エンジニアが海外で働くにはどうすればいい? ──サンフランシスコで働くエンジニアがリアルな話を大公開!

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エンジニアが海外で働くにはどうすればいい? ──サンフランシスコで働くエンジニアがリアルな話を大公開!

将来は米国で働きたい、起業したい。そんな夢を抱いているエンジニアは少なくはないのではないだろうか。中でもUber、Airbnb、GitHub、Boxなどの創業の地であるサンフランシスコは、テック系のスタートアップが米国でも最も多い街として知られている。ではどうすれば米国サンフランシスコで働くことや、起業することができるのか。日本人エンジニアは海外で通用するのか──。

TECH PLAY SHIBUYAで7月4日に開催されたイベント「米国サンフランシスコのエンジニア&スタートアップのリアルな話」では、実際に現地で働くエンジニアや、スタートアップ企業を経営している創業者たちが集まり、熱いトークが繰り広げられた。

前半のトークセッションは「エンジニアがSFで働くリアルな話」、後半のトークセッションは「海外でエンジニアが働くには」をテーマに掲げて展開。モデレータはエンジェル投資や顧問、コンサルティングなどを行っているBora Blue 代表取締役の和田修一氏が務めた。

▲ Bora Blue株式会社 代表取締役 和田 修一氏
創業よりnanapiで取締役CTO、2014年にKDDIにM&A。現在はエンジェル投資・顧問・コンサルに加えて、ギタリストとしても活動中。

トークセッション「エンジニアがSFで働くリアルな話」

トークセッション「エンジニアがSFで働くリアルな話」に登壇したのは、Chompの共同創業者兼CEOの小林清剛氏、Contelizeの共同創業者でありCEOの近澤良氏、Poppy AIの共同創業者でありCEOの哘崎悟氏。

3人とも、以下のプロフィールで紹介している通り、サンフランシスコでスタートアップを起業している。


Poppy AI Co-founder and CEO
哘﨑(さそざき)悟氏
サンフランシスコでペットの写真を撮るだけでチャットスタンプにできるAIカメラのアプリを開発する会社Poppy AIを経営。「シリコンバレーで世界を変えるプロダクトをつくりたい」と思い、2014年、大学を卒業して渡米。1年間、米の大学で英語とプログラミングを学び、その後500 StartupsのAIスタートアップにソフトウェアエンジニアインターンとして参画。2017年に現地で出会った相方とAIカメラのスタートアップを創業した。
Chomp Co-founder and CEO
小林清剛氏
1981年生まれ。大学在学中に食料品の輸入会社、2005年に珈琲通販会社を設立。2009年にスマホ広告事業の株式会社ノボットを設立し、国内2位のスマホ広告ネットワークにした後、2011年にKDDIグループに売却。2013年に米国サンフランシスコにてChanoma Inc.を設立し、現地でスタートアップをしている。また、TokyoFoundersFundのパートナーとして、米国を中心に30件前後の企業に投資をしている。
Contelize Co-founder and CEO
近澤良氏
DeNAでOSSの開発やスマホゲームの開発に従事。シンガポールのスタートアップで2年働いた後、サンフランシスコのスタートアップでエンジニアとして勤務。2016年にサンフランシスコでContelize社を起業。Contelize社は企業のマニュアルやドキュメントなどをコラボレーションで効率的に書くためのプラットフォームを提供。8月からはAlchemist Accelerator(サンフランシスコのアクセラレータープログラム)に参加する。

とにかくサンフランシスコは家賃が高い

和田:日本とサンフランシスコの生活環境の違いについて教えてください。

小林:サンフランシスコで生活をするうえで、とにかく大変なのは家賃ですね。1ベッドルームで月30万円以上、2ベッドルームだと40~50万円もします。サンフランシスコで楽しいのは、世界の最先端技術やプロダクトの実験場的なところであること。電動スケボーや電動キックスケーターが当たり前のように走っているんです。常に新しいプロダクトに触れられるのは刺激的で楽しいですね。

和田:そういう最先端技術が集まるサンフランシスコとは、どのくらいのエリアを指しているのでしょう。

小林:日本で例えるとサンフランシスコでスタートアップが密集しているダウンタウンやソーマの地域は、渋谷+新宿ぐらいの非常に小さいエリアですね。私も徒歩で会社に通っています。

近澤:マーケット・ストリートやSOMA地区と言われているところの一部にオフィスが集まっています。某ストリートを歩けば、Airbnb、GitHub、Boxといった、そうそうたるスタートアップのオフィスが並んでいるんですよ。

和田:六本木ヒルズ付近や渋谷・道玄坂といったイメージでしょうか。生活するのにお金はかなりかかりそうですね。

小林:サンフランシスコでは年収1200万円でローインカムと言われていますからね。

近澤: 実際年収1000万円もらっても全然足りません。今はスタジオと呼ばれる1Kで家賃は30万円弱。家賃だけではなく、税金も保険も高いんです。家族がいる人は大変だと思います。

和田:哘崎さんはファンキーな生活をしていたんですよね。

哘﨑:そうです。前のスタートアップの時は、生きるための最低限のお金をもらっていましたが、外食とかはできず、とにかく自炊で極貧生活でした。今はサンフランシスコから電車で1時間のところで、4人でルームシェアしています。家賃は月26万円なので、1人8万円です。

小林:単身者はルームシェアをしている人が多いですね。

和田:通勤1時間というのは、近い方なんですか?

哘﨑:いえ、かなり遠い方です。僕の住んでいたところは地の果てと呼ばれているぐらいなので(笑)。

小林:たしかに(笑)。サンフランシスコから電車で20~40分乗ると、サンマテオ、パロアルトやバークレーなどの住みやすいエリアがあります。サンフランシスコ勤務で家族のいる人はだいたいその辺りに住んでいます。

和田:交通費などはどうでしょう。

近澤:外食は高いですが、交通費は東京の方が高いですね。Uberはありえないぐらい安いですから。

資金調達は日本でするのが得策!?

和田:米国と日本では資金調達の規模も違うように思います。資金調達の規模は、日本では2桁億はほとんど見ませんが、米国だと当たり前なイメージがあります。

小林:シリーズA(サービスやプロダクトをリリースし、マーケティングを始めるフェーズ)より前だと、一桁億が多いですね。とにかくシリーズAのバーが高いので、そこを越えられなくてダメになるスタートアップが多い。

和田:シリーズAの前に、エンジェルラウンドで止まってしまうことも多いということですか。

小林:会社の時価総額的な話をすると、日本の方が高い場合もあります。もしスタートアップをサンフランシスコで始めたいのであれば、日本の投資家から資金調達をすることをお勧めします。米国で調達する場合は、実績を厳しく見られるので。日本は起業家が少なくて投資家が多いので、集めやすい。日本は世界でもトップクラスにお金を集めやすい国です。

近澤:言われてみれば、日本の方が調達しやすいように感じます。米国の投資者は実績(ユーザー数、売上など)がないと話を聞いてくれませんからね。

和田:日本のエンジェルは人物を見て、投資してくれることが多いような気がします。

近澤:そういうのは米国では少ないですね。相当コネクションがあれば、フレンズ&ファミリーラウンドがあるかもしれませんが。

小林:Andreessen Horowitzなどトップティアと呼ばれるVCがシードの時に投資をしてくれたのに、次のシリーズAで追加投資しないことがわかると、他のVCもそれに倣って、投資をしてくれず、それでつぶれていくスタートアップも多いです。

だからこそ、シリーズAへのトラクション(実績)が非常に重要になる。とにかくシリーズAに進むまでは、お金を集められるところから集めること。そのバーを越えることができれば、いろんなところと交渉できますからね。

哘崎:いま僕は次のシードの資金調達で帰国しているんです。調達環境の良い日本でシード・エンジェルラウンドの資金調達を行ってからサンフランシスコに渡り、その資金でシリーズAに必要な実績を作っていくことをお勧めします。

和田:現地では、どのように採用していくのでしょう。土地勘がない場合、接点つくるのは難しいと思いますが。

小林:AngelList(エンジェルリスト)を使うなど、エンジニアの募集はできます。それよりも、重要なことは、現地で友達や知り合いを作って、そのつながりで採用をすることですね。

和田:求職者はAngelListを見るのが当たり前だからそういったところを活用するということですね。

近澤:Alchemist Acceleratorに採用の支援があるので、そういうところに協力してもらうのも手です。

哘崎:僕は米国の大学やハッカソンで知り合った友達やネットワークなどを活用しています

小林:ベイエリアではハッカソンがたくさん開催されていますからね。

エンジニアなら英語力はそんなに必要ない

和田:日本人がサンフランシスコで働く場合の英語力についてはいかがでしょう?

哘崎:英語が話せない状態で海外に出たので、会話や文化の違いなどすべてにおいて苦労しました。うまく話せないので、いつも小さなノートを携帯し、単語や絵を描いて説明しました。毎朝、アメリカの教科書を音読したり、YouTubeを見たりして、文化と言語は勉強しました。

渡米から2年が経ち、英語ネイティブの相方とスタートアップを始める頃には、自分の言いたいことが言えて相手の言っていることが理解できるようになりました。ただ、議論の仕方が日本とは違うと感じたので、英語ができるようになってからも、相方との会話を通して議論の仕方を1年かけて勉強しました。

和田:近澤さんはいかがでしょう。

近澤:面接を突破するぐらいの英語力はありました。ですが、むこうに行ってから苦労しました。複数人での会議など、ネイティブな会話のスピードについていくのにすごく苦労しました。複数人と話すのはもう一つ、越えなければならない大きな壁があると感じました。

和田:最初はシンガポールでしたよね。そのことはサンフランシスコに行ったときの方がより強く感じましたか?

近澤:シンガポールとサンフランシスコでは、話されている英語が違いますからね。シンガポールは僕が適当な英語を話しても通じるんです。

例えば「あなたは、●●ではないですか?」と質問されると、日本人だとつい「Yes(はい)、●●です」と答えてしまいがちですが、本来、英語だと、「No、●●です」が正解なんですよね。でもシンガポールだと、日本人的に「Yes」で答えても許されるんです。だから、議論もやりやすかったですね。

小林:ただ、一つ言えることは、英語を理由に海外に行かないのはもったいないです。英語よりも重要なのは、自分にコンテンツ力があること。エンジニアとして会社に貢献していたり、プロダクトに貢献していたり、ファウンダーであったりすれば話を聞いてくれますから。

和田:とはいえ、面接では英語力が必要ですよね。

近澤:エンジニアはそんなに会話ができなくても、コードで語ることができます。アーキテクチャの説明なども、簡単な英語でできるはずです。

和田:語学力で落とされることはないと。

近澤:英語のレベルで落とされることはありません。ビザがないことで落とされることはありますが。

和田:ビザは基本、持っていないですよね。

近澤:米国で働くための正統派のパスは、米国の大学を卒業して、OPT(米国で就学している学生が、専攻している分野と関連のある職種で、卒業後、企業で数年勤務できる資格)で米国の企業で働き、その間にH-1B(就労ビザ)をサポートしてもらうというものです。

和田:正統派以外のルートについてはいかがでしょう。

近澤:コネクションがないと難しいですね。H1-Bは年間に出せる数が決まっているんです。4月に応募が始まるのですが、1週間ぐらいで4倍ぐらいの応募が来るので、抽選が行われます。抽選に当たっても、ビザが出るのは10月1日なんです。

サンフランシスコのエンジニアは約1年半でジョブホッピング

和田:会社と従業員の関係について。労働環境での違いがあれば教えてください。

近澤:会社への帰属意識は日本に比べると薄いですね。

小林:それは平均勤続年数からも明らかです。サンフランシスコのスタートアップで働くエンジニアの平均勤続年数は2年以下。1年半でジョブホッピングしていくのが一般的です。

その理由は4年間かけてストックオプションが配布されていくからなんです。だから伸びている会社に行けば、リターンが大きい。ストックオプションへの期待と優秀な仲間を求めて、ジョブホッピングするから、帰属意識は薄れる。日本人の良いところは、プロダクト愛があるところですね。

エンジニアなら、一度は米国で働くことをお勧めします。働けば世界中に提供されるプロダクトに触れられ、優秀な人たちと仕事ができるからです。英語は最初話せなくても、行けば話せるようになる。そのためにもH-1Bをサポートしてくれる企業を見つけること。抽選とは言え、2~3割は当たりますからね。

和田:ありがとうございました。

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トークセッション「海外でエンジニアが働くには」

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