、安全・安心な社会インフラをグローバルに提供していくこと”が日立の考える社会イノベーション事業です。 日立コンサルティングは、エネルギー、水、交通などのインフラ基盤だけでなく、行政の仕組みや、製造、流通、金融といった事業会社が提供しているサービスや製品なども広い意味での社会イノベーション事業と捉え、お客様や多様なパートナーと共に「ビジネスエコシステム」を創出することで社会課題の解決に取り組んでいます。 グローバル化の進展と共に益々複雑化する社会課題を解決するためには、一企業だけではなく関連する多くの企業や行政機関などと連携し、従来の領域を超えた「協創」を行うことが必要になります。日立コンサルティングは社会インフラの実績とITによる総合力を備える日立グループのコンサルティングファームとして、領域を超えた協創の先導、具現化、定着を推進していきます。

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