Tableau 企業分析AWARD 2022 優勝チームインタビュー
「より多くの人にデータ分析者・データアナリスト・データサイエンティストの道に興味を持ってもらいたい」という思いのもと、有志のTableauユーザーの主催で学生向けのコンテスト「Tableau 企業分析AWARD 2022」が開催されました。
合計7チーム21名の参加者によって、Tableauを活用したデータ分析と白熱のプレゼンテーションが実施されました。
今回は「日本を元気に」というテーマで見事に優勝を果たした大正大学のチーム「アリサカーズ2」の皆さんにインタビューをさせていただきました。
発表の概要:
発表タイトルは「人々の生活時間に注目して日本を元気にしたい!」である。
就活生・地方出身者として日本全体を「元気にしたい」=「経済力と幸福度双方を向上させたい」と感じたため、生活時間の内訳に着目して分析し、生活と労働の双方に関わる企業による解決策を探った。
日本の「幸福度」・「人生における選択の自由についての満足度」は世界規模でみると低く、GDPの高さと釣り合っていない。また、一人当たりのGDPを都道府県別に見ると、東京が突出して高かった。
ワークライフバランスを分析するために「社会生活基本調査」(統計局実施 令和3年度版)を用いたところ、都道府県・曜日・性別で費やす時間の割合が変化することがわかった。
特に都市部は仕事と生活をはっきりと分ける傾向があり、地方や都市圏に住む場所を変えることがライフスタイルの選び直しに繋がるという結論に至った。
例として娯楽・企業規模などの3つの指針を挙げた。データを通じて人の多様性を知ることができ、自己選択の助けとなることがわかった。
メンバー紹介:
(左から橘さん、長岡さん、蟻坂さん)
蟻坂 秦心さん
大正大学 社会共生学部 公共政策学科
橘 俊幸さん
大正大学 社会共生学部 公共政策学科
長岡 未紗さん
大正大学 表現学部 表現文化学科 街文化プランニングコース
このチームが結成された経緯を教えてください。
長岡 「私たちの大学には教養科目としてデータサイエンスがありまして、そこで主にTableauを使ったデータ分析を行っています。私たちはその教養科目を受けた最初の世代なんです。
また、スチューデントアシスタントとして先生や他の学生の補助活動を三人それぞれが行っています。
そこで共通の先生から今回の企業分析AWARD参加のお声がけをいただき集まりました。」
発表のテーマやプレゼンテーションの内容はどのように決められたのですか。
橘「私たちが学部で学んでいることにも関係しているのですが、もともと地方を元気にしたいという思いはありました。蟻坂さんと長岡さんは地方の出身なので、特にその思いが強いのではないでしょうか。そこからもう少し広げていって、日本を元気にしようというテーマになっていきました。」
長岡「私は島根県の出身なのですが、高校生の時に離島に住んでいて、そこから東京へ来たのでギャップを感じることが多くありました。今回の分析でも47都道府県を並べた時に島根県のデータが小さくて少し悲しいなと思ったり。ですから地方を元気にしたいという気持ちは確かに強くあります。」
蟻坂「私は群馬県の富岡市出身なのですが、同じく上京してきてギャップを感じたところは多くありましたね。そういった自分たちの実体験も今回のテーマ設定や発表内容に影響していると思います。」
長岡「もうひとつ、私たちは学生なので就職活動という軸もありました。
就職活動をするにあたって『Uターン、Iターンの現状はどうなっているのだろう?』『都市と同じ仕事を地方ですることは可能なのだろうか?』といったことにも着目しました。
地方への就職を推進するには国や都市だけではなく、地方からも押し上げる必要があると感じていて、それぞれの地方の特色に合わせた活動を行う必要があると感じています。
やはり就職するなら元気な日本が良いなと思ったのでこのテーマにしました。」
今回の分析では日本に元気がないなと感じてしまうような発見もありましたか。
橘「幸福度やGDPの調査ではそれを感じました。また、人々が様々な選択をすることができるかも重要だと思うのですが、それも世界で見ると先進国の中では低いなと感じました。」
チーム内で役割分担のようなものはありましたか。
蟻坂「最後の方は総力戦でしたが、みんなで考えたアウトラインに対してデータを見つけて来るのが長岡さんで、それを整形して分析するのが私と橘さんといった分担はありました。」
データを探したり、整形する際のご苦労はありましたか。
長岡「ここはかなり苦労しました。
今回は国や省庁のデータを活用することが多かったのですが、調査の名前がややこしくて長いものが多かったり。何をしているデータなのかも、要旨をよく読み込んでみないと分からない場合もありました。
ようやく用途に合っていそうなデータだと思って中身を見てみるとPDFだったりする。
PDFだとそのままTableauに落とし込むことができないんです。
あとは年次にばらつきがあったり、ある年から改定が入って基準が変わっていたりして統一されていないものもありました。
データを探すことも大変でしたが、それを理解すること、分析できる状態に整えることにもとても苦労しました。」
企業などから今回のためにデータをもらうことも考えましたか。
長岡「検討はしていたのですが、期間が足りなかったために断念しました。
インターン先の企業から提供いただくことも考えたのですが、やはり企業からデータをいただくとなると1ヶ月くらいかかってしまうようです。
ただ、今回は発表の中で活用できなかったのですが学校内でIターン、Uターンに関する意識調査のアンケートを取りました。」
その他にも進めていく中で難しいと感じた点はありましたか。
蟻坂「Tableauの使い方や見せ方はまだ上手くないと思っていますので、どのように見せるのが良いか考えるのに苦労しました。先生のアドバイスをいただいたりしました。」
今回見事に優勝を果たされたわけですが、このチームの強みはどんなところですか。
橘「分析と提案の両方でデータを用いていた、というのは強みとしてあったと思います。最後の提案部分をデータによる裏付けでより強めることができたと思います。」
蟻坂「学科の違いが良い方向に働いたと思っています。
私と橘さんは公共政策学科で行政から見た街づくりを考えますが、それだけでは今回のストーリーや構成にはならなかったと思います。企業という視点や実際の人の生活時間にフォーカスし、日本を元気にしたいという分析や提案に至ったのは長岡さんがいたからだと思います。」
長岡「確かに同じ学科の人だけで固まってしまうと、視点が一つだけになってしまう可能性があったと思っていて、今回私が街文化プランニングコースから参加したのが良い視点になれていたのであれば嬉しいです。
メンバーそれぞれの個性が活きたのも良かったのではないでしょうか。
作業についても途中でケンカすることもなく進めることができました。ミーティング中には必ず一度は大きな笑いがありましたし、和気あいあいと進めることができたのはとても良かったです。
それから、先生のとても大きなバックアップがありました。
進め方やTableauでの見せ方が分からなくなった時に相談に行ったのですが、厳しい指摘も含めてとてもありがたい助言をいただくことができました。本当に感謝しています。」
Tableauの使い方はどのように習得されたのですか。
橘「学校にTableau専門の授業があるので、そのプログラムに沿って習得してきました。」
長岡「もともとはデータ分析人材を育成するための教養科目なので最初はExcelで学び、続いてTableauを習います。
最後の方は実際の企業のデータをいただいてそれを分析するといった、かなり実践的な授業です。
それを2年生の最後まで受けて、それ以降は個人的に学習を継続しています。私はTableauを使って家計簿の分析をしたりしました。」
Tableauの良い点や使って感じたメリットなどはありますか。
長岡「Tableau自体は難しいと思うこともあるのですが、Tableau Prepにはとても助けられました。データの整形がとてもやりやすかったです。」
学生さんの間でもデータ活用への意識は高まっていると感じますか。
橘「意識として『データ使うと分かりやすいよね。』というのはあると感じるのですが、データを取り扱うことの難しさや壁も感じています。
Tableauを使えるようになったことで、データ分析や活用に取り組みやすくなったとは思います。」
これからご就職されるわけですが、Tableauやデータを活用できるようなお仕事をしたいとお考えですか。
橘「私はTableauなどを活用したデータ分析を駆使しつつ、営業のお仕事をしたいと思っています。
客観的なデータを見せながらお客様にご提案することで、お客様の夢や幸福に寄与できたら嬉しいです。」
蟻坂「私も営業職を考えていて、例えば『この商品を使うとこれだけの費用対効果が期待できますよ。』とか『これだけのランニングコスト削減ができますよ。』といった情報をTableauを使ってグラフなどで示せると分かりやすいし、納得してもらいやすいのではないかと思っています。」
長岡「私は街文化プランニングというコースで学んでいるのもあって、例えば駅ビルなどの企画職やブランディングのお仕事を考えています。
例えば駅ビルのテナントがいつどのくらいの収益を上げることができそうか、様々なデータを可視化することで、自分の感覚を裏付けしながら提案をしたいです。
ただ、データの使い方によって伝え方が変わってしまうこともあると感じていて、データをどのように見せるかがとても重要だと今回の企業分析AWARDを通じても思いました。」
最後に、企業分析AWARDに参加されての感想をお聞かせください。
蟻坂「他のチームの発表を聞くことで自分たちとはまた違った視点やテーマを知ることができて、とても勉強になりましたので参加して良かったと思っています。
これまで授業でTableauを使って分析や提案をするという機会はあったのですが、今回は難しいと感じました。ただ、スキルの面でもストーリーの面でも橘さん、長岡さんというお二人がいてとても助けられたと思います。」
橘「一緒にやってきたお二人との考え方の違いがとても新鮮で、それを受け入れつつ作業ができたのは学びになりました。
私は関東の出身ではありますが、今回の調査を通じて地方の可能性を感じることができましたので、今後の就職活動の道筋が一つ見えた気もしています。」
長岡「データは人々の行動を示すものではあっても縛るものではないというのが私の中では気づきになりました。
私たちは調査によって幸福度を調べたり、『ここに住むと良いよね。』といった提案をまとめたりしてきましたが、それを選び取るのは人です。データは物事をクリアにして人の選択を助けてくれるものではあるけど、人を操ったり強制するものではないということを今回の分析で実感することができました。
私も蟻坂さん、橘さんには本当に助けられましたし、視点の違いに驚いたり感動したりもしました。」
おわりに
インタビューにご回答いただいた大正大学の皆さん、本当にありがとうございました。
今回出場された7チームの発表はどれも自分たちの選んだテーマに対して真剣に向き合い、データとTableauを駆使して課題の発見と対策を考える非常にクオリティの高いものでした。
日本の将来を担う学生の皆さんが、データを活用しながら論理的にお話を進めていく様子には頼もしさも感じました。
今回優勝されたアリサカーズ2の皆さんは「地方を盛り上げたい、日本を元気にしたい」という共通認識を持ちつつも、他者との視点や考え方の違いを上手く受け入れて提案につなげられていました。
3人ともがチームメイトや先生への感謝の気持ちを強く持っていることもインタビューを通じて伝わり、難題に直面しても力を合わせて乗り越えてきた様子を窺い知ることができました。
今後のご活躍がとても楽しみです。
企業分析AWARDは今後も開催が予定されているようですので、気になる方はぜひグループをフォローしてみてください。