社会におけるAI利活用と法制度チーム ラップアップ シンポジウム(同時通訳付・ハイブリッド開催)

2025/02/19(水)13:00 〜 17:30 開催
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イベント内容

理化学研究所・革新知能統合研究センター・社会におけるAI利活用と法制度チームでは,過去9年間にわたって,AI倫理,AIと法制度,AIに対するトラスト,AIエージェント,個人情報の保護と利活用,などの分野について研究を行ってきた.このシンポジウムでは,共同研究を行ったQueensMary University, David Leslie教授,当チームの客員研究員である江間有沙・東京大学准教授,寺田麻佑・一橋大学教授が,これらの分野の現状と将来の方向についての講演を行い,チームリーダー・中川からの当チームの過去9年間の研究活動紹介を行う.
最後に大屋雄裕・慶応大学教授を交えてパネルディスカッションを行う.

日時:2025年2月19日(水)13:00~17:30
場所:日本橋AIPセンターオープンスペース(上限30人) & Zoom(ハイブリッド開催)
    理研AIPへのアクセス:https://aip.riken.jp/access/?lang=ja
    *日本橋会場参加者へは前日までに入館証をお送りいたします。

プログラム:

1. 13:00~13:10: シンポジウム趣旨説明

2. 13:10~13:50: 招待講演1
David Leslie:Queen Mary University
タイトル:Tackling the Challenges of Ecosystem-Level AI Governance: A New AI Policy Frontier (エコシステムレベルのAIガバナンスの課題に取り組む: 新たなAI政策のフロンティア)
要旨
2022年11月にChatGPTが登場して以来,AIの産業革命は,これらのシステムが埋め込まれている社会的,政治的,経済的,文化的,自然的エコシステムにわたる新たな規模のシステム的課題とリスクを引き起こした.これらの課題には,不平等の拡大とデジタル格差の拡大,大手テクノロジー企業による技術科学的権力の集中と市場の統合,労働力の置き換えやスキルの低下,大規模な偽情報,情報エコシステムの大規模な汚染,文化の消失,環境への悪影響などが含まれる.本講演では,エコシステムレベルのAIガバナンスという新たなフロンティアが,この課題群にどのように取り組むことができるかを探求し,急速な技術変革に対応する包括的なアプローチの緊急性を取り上げる.次にAIガバナンスの焦点が,主にAI技術の設計,開発,導入ライフサイクルにおける社会技術的プロセスの規制から,より広範なシステムレベルの課題への対処へとどのようにシフトしているかを検証する.これには,データ,計算資源,デジタルインフラなどの重要なリソースの管理,AI人材と能力の包括的かつ公平な育成と保持,迅速かつ適応的な法的・規制メカニズムの開発,倫理的かつ責任あるイノベーションを保証するAI市場と経済的措置の形成,そして持続可能で公共の利益を重視したAIの創意工夫を促進する研究資金の戦略的配分が含まれる.この議論では,このエコシステムを対象としたアプローチが,権力の不均衡に対処し,AIリソースへの公平なアクセスを促進し,AI全体の責任ある環境配慮型イノベーションを確保するための重要性の示す.
2019年から2022年にかけてのRIKEN AIPとアラン・チューリング研究所(PATH-AI)の共同研究に基づくAI倫理とガバナンス研究の成果をもとに,本講演では,より包括的で持続可能なAIエコシステムを育成するための戦略を提案する.その中には,多様な利害関係者による協力,コミュニティ主導の政策形成,複雑なエコシステムレベルのAIガバナンスの風景をナビゲートし,AI技術の開発を公共の利益に向けて導く能力を持つミッション主導型産業政策の開発が含まれる.

3. 13:50~14:30: 招待講演2
江間有沙:東京大学
タイトル:多様性と調和:持続可能なAI社会の構築に向けて
要旨:
多言語・多文化に対応するAIの開発・展開・利用においては,国際的な調和を重視しつつも各国・地域の特性を尊重したアプローチが求められる.そのためにはマルチステークホルダーの議論が重要であるが,多様な人が関わるほどアジェンダセッティングや議論のフォーマット,内容をどのようにまとめるかのプロセスや方法論も丁寧に設計する必要がある.AIの利用目的と文脈を考慮し,迅速かつ丁寧な議論を進めることが,持続可能なAI社会の未来を築く鍵となる.

4. 14:30~14:40: ブレーク

5. 14:40~15:20: 招待講演3
寺田麻佑:一橋大学
タイトル:生成AI時代における日本のAIガバナンスと法的課題そしてデジタルポリシー
要旨:
本発表では,生成AIを含む人工知能(AI)ガバナンスと,日本のデジタル政策との関係について考察する.日本は現在,デジタル変革を加速させる中で,生成AIを中心としたAI技術をイノベーションの推進力とすると同時に,その規制や社会的課題への対応が求められている.本発表では,デジタル庁の取り組みやデータガバナンスの枠組みをはじめとする日本のデジタル化政策が,AIに関連する法的および倫理的課題にどのように対応しているかを分析する.
具体的には,個人情報保護法の改正,デジタル戦略におけるAI関連ガイドラインの統合,越境データ流通のガバナンスといった,近年の法制度や政策の展開を取り上げる.また,これらの取り組みを国際的な規制動向の中で位置づけながら,技術革新と社会的価値を調和させるための整合性と柔軟性を兼ね備えた規制フレームワークの構築の必要性を論じる.本発表は,日本のデジタル政策とAIガバナンスがどのように結びつき,新興技術がもたらす多面的な影響に対応しうるかについて,示唆を提供することを目指している.

6. 15:20~16:00: 理研AIPからの報告
中川裕志:理化学研究所・革新知能統合研究センター
タイトル:AIの社会における利活用と法制度
要旨:
AIを巡る状況はこの数年で激変した.2017年から2019年にかけては,プライバシー保護,差別のないことなどのAI倫理が世界中で検討され,多くの倫理指針が提案された.2020年以降には,AI倫理指針を基本においたAI規制のための法制度が提案されはじめ,もっともよく知られたものはEUのAI Actであり,2024年3月に成立した.この講演ではまず,AI倫理およびAI法制度において理研AIPの社会におけるAI利活用と法制度チームが行ってきた貢献をまとめる.生成AIの発展から予想される次の重要な応用はAIエージェントである.この講演の後半では,AIエージェントがどのような法的位置づけを持つか,とりたて1990年以降続いてきたAIエージェントへの法的人格付与の議論を振り返り,将来的なAIエージェントへの法的人格付与の可能性について議論する.

7. 16:00~16:10: ブレーク

8. 16:10~17:20: パネルディスカッション
パネリスト:David Leslie, 江間有沙,寺田麻佑,大屋雄裕
司会:中川裕志

9. 17:20~17:30: 閉会

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