【レポート】女性が自分らしい働き方を組織の中で実現するために必要なコト
2018年4月18日(水)19時05分より、「【女性エンジニア/コンサルタント向け勉強会】自分らしい働き方を組織の中で実現するために必要なコトを教えます!」が開催されました。
本イベントは「女性の働き方」をテーマにアクセンチュアが開催。当日は、10年にわたって女性が働きやすい環境づくりに取り組んでいた同社の知見に興味を持つ方々が集まりました。
当日の内容は下記の通りです。
「アクセンチュア流 女性が活躍できる職場とは」
アクセンチュア株式会社 小原紗代子さん
アクセンチュア株式会社 山本朋佳さん
グループディスカッション:
「明日できるアクションを考える」
それでは内容をご紹介します!
アクセンチュア流 女性が活躍できる職場とは
まずはアクセンチュアでの働き方改革について、小原さんが紹介します。
小原紗代子(おばら・さよこ)/アクセンチュア株式会社 公共サービス・医療健康本部 シニア・マネジャー。慶應義塾大学卒。情報システム会社、外資系コンサルティング会社での勤務を経て、2007年にアクセンチュアへ入社。海外旅行が趣味。
まず小原さんは、アクセンチュアがこの10年で取り組んできたチャレンジのうち、次の2点を中心に紹介します。
ダイバーシティチャレンジ
女性や外国人などこれまでは少なかった人材と積極的に一緒に仕事をできるようにワークスタイルチャレンジ
短時間で高品質の価値を生み出すために、どのように働くべきなのかを真剣に考えてきている
「アクセンチュアの日本法人ではさらに『INCLUSION & DIVERSITY』と掲げ、様々な取り組みを行っています。『INCLUSION & DIVERSITY』は『女性』『ハンディキャッパー』『LGBT』『クロスカルチャー』という4つのテーマから成り立っています。
特に本日のイベントのテーマである『女性』については、2006年から注力しています。2007年と2018年を比較すると、女性の社員数は5倍、女性の管理職数は4倍、子供がいる女性は9倍、女性のマネジングディレクターは10倍に増加しました。
私たちの部門のクライアントは官公庁様なのですが、ご想像の通り、かなりの男性社会です。彼らからは『アクセンチュアさんは女性社員が多いんですね』と驚かれます。
マネージャー以上の役職者には、様々なバックグラウンドを持った方々と働くために、意識改革を含めたマネジメントトレーニングが行われます。研修にいくと様々な部門、世代のメンバーとネットワークキングできるで、とても楽しい場なんです」(小原さん)
小原さんは女性の活躍についてさらに詳細に話します。
「アクセンチュアでは、マネジャーという管理職になるとお金と人の管理を任せられるようになります。若い頃から裁量をもたせてもらえるのは、楽しかったことのひとつですね。アクセンチュアとしての成果を出すにはどうすればいいのかを真剣に考えるきっかけになりました。
もちろん、プロジェクト内外にサポートしてくれる人がいますから、マネジャーだからといって全て自分でできる必要はありません。
でも、手を挙げれば女性でもどんどん大きい仕事を任せてもらえます。そういった女性をサポートするアクセンチュア社内の『女性活躍推進の取り組み』を6つ紹介します」(小原さん)
1. 女性向け研修
「まず、キャリアレベル別に女性社員だけにむけた研修を実施しています。
例えば、若手スタッフ向けの研修では『キャリアの創り方』『出産育児のあとどのように復職出来るのか』などを教えます。早くから会社のサポートについて紹介することで、漠然とした不安を取り除いてもらえるんです。
マネジャー以上の社員には、マネジャーとしてどのようにふるまうべきかといった研修もありますね。
私がおもしろいと感じているのは、研修でディスカッションがあると、とにかくみんながよくしゃべることです。しゃべらない人が誰もいないのはアクセンチュアの文化だと感じています」(小原さん)
2. 成長機会の支援
「『3Rアプローチ』という成長機会をモニタリングする制度があります。これはキャリアカウンセラーという上司が『Right Client』『Right Role』『Right Sponsor』という3つの観点から『成長機会を十分に得ているかどうか』を定期的にチェックしてくれる制度です。
『いまのお客様が将来につながりそうか』『そのロールがキャリアアップのベースになるのか』などを確認し、例えばうまくいっていない場合には、プロジェクトの中でロールチェンジをおこなったりします。
ここで大切なのは、自分で自分のことを話すことですね。『今のロールが楽しいので、引き続き別のプロジェクトでも担当したい』『今はこのような課題があるけど、次はそこにチャレンジしたい』など現在の状態と次にどうしたいのかを伝えるんです」(小原さん)
3. 出産・育児支援
「女性にとっての大きなライフイベントである出産・育児への支援はとても充実しています。
『できるだけ休んで子育てに専念したい』『仕事はしたいが、働く時間を調整したい』『出産前と同じ用にフルタイムで働きたい』など、出産・育児への向き合い方は、個人によって大きく異なりますよね。
アクセンチュアでは、パートナーの出産育児休暇、時短勤務、ベビーシッター費用補助、在宅勤務など、個人の希望に合わせたワークスタイルを実現できる制度が充実しています」(小原さん)
4. 現場でのひとりひとりのサポート
「全社としての制度だけではく、部門ごとに独自の取り組みも実施しています。
例えば、私が所属する公共部門では、女性社員のネットワーキングイベントを年に1回開催しています。この3月に開催した際、参加者は60名を超えました。仲がいい人だけで固まることもなく、新しく参加してくれた方もすぐに交流をとれるのがこのイベントの特徴になっています。
他にも、育休取得者がスムーズに復職できるように上級クラスのメンバーがサポートしたり、子供がいる社員同士の『ワーキングペアレンツネットワーク』というコミュニティもあるんです」(小原さん)
5. アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)トレーニング
「マネージャー以上の社員に向けて『アンコンシャス・バイアストレーニング』が実施されます。
これは、無意識にとっている日常の行動や考え方を、意識的に正していこうという研修です。多様性を活かすマネジメントスタイルにシフトするきっかけとしています。
具体的には、『なぜこの仕事を男性に、もしくは女性に任せようと思ったのか?』などのケーススタディをみんなで説いていきます。私たちの仕事はプロジェクトワークですから、メンバーのことをよく知る姿勢が重要だと改めて考えさせられます」(小原さん)
6. INTERNATIONAL WOMEN’S DAY
「2006年より、毎年3月の国際女性デーに、女性社員全員が一同に介してイベントを開催しています。
今年は、ディープディスカッションをして、入社したての方の悩みをシェアして解決する方法を話し合ったり、カラー診断のブースを展開したりしましたね。
チャイルドルームも設置しますので、子連れでの参加もOKです」(小原さん)
最後に小原さんは、「アクセンチュアでは2025年までに社員の男女比を50:50にすることを目指しているんです」とグローバルでの目標を紹介。さらに「社内ネットワークの知見が蓄積されたサイト」「Skypeを使ったリモート会議」「ベストプラクティスの漫画での共有」など生産性向上の取り組みについて共有して、山本さんへバトンを渡しました。
山本朋佳(やまもと・ともか)/アクセンチュア株式会社 公共サービス・医療健康本部 シニアマネージャー。2005年に新卒でアクセンチュアへ入社。趣味はフラダンス。
現在3歳の娘を持つ山本さんは、子供がいる中でどのように働いてきたのか、「感情曲線」を使った図を紹介しながら自身の事例を共有します。
「私は新卒で入社して13年目になります。入社した当初はシステムについて全く知識がなかったので、仕事の目標を見失い、感情はマイナスとなっています。
その後、自ら主導し、コンサルタントとしてのやりがいを感じられるプロジェクトでプラスの感情になりました。しかし、次に会社の存在そのものを否定するクライアントを担当したときに、かなり落ちこんでしまってマイナスの気持ちになってしまいました」(山本さん)
山本さんのキャリアにおいてひとつめの契機となったのが「教育休職」でした。
「アクセンチュアでは、学業を支援する制度も充実しています。私は2012年に教育休職制度を取得しまして、学術研究に専念する機会をいただきました。
このブレイクを入れたことで、それまでの負の感情も客観的に捉えられるようになって、復帰後は仕事がとても楽しかったですね。その後、出産育休を経て現在に至ります」(山本さん)
今回の登壇にあたり、「感情曲線を初めて書いてみて気がついたこと」として、山本さんは次の点を挙げます。
「今回この感情曲線を書いてみて、『子供ができた』という理由で感情が負になることはなかったんだなと発見がありました。私は子供がいない頃のほうが負の感情を持っていたんです。
それは私が入社した当初とは異なり、会社の制度が整っているのが理由のひとつだと思います。
また、ライフワークバランスを図る上で、『育児があるからマイナス』というわけではありません。それよりも、自分がやりたいプロジェクトやロールに携われているのか、子育てに限らず制約のある状況をいかにコントロールできているかが重要だと思います」(山本さん)
「ただし、もちろん大変なこともあります」と山本さん。
「現在は時短勤務制度を使って、16時に退社しています。ただ、私の部下が『山本さんが早く帰るから、その後の報告を翌日にしなければいけないのが非効率だ』と言われたことがありました。
また、子供のために休む日は増えるのですが、自分のための休暇が取りづらいのも悩みのひとつですね。
ただ、昔の自分と比較すると、生産性は確実に向上しています。出社の途中に『16時に帰るために、今日は何をゴールにして何をやりきるか』を考える癖が身につきました。また、帰りにはその日の出来事を客観的に捉えて、反省する習慣も生まれているんです。
また、仕事と全く関係がない子供がいることもとてもプラスに働いています。仕事をする中でどうしてもネガティブな感情になってしまうことがありますよね。でも、育児をすることでネガティブモードが断ち切れるので、次の日に気持ちよく仕事をする効果があると感じます」(山本さん)
続いて山本さんは「自身を支えてくれた」会社としての支援制度として次の3点を挙げます。
- 同じクライアントで復職
「産休前に担当したクライアントから復職します。慣れているお客様のプロジェクトで、何をやればいいのかもわかっている場所に戻してくれるのは非常に大きかったですね。
同じクライアントさんのプロジェクトが走っていない場合には、内勤から走り出すことも可能です」(山本さん)
- サポート体制の充実
「プロジェクト単位での仕事だと、会社に人は多くても、そのプロジェクト内では自身で解決しなければいけない状況に陥ることも多くありますよね。アクセンチュアは、そういった状況の人を面でサポートする意識がかなり高いですね。
小原からも紹介がありましたが、復職した社員には上級の管理職がサポートしてくれる制度があるんです。この上司は、プロジェクトの上司よりも権限を持っているので、様々な相談をすることができました」(山本さん)
- 上司の理解
「私の上司に4人の子供を持つ方がいたんですね。そのうち2人は女の子なのですが、その上司は『自分の娘が成長して働くようになったときには、山本さんが切り開いていった働き方が影響すると思っている。だから、山本さんの働き方を見届けたい』と言ってくれました。その言葉だけでもずいぶん救われましたね。
制約がある社員を持つことがデメリットだけではないのだと私の立場からも思うことができました。また、これは後でわかったことですが、会社として『制約のある社員をいかに活かすか』ということが上司の基準にもなっています。ワーキングマザーを活躍させることが評価につながるという状況は、お互いの利害関係が一致しているのでとてもいいことだと感じました」(山本さん)
最後に山本さんは「育児に限らず、制約を持ちながらワークライフバランスを実現していくためには、自分がコントロールできる状況をいかにつくるかを考えることに意味があると思っています。そのためには『健康』と『家族の理解』という『基盤』がとても大切です」とまとめました。
グループワーク「明日できるアクションを考える」
イベントの後半では、ITコンサル、SEなどの職種の参加者とアクセンチュアの社員がひとつのグループになり、約1時間のディスカッションが行われました。
ディスカッションでは、
テレワーク
「認められているけど、コワーキングスペースで働いていたりする」
「テレワークの制度はあるけど、どのように評価するのか『成果』が定まっていない」
「テレワークを使って、『周りから話しかけられない集中できる自分の時間』を作っている」トレーニング
「インプットのための時間が業務として認められない」
「勤務時間内に意図的に勉強会を開いたりする」業務の効率化
「アウトソーシングと内製のバランスがうまくとれていない」
「社内サークルでの情報共有がある。メールでは埋もれてしまうので、うまくコミュニケーションツールを活用している。『Microsoft Teams』が使いやすい」
など様々な悩みが共有され、あっという間に1時間が経過しました。異なる環境の参加者から意見を聴くことで、得られた知見も多かったようです。
またの参加をお待ちしています!