【イベントレポート】VC×スタートアップ 成功の方程式 〜投資したいスタートアップ・投資されたいVCとは〜

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6/24(月)に開催したトークイベント「VC×スタートアップ 成功の方程式 〜投資したいスタートアップ・投資されたいVCとは〜」のレポートをお届け!
【イベントレポート】VC×スタートアップ 成功の方程式 〜投資したいスタートアップ・投資されたいVCとは〜

2019年6月24日、テクノロジー分野の第一線で活躍する先輩起業家をゲストに迎えるトークセッション・TECH STARTUPS(※)シリーズ第1回目となる「VC×スタートアップ 成功の方程式 〜投資したいスタートアップ・投資されたいVCとは〜」が開催されました。
今回のトークテーマは「VC×スタートアップ」。ベンチャーキャピタルと起業家の、投資したい・投資されたいと思いあえる信頼関係の構築について、インキュベイトファンドの村田祐介氏、EmbodyMeの吉田一星氏のお二方をお招きし、モデレーターの岡島康憲氏(K-NICスーパーバイザー)とのトークセッションが行われました。


※「TECH STARTUPS」とは…テクノロジー分野の第一線で活躍する先輩起業家をゲストに迎えたトークセッションシリーズ。ゲストが関わる分野のトレンドや課題、資金調達やアライアンスに至るまでの道のりなどさまざまなトピックについて、 K-NICのサポーターやスーパーバイザーなどがモデレーターとなってお話を伺います。

ゲスト

村田 祐介氏/インキュベイトファンド株式会社 General Partner
1999年に金融機関向けSaaSスタートアップに創業参画し開発業務に従事した後、2003年にエヌ・アイ・エフベンチャーズ株式会社に入社。主にネット系スタートアップの投資業務及びファンド組成管理業務に従事。2010年にインキュベイトファンド株式会社を設立し、代表パートナーに就任。メディア・ゲーム・医療・フロンティアテック関連領域を中心とした投資・インキュベーション活動を行うほか、ファンドマネジメント業務を主幹。
http://incubatefund.com/

インキュベイトファンド株式会社は、創業前後のシードステージに特化したベンチャーキャピタルです。すでに利益や実績のある会社ではなく良い会社・事業を・立ち上げようとしている起業家を探して投資を行い、一緒に創業期から会社を作っていきます。関わり方は投資だけに限らず、CXOの採用や、資金集めのサポート、リーガル面のサポートなど、幅広く行なっています。


吉田 一星氏/株式会社EmbodyMe 代表取締役
慶應義塾大学卒業後、ヤフー株式会社に入社。コンピュータビジョン、VR/ARの技術を世界に先駆けてスマートフォンに応用したサービスを複数立ち上げた後、2016年に株式会社EmbodyMeを創業。2018年には、AIで本物と区別がつかないフェイクビデオを簡単に作成できるスマホアプリ「Xpression」をリリース。
https://embodyme.com/

株式会社EmbodyMeでは、「AIでありとあらゆるものを作り出す」をテーマに、デバイス上で、任意のビデオ上にて人間の表情をリアルタイムに乗っ取り再現することで、自由自在に新しいコンテンツを作れるシステムの開発を行なっています。

VC(ベンチャーキャピタル)ってなに?

トークセッションに入る前に、モデレーターの岡島さんより「そもそもVCって何?」を解説いただきました。

岡島 康憲氏/K-NICスーパーバイザー
https://www.k-nic.jp/information/supportor/47/

岡島:ベンチャー企業は、自社のプロダクトを実現させるための資金調達を行います。資金調達の方法は、エクイティ(会社の株式を渡してお金を得る)、デット(金融機関等からお金を借りる)、助成金(行政機関等からお金を得る)などがありますが、エクイティの方法のひとつとして、VCからの投資があります。VCは、ベンチャー企業の事業に投資し、その企業が成長することで、受け取った株式の価値が上がり利益を得ることができます。
VCは、ただ投資を行うだけでなく、事業が成長するように、経営方針に関する議論や資金集めの手伝いもします。VCと起業家は、会社の方針や経営面について共通認識を持ち、同じ方向へ向かって進んでいく必要があるため、強固な信頼関係を作っていく必要があるのです。

VCは起業家のどこを見ている?

いよいよトークセッションスタート!まず最初に岡島さんから提示されたテーマは「出資したい・出資されたいと思った瞬間は?」

岡島:出資したい・されたいと思った瞬間について、まずは村田さんお願いします。

村田:当時の吉田さんは学生時代から研究していた表情認識の技術を使って「VR空間上に誰でもコミュニケーションが取れるskypeのようなプロダクトを作りたい」という想いからスタートしていました。その時はまだXRというマーケットがどういうものになるかがわからない状態でしたが、吉田さんのマーケット感覚にとても共感しました。
また、学生時代からずっと表情認識の研究をやっている方だったので「ずっとこれをやりたい人なんだなあ」と思いました。起業家ってやっぱり折れる時があるんですよね。自分がやっていることが信じられなくなるとか、売り上げが一円も立たない時とか、チームが崩壊したりとか。そんなことが起きても、とにかく研究開発に没頭する人だと思った瞬間に「いいな」と思いました。

起業家はVCのどこを見るべき?

岡島:逆に、起業家の立場からインキュベイトファンドさんから出資いただこうと考えたきっかけは何でしたか?

吉田:前職で事業は立ち上げていましたが、起業は初めてでした。VCを10社ほど回っている最中、友人に紹介していただいた村田さんにプレゼンを行いました。終わる前から村田さんのテンションが上がっているのを感じ、終わった瞬間に「ぜひやりましょう」と握手をいただいたのです。今までそんなケースはなく、他のVCからはそんなに反応が良くないケースが多かったので、非常に驚きました。流石にその場では…と思い返事を保留させていただき、その後いろいろ考え、ファーストインプレッションと相性が良いことを感じたので村田さんと一緒にやっていこうと思いました。
VCと起業家の関係も採用や恋愛と同じで、“間”的な相性や、事業を見ている方向性の相性が合っている方と一緒にできれば良いのではないかと思います。

研究開発型起業にまつわるハードシングスって?

岡島:起業するとなると様々な困難があると思うのですが、研究開発型の起業特有のハードシングスって、何かありますか?

村田:そうですね。基本的に、研究開発型って技術ドリブンに話を進めていくのですが、その場合マーケットとうまくフィットしないことがあります。フィットするマーケットを探すうちにだんだんと小さなマーケットになってきてしまうケースと、技術の幅を広げる、つまりできることを増やして水平展開を行い日本のAI企業にありがちな、大企業の受託を受けて幅広いAI分野のことを全てやる受託会社になってしまうというケースがあります。こういった場合、1,2年の短期間の売り上げを立てようという視点で行動しているからそうなってしまうのです。
技術ってそもそも、10年20年の大きな単位で変革を生むところが一番重要だと思っていて、それに関してVCのシステムはかなり合っています。現在価値より将来的に会社が大きくなっていくという価値を最大化するというのがVCですし、企業もその点を評価されるべきだと思います。経済自体がそういう形で回るようになってきているところもありますね。現在のPLなどは一旦無視して、振り切って将来価値を高めるためにできることをやるのが研究開発型のやり方として良いと思います。そうでないと、結構深みにはまってしまう気がします。

岡島:このイベントが始まる前に、ピボットについて聞きたいと思っていたんです。吉田さんたちの場合、根本的な技術の軸は明確だと思っていて、それをどういうアプリケーションを通じて研究開発を進めていくかについては、そこはこれまでピボットされてきているのかなと考えました。現状として、今見えているひとつの軸…例えば表情のデータを集めまくるような段階なのか、次のピボットの模索をしているのか、どういう状況になっているのですか?

村田:まさに自分の反省点ではあるのですが、マーケットにフィットするかどうかという点で結構ピボットはしてきているんです。これは非常に難しい問題で、将来の価値を生み出すプロダクトを追求するとなかなか今の市場にフィットしない状況はありつつも「どれだけ市場にフィットするか」というところにもプロダクトを当てていきたいという思いがあり、それで今色々やっているのはあります。
ひとつ起業当時からの考えとしては、海外の大手企業に買収される文脈には乗っかりたいという思いはあります。研究開発型スタートアップでやっている企業って、将来的に海外の大手から買収されるケースが多いのです。海外の大手が、より先の市場を見ている、そういうニーズがあるからこそなのですが、その文脈に乗っかれるようにどれだけプレゼンスを高められるかというのが、自分で判断していく部分だと思っています。

起業家からVCへのピッチのポイントは?

岡島:起業家からVCにピッチをする際に、何か押さえなければいけないことがあるのでしょうか?

吉田:細かいポイントはたくさんあるし、人によっても違うのですが、基本的に重要なポイントとして「VCのシステムを理解できているか」がひとつあるという気がしています。
実は、VCの得る利益の全体を占めているのは、投資している企業のうちおよそ1割の企業によるものです。VCは基本的にはホームラン級の企業を探していて、そうでないところは狙わないほうが良いという状況になっています。我々の企業がどうホームラン級なのかを理解してもらう必要があると思っていまして、特にそれはアメリカに行って実感するようになりました。
今の売り上げなどはあまり関係なく、3年後、5年後にこれだけのビジネスあるいはレイヤーに成長するという具体的な数字と、それを証明するために今現在どのようなアトラクションがあるか、今どうかというより将来的にこれだけ価値があるということどれだけ見せられるかが重要です。特に研究開発型だと、売り上げで見せられないところがあるので、VCの方にどれだけ納得感を持った想像をさせられるかだと思います。

岡島:プロダクトの説明が長すぎると、資金調達の成功率が上がらないというのは本当ですか?

村田:それは実際そうで、よくないピッチブックの大半は商品の説明資料になっています。ピッチの会場でもあるんです、商品の挙動をひとつひとつ説明して、格好良い動画を作り、制限時間5分の中で4分くらい商品説明をする…そういうピッチはダメです。技術なら技術を尖っている何か、「プロダクトは何か」というのを一言で言いあらわせる状態にしてください。その上で「それを見せられると、このマーケットの見方が全く変わるよ!」というような感覚になるものがいいですよね。このプロダクトで世界を取りに行くという何か、すごくワクワクする何かってなんだっけ、を説明できるようにしてほしいです。

VCと起業家は強い信頼関係で結ばれている

VCと起業家は、単なる投資する・されるの関係ではなく、共に事業を創り発展させていく仲間。共同経営者を選ぶような気持ちで、互いの意思に共感し同じ方向を向いてコミュニケーションを続けることができる方と一緒にやっていけることがベストなのかもしれません。

K-NICでは、引き続き起業や経営に関する役立つ知識をイベントにて、みなさまにお伝えしていきます。
ぜひ足をお運びください。
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Kawasaki-NEDO Innovation Center(K-NIC)
https://k-nic.jp/

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