【レポート】加速する動画ビジネス最新事例:急成長する動画市場[第1部] - TECH PLAY Conference 2017

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Candeeのデジタル動画分析について

2人目の登壇はCandeeの大川さんです。

大川秀平(おおかわ・しゅうへい)/株式会社Candee 執行役員Planning & Sales。1986年生まれ。早稲田大学卒。株式会社リンクアンドモチベーション、株式会社フロムスクラッチなどでの勤務を経て、2016年1月からCandeeに参画。FC東京ファン。

2015年に設立されたCandeeは、「タレントマネジメント事業」「メディア事業」「広告事業」の3つ事業で動画ビジネスを推進しています。これまでの制作実績は、LIVE番組9,800本、ネット動画1,300本以上。社員数は77名ほどで活動しています。

事業開始以来、「LINE LIVE」の制作を行ったり、Jリーグの「Facebook LIVE」の制作を手掛けたりと順調に成長してきたCandeeは、昨年末には10億円の資金調達に成功。その後、toC向け映像配信プラットフォームを得意とするアポロプロダクションを完全子会社化し、現在では映像の制作から配信までワンストップに提供しています。

現在のインターネット広告市場において、動画は大きなトレンドになっています。2016年の動画広告市場は前年比157.3%増加し、842億円の規模にまで成長。2020年には、2,918億円規模にまで拡大すると予測されています。

多くの企業や人が動画に注目していますが、同時に動画広告の運用に関する疑問が顕在化しています。そこで、Candeeが取り組んでいるのがデジタル動画分析です。

分析の内容は、例えば世界で一番再生されている動画はなにか、日本発の動画では何が多く再生されているのかといった基礎的なものから、動画の再生回数のうち広告経由での視聴はどのくらいあるのかまで分析します。

大川さんは分析した事例を紹介。「日本国内の企業CM動画でもっとも再生されたのは、ネスレ公式チャンネルの『感動系のCM動画』でした。その再生数は377万にものぼります。しかし、このうちオーガニックでの再生はわずか1%。99%が広告経由での再生なのです。さらに、デイリーの視聴者数を分析してみると、12月15日から年末にかけて視聴数が急増しています。ここから、年末の帰省のタイミングを狙っているのだと読み取ることが可能できるんです。」

また大川さんは「バズった動画を分析してみると、オーガニックが20%程度のものが多い」と指摘します。広告費をかけて動画が認知された後に、視聴者が口コミで広めていくわけです。こうした知見から、Candeeでは10万再生以上で、かつオーガニック経由の再生割合が20%以上の動画を「バズった動画」と定義しています。

続いて大川さんは、動画マーケティングを実施している企業を業界軸で分析した事例を共有します。

「動画広告に一番投資している業界は、スマホゲームです。スマホゲームの動画広告は、ある調査期間中に3億400万の総視聴回数がありました。このうち2億4300万回は広告による視聴です。総視聴数においても、広告視聴数においても『Mobile Strike』と『モンスターストライク』の2アプリで4分の3ほども占めていることがわかります」

Candeeでは、広告予算額にまで踏み込んだ分析を行います。view単価を10円/1viewと仮定すれば、「Mobile Strike」は総視聴回数と広告視聴回数の割合から10億円もの予算をつぎ込んでいると推測することができるのです。

さらに、この予算をユーザーのシェア数で割ると、1シェアを獲得するのにどのくらいのコストをかけているのかがわかります。圧倒的に効率がいいのは「Nintendo Mobile」でした。わずか3円で1シェア視聴を獲得していると推測されます。反対に「Mobile Strike」は1シェア視聴を獲得するのに9,537円もコストがかかっていることが判明。

大川さんは「その他にもコンシューマーゲーム業界では任天堂が、飲料業界ではサントリーが効率的にシェア視聴を獲得している」と紹介しました。

さらに、Candeeでは自分たちがバズる動画を制作するためにも、このようなデジタル動画分析を行っています。

まず、オーガニックが20%以上あり10万回以上再生されている「バズった動画」と、広告が98%以上あって10万回以上再生されている「バズっていない動画」を無作為に抽出。そして、カット数に着目して分析を行います。その結果、「バズった動画」は60秒当たり平均24〜25カット、「バズっていない動画」は60秒当たり平均31〜32カットあることが明らかになりました。

最後に大川さんは「Candeeは楽しそうな事業をやっているように見えるかもしれません。でも、実は裏側ではこのような相関関係を調べたりしながら、データに基づいてPDCAをまわしながらクリエイティブを作っているんです。本日はその点が伝わればうれしいです」と講演をまとめました。

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インタラクティブCM 最前線の成功モデル

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