新しいオンラインコミュニケーションを実現──デジタルの力で、心の温度を感じ合える世界を創る「新SkyWay」とは

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新しいオンラインコミュニケーションを実現──デジタルの力で、心の温度を感じ合える世界を創る「新SkyWay」とは
NTTコミュニケーションズが提供する、音声・映像通話などのリアルタイムコミュニケーションのためのSDK「SkyWay」。2013年のリリース以来、現在では2万以上のサービス開発に活用されている。2023年1月のリニューアルでは、SkyWayをアーキテクチャから見直し、新たなサービスとしてリリース。最大同時通話人数を100名に拡大、端末の負荷軽減、認証・認可機能強化など、新たな機能が加わった。最新事例、新機能の特徴などが紹介されたイベント「SkyWay CONNECT」をレポートする。
UX, API, DX

「デジタルの力で、心の温度を感じ合える世界」を目指して

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NTTコミュニケーションズ株式会社
プラットフォームサービス本部 SkyWay推進室長 大津谷 亮祐氏

オープニングセッションに登壇したのは、NTTコミュニケーションズ SkyWay推進室長の大津谷氏だ。WebRTCはNTTにとってのキーテクノロジーであり、2022年2月に副社長直轄でSkyWay推進室という部署が設立された。

大津谷氏は、新しいSkyWayがリリースされることとなった背景として、新型コロナウイルス感染症拡大の影響からオンラインコミュニケーションの重要性が増し、社会に広く浸透したことを挙げる。

オンラインコミュニケーションの浸透によって、求められるテクノロジーも変化してきた。コロナ禍以降、SkyWayには多人数通話や多様なデバイスでの利用、メタバースでの利用、AIとの連携といった要望が寄せられるようになった。

この社会の変化とテクノロジーの変化に対応し、SkyWayが5年後も10年後も進化し続けられる土台となるよう、新たにゼロから創り出したのだという。

大津谷氏はSkyWayのパーパス(存在意義)を以下のように掲げている。

「SkyWayはデジタルという手段を使ってオンラインコミュニケーションの良さを伸ばし、リアルのコミュニケーションの良いところをデジタルに取り入れながら、心の温度を感じられる世界を目指していきます」(大津谷氏)

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SkyWayが提供する価値として、大きく3つの価値を挙げている。一つは、無料プランや使いやすいSDKによる「やってみたい」を後押しする開発のしやすさ。二つ目は、導入後だけではなく、検討段階から「これがやりたかった」をカバーできるような提案力。三つ目は、「安心して使い続けられる」と思える技術力である。

特に3つ目の「安心」には、以下の5つの思いを込めていると、その決意を熱く語った。

  1. 技術力
  2. セキュリティ
  3. 経済安全保障
  4. システムの信頼性
  5. 事業の継続性

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新SkyWayの魅力と今後の展望とは

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NTTコミュニケーションズ株式会社
プラットフォームサービス本部
SkyWay推進室 担当課長 兼 プロダクトマネージャー 仲 裕介氏 

続いて登壇したSkyWay推進室 プロダクトマネージャー 兼 担当課長の仲氏は、新SkyWayの魅力と今後の展望について講演を行った。

仲氏は2013年のSkyWay創業メンバーであり、開発運用やプリセールス、デベロッパーリレーション、開発者マーケティングなどを少人数でこなしがら商用化を推し進め、2017年に正式リリースを達成。2020年10月にプロダクトマネージャーに就任し、新しいSkyWay構想の具体化を進めてきた。

今回のセッションで仲氏はSkyWayの概要と特徴、そして今回のアップデートにチャレンジした理由、新機能の説明、今後の展望などを語った。

SkyWayについて改めて説明すると、NTTコミュニケーションズが提供するWebRTCを使ったビデオ通話や音声通話を簡単に実装できるSDKであり、数十行のプログラムを書くだけで、様々な通話形態のリアルタイムコミュニケーションを提供することができる。

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新たにリリースしたSkyWayでは、2つのチャレンジを行っている。1つは、プラットフォームの刷新だ。新SkyWayはこれまでのSkyWayとは全く別のプラットフォーム基盤で運用されている。

「安定性や機能拡張性を考慮したプラットフォームであり、新しいSkyWayでは複数人の通話や同時通話人数の制限がありません。SFU Botという概念で提供しており、映像や音声データを様々な用途で活用できるようにシステムデザインを行っています」(仲氏)

もう1つは、APIの刷新である。後方互換性を担保していないというデメリットもあるが、新しいユースケースに対応すべく、断腸の思いで決断したと仲氏は語っている。

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新SkyWayの特徴については、4つのポイントがピックアップされて紹介された。それぞれ簡単に紹介していきたい。

1.Pub/SubモデルのAPI

新しいSkyWayで通信を行う際は、Channel(Room)に参加する必要があります。その中でPublish(送信)とSubscribe(受信)のAPIを使うことで、自分の状況に合わせて、必要な映像や音声の送信・受信という重要な制御ができる。

Pub/Subモデルのメリットは、映像や音声の柔軟な受信が可能になることで端末の負荷を抑えられること、柔軟なユースケースに採用できることである。

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2.同時通話人数

新しいSkyWayは、一つのChanelの中に最大320名までのメンバーを参加させることができる。双方向の通話を行う際は、端末の負荷を考慮する必要があるのでビデオ通話で大体50名、音声通話では100名が目安となる。

Chanelへの参加人数と実際の通話人数がイコールではないことも、大きなポイントだ。

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多人数通話に関してはSFU botという概念を導入している。ChanelにSFU botを呼び出し、そのbotに対してPublishでメディアを送り、botからメディアを転送する。それを希望する人がSubscribeする(受信する)ことでSFUの通話を実現する形になっている。

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botに関しては、今回サイマルキャストを導入している。サイマルキャストを使うことで、あらかじめ送信側で複数の映像品質で映像エンコードして送ると、エンドユーザー配信側、受信側の待機を考慮しながら、どの品質を受信するかを選ぶことができる。

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3.認証・認可機能の充実化

新SkyWayでは、SkyWay Auth Tokenを使うことで、今までよりも柔軟な認証・認可ができるようになった。例えば、入室の権限管理、参加者ごとの権限設定、管理者権限による参加者の操作などが可能だ。

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4.旧SkyWayからの変更点

その他にも旧SkyWayからの変更点として、コーデックの選択肢が拡大したことで、SFUで利用できるコーデックにH264が追加されたこと、帯域の削減を行うためにOpusのDTXというオプションを有効化したこと、VP9/AV1/Opus+REDなど、新しいコミックも指定できるようなったことなどが紹介された。

もう1つは、iOSのSDKとAndroid SDKの機能充実である。これまで要望の多かった映像ファイルや送信対応、iOS、Androidでの画面共有などに対応できるSDKになっている。

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今後も、録音・録画機能や通話状況分析機能の向上、ノイズキャンセル機能など、より利便性の高い機能を提供していきたいと、仲氏は力強く語っている。

「無料ですぐに試せる手軽さ、日本のエンジニアを理解した情報発信、日本企業の日本製品という安心感を、今後も高めていきたいと思います」(仲氏)

オンラインワークスペース『NeWork』で新SkyWayを活用した先行事例

新SkyWayの活用事例も紹介された。SkyWayを活用した『NeWork』というオンラインワークスペースで、仮想オフィス的なサービスに取り組んだ事例だ。

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NeWorkのサービス概要や特徴・機能などについては、NeWork プロダクトマネージャー 大野智史氏が説明を行った。

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NTTコミュニケーションズ株式会社
(当時)プラットフォームサービス本部
コミュニケーション&アプリケーションサービス部
NeWork プロダクトマネージャー 大野 智史氏

NeWorkは、リモートワーク、オフィス、複数の拠点が同じ空間でつながることができるオンラインワークスペースである。2020年にプロジェクトをスタートしてβ版をリリース後、2021年の商用版(有料版)リリース、2022年のモバイルアプリ追加を経て、2023年2月にエンタープライズ向けメニューを追加し、2023年3月に新SkyWay対応バージョンをリリースした。

最近はオフィスワークとリモートワークを組み合わせたハイブリッドワークが多くなってきたため、「離れた場所で仕事をしているメンバーの様子がわからない」「会議設定が大変」「チームワークや帰属意識が低下している」といったコミュニケーション課題が生じている。NeWorkはそうした課題を解決に導く、機能や特徴が搭載されている。

1.メンバーの様子がすぐわかる

ログインしているメンバーが出勤しているのか、どこで会議しているのかなどが一目で確認することが可能。会議や1on1をしたい場合も、ワンクリックでその場にいるメンバーと会話することができる。

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2.複数画面・ビデオの同時共有機能

オンライン会議で複数人が同時に画面共有ができるなど、スムーズなコミュニケーションが可能。ハイブリッドワークの場合、オフィスの様子を繋ぎっぱなしにして、コミュニケーションできるようにする使い方もある。

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3.会話に参加しやすくなる「聞き耳」、話しかけやすくなる「モード」

作業しながら聞くだけの参加を選択したり、自身の状況をモードで示すことで話しかけやすくなる機能。聞き耳中に、気になればワンクリックで参加することもできる。

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4.モバイルアプリ

モバイルアプリを使えば、移動中やパソコンの前にいない場合でもワンクリックでコミュニケーションを取ることができる。

「導入効果としては、業務効率や生産性の向上、一体感の醸成、エンゲージメント向上などがポイントです。イベントやセミナー、研修、災害対策、バーチャル教室などの教育分野でも活用いただいています」(大野氏)

SkyWayを活用したメリットとしては、「スピーディにサービスを立ち上げることができる」「サービス特性に合わせた柔軟な通話を実現」「セキュリティ面も安心」が挙げられた。

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新バージョンのドッグフィーディングをどう実施したか

続いては、NeWork テクニカルリーダーの藤野晴樹氏が新バージョンのドッグフィーディングをどのように実施したのかを語った。

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NTTコミュニケーションズ株式会社
プラットフォームサービス本部
コミュニケーション&アプリケーションサービス部 
NeWork テクニカルリーダー 藤野 晴樹氏

ドッグフィーディングは、Web版とモバイル版それぞれでユーザーからのフィードバックをもらい改善を繰り返す、多様な環境利用でのバグ出しを行うことを、期待感を醸成しながら進めていった。

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これまで紹介してきたSkyWay新バージョンの機能に対しては、ユーザーや開発者から嬉しい反響が続々と届いた。藤野氏はそれらの声を紹介しながら、今後もより良い機能を搭載していきたいと、喜びの声を語った。

以下はその反響の一部の声である。

【事例紹介】コミュニケーションビジネスを成功させたSkyWayの活用ポイント

最後のセッションは、SkyWayの活用によって新時代のコミュニケーションビジネスを 成功させた企業に、ビジネスの課題から解決に向けた具体的なアクション、今後のビジネスの方向性など、3つのテーマをもとに語ってもらうパネルディスカッションが展開された。

パネリストは、株式会社コーセー 進藤広輔氏、株式会社レアジョブテクノロジーズ 羽田健太郎氏、株式会社OPSION 深野崇氏。ファシリテーターは、NTTコミュニケーションズ SkyWay推進室の加藤氏が務めた。

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テーマ1:事業を進めていく中でのビジネス的な課題

進藤:私はコーセーの経営企画ではDX戦略の立案から推進、情報統括部ではIT戦略の立案と推進と、デジタル系の戦略の立案から推進を率いています。SkyWayの導入を検討し始めたのは、コロナが日本中に完全に蔓延しきった2020年頃です。店舗は休業状態、人流は最低限に抑えられている状況で、化粧品業界のビジネスが非常に厳しい状況でした。

女性を中心とした美容に関する興味関心をお持ちの方々に、対面でなくても美容や化粧品に対してきちんとアプローチできないかという課題、さらに美容部員の仕事を確保する上でもお客様に美容に関するアドバイスをさせていただくサービスができないかという課題を抱えていました。

オンラインで美容アドバイスのサービスを展開するにあたって、一番の課題となったのは、画像や映像の鮮明さをどう伝えるか。化粧品の魅力となる質感やテクスチャー、ラメの光沢感や色つやなどをどれだけ鮮明に表現できるかが、最大の課題となっていました。

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株式会社コーセー 経営企画部 DX推進担当部長 兼 情報統括部 グループマネージャー 進藤 広輔氏

羽田:レアジョブテクノロジーズでCTOを務めている羽田です。PCやアプリでレッスンを提供する「レアジョブ英会話」をはじめとするサービスの技術領域を担当しています。

2007年の設立当初はSkypeを利用したオンラインサービスを展開していたのですが、3つの課題がありました。1つは、サービスインストールの際に、Skypeのアカウントを取らないと利用できないというコンバージョンの観点です。2つ目は、Skypeに依存した仕様やユーザー体験になってしまうため、最適な学習体験が提供できないという課題を感じていました。3つ目がレッスンの中身が把握しにくいということ。講師からのレポートなどをもとにオペレーション改善は進めていましたが、実際のレッスンの様子が把握しきれておらず、SkyWayの検討を始めたのがきっかけです。

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株式会社レアジョブテクノロジーズ CTO 兼 プロダクトマネージャー 羽田 健太郎氏

深野:株式会社OPSIONの代表取締役 深野です。OPSIONは2019年1月に設立した会社で、当時はまだコロナ前だったのですが、日本でもテレワークがどんどん浸透していくだろうと考え、メタバースオフィス「RISA」、Web3と呼ばれる領域にトークンを利用した新しい2Dメタバース「AZITO」を開発しています。

メタバースオフィスでは、アバターで近づいたら音声で通話ができるというコミュニケーション機能が大事な要素になっているのですが、その部分でSkyWayを活用させていただいています。

リモートワークは、働く環境や集中する時間帯などそれぞれ異なるため、オフィスワークのように隣の席に座って気軽に聞いたり、相手の様子を確認したりといったことが障壁になる。そこでリモートワークに適した新たなコミュニケーションの形を創ろうと、サービスの開発を行ってきました。

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株式会社OPSION 代表取締役 深野 崇氏

●ビジネス課題に対する解決方法。その中でのSkyWayの活用方法

進藤:化粧品の質感が伝えられるサービスを探していたときに、SkyWayの話を聞いて試してみたことが導入のきっかけです。化粧品の良さを伝えるには質や色つやだけではなく、美容部員のアドバイス、会話も届けなくてはいけない。音声の品質も非常に重要になります。

音声品質と画像の解像度を高くするためにチューニングを重ねていきましたが、当時でいうとSkyWay以外の選択肢はなく、ほぼ一択でした。WebRTCは世の中全体に需要がある技術ではないので、サポートも含めてNTTコミュニケーションズが一番いいパートナーでした。

実際に顔がちゃんと映るか、肌が見えるかどうか、化粧品の色が出るかなどをやってみると、直接数10cmの距離で美容部員がお客様の肌を肉眼で見るより、SkyWay超しの方が鮮明に見えて、接客スタッフが品質の高さにびっくりしていました。

羽田:先ほど挙げた「コンバージョン」「ユーザー体験」「ログ取得」という3つの課題を、SkyWayを使った内製のシステムを作ることで解決しました。弊社もWebRTCに関する知見がなかったため、SkyWayチームにもご協力いただいて、そもそもターンサーバーってなんぞやから教えていただきました。

レアジョブ英会話は生徒が日本、講師がフィリピンというケースが多く、国をまたいだWebRTC実装だったので、難しかったと思いますが、ログやソースコードも見ていただきながら、厚いサポートでご支援いただき、今はかなり安定したサービスが提供できる状態になっております。

生徒側と講師側それぞれに適切なUXでカスタマイズできたり、必要な情報ログを取るための内製化ができたりしたことがとてもよかったですね。

深野:リモートワークがメインで日々コミュニケーションを取ろうとすると、アバターが仮想オフィスでメンバーに声をかけるタイミングや相手の状況がわかることがとても重要となるのですが、音声や通信の繋がりやすさなどに苦労していました。

SkyWayのサービスは音声もクリアで、柔軟な接続などの品質面も良かったことはもちろん、アバターで近づく動作だけで声を出せば繋がるという体験を作ることができました。ビデオツールよりも気軽なコミュニケーションができるようになったと思います。

また、立ち上げの際はSkyWayさんの部屋を作って常駐してもらい、いろいろご相談させていただきました。開発初期の大変な時期にサポートしていただき、本当に助かりました。

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●今後の自社ビジネスの方向性・拡張性

進藤:ECを中心とするインターネット上でのビジネスを、どんどんスケールしていきたいと思います。接客は人と人との関わりの中で成り立つものですが、それをインターネット上ではどう実現するか。1対1の接客だけでなく、1対Nの接客にもチャレンジしていきたいと思います。一方で、接客のデジタル化も進めることでデータを取得し、次の施策にも繋げていきたいですね。

羽田:レアジョブから企画部門・開発部をレアジョブテクノロジーズというかたちで分社化したので、今後はよりデータ活用により事業拡大やそれを促進するための研究開発を進めていきたいと思います。

深野:今後の展開としてはオフィスやチームに限らず、toC向けの開発を進めています。例えば、オンラインイベントで数百人、数千人に対して声を届けたりなど。SkyWayを活用して、グローバルへの展開も行っていきたいと考えています。

NTTコミュニケーションズ株式会社
https://www.ntt.com/
SkyWay公式サイト
https://skyway.ntt.com/ja/

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