【後編】アイデア立案から2日間で作り込む!ビジネスプラン構築ワークショップ ~イシュードリブン・リーンキャンバス・顧客解像度UP~

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【後編】アイデア立案から2日間で作り込む!ビジネスプラン構築ワークショップ ~イシュードリブン・リーンキャンバス・顧客解像度UP~
仙台市をフィールドに、新事業の創出や先端IT人材の育成・交流によって、イノベーションを生み出し、都市の体験をアップデートしていくことを目指すプロジェクト「sendai x-tech innovation project」。新規事業やビジネスアイデアを形にしたい学生・社会人に向けた「アイデア立案から2日間で作り込む!ビジネスプラン構築ワークショップ」。 1日目に続き、2日目は新規事業に重要なアイデアをワークを通じて顧客の解像度を引き上げ、事業化までに必要な論点を体系的に理解し、ビジネスプランを磨くフレームを紹介します。

イントロダクション:CPF(Customer Problem Fit)の概要

一日目に続き、二日目は顧客解像度を上げるための考え方、プロセスについて伝えていく。冒頭はイントロダクションとして、CPFについて瀬戸氏から改めて講義が行われた。

CPFは「Customer Problem Fit」の頭文字をとって呼ばれているビジネス用語で、「誰の、どんな課題を、どうやって解決するか」を導き出すプロセスを指す。

「シンプルに言えば、その課題は本当に存在するのか?誰が困っているのか?競合(既存の代替品)は誰なのか?を明らかにし、応えていかなければいけないことです」(瀬戸氏)

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▲パーソルイノベーション株式会社 インキュベーション推進室  瀬戸 貴充

リーンスタートアップのプロセス全体については、1日目にも紹介した以下の図をもとに、改めて説明が行われた。

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以下の図は、「起業の科学」で田所 雅之氏が書いた、ソリューションの質と課題の質をアイデアフェーズごとにまとめるフレームワークをもとに、瀬戸氏がまとめたものだ。

起案アイデアが仮説検証を通じて、課題に対するソリューションの質が高まっていくことがわかりやすくまとめられている。

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イントロダクション:スタートアップや新規事業が失敗するのはなぜ?

誰のどんな課題を解決するかが大事であるが、多くのスタートアップや新規事業が失敗してしまいます。その理由は課題の発見・検証の前に、プロダクトの開発や検証を始めてしまうからだ。「自分のアイデアは売れる」「顧客の課題を解決できる」と思い込んだまま進めてしまうことが原因なのだという。

「繰り返しますが、アイデア初期は課題の質を高めるCPFに集中し、まずは課題は本当に存在するのか?誰が困っているのか?そして、競合(既存の代替品)は誰なのか?を答えられることを目指すことが大切。ソリューションは後からで構いません」(瀬戸氏)

顧客の解像度を上げるフレームワーク①「6up Sketches」

二日目の講義・レクチャーは、顧客の解像度を高めるという視点で伝えていく。まずは、リーン的な考え方で仮説の検証を回すサイクルについて、改めて説明された。

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続いては、アイデアを思考整理し、誰のどんな課題をどう解決するのかを具体的にするために適切なフレームの使い方を紹介していく。今回は、ビジュアルや文字で課題をどう認識しているかを、客観的に可視化・言語化する2つのフレームを活用する。

最初のフレームは、ユーザーの課題・悩みをより具体的に明確化するために6コマ漫画をラフで作る「6up Sketches」。新しい事業を作るとき、チームは多様化する。例えば、ディレクター、デザイナー、エンジニアのチーム内で共通言語が通用しない。そんなときにお互いの認識を合わせるときに、アイデアを可視化するために活用されることが多い。

瀬戸氏は、サービスの利用シーンなど、6up Sketchesを活用した例をいくつか紹介しながら、どのようなストーリーで描くと伝わりやすいのかを解説。現状を1コマ目で描き、最後の6コマ目で理想の結果シーンを描く。その間の解決する中間プロセスを描くことが多く、大事なところに色をつけたり、線を引いたりして強調するのも有効だ。

また、CMや動画を制作する際の絵コンテにも役立つというTipsも紹介された。

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顧客の解像度を上げるフレームワーク②「CJMフレーム」

後半は、森谷氏によるカスタマージャーニーマップのフレームワークについての講義が行われた。カスタマージャーニーマップとは、ユーザーの行動・思考をユーザーの現在の行動や思考を流れで整理し、絵にすることで、顧客視点で課題を見つけるフレーム。想定ユーザー・顧客の目線で“現在”の状況を整理し、時系列で可視化する目的で使われる。

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▲パーソルイノベーション株式会社 インキュベーション推進室 室長 森谷 元氏

カスタマージャーニーを描くタイミングとしては、まずはアイデアを深堀りしていくことになった時。ペルソナユーザーにヒアリングする前に、解決したい課題のプロセスをその時のイメージで描いてみる。ヒアリングしたら、その事実をもとにカスタマージャーニーを描いてみて、ヒアリング前のイメージと比較してみる。

「比較することで、その認識の差異を明らかにすることが、有効な活用法の一つです」と、そのメリットを語る森谷氏。顧客と課題について、自分の思考の穴に気づくことがカスタマージャーニーのメリットだという。さらにチームで行うことで、明確な共通理解を得やすくなり、新しいアイデアに気づき、ユーザー体験軸で解決策を考えることができる。

カスタマージャーニーマップの作成

続いては、ペルソナの現状を可視化するカスタマージャーニーマップを作成していく。まずは、フレームの作成から。ステークホルダーが複数存在する場合は、そのステークホルダー別にストーリーを作ることもポイントだ。

本来であれば、参加者に事前ヒアリングしてもらった情報をもとにワークしてもらう予定だったが、今回はオンライン開催のため、SmartHRの事例をもとに解説していく。「行動」「タッチポイント」「思考」「ニーズ・困りごと」「感情曲線」について、気づきなどをポストイットに書き、時系列で貼っていく。

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●「行動」を埋めるポイント

「行動」欄に時系列でユーザーの行為・行動を簡潔に記載する。この行動をもとに、以降の項目を展開していく。

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●「タッチポイント」を埋めるポイント

ユーザーとの“接点”、手段やツール・サービス、場所等を簡潔に記載する。その接点ごとにどう行動とつながりタッチポイントとなるのかについても、明確に定義して書き加えよう。

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●「時系列」を埋めるポイント

ユーザーの行動フローのかたまりで考える。ユーザーがどういう時期にどう行動しているのか、行動・タッチポイントが縦軸でまとめられるように整理する。

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●「思考」を埋めるポイント

行動プロセスに対するユーザーの思考や気持ちをシンプルに記載する。話し言葉でもOK。

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●「ニーズ・困りごと」を埋めるポイント

何を望んでいるのか、何を課題感として感じているのか。ユーザーのニーズや気持ちを簡潔に記載。ヒアリングを通じて得た情報を書いていく。

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●「感情曲線」を埋めるポイント

全体を俯瞰し、ユーザーの感情がどのように上下しているのか曲線で整理。ユーザーのモチベーションや感情に影響を与える重要なポイントを可視化する。

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これらは1回や2回のヒアリングで作成することは難しい。情報の過不足を感じたら、またヒアリングを行う。その繰り返しとチーム内の共有・認識のすり合わせでカスタマージャーニーは出来上がっていく。

そして、そこから「ペイン」と「インサイト」を抽出するのが一つのゴールだという。ペインは、表層的な欲求・ニーズでユーザー本人も自覚している課題で、インサイトは本人が気づいていない真の欲求・不満である。その違いを意識しながらまとめることが重要なポイントだ。

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CPFで重要なヒアリング・インタビューの手法基礎

ユーザーの課題を検証するには、ヒアリング・インタビューが欠かせない。では、どのように行えばいいのか。よいインタビューにする5つのポイントが紹介された。

  ①相手をよく知る
  ②弟子になるつもりで挑む
  ③非言語コミュニケーションにも注意する
  ④インタビューオーナーになる
  ⑤インタビューの内容を分析する=KJ法/CJM

●相手をよく知るには?

まずは、相手が以下の特徴を持つエバンジェリストユーザーであるかを見極める。

  • 課題を持っている
  • 課題があることを自覚している
  • 課題を解決する手段を積極的に探している
  • 別の手段を使って、何とか課題を解決しようとしている
  • 課題解決のための予算がある

上記を知るためには、「現状の課題を解決するためにどのような代替案を利用しているか(How)」「そこにどんな不満を持っているか(What)」「解決するためにどのくらいの予算確保(How much)が可能か」といった質問をしてみよう。

●弟子になるつもりで挑むとは?

これは教えを請う姿勢でインタビューし、声を引き出し、言語化するということ。そのためには根掘り葉掘り質問を繰り返すことが重要だ。そのポイントとして、今、どのような課題があり、そのためにどのようなプロセスを行っているか、できるだけ具体的に聞くこと。

相手の言ったことをリピートしたり、要点をまとめて確認したり、自分の言葉に変換して聞きなおしてみることなどのやり方も役立つ。そして、その会話の中から次の質問を見つけ、さらに深堀して聞くことを繰り返す。

●注意する非言語コミュニケーションとは?

インタビュー相手が顧客・ユーザーとなるかならないかは、インタビュー中のボディランゲージで判断できる。顧客になりそうな反応は、質問に対して情熱を感じる回答や前のめりなボディランゲージがある。さらにその解決にお金を払ってもいいという態度も示す。

上記のような点に留意し、起案者自身でインタビューを行い、痛みやニーズに対する理解を深める。さらに、カスタマージャーニーを活用して体系的に分析する。このサイクルを繰り返し行うことで、新たな気づきやアイデアが生まれてくるはずだ。

クロージング&質疑応答

二日間にわたり開催された今回の講義に対し、「インタビューはどこまでやるかべきか」「カスタマージャーニーの活用法」「社内で新企画を通すコツ」「新規事業で一番意識すべきことは何か」など、参加者から質問が寄せられた。

クロージングでは、森谷氏がリーンスタートアップの考え方をもとに、ビジネスオーナーが仮説検証を立て、検証を繰り返すことの重要さを呼びかけた。いきなり予算をかけ、社内のスタッフを集め事業化せずとも疑似体験や検証することは可能。今後のビジネスプラン構築に役立ててほしいと、講義を締めくくった。

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▶︎イベントレポートの前編は、こちら!→【前編】アイデア立案から2日間で作り込む!ビジネスプラン構築ワークショップ ~イシュードリブン・リーンキャンバス・顧客解像度UP~

▶︎仙台市主催のイベント
【2019年11月7日(土)~11月8日(日)】KotlinでWebアプリケーションを開発してみようハンズオン
【2019年12月7日(土)~12月8日(日)】SwiftでiPhoneアプリ作り体験!
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【2020年2月7日(土)~2月8日(日)】デザインシンキング体験講座
【2020年2月29日(土)~3月1日(日)】ビジネスプラン構築ワークショップ

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