【後編】SAP流ビジネス思考フレームワークから学ぶデザインシンキング「きほんのキ」講座

イベント
近年、ビジネスの場で注目されるようになったデザインシンキング(デザイン思考)。2020年2月8日~9日の二日間で開催された仙台市プロジェクト「SENDAI X-TECH Innovation Project」では、このデザインシンキングを全社的にいち早く取り入れ、ソフトウェア開発やビジネスにも活用しているSAP Japanの吉越輝信氏を講師に迎え、基本を学びながら体験するワークショップを開催しました。
【後編】SAP流ビジネス思考フレームワークから学ぶデザインシンキング「きほんのキ」講座

ペルソナにとっての課題を再定義(PoV)しよう

ペルソナにとっての課題は何か。午後のデザインチャレンジでは、午前中のワークで肉付けしてきたペルソナの課題を再定義することから開始。より「具体的な課題」に落とし込んでいきます。

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▲SAP Japan エヴァンジェリスト&コミュニティマネージャー  吉越 輝信さん

参加者には着眼点(PoV:Point Of View)を記入する用紙が配られ、まずは各自でペルソナにとっての課題、ニーズや気持ち・感情を考えながら書き込みます。コツは、課題や解決策を決めつけないこと。

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「女の子が高いところにある本を取ろうとしていたとします。でも、その女の子は高いところにどんな本があるのか興味を持って取ろうとしているのではなく、大人が読むような本を読みたいのかもしれません。ということは、アプリで提供する方法もあります。課題や解決策は人それぞれで違ってOK!決めつけないでください」(吉越さん)

続いて、各自で作成したPoVをグループで発表。チームで議論してベースとなるPoVを一つ決定し、他のPoVを付け加え、チームとしてのPoVをまとめます。

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チームで作成したPoVを全体共有

各チームで決定したPoVを、各30秒で全体発表。他のチームの話を聞いて、いいアイデアがあったら、どんどん取り入れていいと吉越さんはアドバイスします。

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質より量!ワイルドなアイデアをどんどん出そう

次は、いよいよ具体的なアイデアを考えるワーク。結果的にどうしたらペルソナがエレベーターで止まるか、アイデアを出していきました。

この段階では、実現可能性などの判断や評価はせずに、質より量。とにかくたくさんアイデアを出す。問題解決方法は一つでなくていい、人のアイデアには進んで乗っかる、といったアイデア出しのルールが説明されます。そして自分ではなく、ペルソナの気持ちになり切ることが重要だと、繰り返し強調する吉越さん。

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アイデア出しのヒントとして、他のモノ・人に代替できないか、アイデアを組み合わせる、応用する、ちょっと変えたり、別の使い方をしてみたり、取り除いたり、順番を逆にしたり変えたりなど、もし●●だったらと考えてみる「SCAMPER法」も紹介。

今回は「ブレインダンプ」という手法を使い、各自でアイデアをどんどん書き出していきます。その際のルールは、「否定しない。Yes,Andで意見を言う」「判断は後回し」「自由なアイデア歓迎」「アイデアはすぐ書いて形にする」。そして、「ペルソナへの共感を忘れないこと」

その後、チームで共有し、アイデアを整理します。最後にカテゴリー分けし、それぞれにタイトルを付けていきます。

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アイデアを絞って磨く

たくさん出したアイデアを、次は絞って磨いていきます。アイデアを磨く観点として、そもそもできるのかといった「技術現実性」、法に触れているものは除く「違法性」、いくらまでかけていいのか「費用」、競合はいるか?「市場」、などが挙げられますが、最も大切なことは「自分たちがやるべき理由があるか」だと吉越さんは強調します。

チーム内で集めたアイデアに対し、ペルソナにとって価値があると思えるものや、これは面白いと感じたものを3つ選んで、赤いシールで投票。アイデアを収束させたら、チームで発表したいソリューションを決め、共通の認識が固まったら、そのソリューションに名前をつけます。

アイデアを絞るときに有効なやり方として、ペルソナにとって価値があるかという観点と実現性の二軸で評価する「ヒートマップ法」や、再定義されたペルソナの課題に対する解決策やアクションアイテムを洗い出す「Brain Writing法」、面白い・拡がる可能性があると思うアイデアにフォーカスしていく「ハイライト法」も紹介されました。

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プロトタイプを作成する

続いて、絞って磨いたアイデアをユーザーに説明したり、社内で議論するためのプロトタイプを作成します。

「プロトタイプはペルソナからフィードバックを受け、さらにアイデアを練り、絞るために作るもの。張りぼてでも相手に伝わればいい。いいか悪いかをとにかく判断するためにチャレンジしていきましょう」(吉越さん)

今回はストーリーボードを作成して、アイデアを他の人に伝わる形にします。ストーリーボードは4コマ漫画で作成。ここでも「完璧を目指さず、アイデアのコンセプトが伝わればいい」と吉越さんの言葉に背中を押され、積極的に描き出す参加者の皆さん。

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さらに、プロトタイプを用いた発表を4分程度で行えるように、以下の項目を織り込んでまとめていきます。

  • ペルソナの特徴
  • 再定義課題文(PoV)
  • アイデアコンセプト

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フィードバックを受け、アイディアを改善する

本来はペルソナにフィードバックを受けるフェーズなのですが、今回は体験なので他チームに改善ポイントをフィードバックしてもらう疑似フィードバック体験を行いました。

まずチームを半分に分け、半分はテーブルに残ってアイデアを説明。もう半分は右隣のチームに行って、アイデアを聞く。説明を受けて気づいた点や疑問、改善アイデアなどを付箋にメモして貼ってきます。

隣のチームで聞いたいいアイデアはどんどんもらってOK。得られたフィードバックをもとに、さらにストーリーボードを改善、アイデアの追加なども行い、最終発表に向けてまとめます。

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各チームのアイデアを最終発表!

最終発表は全員に向けて、プレゼンを行います。各チームは、ペルソナの特徴とPoVをビシッと伝え、アイデアコンセプトをしっかり説明。それを受けて、他チームは質問したり、アイデアの意見・感想を伝えます。

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デザインシンキングワークショップの振り返り

最後に吉越さんから、ワークショップの振り返り。今回のデザインシンキングは以下のようなプロセスとツールで行われました。

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ただし、これはあくまでも基礎であり、これにこだわる必要はまったくないと吉越さんは言います。

「いきなりプロトからフィードバックを得ることを永遠と繰り返してもいいし、課題が本当の課題なのかを徹底的に深堀するのもいい。順番も問う必要はありません。ついやってしまいがちなのは、アイデア出しで満足してそこで終わってしまうこと。本当の勝負はその後から。ソリューションをちゃんと実装して、幸せにしたい人を幸せにしなくてはいけません」(吉越さん)

また、ロジカルシンキングとデザインシンキングは全く違うもの。たくさんあるものから磨き上げるやり方と、一つのことを徹底的に考えて広げていくやり方で、それぞれ長所・短所があるので、状況に合わせて選択したり、両方やることで相乗効果を狙ってくださいというアドバイスも。

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「デザイン思考は共感・課題発見、そしてアイデアを実装することが大事。多様なメンバーとプロセスを使い、アイデアを発散させる素晴らしい環境で、時間をかけてプロトを作る。そして、フィードバックを受けたら、ソリューションとして実装しなければいけない。 実装ができる多様なメンバーと試行錯誤を繰り返し、またフィードバックを得ながら改善していく。時間がかかるものですが、あきらめないでください。一人でスーパースターになるのは難しいけど、チームでスーパースターになればいいのです」

その時に必要なのは、絶対こうしたいという「情熱」、頑張り抜く力「勇気」、挫折もあるし、ダメ出しにも折れない心、そしてチャレンジしていいんだ!と思える「心理的・肉体的安全性」です。

最近は、デジタルを活用して事業やサービスを強くしようと、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業も増えてきました。DXと一言に言ってもいくつかの取り組みパターンがあります。

いまあるスキルを流用や活用で生産業務を改善したテスラ、既存の商品に新たな価値を付加し、キャラクターを映画やゲームに使った新しいビジネスを生み出したレゴ、今まで全く市場がなかった新規市場としてシェアリングサービスを生み出したUberやAirbnbなど。改善と創造と難易度をうまく組み合わせていくことが重要だと語る吉越さん。

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「解決策を決めつけず、固定概念を持たないようにする。思い込みをすると問題解決はできません。SAPが学んだ大切なことは、危機感だけでは人が変わらない、楽しみながらやらないと続かないということ。いかに課題を見つけることを楽しむか、課題を解決できた時の喜びを楽しむかを考えて取り組んでください」

そのためには今回伝えたマインドセットが役立つはずと、エールを送りました。

全員の拍手でワークショップを締めた後は、講師や主催の仙台市、参加者同士の交流を深める懇親会。今後、仙台でもこうしたワークショップや勉強会を開催し、コミュニティをアップデートしていこうと、楽しく盛り上がりました。

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仙台市では、今後もこうしたハンズオンや勉強会を開催していく予定です。 参加してみたいと思った方は、ぜひ、仙台市のグループをチェックしてみてください。

▶︎▶︎イベントレポートの前編はこちら!→【前編】SAP流ビジネス思考フレームワークから学ぶデザインシンキング「きほんのキ」講座

▶︎仙台市主催のイベント

【2019年11月7日(土)~11月8日(日)】KotlinでWebアプリケーションを開発してみようハンズオン
【2019年12月7日(土)~12月8日(日)】SwiftでiPhoneアプリ作り体験!
【2020年1月18日(土)~1月19日(日)】アプリUIデザイン実践ハンズオン
【2020年2月7日(土)~2月8日(日)】デザインシンキング体験講座
【2020年2月29日(土)~3月1日(日)】ビジネスプラン構築ワークショップ

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