ATR鈴木専務のインタビュー第3弾 ~研究成果の事業化を目指した奮闘の日々~

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ATR鈴木専務のインタビュー第3弾 ~研究成果の事業化を目指した奮闘の日々~
未来技術推進協会のアドバイザーとしてご尽力頂いている株式会社国際電気通信基礎技術研究所(通称ATR)の代表取締役専務 経営統括部長・事業開発室長【鈴木 博之】さんのロングインタビュー。今回は全5回のうち第3弾として、ATR創業や研究成果の事業化に奮闘する日々をご紹介。

みなさん、こんにちは。

シンラボ広報部 福田です。

未来技術推進協会のアドバイザーとしてご尽力頂いている株式会社国際電気通信基礎技術研究所(通称ATR)の代表取締役専務 経営統括部長・事業開発室長である【鈴木 博之(すずき ひろゆき)】さんにシンラボ広報部長の高橋さんと一緒にインタビューさせて頂きました。イノベーションや事業開発、人材育成などについて熱い思いを語っていただいたロングインタビュー、今回は全5回のうち第3弾となります。


第3弾は鈴木さんがATRに異動し、研究成果を世に出すことに注力した様々な取り組みを紹介させて頂きます。研究成果の事業化はどこの企業でも力を入れて取り組んでいるが、現実問題としてなかなかうまくいっていないことが多いのが現実です。その中で、ATRが直面した課題に対して正面から戦いを挑んだ経験が言葉の端々から伝わり、そこで育まれた経営センスがATRの事業を生み出す機関としての高い評価につながっているのだと再認識しました。また、過去のインタビュー記事も合わせてご覧下さい。

第1弾:研究者からマネージャーとしての生き方・考え方

第2弾:経営者への転身と研究者ならではの経営スタイル

― ATRの成り立ち

最初にATRが設立された経緯を説明しましょう。話は大分遡って、日本電信電話公社(現在のNTT)が民営化したときの株を大蔵省(現在の財務省)が全部持ってました。その配当を使って何か良いことをしようと検討をしたときに、電気通信(現在でいう情報通信)に関する公的な研究所を関西に作ろうという構想から始まってます。ただ、NTTも民営化してできた会社ですし、国の研究機関を新しく作るのは宜しくないという話になり、色々な方が知恵を使って株式会社として設立されたというのが経緯です。現在の株主は大企業の皆様がなっていただいて、総計で111社です。また、京都府、奈良県、大阪府も株主になっていただき、公的な性格を持ちながら民間会社としての動きやすさも備えた会社という特徴があります。

― ATRの特徴的な社員構成

ATRは一般的な民間企業とは異なる特徴がいくつかあるのですが、雇用形態が非常に特殊です。いわゆる正社員が約10%しかいませんし、研究者のほぼ全員が契約研究員で毎年のパフォーマンスで給料は違いますし、最悪契約を打ち切られるということもあります。

もう一つが、外国人の研究者が非常に多く、平均して1/4程度いるということですね。ATRが設立してから30数年になりますけど、合計で2700名以上、66か国の研究者を受け入れてきたのです。現在でも23%は外国籍の研究者であり、非常にグローバルかつオープンイノベーションが当たり前の会社ですね。一般企業のように新入社員が4月に入って、ほぼ退職までずっといるという環境ではないです。

また、給料が提案した研究プロポーザルの採否で決まります。研究プロポーザルを国などに提案し、大学や他の国立研究所など競り合って採択された場合には、外部資金をもらえますが、負けた場合には収入はないです。もちろん、研究者の給料もその外部資金の中から支払われるので、自分の給料を自分で稼がないといけないという非常に厳しい環境です。そのため、常に良い緊張感を持って仕事をしてきており、おかげさまではなんとか今まで30数年存続してきているのです。

― ATRのコア研究分野と事業開発への展開

ATRが力を入れている研究分野は徐々に変遷してきましたが、現在は脳情報科学(ブレインテック)、生活支援ロボット、無線通信(5G)、生命科学です。

この4つのコア分野の基礎研究を発展させていくことと並行して、5~6年前から研究所の成果を世の中に展開していくことに力を入れてきました。つまり、事業開発(Business Development)と研究開発(Research and Development)をATRの両輪として、世の中に貢献していこうと。そのためには、我々単独ではできることが限られてくるので、その部分を補うために外部機関との連携を進めています。

― 世の中に必要とされるBusiness Development1体制の構築

Business Developmentの方は特に私も力を入れてきまして、色々な子会社や企業と一緒に長くやってきました。2015年の2月に、けいはんなATRファンドという我々の知財を使う、あるいは今後使うという新しい会社や既存のスタートアップに出資をするファンドを47億円集めました。この仕事は私の新しい経験であり、いろいろな企業や銀行などに打診をして、何とか総額で47億円集めました。また、集めた資金を活用して投資する手伝いや今のリサーチコンプレックスのように我々の技術を世の中に出すことに注力してきました。

先ほども言いましたけども、基礎研究が世の中にどういうインパクトを与えるのかっていうことを研究者にも実感してもらう仕組みをかなり強化して作ってきました。ATRの研究員全員がこのような事業化に興味を持ってるってとは正直言えないですけど(笑)、お陰様で研究所の所長2人が自ら会社を設立するなどの成果につながっています。それから、随分前に投資した会社が一昨年上場するという具体的な投資の成果も出てきました。ようやく、Business DevelopmentとResearch and Developmentが両輪になって、互いに良い循環に繋がってきたと実感しています。


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ご紹介

株式会社国際電気通信基礎技術研究所

https://www.atr.jp/

研究内容

・脳情報科学
・ライフ・サポートロボット
・無線・通信
・生命科学

所在地 京都府相楽郡精華町光台二丁目2番地2(けいはんな学研都市)


シンギュラリティ・ラボ(運営元:未来技術推進協会

https://sinlab.future-tech-association.org/

所在地 東京都千代田区神田練塀町3富士ソフト秋葉原ビル12F (DMM.make AKIBA Base2610)

シンギュラリティ・ラボ(シンラボ)はシンギュラリティ時代をリードする、イノベーション × テクノロジー × SDGs をテーマとしたコミュニティプラットフォームです。20代の若手エンジニアを中心にテクノロジーを活かしたプロジェクトの立ち上げや、SDGs達成のための活動をしています。 台湾やインドとの新たなプロジェクトが始動しており、豊富な経験と専門スキルを生かした事業支援も行っています。

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