【前編】アイデア立案から2日間で作り込む!ビジネスプラン構築ワークショップ ~イシュードリブン・リーンキャンバス・顧客解像度UP~

イベント
仙台市をフィールドに、新事業の創出や先端IT人材の育成・交流によって、イノベーションを生み出し、都市の体験をアップデートしていくことを目指すプロジェクト「sendai x-tech innovation project」。今回は新規事業やビジネスアイデアを形にするために、どんなアクションをすればいいのかを学びたい学生・社会人に向けたワークショップを開催しました。1日目はワークを通じてそのビジネスアイデアを磨き込み、想定顧客の課題を明確にするためのフレーム紹介や考え方をお伝えします。
【前編】アイデア立案から2日間で作り込む!ビジネスプラン構築ワークショップ ~イシュードリブン・リーンキャンバス・顧客解像度UP~

TECH PLAY SHIBUYAからオンライン配信でワークショップ開催

今回の「ビジネスプラン構築ワークショップ」は、新型コロナウイルス感染症対策のため、仙台ではなく、東京・渋谷にあるTECH PLAY SHIBUYAの会場からオンラインで配信された。

講師を務めたのは、新事業の創出やビジネスプラン創出に関する知見が高い、パーソルイノベーション森谷元氏と瀬戸貴充氏。

Alt text

パーソルイノベーション株式会社 インキュベーション推進本部
インキュベーション推進室 室長 森谷 元氏

2014年にインテリジェンス(現:パーソルキャリア)に新卒入社。人事組織コンサルタントとして新人賞を獲得する活躍をしながら、1年目から社内ビジネスコンテストのファイナリストとなる。その後、新規事業部門に異動し、新サービス創出に積極的に携わる。2016年、アマゾンジャパンに転職し、新規事業の立ち上げに従事。事業成長に貢献し、年間MVPに輝く。2018年、新規事業創出を本気で行うためにパーソルホールディングス イノベーション推進本部へ。新規事業起案プログラム「Drit」の運営責任者。

Alt text

パーソルイノベーション株式会社 インキュベーション推進室
タレントディベロップメントチーム ディレクター 瀬戸 貴充氏

インテリジェンスに総合職として新卒入社。アパレル・ファッション領域の人材紹介法人営業を3年半に渡って担当。同部署にて新卒採用向けサービスのアライアンスPJTへ参画。サービス初期の営業・企画を1年間担当。現在は、新規事業プログラムの企画・運営と、メンタリング、立ち上げ支援。MIT Technology & Innovation Bootcamp in JP修了生。

このビジネスプラン構築ワークショップの目的は、大きく「新規事業基本論点を理解する」「顧客軸でのビジネスプラン設計」「検証方法を理解する」。1日目は主に「新規事業基本論点を理解する」を中心に講義が行われた。

今回はオンライン開催のため、レクチャーを中心にビジネスプランを設計し、ネクストアクションを理解する内容にアレンジ。そのネクストアクションについては、また後日開催される予定だ。

Alt text

イントロダクション:起業家の発想や行動力は学んで得られるか?

冒頭、イントロダクションでは、瀬戸氏がMIT Technology & Innovation Bootcampに参加した際にも行われたという、次の問いが紹介された。

Q.起業家にふさわしい発想や行動力は学んで得られると思いますか?

この問いには、3つの神話がある。一つひとつ見ていこう。

 >神話 その1:創業はひとりでおこなうもの

答えは「×」。メンバーは多いほど成功確率が高まる。優秀な一人より、チームメンバーとタッグを組んだ方が事業の成功率はさらに高くなる。

 >神話 その2:起業家はみなカリスマ性を備えている

起業家というと、Googleのラリー・ペイジ、Appleのスティーブ・ジョブズ、Facebookのマーク・ザッカバーグ、Amazonのジェフ・ベゾスを思い浮かべ、カリスマ性は必要だと想いがちだが、答えは「×」。

「カリスマ性は短期的には役に立つが、長期的には役に立たない。カリスマ性より大事なのは、意思伝達・事業スピードに合わせた人材や、効果的なマーケティング」だと瀬戸氏は解説する。カリスマ性も大事だが、伴走するチームメンバーとコミュニケーションしながら事業を成長させることの方が重要なのだという。

 >神話 その3:起業家になれるかどうかは、生まれ持った素質である

これも答えは「×」。成功は遺伝子によって決まるという誤解があるが、そんな遺伝子は見つかっていない。優秀な人材を組織体として回し、事業を成功に導くスキルはあるが、それは学んで身につけることが可能だ。正解は「起業は、学習可能な行動とプロセスである」である。

なぜ、新規事業・起業に挑戦するのか?

瀬戸氏が投げかける次の問いは、「なぜ、新規事業・起業に挑戦するのか?」
ビジネスを始めたいと思う理由は、お金を稼ぎたい、社会貢献したいなど、人さまざまだ。その理由は大きく3つに分類できるという。

 1)アイデアがある(ex.世界を良くする素晴らしい方法を思いついた)
 2)技術がある(ex.常識を覆す技術を開発したから、社会に貢献したい)
 3)情熱がある(ex.社会に大きなインパクトを与えたい)

続いての問いは、「顧客の痛みを知らなければ起業できない?」
この問いに対して瀬戸氏が出した答えは「△」。顧客の問題は知っておくことも必要だが、そのまま全て信じる必要はなく、自分なりの価値観・アイデア・技術をもって解決策を考えることも必要なのだというのがその理由だ。

Alt text

個人ワーク:自分の関心・強みを書き出してみよう

今回個人ワークとして用意していた課題を紹介。後日自身で実施してみてほしいと伝えながら、その目的と概要を説明した。前述した「アイデアがある」「技術がある」「情熱がある」だけではなかなか広がらない。そこで、自分のベースとなる関心・強みをブレストのように書き出して整理することが、最初のステップとして非常に大切である。

ワークとしては、以下の表の項目に対して、内容を確認しながら書き出す。そして、この棚卸しを通じて考えてほしいのは以下の問いだという。

  • 自分の得意なことは?
  • 関心や興味があることは?
  • 長期間かけても取り組んでみたいか?

これらの答えとなるアイデアや技術が自分の中で明確であれば、ビジネスプランを構築していく上でとても役立つはずと、瀬戸氏は強調した。

Alt text

リーンスタートアップの概要

今回のワークショップのベースとして取り入れているリーンスタートアップについても、簡単に説明された。リーンスタートアップは、「顧客の欲しがらないものを作る」という最大の無駄を排除していく手法。トヨタ生産方式をもとに作られ、不確実性が低い無駄を極限まで排除していく考え方だ。これをアメリカでソフトウェア開発に応用し、リーンスタートアップという方法論が生まれた。

さらにリーンスタートアップのプロセス「課題を理解する(CPF)」「ソリューションを決める(PSF)」「製品を市場で評価する(PMF)」の考え方や進め方なども解説された。

Alt text

米調査会社CB Insights調べによれば、スタートアップが失敗した理由の1位は「市場に求められなかった(42%)」と半数近い。これは多くのスタートアップや新規事業が、課題の発見・検証を十分に行わないまま、プロダクトの開発を始めてしまうからだという。

イシュードリブンとは何か?

10分の休憩をはさみ、森谷氏によるイシュードリブンの講座が開始された。 「このワークショップのゴールは、リーンスタートアップの手法を軸に新規事業を作っていくときに、どういう考え方・プロセスで、何を重視して進んでいけばいいのか。そのイメージがついている状態」だと森谷氏は語る。

Alt text

特に重要なのは、課題を理解すること(CPF=Customer Problem Fit)。顧客を起点に考えていく新規事業では、イシュードリブンは顧客や課題に対する考え方をフレームワークとして身に付けることがコンセプトだ。

森谷氏は、課題意識の考え方として、階層化されているイメージを持ってほしいと視聴者に以下の図を示しながら呼びかける。

Alt text

コアとなるのは、個人の課題意識。何に困っているのか、お金を払ってでも解決したい課題は何かを見つけ、それを解決してお金をもらえるソリューションを提供すること。ここから入っていくことが大事だと森谷氏は強調する。

チームとしてアウトプットを出し、誰かの負を解決してお金をもらうということを、事業として継続していくためには、何か心の支えとなるものが必要だと自身の経験から語る。

それを見つけ出すために、この個人の課題意識、自分自身が体験したのか(1人称)、近しい誰かの体験なのか(2人称)、第三者の体験に共感して、奮い立つものを感じたのか(3人称)を入口として考えてほしいと伝えた。

さらに、課題の解像度が粗いときに行う「誰の」「どんな課題」「その課題の重み」「課題を抱えている規模」を明らかにする洗い出しフレームが説明された。

Alt text

課題からアイデア・ビジネスモデルを設計する

課題にもそれぞれレベルや重みがある。それはありたい姿(To Be)の重要性・緊急性に左右される。つまり、どうでもいいTo Beに対してはお金を払ってもらえるサービスにはならない。では、質の高い課題、課題の重み、お金を払ってもらえそうな課題を見つけるにはどうしたらいいのだろうか。

まずは、重みのあるTo Beを見つけること。そのためには「どうしてもやる必要と望みがある」「一人でコントロールし難い」「それを叶える手段がないか、あっても有効でない」。この3つ問いを投げかけて、自分が考えたサービスが、お金を払ってでも解決したいと思っている、もしくはできそうなのかを検証してみることが有効だという。

Alt text

顧客を再深掘りしてみよう

新規事業・サービスを作る上で、重要なのは顧客のペルソナを詳細に深堀りする必要がある。だが、その粒度が重要だ。絞り込みが甘いと、課題を不明確で事業計画も内容が薄いものになる。

逆にニッチすぎても、顧客が圧倒的に少数となり、収益性が厳しくなる。あえてそこに踏み込む覚悟と勝算が見込めるビジネスプランが求められる。

事例をもとに、コアターゲットを絞り込んだ規模感や定義の考え方なども解説。また、提供価値を決めるには、そのサービスが代替品で解決することができるか、課題からKeyBenefitを導き出す分析法なども紹介された。

ペルソナを作る際は、性別・年齢・居住地・職業…といった基本的な情報だけではなく、行動や趣味、悩みまで落とし込むことが重要。そのフレームワークと考え方も示された。

Alt text

リーンキャンバスの解説

アイデアを一枚のシートに書き込むことで、課題着想で重要な「誰の」「どんな課題」を明らかにするリーンキャンバス。それを解決できそうなソリューションをイメージし、それによって提供できる「独自の価値提案」が描くことができるメリットがある。

「課題」「ソリューション」「独自の価値提案」「顧客セグメント」を埋めるだけでも、かなりイメージできるという。実際にこの手法を用い、課題を解決したビジネスアイデアも紹介された。

Alt text

ソリューションとマネタイズの知識を増やそう

顧客と課題の解像度も上がり、いいアイデアの種を見つけられた。リーンキャンバスを書いてみたけど、ソリューションとマネタイズのイメージが沸かない…。森谷氏は「その原因はビジネス事例の知識が少ないから」だと指摘します。対策としては、ひたすらビジネスの事例をたくさん調べてみること。どのように情報を探していくか、そのコツとポイントが紹介された。

Alt text

まずは、海外のスタートアップの情報を大量にインプットすることが重要。THE BRIDGE、Crunchbase、G2 CROWD、Startup RANKINGなど、様々なWebサイトで最新情報を収集してみよう。

● キーワードを選ぶコツ

自分が選んだ課題のキーワードを抽出し、海外サービスをインターネットで検索することも有効だ。森谷氏はキーワードを選ぶコツとして、以下を挙げた。

  • 自分が捉えている“負”を言語化してみる
  • 検索結果を流し見し、検索に役立ちそうなキーワードを探す
  • CB insighsなど、マーケット会社がまとめる情報などを探す
  • 検索して気になるカテゴリのサービスを深堀りする
  • サービスの外観を捉える

スタートアップのデータベースである「crunchbase」で、サービスのサマリを探し概観を見たり、サービスサイトの紹介ページでどんな価値を提供しているのか読み取る。わかりやすいのはサービスの紹介動画を見ること。こうした積み重ねがビジネスモデルを考えるヒント・知識になる。

● 調べたサービスを整理しよう

集めた情報をもとに、気になったサービスの提供価値を「Befor・After」で書き出してみると、課題がどのように解決され、サービス化されたのかが見えてくる。

● 自社や時流に合わせてカスタマイズ

海外サービスでアイデアを見つけたら、それをカスタマイズする上で重要なポイントは、法的リスク、金銭的リスク、技術的リスク。そして、日本で実現したときに時流が合っているか・顧客ニーズがあるか・ケイパビリティを考えて調査することも重要。

クロージング&質疑応答

クロージングでは、森谷氏が1日目の講座のまとめとして、2つの問いを改めて再掲し、位以下のようにメッセージを送った。

● あなたはなぜ新規事業、起業、イノベーションに挑戦しますか?

「あなただからこその強みは何か?この問いは非常に重要なテーマであり、心の支えとなる。なぜ頑張っているのか、やり続けるのかは他者から与えられるものではない。この問いは常に見つめ直してほしい」

● あなたの考えた事業は誰のどのような困りごとを解決し、その人達は、どのように幸せになりますか?

「イシュードリブンも事業を続ける限り、ずっと重要な問いになる。常にサービスを改善し、新規顧客を獲得するためにも問い続けてほしい」

質疑応答は、「国内スタートアップで印象に残る失敗事例と、その考察が聞きたい」「 プロダクトを作るアプローチとソリューションを提供するアプローチで、留意すべきポイントの違いは何か?」などが寄せられ、オンラインを通じてではあるが、大変盛り上がった。



▶︎イベントレポートの後編は、こちら!→【後編】アイデア立案から2日間で作り込む!ビジネスプラン構築ワークショップ ~イシュードリブン・リーンキャンバス・顧客解像度UP~

▶︎仙台市主催のイベント
【2019年11月7日(土)~11月8日(日)】KotlinでWebアプリケーションを開発してみようハンズオン
【2019年12月7日(土)~12月8日(日)】SwiftでiPhoneアプリ作り体験!
【2020年1月18日(土)~1月19日(日)】アプリUIデザイン実践ハンズオン
【2020年2月7日(土)~2月8日(日)】デザインシンキング体験講座
【2020年2月29日(土)~3月1日(日)】ビジネスプラン構築ワークショップ

関連するイベント

おすすめのコラム

朝の15分でわかるAIニュース解説 「AIがコロナ危機を予測!!?」#1:ニュースの解説 の録画をお送りします!!

イベント

皆さんこんにちは!本日、”朝の15分でわかるAIニュース解説 「AIがコロナ危機を予測!!?」”第1回を配信させて頂きま...

朝の15分でわかるAIニュース解説 「AIがコロナ危機を予測!!?」#1:ニュースの解説 の録画をお送りします!!

【後編】アイデア立案から2日間で作り込む!ビジネスプラン構築ワークショップ ~イシュードリブン・リーンキャンバス・顧客解像度UP~

イベント

イントロダクション:CPF(Customer Problem Fit)の概要 一日目に続き、二日目は顧客解像度を上げるための考え方...

【後編】アイデア立案から2日間で作り込む!ビジネスプラン構築ワークショップ ~イシュードリブン・リーンキャンバス・顧客解像度UP~