メルペイ曾川景介氏、freee横路隆氏、PAY高野兼一氏が語る「お金の価値を支える技術基盤とは」―日本のお金をアップデートする_#02

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スモールビジネスを世界の主役にするfreeeの取り組みとは

続いて登壇したのはfreeeの共同創業者であり、CTOの横路隆氏。セッションタイトルは「freeeが技術でつくるスモールビジネスの未来」。

「中小企業が困っているお金の問題をfreeeはどう技術で解決してきたのか。そして今後、決済など変わっていく中で、freeeは何を変えていくのか、それを今日は発表したい」そう語り、横路氏のセッションはスタートした。

▲freee株式会社 共同創業者 CTO 横路 隆氏

Ruby City 松江育ち。慶應義塾大学大学院修了。学生時代よりビジネス向けシステム開発に携わる。ソニーを経て、freee株式会社を共同創業。テクノロジーでスモールビジネスのありかたを再定義します。

freeeは国内にある企業の99.7%を占める中小企業向けのバックオフィス系クラウドサービスを開発、運営している。同社のミッションは「スモールビジネスを、世界の主役に。」。

中小企業には課題が多い。その一つが大企業に比べて労働生産性が2分の1と低いこと。その原因の多くは「お金の流れを見るだけでもコストがかかっており、それが生産性を妨げる一因になっている」という。

資金繰りにはお金の流れの可視化が必須だが、そのためにはコストがかかる。コストをかけないどんぶり勘定だと資金繰りに困り、コストをかけると生産性が下がってしまう。

「そういうジレンマが、中小企業をはじめとするスモールビジネスにはある」と、横路氏は語る。

お金の流れを知るには「収集」「入力」「チェック」「集計・分析」の4ステップがあるが、「収集」では紙文化、IT化の遅れにより、現金主義や大量のレシートを扱っていたり、インターネットバンキングが使えなかったり、FAXがいまだに現役だったりする。

また「入力」では紙に手作業での入力や目視の突き合わせ作業などが残っている。「チェック」では、人海戦術による記帳チェックや稟議のはんこ待ちなど確定まで長い時間を要するプロセスや、郵送や訪問などのオフラインコミュニケーションが使われる。

集計・分析」では分散データを統合したり予実の突き合わせが困難だったり、分析人材が確保できなかったりして分析にコストが非常にかかってしまう状態になっているのだ。

これらの負の部分の解決に取り組んできたのがfreeeである。

「freeeを導入すれば、これらのバックオフィス業務をかなり削減できる」と横路氏は語り、実際にfreeeを導入したスモールビジネスがバックオフィス業務のコストを削減した事例を紹介した。

そして現在、freeeは技術でお金の流れの見える化をゼロコストにするための技術開発に取り組んでいる。

収集」では銀行やPOSレジ、ECサイトとのAPI連携、Webスクレイピング、モバイル、ビジネス向けクレカの提供。中でも「クレジットカードを発行するのは重要なこと」と横路氏。審査が厳しいため、中小企業はなかなかクレジットカードが持てないからだ。クレジットカードが持つことができれば、決済も一気通貫で行えるようになる。

お金の見える化にはAPI連携は欠かせない。freeeでは3600以上の機関やサービスとAPI等で連携しているという。

入力」では「深層学習を使用したセマンティックセグメンテーションで学習させることで、非定型の紙も読み取れるようになった」と横路氏は説明する。

紙の読み取りというとOCRが思い浮かぶ。だがOCRは定型フォーマットには強いが、非定型のフォーマットには弱い。非定型の紙が多いスモールビジネスではこの技術を活用することで、非常に楽になるという。

また請求書と入金の突き合わせを目視で行っていた作業も、請求書入金マッチングのエンジンをルールベースから機械学習ベースに変更したことで、「73%が97%に精度が向上した」と語る。

チェック」ではチェックリスト自動化、リアルタイム異常検知、オンラインコミュニケーションなどの機能を提供する。

「帳簿の内容からリアルタイムに異常を検知。入力漏れ、ダブりミスを見つけて修正する手間を大幅に削減します。ストリーミング基盤の整備によって、高度で複雑なチェックがリアルタイムでできるようになる。これらの機能を今、段階的にリリースしています」

集計・分析」ではビジネスの発生源をたどれる予実レポートを自動生成する機能を提供している。

お金の流れの可視化が、信用を可視化につながる

これらはすべてサービスコンセプトの「アイデアやパッションやスキルがあればだれでも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム」を実現するため。そのために、まずは企業内/企業間のお金の流れをゼロコストで可視化する。

それによりスモールビジネスの信用が可視化され、大企業並みの条件で取引や資金調達が可能になる。そしてフロントからバックオフィス業務まで一気通貫のフィードバックループが構築されることで、オートパイロットでの業務執行が可能になり、中小企業の労働生産性を大幅に向上させるというマイルストーンを設定している。

freeeの信用創造における強みは、「金融機関も持っていない企業の全預金のストック&フローを把握していること。freeeは納税まで携わるので、3カ月後のキャッシュを予測することもできる」と、横路氏は力強く語る。

そして税理士をはじめとした専門家による教師データを蓄積していることもfreeeの強みだ。「これらを使ってfreeeがスモールビジネスの信用をつくっていく」と、意気込む。

これまでのビジネスは財務データから次の経営のアクションを取るのが当たり前だった。しかし財務データという経営の指標は遅行指標。これを元に経営をしていても勝てなくなる。これからはこの人は買いそうだ、売りそうだという先行指標を持って経営をする人が勝つ。

「与信、フロントエンドの業務をいかに持っていることが重要になる。そこをfreeeは攻めていきたい」

セッション後は以下のような質疑応答が行われた。

Q1. 新しいシステムを入れるのに抵抗を感じたりすることも多いのではないか。導入するにはどういうスキルがあればできるのか?

横路氏:うちの実家も導入しましたが、難しいと言われています。入れ方は2つ。担当の税理士にしっかりfreeeを使いこなしてもらうこと。もう一つは事業継承のタイミングで導入する。そういったタイミングを狙うのが手だと思います。

Q2. オートパイロットで成功しているもの、もしくは次に狙っているものは何か?

横路氏:当社ではまだ作っていないが、金融では株の分野がオートパイロットの走り。ただそれと違うのは外部環境をある程度、変数として織り込めるようになったこと。ようやくデータだけで動いているビジネス以外にも適用できるようになってきたというのが現状ではないでしょうか。

またフロントエンド側のデータに関する質問については、「営業管理は、Salesforceと連携している。営業と財務のメトリクスは粒度にかい離がある。そのままでは予実が見えない、予実の粒度を合わせることで、うまくサイクルを回せるような研究はしていきたい」と回答した。

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