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本ブログは 【寄稿】AI民主化に向けた丸紅の取組 (丸紅株式会社)の続編です。 みなさん、こんにちは。総合商社を担当しているソリューションアーキテクトの林です。 前回のブログでは、 丸紅株式会社 デジタル・イノベーション部が内製で開発した社内生成 AI プラットフォーム「Marubeni Chatbot」の誕生から、7,500 人以上への展開、そして業務時間 25〜65% 削減という成果をご紹介しました。 あれから約1年半。丸紅グループの生成AI活用は、さらに大きく進化しています。前回のブログに引き続き、デジタル・イノベーション部 芹川 武尊 氏からお話を伺いました。 今回は、Marubeni Chatbot のその後の進化に加え、新たに立ち上がった 3 つの取り組みをご紹介します。丸紅グループが生成 AI をどのように業務や開発の現場に根付かせてきたか、ぜひご覧ください。 Digital Experts 株式会社について 丸紅グループの生成 AI 活用を語る上で欠かせない存在が、 Digital Experts 株式会社 です。丸紅グループ各社の新たな取り組みに対し、高いエンジニアリング力で実証から実装・運用まで一気通貫で支援する会社です。 Digital Experts の最大の特徴は、 全社員がコーディングエージェントを用いて日常の開発業務を行っている 点です。 社内プレゼン作成ツールをはじめ、業務に必要なシステムを自分たちで開発・活用するなど、生成 AI を日常の開発業務に深く組み込んでいます。本ブログで紹介する取り組みの多くは、丸紅 デジタル・イノベーション部と Digital Experts の緊密な連携によって実現したものです。 取り組み1:Marubeni Chatbot — エージェント AI への進化 前回ブログでご紹介した Marubeni Chatbot は、登録ユーザー数が 7,500 人以上から 10,000 人以上 へと拡大し、丸紅グループ全社の日常業務に欠かせないプラットフォームへと成長しました。 AI エージェントの搭載 基本的な対話 UI に加え、LLM が自律的に試行錯誤を行い複雑なタスクをこなすエージェント機能の搭載を進めています。 このエージェント機能の中核を担うのが、 Amazon Bedrock AgentCore です。AgentCore Runtime を活用することで、従来のサーバーレス構成では課題となっていた長時間実行のタイムアウト問題を解消し、複雑なエージェントタスクを安定して実行できる環境を実現しています。 Marubeni Chatbotのアーキテクチャ図 今までの機能に加え、新たに以下のような機能も追加されています。 PowerPoint 自動生成ツール :高品質なプレゼンテーションを半自動で生成。社内プレゼン作成の工数を大幅に削減 データ分析・ドキュメント生成システム :社内情報を参照した上で、データ分析からドキュメント生成までを一気通貫で実行 Marubeni Chatbotの画面イメージ 取り組み2:競合分析システム — 対話形式で市場を読み解く 総合商社において、市場や競合の動向を迅速に把握することは、事業判断の精度を左右する重要な要素です。丸紅は、外部データソースや Web 上の情報を AIと組み合わせることで、競合分析を支援するシステムを構築しました。 本システムでは、財務データベース、Web データ、ユーザーがアップロードした PDFなど、複数のデータソースを横断的に蓄積・参照できる基盤を整備しています。LLM が Tool useを通じて必要なデータへ動的にアクセスすることで、競合企業の候補を AI が列挙し、各社の事業概要や財務状況の要約、 比較分析からレポート作成までを対話形式で AIが支援 します。 競合分析システムの画面イメージ 競合分析業務では、多数の企業情報の収集・整理に加え、財務指標の横断分析や市場ポジションの評価など、長時間かつ複雑な処理が求められます。こうした要件に対応するため、AI エージェントの実行基盤として Amazon Bedrock AgentCore を採用しました。これにより、 AWS Lambda の実行時間制約を超える長時間の自律的な情報収集・分析を実現しています。 さらに、Web 上の公開情報に加え、信頼性の高い外部データソースの定量データを組み合わせることで、実務の意思決定に活用できる分析品質を確保しています。 ユーザーは、「このセクターの競合他社の財務状況を比較して」「最新のニュースを踏まえてリスクを整理して」といった自然言語での問いかけを行うだけで、AIがリアルタイムに関連データを参照しながら回答を生成します。 競合分析システムのアーキテクチャ図 取り組み3:水道管路 AI 劣化予測診断サービス — 作業時間を 99% 削減 丸紅株式会社 環境インフラプロジェクト部と Digital Experts 株式会社が共同で開発した、水道管路の AI 劣化予測診断サービスです。日本全国の自治体が抱える水道インフラの老朽化問題に対し、人手不足・技術継承の困難・予算制約という課題を AI で解決することを目指しました。 自治体から管路データを受領し、データの前処理・AI での分析・レポーティングまでの業務全体の作業時間を 5 ヵ月から 1.5 ヵ月へ大幅に削減 。さらに、AI を活用したデータサイエンス業務の自動化により、 分析作業を約 99% 削減 することに成功しました。 AI による分析結果を GIS(地理情報システム)上に反映することで、更新が必要な管路を視覚的に把握できるようになり、自治体の意思決定を大きく支援しています。スモールスタートから始め、ビジネスの成長に合わせて柔軟にスケールできる構成を採用しており、 AWS Control Tower と AWS IAM を活用したマルチアカウント構成により、異なるアクセスレベルのメンバーへの適切な権限分離を実現。機密保護と効率的な共同開発を両立しています。 水道管路 AI 劣化予測診断サービス アーキテクチャ図 取り組み4:AI DLC Unicorn Gym — 「AI と共に開発する」文化の醸成 Marubeni Chatbot の展開や競合分析・水道管路診断といった取り組みを通じて、丸紅グループ内で生成 AI の活用が着実に広がっていました。こうした流れを受け、AWS から「開発プロセスそのものに AI を組み込む」次のステップとして提案・実施したのが、AI DLC Unicorn Gym です。 2026 年 2 月、丸紅株式会社と Digital Experts 株式会社、 丸紅I-DIGIOホールディングス株式会社 の合計 23 名が参加した 3 日間の AI DLC Unicorn Gym を開催しました。 AI DLC Unicorn Gym とは AI-DLC とは、AI をソフトウェア開発の中心的な協働者として位置づけ、開発ライフサイクル全体に AI の能力を組み込む新しい開発手法です。AI が計画を立案・実行し、人間が重要な意思決定を担うという役割分担のもと、Inception(要件定義)・Construction(設計・実装)・Operations(デプロイ・運用)の 3 フェーズで開発を進めます。 Kiro といったコーディングエージェントを活用することで、開発速度を大幅に向上させることができます。AI DLC Unicorn Gym は、この手法を実際のプロダクト開発を通じて体験する AWS のプログラムです。 実業務テーマで挑む 3 日間:開発から成果発表まで 「社内ユーザー用のサンドボックスアプリ基盤」「牛体重推定アプリ」「Marubeni Chatbot 内でのSkills 共有プラットフォーム」「稼働管理ツール」「議事録作成システムの高度化」と、領域・規模感の異なる 5 テーマに取り組みました。途中で方向修正が発生したチームもありましたが、生成 AI を活用することで修正コストを大幅に抑え、 全チームが 3 日間で成果物を完成 させました。最終発表では AWS にデプロイした環境を用いたデモを実施するチームもいました。非エンジニアはAIに要件を伝えるとともにビジネス上の意思決定を行い、エンジニアはAIが生成した成果物をレビューし、要件が正しく反映されていることを確認することで、「AI を使えば自分たちでも作れる」という実感を得る場となりました。「AI-DLC がいかに強力なツールであるかは、ワークショップを体験してみないとなかなか伝わりづらい」というアンケートコメントが象徴するように、実際に手を動かすことで初めて実感できる体験となりました。 最終発表会の様子 議事録作成システム(成果物デモ画面) おわりに Marubeni Chatbot はエージェント機能を搭載し 10,000 人超の日常業務を支えるプラットフォームへと進化。競合分析システムや水道管路 AI 劣化予測診断サービスでは、AI が業務の中核を担い、定量的な成果を生み出しています。そして AI DLC Unicorn Gym では、エンジニア・非エンジニアが共同するAIネイティブなソフトウェア開発プロセスを体感できました。 AWS は今後も、丸紅グループの生成 AI 活用がさらに広がり深まるよう、技術・知見の両面から支援を続けてまいります。本ブログが、皆さまの生成 AI 活用の参考になれば幸いです。 著者プロフィール 芹川 武尊 (Takeru Serikawa) 丸紅株式会社 デジタル・イノベーション部 2022年 東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了。情報理工学修士(数理最適化に関する研究)。大学院修了後、丸紅株式会社に入社。入社後は、物流関連最適化システムの開発や、生成AIを活用したグループ会社向けChatbotアプリの開発など丸紅グループを横断したプロジェクトに参画。 林 隆太郎 (Ryutaro Hayashi) アマゾンウェブサービスジャパン 総合商社・エネルギー業界担当 ソリューションアーキテクト 大手ガス会社にてガススマートメーター・電力トレーディングのシステム開発を経験した後、総合商社にて全社の IT/DX 推進と国内外のエネルギー領域での事業投資・新規事業開発を担当。現在は AWS 総合商社・エネルギー業界のソリューションアーキテクトとして、業界知識を活かした AWS 活用に携わる。
こんにちは。香西です。 今回は、生成AI(Claude Code や GitHub Copilot など)と MCP(Model Context Protocol)を組み合わせて、AIに自由度が高く人間にもわかりやすいシステム構成図を .drawio.svg 形式で描かせるためのツール「 mcp-drawio-svg 」を作成し、OSSとして公開しました。 この記事では、開発に至った背景や、既存の作図ツール(Mermaidなど)が抱えていた課題、そして本ツールを使った実際の作図フローについて解説します。 コードは GitHub で公開しているので、ぜひ試してみてください。 https://github.com/Takashi-KOZAI-sti/mcp-drawio-svg なぜ作ったのか? — 「AIにdraw.ioを書かせる」の落とし穴 生成AIが開発スタイルの主流になってくる中で、「AIにMarkdown形式でドキュメントを記述させる」というフローはすでに当たり前になりつつあります。それに伴い、インフラ構成図やシステム概要図などもAIに作図させたいというニーズが急速に高まっています。 「AIで図を描く」となれば、Mermaid や PlantUML が第一候補に挙がりますが、上流設計においては表現力不足(自由な配置、色味、公式アイコンの利用など)が否めません。そこで昨今トレンドになっているのが、**「生成AIに draw.io のファイルを作らせる」**というアプローチです。実際、ネット上でもこの手法を紹介する記事を多く見かけるようになりました。 しかし、真に業務でのドキュメント運用を考えたとき、既存のアプローチには 重大な課題 があると私は考えています。 それは**「エクスポートの手間と、ファイルの二重管理」**です。 通常、AIが出力した .drawio ファイルはそのままでは Markdown に埋め込めません。そのため、一度 draw.io でファイルを開き、PNG や SVG 形式でエクスポートして Markdown から参照する、という作業が必ず発生します。これを繰り返すと「図を更新したのにエクスポートし忘れて、設計書の画像が古いまま」という惨事が必ず起きます。 本当に私たちが欲しいのは、**「AIが作図してくれて、そのままMarkdownでプレビューでき、かつ後から人間が直接手直しできる」**という、シームレスな体験のはずです。 解決策:最初から「.drawio.svg」を出力させ、ローカルで完結させる この課題を根本から解決するために作成したのが、AIが構成図を .drawio.svg 形式 で直接生成するための MCP サーバー「 mcp-drawio-svg 」です。 本ツールの最大の強みであり、既存の「生成AI × draw.io」手法との明確な差別化ポイントは以下の2点です。 ① 「表示」と「編集」を1ファイルで両立するデュアルフォーマット 本ツールは .drawio ではなく、最初から .drawio.svg 形式を出力します。 これは draw.io が定義する特殊なSVGファイルで、画像データの中に編集用のソースデータが内包されています。 Markdownにそのまま埋め込める :  と書くだけで、設計書に画像として表示されます。エクスポート作業は一切不要です。 1ファイルでそのまま編集可能 :生成されたファイルを VS Code の draw.io 拡張などで開けば、通常の draw.io と同様にノードの移動やスタイル変更が可能です。 ② 機密情報を守る「完全ローカル動作」 社内システムのインフラ図やアーキテクチャ図には、外部に漏らしたくない機密情報が多く含まれます。外部の作図SaaSやAPIに構成データを投げて図をレンダリングさせる手法は、セキュリティの観点からエンタープライズでの導入ハードルが高くなります。 mcp-drawio-svg は、図のレイアウト計算やファイル生成の処理が すべてローカルマシンのMCPサーバー内で完結 します。構成データが外部に漏洩する心配がなく、セキュアな業務環境でも安心して利用できます。 mcp-drawio-svg ができること そこで作成したのが、AIが構成図・インフラ図・システム概要図を .drawio.svg 形式で生成するための MCP サーバー「 mcp-drawio-svg 」です。 AIに対して「こんな構成の図を作って」とお願いすると、AIがこのMCPサーバー( create_drawio_svg ツール)を呼び出します。MCPサーバー側では、図の構成要素(ノード・エッジ・グループ)を JSON で受け取り、以下の処理を全自動で行います。 自動レイアウト計算 : 座標の指定は不要です。フロー方向やレイヤーを考慮して自動で配置を決定します。 アイコン解決 : simple-icons などから適切なアイコンを自動検索して適用します。(もちろん指定することもできます) ファイル生成 : 最終的な .drawio.svg ファイルを出力します。 実装・使い方 — AIに構成図を生成させる ここからは実際の設定と使い方です。今回は Claude Code などに組み込む例を紹介します。 1. セットアップ まずはリポジトリをクローンしてビルドします。 Bash git clone <https://github.com/Takashi-KOZAI-sti/mcp-drawio-svg.git> cd mcp-drawio-svg npm install npm run build 2. MCPサーバーとして登録 お使いの AI クライアントの MCP 設定に本ツールを追加します。 Claude Code の場合 ( ~/.claude/settings.json ) JSON { "mcpServers": { "drawio-svg": { "command": "node", "args": ["/path/to/mcp-drawio-svg/dist/index.js"] } } } 3. AI に「ざっくり」プロンプトを投げる ここが生成AI×MCPの便利なところです。人間がいちいちノードやエッジを細かく指定する必要はありません。 例えば、Claude Code であれば、以下のように 非常にざっくりとした依頼 をplan mode で投げると、MCPのインプットに合わせて構成等を考えてくれます。 あなた(ユーザー): azure 上で構築するwebアプリの、典型的なインフラ構成図を記述してください。 アイコンについては、./icons ファオルダに使えそうなものを配置してあるので、適当に使ってください。 アイコンについては、あらかじめしてしておけばそれを使って図を作成してくれますし、なければsimple-icons からそれっぽいものをMCP側で当て込んでくれます。それでも該当するものがなければ、矩形での表示となります。 Claude Code(AIによる構成案の提案): Azure Web App 典型インフラ構成図の作成プラン ノード & アイコンパス ノード アイコンパス Users general/10783-icon-service-Browser.svg Front Door & CDN web/10073-icon-service-Front-Door-and-CDN-Profiles.svg Application Gateway (WAF) networking/10076-icon-service-Application-Gateways.svg … グループ構成 Azure Subscription (全体) Virtual Network グループ Application Gateway, App Service, Function Apps Data Services グループ SQL Database, Cache for Redis, Blob Storage Security & Identity グループ Key Vault, Entra ID エッジ(接続) Users → Front Door Front Door → App Gateway App Gateway → App Service … レイアウト algorithm: layered, direction: RIGHT spacing: 70 あなた(ユーザー): 「それでOK!」 これで、あとは、Claude Code がノードとエッジの情報を組み立てて、 create_drawio_svg ツールを実行し、アイコン付きの立派な .drawio.svg ファイルを出力してくれます。例えば、こんな感じ(中身のシステムの妥当性は今は気にしないでくださいね)。 4. 手修正と追加 自動生成らしく、一部エッジが交錯していたり、見にくかったりするので、ここは残念ながら手修正をおねがいします。ある程度調整しているつもりですが、残念ながら完璧な配置はなかなか難しいです。お手数ですが、例えば、こんな感じに修正してみてください。 これに対して、追加/削除を行っていくことも問題なくできます。 あなた(ユーザー): 作成した drawio.svg をベースに、新しいdrawio.svg を作って欲しいです。 構成要素として、github を追加して、cicd をこの構成図に増やしてください。 今の構成図のレイアウトはそのままにしてください。 アイコンはやはり./icons フォルダから適当に探してください。 そうすると、AIは対象となる drawio.svg の構成を読み取るため read_drawio_svg を実行し、現在の図の構造を読み取ります。そして、 edit_drawio_svg を用いて手修正で変更したものを壊すことなく、新しいノード(画像右端のCI/CD Pipeline)を追加することができました。 デフォルトでは以前のレイアウトを残したまま新しいノードを追加する動作ですが、 layout_mode: "recompute” を指定すれば(AIにレイアウトを再計算しろと指示すれば)、すべてのノード位置を改めて再計算し、配置し直すことも可能です。ただし、自分で加えた微修正(ノード位置の修正やエッジの接続点の変更など)は再計算でもとに戻ってしまいますし、手作業で作成した図などは場合によっては原型を全く留めない場合もあるので、図を完全に新規で作り直したいときなどに限定して使用してください。 あとはこれの繰り返しで、期待する図を作成していくことができます。 人間とAIの理想的な役割分担(設計思想) このツールの根底にある設計思想は、**「人間が主導権を持ちつつ、面倒な作業をAIに任せる」**という理想的な役割分担です。 私が目指したのは、以下のような人間とAIの協働プロセスです。 【人間】大枠の指示を出す 「AzureでよくあるWebアプリの構成にして」「セキュリティ要件としてPrivate Endpointは必ず入れて」など、大まかなプランや絶対に外せないポイントを指示します。 【AI】詳細化と提案(たたき台の作成) 人間の指示を受けて、AIが必要な構成要素(各サービス、ネットワーク、接続関係)を具体的に洗い出し、構成案を提案します。 【人間】レビューと承認 提案内容を確認してOKを出します。これにより、**「論理的には100点、見栄え的には70点」**の構成図( .drawio.svg )が全自動で出力されます。 【人間】見栄えの最終仕上げ 出力された図を draw.io で開き、ノードの配置バランスや色使いなど、人間の感性が問われる「見栄え」の部分を100点に仕上げます。 つまり、 「大きな方向性の決定」と「感性が必要なデザインの最終調整」は人間が担当し、その間にある「構成要素の洗い出しから初期レイアウト(たたき台)の作成」をAIが担う 、という形です。 最初から真っ白なキャンバスに向かってアイコンを一つずつ配置していくのは、結構な手間ですよね。すでに論理的な接続が完了している70点の図を100点に引き上げる作業から始められるため、設計ドキュメント作成の負担が圧倒的に軽くなるというところです。 実運用に向けた環境構築とTips 第2章で触れた通り、 mcp-drawio-svg は完全にローカル環境で動作しますが、実際に業務等のプロジェクトに組み込む際には以下の点にご注意ください。 1. AIクライアントとMCPサーバー間のファイルアクセス 本ツールはローカルで .drawio.svg ファイルを直接生成・上書き保存します。そのため、Claude Code などの生成AIクライアントと、このMCPサーバーのプロセスは、 出力先のディレクトリに対して共通の読み書き権限 を持っている必要があります。 もしAIクライアントを Docker などのコンテナ内で実行している場合は、ホスト側のディレクトリを適切にマウントし、両者が同じファイルパスを正しく参照・編集できるように設定してください。 2. プロンプト(LLM)側のデータ管理 MCPサーバーの処理(レイアウト計算やファイル生成)において、構成データが外部の作図APIなどに送信されることは一切ありません。ただし、ユーザーがAIクライアントに入力する指示(「こういうシステム構成を作って」というプロンプト)自体は、当然ながらバックエンドのLLM(AnthropicやOpenAIなど)へ送信されます。 業務利用の際は、作図の処理自体はローカルで安全に行われていることを理解しつつ、利用するLLMプロバイダのデータ規約(学習への利用オプトアウト設定など)を自社のポリシーに合わせて適切に管理した上でご活用ください。 まとめと今後の展望 今回は、生成AI時代の新しい作図アプローチとして、 mcp-drawio-svg を紹介しました。 Mermaid のような「コード駆動の手軽さ」と、 draw.io の「表現力・直感的な編集のしやすさ」を両立させることで、開発現場のドキュメント作成・設計体験が劇的に向上するはずです。 コードは GitHub で公開していますし、ここでは紹介していない機能も実装していますので、ぜひ手元の環境で動かしていただき、日々のドキュメント作成に役立ててみてください! https://github.com/Takashi-KOZAI-sti/mcp-drawio-svg おわりに(余談):マネージャー職が「片手間」でOSSを作れる時代 最後に少しだけ、個人的な所感を書かせてください。 実は私、現在の会社ではマネージャー的ポジションにおります。旧来の日本企業の考え方からすれば、「管理職が自らコードを書いてツールなんか作っていないで、組織の利益最大化のためのマネジメント業務に専念しなさい」とお叱りを受けかねない立場です(笑)。 しかし、私は**「業務改善のヒントや組織の本当の強さの源泉は、常に現場にある」**と強く信じています。現場のペイン(今回の例で言えば、ドキュメント作図の煩わしさ)を解消する細やかな改善こそが、最終的に組織全体の大きな生産性向上に繋がるからです。 これまでは、こうした現場向けのニッチなツールを管理職が自ら作るのは、時間的にもリソース的にも困難でした。しかし、生成AIの登場で状況は一変しました。 AIに対して「こんな課題があるから、こういうアプローチで解決したい」とイメージを伝え、少しのやり取り(壁打ち)を行うだけで、 日々の業務の隙間時間に「ペロッと」具体的な動くものが作れてしまう のです。今回の mcp-drawio-svg も、季節柄の胃の痛くなる業務を行う傍らで、少し息抜きしながらAIという優秀なアシスタントの力を借りてサクッと形にしたものです。 さらに白状すると…… 実はこのブログ記事自体も、私がゼロから執筆したわけではありません。 私が「こういう構成で、こういうアピールポイントを入れて」と要点を箇条書きで投げただけで、あとは生成AIがいい感じに文脈を汲み取って、この原稿を書き上げてくれました。この余談くらいでしょうか、自分で書いたのは。(^_^;) アイデアと現場への課題意識さえあれば、ポジションに関わらず誰でも素早く形にできる。本当に素晴らしい時代になりましたね。 皆さんもぜひ、生成AIという強力なツールを使って、日々のちょっとした業務改善を形にしてみてください! ご覧いただきありがとうございます! この投稿はお役に立ちましたか? 役に立った 役に立たなかった 0人がこの投稿は役に立ったと言っています。 The post 【ローカルで完結】AIエージェントに”いい感じの”構成図を描かせるMCP「mcp-drawio-svg」を作りました first appeared on SIOS Tech Lab .
こんにちは。SCSKの石田です。 本記事より、次世代APIプラットフォームとして世界中で注目を集めている「Kong API Gateway」についてのブログを開始したいと思います。初めてブログを投稿するため、至らない点もありますがご容赦ください。 昨今のエンタープライズシステムにおいて、クラウドネイティブ化やマイクロサービス化が進む中、システム同士をつなぐ「API」の数は爆発的に増加しています。第1回目となる今回は、なぜ今エンタープライズ企業においてAPIマネジメントが重要視されているのか、そして「Kong API Gateway」がどのようにその課題を解決するのか、概要を説明します。 爆発的に増加するAPIトラフィックと新たな課題 エンタープライズにおけるAPIマネジメントの重要性を語る上で外せないのが、APIトラフィックの圧倒的な増加です。 近年の複数のグローバル調査データ( ※1 )によると、現在の Webトラフィック全体の約70%以上がAPI経由の通信 であると報告されています。さらに特筆すべきは、AI技術の普及に伴う変化です。Postman社の「2025 State of the API Report」等によれば、 AI主導のAPI呼び出し(マシン間通信)が前年比で40%以上も急増 しており、APIは単なるアプリケーションの連携口から「AIエージェントの実行レイヤー」へと進化しつつあります。 ※1 参考: Postman「2025 State of the API Report」 、 The State of API Security in 2024 | Resource Library 等の各調査レポートより このように、人間が操作する端末からの通信だけでなく、システムやAIによる自動化された大量のリクエストが飛び交う中、各システム(社内システム、SaaS、パブリッククラウド上のサービスなど)が個別にAPIを公開・管理したままでは、以下のような課題に直面します。 セキュリティのガバナンス低下: 認証・認可の仕組み(OIDCやmTLSなど)が各システムでバラバラになり、脆弱性の温床になる。 トラフィック制御の複雑化: AI等によるリクエストの急増や攻撃から、バックエンドシステムを保護する仕組みが統合されていない。 運用負荷の増大: どのAPIが、誰に(どのシステムに)、どれくらい利用されているのかを一元的に把握できない。 これらの課題を解決し、増え続けるすべてのAPIトラフィックを安全かつ効率的に統合管理する仕組みこそが「APIマネジメント」であり、その入り口となるのがAPIゲートウェイです。 Kong API Gatewayとは?その特徴と強み Kong API Gatewayは、世界で最も利用されているオープンソースベースのAPIゲートウェイの一つです。エンタープライズ環境でKongが選ばれるのには、大きく3つの理由があります。 1. 圧倒的なパフォーマンスと軽量さ NGINXをベースに構築された軽量なアーキテクチャにより、極めて低いレイテンシで大量のAPIリクエストを処理できます。第三者評価機関であるGigaOm社のAPIマネジメントベンチマーク調査( ※2 )においても、他の製品と比較して圧倒的な高スループット(1ノードあたり毎秒5万件以上のトランザクション)と、サブミリ秒(1ミリ秒以下)の低レイテンシを記録し、その卓越したパフォーマンスが実証されています。AWSなどのクラウド環境やコンテナ環境との親和性が非常に高く、モダンなインフラ上でも軽快に動作します。 ※2 参考: GigaOm「API and Microservices Management Benchmark」 より 2. 豊富なプラグインエコシステム Kongの最大の魅力は、APIのルーティング機能だけでなく、高度な要件を「プラグイン」として簡単に追加できる点です。例えば、トラフィック制御(レート制限)、高度な認証・認可(OIDC、OAuth2.0、SAML、OPA連携)、ログ転送などを、バックエンドのコードを改修することなくAPIゲートウェイ層で一元的に実装・自動化できます。Kongにて一元的にこれらの機能を集めることで、API開発者の負荷を下げることができます。また、プラグインはノーコード・ローコードで実装できる点も強みです。 3. あらゆる環境に対応する柔軟性 Kongはコンテナとして動作するため、オンプレミス、マルチクラウド、ハイブリッドなど、どこにでもデプロイ可能です。SaaS型の管理基盤である「Kong Konnect」を利用すれば、グローバルに分散したAPIゲートウェイ群を単一のコントロールプレーンで統合管理することも可能です。 SCSKとKongのパートナーシップ 私たちSCSKは、Kong Inc.の公式パートナーとして、商用版Kongにおけるライセンスの提供からシステム構築・導入支援まで、エンタープライズ企業様向けのサービスを展開しています。 多数のAPIが乱立する大規模環境への導入や、既存のレガシーシステムからモダンアーキテクチャへの移行に伴うAPI基盤の刷新など、お客様の課題に合わせた最適な構成をご提案可能です。「自社のAPI管理に課題を感じている」「Kongの導入を検討したい」といったご相談があれば、ぜひお気軽に「kong-sales@scsk.jp」までお問い合わせください。 まとめ・今後の連載について 今回は第1回のため、APIトラフィック増加の背景とAPIマネジメントの重要性、そしてKong API Gatewayの概要についてご紹介しました。APIを安全かつ効率的に公開・管理することが、これからの開発スピードを左右する重要な要素となります。 次回以降は、Kongの基本的なAPIのルーティングや、プラグインの具体的な「やってみた」、さらに今や欠かせない「Kong AI Gateway」の紹介まで、エンジニア目線でより詳細な技術情報をお届けしていく予定です。 次回もぜひご期待ください!























