「仙台X-TECHイノベーションアワード2023」12社のビジネスアイデアと審査結果を発表

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「仙台X-TECHイノベーションアワード2023」12社のビジネスアイデアと審査結果を発表
仙台市では、AIを利活用できる企業・人材が活躍し、新たなビジネスが持続的に生まれる「AI-Ready都市・仙台」の実現に向けて、経営層向けAIハンズオンセミナー、各種イベントやワークショップなど、AIを用いた課題解決やビジネスの高度化を支援する「仙台X-TECHイノベーションプロジェクト」を実施。「仙台X-TECHイノベーションアワード2023」では、東京大学大学院松尾豊教授、東北大学副学長青木孝文教授をはじめとした地域・日本を代表する産官学のリーダーを審査員に招き、書類選考を通過した12社・団体によるビジネスアイデアの発表と表彰が行われた。

仙台市がAIを活用したビジネスイノベーション創出と課題解決を支援

アワードは仙台市長・郡和子氏の「仙台X-TECHイノベーションアワード2023」開会の挨拶から始まった。

「仙台市では、仙台市経済成長戦略2023の重点プロジェクトの一つとして、今年度は企業が抱える課題解決や新たなビジネスを生み出すAI活用にチャレンジするワークショップ、有識者が伴走型で助言を行うメンタリングプログラム、検定取得に向けた人材育成プログラムを実施してきました。本年度の集大成として地域企業の皆様から発表される、AIを活用した課題解決やビジネスアイディアから、新たなイノベーションが生まれることを心から期待しています」(仙台市長・郡和子氏)

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仙台市経済局産業振興課長の荒木田理氏からは、今年度の取り組みについて語られた。

「仙台X-TECHイノベーションプロジェクト事業は、5年前から取り組みを開始しました。昨年度からは仙台経済同友会の皆様にご協力いただきながら、中小企業やスタートアップの経営層の方も参加できるプログラムに少しずつ進化させてきました。高校、高専そして大学など、AIを学ぶ若いポテンシャル人材と地元企業を繋ぐチャレンジも行い、AI-Ready都市・仙台の土壌づくりに挑んでいます」(荒木田理氏)

「AI-Ready都市」を目指す仙台・東北の学生たちの取り組みを紹介

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【基調講演】松尾豊教授が語る「ディープラーニング最新動向と仙台への期待」

基調講演を行ったのは、東京大学大学院工学系研究科 教授であり、一般社団法人日本ディープラーニング協会 理事長を務める松尾豊氏。人工知能、ウェブマイニング、ビッグデータ分析、ディープラーニングを専門分野とし、ソフトバンクグループ社外取締役、岸田内閣の「新しい資本主義実現会議」有識者構成員なども務めている。

松尾氏は、ディープラーニングの最新動向として「ChatGPT」の解説を中心に、ディープラーニングの技術進化から画像解析や自然言語処理などについて講演を行った。

また、デジタルスキルが向上すれば給与が向上する可能性があるにもかかわらず、個人が勉強をしない理由として、何を勉強すればいいのかがわからないからだという課題を提議。デジタル知識を得るための対策として、ITパスポート(IPA)やG検定(JDLA)、データサイエンティスト検定(データサイエンティスト協会)などの資格取得の推進やデジタルスキル標準の取りまとめ、デジタルリスキリングの奨励などを挙げた。

さらに、日本企業のDXが進んでおらず、デジタル競争力が低いことも指摘。企業の経営トップのデジタル理解やリーダーシップが十分でないという課題と、デジタル人材の育成に向けた個人のデジタルや組織変革(DX)経験を得る施策の重要性について語った。

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昨年度受賞企業・団体プレゼンテーション

昨年度の受賞企業・団体によるプレゼンテーションも行われた。最優秀賞を受賞した特定非営利活動法人アスヘノキボウ、優秀賞を受賞した株式会社SRA東北、今野印刷株式会社、医療法人社団やまとから、それぞれ受賞後の1年を通じて、仙台X-TECH推進事務局とともにどのように取り組み、進化しているのかについて語られた。

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【イベントレポート】AIで仙台に変革をもたらす企業が集結! 「仙台X-TECHイノベーションアワード2022」

仙台・東北発12社・団体による最終プレゼンテーション AIを利活用した既存事業の業務改善・効率化、新たな事業・サービス創出に向けたアイデアに取り組む、以下12企業・団体の最終プレゼンテーションが行われた。(登壇順)

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業務改善・効率化部門
  • 「未来が見えるインフラAI」 ウエノ設備株式会社
  • 「変えたい今と目的とありたい姿」 株式会社ユーメディア
  • 「経験と勘に基づいた極端に属人化した交配計画をデータをもとにAIで判断する。受精卵価値の最大化に貢献する」 株式会社ノースブル
  • 「仙台市全てのWebデザイナーをリレーションデザイナーへと導くAI」 アンデックス株式会社
新事業・サービス創出部門

  • 「産後うつ早期発見予防装置"iivé toilet" "iivé doll"」 株式会社キューテスト
  • 「自社評価と人材マッチングAI」 弘進ゴム株式会社
  • 「看板から始める景観の変革 美観を中心に豊かな街並みへ」 株式会社美装社
  • 「AIを活用した農業データソリューション」 輝翠TECH株式会社
  • 「ジーバーFOOD×AIの活用」 株式会社ユカリエ
  • 「SaaS時代の情報管理ならTaskly」 株式会社GROWTH JAPAN TECHNOLOGIES
  • 「自分の好きな声を手に入れる ー読唇による音声合成ー」 SSS合同会社
  • 「宮城県の特産品(セリ)IoT導入・拡大」 個人事業主(トミヤデザイン)

最優秀賞1社、優秀賞3社が表彰。審査員からの総括が語られる

上記12社・団体による最終発表後、「業務改善・効率化部門」の優秀賞1社、「新事業・サービス創出部門」の2社、最優秀賞1社が表彰された。

業務改善・効率化部門 優秀賞:株式会社ノースブル

「業務改善・効率化部門」優秀賞を受賞したのは、株式会社ノースブルの渡邊一星氏が発表した「経験と勘に基づいた極端に属人化した交配計画をデータをもとにAIで判断する。受精卵価値の最大化に貢献する」 。

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採卵記録や精液在庫、子牛の市場価格や受胎率などの必要データを収集し、AIを活用して判断することで交配の精度を上げ、市場の活性化・効率化を図るというアイデアである。

「今後の展望としてはAIをもとにアプリを開発、外販を目指しています。受精卵市場そのものの拡張に貢献するだけでなく、日本全国の情報を集約できるため、よりAIの精度を高められると考えています」(渡邊一星氏)

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左から、審査員の株式会社 オーツー・パートナーズ 代表取締役CEO 松本 晋一氏 と株式会社ノースブル 渡邊 一星氏

新事業・サービス創出部門 優秀賞:SSS合同会社 / 株式会社ユカリエ

「新事業・サービス創出部門」の優秀賞を受賞したのは、SSS合同会社「自分の好きな声を手に入れる ー読唇による音声合成ー」 、株式会社ユカリエ「ジーバーFOOD×AIの活用」の2社だ。

SSS合同会社CEOで、東北ずん子というキャラクターの運営者の一人である小田恭央氏がチャレンジしているのは、AIで自分の好きな声を作れる音声合成。すでにクラウドファンディングやSNS上でも話題となっており、機械学習などでより読唇の精度を向上させるべく、ディープラーニングのコンテストも開催していきたいという。

「音声誤り率が25%ぐらいまで来ているので、10%を切れたら実用化・マネタイズもできると考えています。興味がある方はぜひ、コンテストに参加してください」(小田氏)

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不動産事業を営む株式会社ユカリエの代表取締役 永野健太氏が発表したのは、ジーバーFOODという事業の事例とAIを活用したシニアのためのビジネスアイデアだ。2022年11月からスタートした「ジーバーFOOD」サービスは、約140社の企業・団体に手作りのお弁当を届けている。

この取り組みは地域全体が元気になるだけでなく、「じいちゃんばあちゃんたちの継続的なやりがいの創出に繋がっている」と永野氏は語る。

「今後のAI活用としては、シニアとのアナログなコミュニケーションの会話データを収集して、音声認識で本音を分析することで、新たな商品開発や不動産サービスの提供などに繋げていきたいと考えています」(永野氏)

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左から、審査員の一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事、デジタル庁 シニアエキスパート 関 治之氏、SSS合同会社 小田 恭央氏、株式会社ユカリエ 永野 健太氏、審査員の東北大学理事・副学長 青木 孝文氏

最優秀賞:輝翠TECH株式会社「AIを活用した農業データソリューション」

最優秀賞を受賞したのは、輝翠TECH株式会社「AIを活用した農業データソリューション」。東北大学発のアグロボットスタートアップである輝翠TECHは、AIロボット技術を活用して農家の農場管理を支援するサービスを提供している。

同社が開発した農業用自動運搬ロボットは、収穫物の運搬をロボットが代替することができる。また、ロボットに付いているカメラの画像認識で人を見分けて追従することや最適経路の判断も可能だ。

Chief Marketing Officerを務める早坂理希氏が発表したのは、データとAIを活用した農業の高付加価値化とコスト削減を実現するための農業データソリューション。画像・センサー・気象・衛星・ロボット稼働履歴のデータを活用し、作物管理から農園管理、流通業者・食品メーカー・農薬肥料メーカー・消費者にデータ共有することでマネタイズを図っていく。

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今後の開発ロードマップとして、画像認識AIを構造化させ、作物や樹木の個体識別によって大きさや色、形を判断して自動収穫したり、土壌診断などを行ったりすることを考えているという。早坂氏は、受賞の喜びを以下のように語っている。

「弊社代表が東北大学で学んでいたときから東北の自然が好きだったこともあり、自分の研究を活かして、農家の方々の作業負荷を少しでも軽減したいという思いから創業したスタートアップであり、私もそこに惹かれて参加しました。今後もデータを使った農業のイノベーションを東北発で行い、ニコーン企業となっていきたいと思います」(輝翠TECH 早坂理希氏)

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左から、審査員の東京大学大学院工学系研究科 教授、一般社団法人日本ディープラーニング協会 理事長 松尾豊氏、輝翠TECH 早坂理希氏

最後に審査員から講評コメントが語られたので、紹介したい。

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「誰かの力になることは生きる力だと思っています。共感は誰かのために一生懸命になっているときに生まれてくる。誰を幸せにするために自分はどんな苦労をしているのか、それが夢やロマンとして正しいのか。そういったことを問い続けながら頑張ってもらいたい。そこには、明るい未来があるんじゃないか思います」 (株式会社 オーツー・パートナーズ 代表取締役CEO、やまがたAI部運営コンソーシアム 会松本晋一氏)

「アイディアは自分で手を動かし、技術を使ってみて、その結果をもとにまた思いを新たに重ねていくことが大切だと思っています。その積み重ねが様々な人たちとの助け合い、地域を良くしていくことに繋がっていく。皆さんの新たな可能性を今後も楽しみにしています」 (一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事、デジタル庁 シニアエキスパート関治之氏)

「今回は社会課題に対するテーマが多かったなかで、SSSの音声合成や読唇のように、実現したいという熱意からAIプロダクトを生み出すという取り組みは、面白かったですね。ソーシャルイノベーションにも繋がるテーマだと思うので、今後も頑張ってください」 (東北大学理事・副学長 青木 孝文氏)

「今回発表されたアイディアはどれもレベルが高く、発表も素晴らしかった。ただ、実際にAIを使ったり、データを取ったりといった取り組みが少なかったので、ぜひ今後はより実践に繋げていってほしいと思います」 (東京大学大学院工学系研究科 教授、一般社団法人日本ディープラーニング協会 理事長 松尾豊氏)

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受賞作品以外も素晴らしいアイデアが発表された「仙台X-TECHイノベーションアワード2023」。今後も仙台X-TECH推進事務局をはじめ、産官学をまたいだディスカッションやブラッシュアップによって、AI・データ活用の取り組みが、仙台・東北の地域発展に広がっていくことを期待したい。

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