学生データ分析AWARD 2024 準優勝チームインタビュー (東北大学チーム)

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学生データ分析AWARD 2024 準優勝チームインタビュー (東北大学チーム)
2024年12月に開催された学生データ分析AWARD 2024にて準優勝に輝いた、東北大学チームのお二人にインタビューをさせていただきました。

2024年12月に開催された学生データ分析AWARDにて準優勝に輝いた、東北大学のお二人にインタビューをさせていただきました。
Tableauの利用開始からわずか2週間という短期間でデータを分析、可視化し、素晴らしいプレゼンテーションを作り上げていました。
生成AIも駆使したという準備はどのように進んでいったのでしょうか。

タイトル

データで紐解く空き家の未来

概要

日本では空き家が急増し、2023年時点で約900万戸、空き家率が14%に達しており、経済的・社会的・環境的に大きな負の影響を与えています。
この問題の背景には、中古市場の未成熟(取引割合15%)、単独世帯の増加、新築住宅を好む文化、さらには空き家が土地供給を圧迫している現状があります。
これに対する解決策として、以下の3つを提案します。まず、リノベーションを通じて中古市場を活性化し、空き家の流通を促進します。次に、観光や短期滞在施設として空き家を活用することで、地域の経済に貢献します。そして、家としての活用が難しい空き家については、キノコ栽培や昆虫食生産の拠点として新たな価値を生み出す方法を考えています。これらの施策を通じて、空き家の有効活用を図り、地域の活性化と持続可能な社会の実現を目指します。

メンバー

國島正寛さん 東北大学 医学部医学科5年
須田朱音さん 東北大学 医学部医学科5年

(以下敬称略とさせていただきます)

チームが結成された経緯を教えてください。

チームを結成する際には、まず一緒に長い作業時間を共有できること、そして全体的な作業レベルが高いこと、あとは楽しく作業ができることを重視しました。さらに、責任感が強い人と一緒に取り組みたいと考えました。その条件に最も合う人物として、須田さんが適任だと感じました。
そこで須田さんをお誘いしたところ、すぐに「いいね、やろう!」と快く引き受けてくれたので、2人でこのプロジェクトに取り組むことに決めました。

プレゼンの冒頭でお話がありましたが、改めてなぜこのテーマに決定したのかを教えてください。決定に至るまでの経緯なども教えてください。

テーマを決定する際には、以下の3つの軸を中心に検討しました:

  • 課題の大きさ
  • 課題解決の可能性
  • データの収集しやすさ
    これらに加えて、評価基準も考慮し、仮想的に評価が高くなりそうなテーマを模索しました。また、自分たちが興味を持てるテーマであることも重要なポイントでした。最終的には須田さんと一緒に話し合い、複数の候補の中から「空き家問題」を選びました。
    候補として挙がったテーマには、以下のようなものがありました:
  • 子どもの貧困と教育格差の関係
  • 地方での医療機関へのアクセスの困難さ
  • 高齢者の孤立問題
    これらを3つの基準に従って採点した結果、「空き家問題」が最も高評価だったため、最終的に選択しました。
    さらに、私たちは医療系の大学に通っていることもあり、実習や授業を通じて医療に関する課題には日常的に触れる機会が多いです。そのため、医療系のテーマではなく、普段あまり関わらない分野に挑戦してみたいという思いもあり、「空き家問題」を選びました。

東北大学チーム

出場を決めてからの準備の時間はどのくらい取ることができましたか。本番に向けて、準備など進行はスムーズでしたか?

本格的に「やり始めよう!」となったのは、たぶん大会の2週間くらい前でした。その時にまずTableauをインストールして、実際にデータを入れてみて、「これ、どう可視化されるんだろう?」と試してみました。
ただ、最初は慣れないことばかりで大変でしたね。例えば、利用したデータセットには、余白や注釈などの「これはいらないでしょ」という部分が結構あって、それを整理する作業が手間でした。Tableauに読み込む前にデータを整形する必要があったので、そこは少し苦労しました。
あと、自分でテーマを選んだ手前、膨大なデータを前に「さて、どれが一番使いやすいんだ?」と悩むこともありました。特に、データをただ眺めるだけではなく、「どういうストーリーにするか」という流れを考えてからデータを選ぶ必要があったので、その点でも時間を使いました。

このチームの特徴や強みがありましたら教えてください。

このチームの一番の強みは、須田さんがプレゼン資料の作成にすごく慣れている点ですね。資料づくりのセンスが抜群で、私はそのおかげでかなり助けられました。
また、2人とも比較的長時間一緒に作業できたので、他のチームよりも作業時間を確保しやすかったのも大きなポイントでした。作業がスムーズに進む環境を作れたのは、このチームならではの強みだったと思います。

各ステップにおけるデータ活用の徹底ぶりが素晴らしいと感じました。この進め方は、普段の学習や課題から身についたものですか?

正直に言うと、今回は本当に手探りで進めていました。どちらかというと、試行錯誤しながら「こうすればいいのかな?」と模索し続けていた感じです。
ただ、一つ普段からやっていることが役に立ったかもしれないと思うのは、生成AIと一緒に作業を進めるというスタイルです。日常的にAIを活用しているので、その流れで今回もAIと協力しながら作業を進められたのは助けになったかもしれません。

データの見せ方もとても良かったです。情報を詰め込みすぎず、何についてのデータなのかを理解しやすいと感じました。データの見せ方や全体の資料づくりについて、工夫したり意識したことなどはありますか?

データの見せ方については、須田さんのポリシーが大いに活かされました。彼女は、「自分たちが伝えようとしていること」と「観客が理解しようとしていること」を同じスピードで進めることを意識して、スライドショーを構成してくれました。結果的に、スライドがわかりやすく、伝わりやすいものになったと思います。
また、観客の皆さんがスライドやデータを見ながら「こういうことかな?」と考えるタイミングや抱きそうな疑問を予測し、それを解消できるように話す内容の順序を工夫しました。また発表原稿の一文を短くしたり、端的な言葉遣いを意識したり、そしてアニメーションをポイント毎に使うことで、フロアの方の理解を最優先にした発表を心がけました。さらにはスライドと話の流れが自然に繋がるように意識したことで、説得力のあるプレゼンができたのではないかと思います。

空き家の有効活用は規模も範囲もとても大きなテーマですが、今回の発表で知ったことを活用して、何か取り組んでみたいことはありますか?

正直なところ、自分たちが着手できるスケールは、最初はかなり小さくなるかなと思っています。ただ、今回のデータ分析を通じて強く感じたのは、新築ではなく中古住宅を選んで活用していかないと、日本の住宅市場に未来はない、ということです。

そのため、これから自分たちが家を選ぶ際には、積極的に中古住宅を検討し、リフォームして活用していきたいと思っています。最終的には、その家を売却して次に繋げる、という流れで生活していけたら面白いかなと思っています。データ分析をした結果、自分たちの価値観にも少し変化があったのは確かですね。

Tableauの使用歴はどのくらいですか?Tableauの恩恵を受けたと感じる点があれば教えてください。

Tableauの使用歴は2週間ほどです。本当にダウンロードするところからスタートしました(笑)。最初は操作方法が全く分からなかったので、ChatGPTやGeminiなどの生成AIに頼りながら、一つひとつ使い方を学びました。
例えば、「都道府県のデータを地図にプロットする方法」や「空き家の全国分布を可視化するにはどうしたら良いか」といった具体的な質問をAIに投げかけ、それを実際に試してみる、という手探り状態でした。
Tableauを使い始めて驚いたのは、ダッシュボードの機能が非常に優れている点です。コンテスト前にTableauが実装されているいくつかのウェブサイトを見て、その視覚的なデータの組み合わせ方に感心しました。特に、生データの羅列では全く見えてこなかった情報が、Tableauを通すことで直感的に理解できる形になる点には感動しました。
今回のコンテストでは、まだ使いこなすというレベルには至りませんでしたが、視覚的に情報を伝える力は他のツールでは得られない大きな恩恵だと感じました。

今回使用するデータはどのように選定、収集されましたか?また、データを集めたり分析する際に苦労したことはありますか?

主に総務省や国土交通省が公開しているデータを利用しました。空き家問題は非常に大きな課題であるため、データの量自体は十分すぎるほどありました。むしろ、実際に取り組み始めると、膨大なデータの中から「どれが使えるか」を選定することが非常に大変でした。この課題のデータ量が多いことも、空き家問題をテーマに選んだ理由の一つではありましたが、そこから先、具体的にデータをどう活用するかを決めるのには、想像以上に時間と労力がかかりました。
データそのものを手に入れる苦労は少なかったものの、膨大な選択肢の中で有効なものを絞り込むことが一番の課題でした。

今回の発表を振り返り、時間があればもっとやってみたかったこと、挑戦してみたかったことはありますか?

フィードバックでも指摘された通り、N=1分析をもう少し深掘りしてみたかったです。具体的には、実際に1つの空き家に絞り、その物件をどのようにリフォームし、市場に出して販売していくかというプロセスを詳細に検討することができれば、もっと具体的で説得力のある提案ができたのではないかと思います。
今回の発表では、全体像を示すことに注力した分、こういった個別事例にフォーカスする部分が足りなかったと感じました。もし時間があれば、このN=1の視点を取り入れた分析にも挑戦してみたかったですね。

チーム外にご協力をいただいた方はいますか?感謝の言葉などがあればお願いします。

チーム外で協力を仰いだ方はいませんでした。ただ、あえて言うなら、議論やアイデア出しにいくらでも付き合ってくれた生成AIが大きな存在でしたね。彼らのおかげで、悩んだときや手が止まったときに新しい視点を得ることができました。本当にありがたい“デジタルチームメイト”だったと思います。

皆さんは今後、どのようなお仕事をしていきたいとお考えですか?そこにデータ分析やTableauの活用は含まれそうでしょうか?

まだ具体的に将来の仕事像を描けているわけではないのですが、今回の経験を通じてTableauの凄さや力を実感しました。そのため、将来的には積極的にTableauやデータ分析を活用していきたいと思っています。
また、どんな仕事をするにしても、これからの時代、膨大なデータを正しく活用していくことが、意思決定をする上で非常に重要なスキルになると感じています。今回の大会を通じて、その基礎となる力を少しでも身につけられたのは、とても大きな経験だったと思います。データ分析はどの分野にも応用できる力なので、今後も活かしていきたいですね。

データ分析AWARDに参加されてのご感想をお聞かせください。

最初は正直、賞金目当てでの参加でした(笑)。「これで賞金が得られたらラッキーかな」という軽い気持ちで申し込みました。
ですが、実際にデータ分析を進めてみると、前処理や分析、可視化といった作業が非常に奥深く、それらに取り組む中で問題についての理解がどんどん深まっていく感覚がありました。そのプロセスを通じて、自分自身も大きく成長できたと感じています。
こういった大会を開催していただいたおかげで、ただの「作業」では終わらず、学びや成長に繋がる貴重な経験ができました。本当にありがとうございました!

次回出場される皆さんへのアドバイスがありましたらお願いします。

アドバイスとしてはシンプルに…「頑張ってください!」ですね(笑)。
大変なこともあると思いますが、楽しんで取り組んでください!

「より多くの人にデータ分析者・データアナリスト・データサイエンティストの道に興味を持ってもらいたい」と考えて、データ分析ユーザーの有志で始めたAWARD、学生データ分析AWARDです。優勝賞金は30万円、準優勝は10万円。 全国の大学生・大学院生・高専生が応募可能です。 2024年10月から応募開始です。

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