【アイデアソン】パーソナルデータから生まれる新しいビジネス

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【アイデアソン】パーソナルデータから生まれる新しいビジネス

行動や購買など、個人に関連するデータである「パーソナルデータ」。現在、様々な場面でこれらパーソナルデータを活用したサービスが提供されています。パーソナルデータを提供することで、私たちは個人個人に合った役に立つサービスが利用できる一方、個人が特定され個人情報が流出するなどのリスクもあります。本セミナーでは、このパーソナルデータを活用して、どのようなサービスを作り出すことができるか、“食”をテーマに参加いただいた皆さまと考えてみました。

【講演】サービスデザイン:デジタルとフィジカルの融合

まずは東京工科大学大学院の澤谷教授による講演です。
講演資料

パーソナルデータの価値とは?

前半では、パーソナルデータに関する最新動向の紹介がありました。
来年5月から、EUではGDPR(General Data Protection Regulation)という、一般データの保護規則が施行されます。このGDPRが施行されると、今は2ドルと安価に設定されている顧客データ紛失の罰金が600倍の1200ドルになることもあるとのことです。
また、イギリスのあるカフェではこんな実験が行われました。このカフェのFacebookページに「いいね」をするとドリンクとベーグルが無料になるというキャンペーンを実施。「いいね」を押したユーザーが来店すると、オーダーを受けドリンクを準備している間にFacebookを通して特定された個人情報がコーヒーカップに記載されるのです。どのユーザーも「なぜそんなことを知っているの?」と戸惑っていました。あなたの些細な行動から、自身の個人情報がこんなに簡単に第三者に開示されるのです。
データ共有にはメリットもありますがリスクもあります。データを共有する際の判断基準は、それによって得られる価値がリスクを上回ると判断できるときでしょう。
How private is your personal information?(動画)

“食”をとりまくプロセスをサービス化する

“食”にまつわる、食べ物を選び、買い、作り、食べ、片付けるというようなプロセスを誰かにやってもらうには、データの共有が必要になります。データを共有することで、プロセスがルーティン化(自動化)されたり、アドホックな支援が提供されたり、といったサービスが実現します。共有されたデータの活用により、プロセスとプロセスの接点などに新しいサービスが出てくるかもしれません。
講演の最後には、この後に行われるアイデアソンで新しいサービスを検討する参加者に向けて、澤谷教授より「誰のために、どんなサービスを提供するか?そのためにはどのようなデータが必要か?というように、人間中心にアイディアを考えた方がいいのでは」とアドバイスがありました。 Alt text

【アイデアソン】

続いて、参加者が5つのグループに分かれ、パーソナルデータを活用した“食”にまつわる新しいサービスを検討するアイデアソンが行われました。

ユーザー視点から見た“食”のサービスと利用データ

グループワークの前半では、生活者の視点で、どのようなサービスがあり、使われているデータと自分が使ってもいいと思うデータを振り返り、グループごとに共有しました。皆が知っているサービスやよく使うサービスとしては、「ぐるなび」や「食べログ」などのレストラン検索や、レシピ検索・投稿の「クックパッド」、買い物代行サービスである「オネストビー」、フードデリバリーの「foodpand」 などの最新サービスなどがあげられました。提供データとしては、匿名化されていれば家族構成や食の好みなどのデータが使われてもいいという声があった一方で、位置情報・体重・年齢などのデータを取られるのは抵抗感があるという話がありました。 Alt text

プロバイダー視点で考えた、新しい“食”のサービス

グループワーク後半では、グループごとに新しい“食”のサービスの検討を行いました。
グループAは、食事の履歴、好みや体重などのデータをもとに食事メニューをレコメンドするサービス「らくらくごはん」。ターゲットは一人暮らしのお年寄りで、血圧・脈拍などの情報をウェアラブル端末から取得し、その日の調子に合わせて食事メニューを提示するといった、体調管理を支援するサービスを考案しました。
グループBもサービス内容はグループAと近く、未来の食べ物をレコメンドしてくれるサービスで、AIスピーカなどを利用して、食べた時の笑い声などを自動収集し、レコメンドに反映するサービスを検討しました。
グループCは、食材を残すことがないよう、余った食材での料理を推薦する「食べきるレシピ」。このサービスを活用することで、ユーザーは自分の好みの味付けを楽しみながら食材の最適化をすることができるとのことです。
グループDは、自炊をしたいが手間がかかる・食費を抑えたいと思っている人向けに、住んでいる地域でコストを安く抑えるレシピを推薦してくれる「自炊の相棒」。食材を多めに買ってシェアをする支援をしてもいいのではというコメントが出ました。
グループEは、Instagramなどで食べてみたい写真をピックアップしておくと1週間分の献立を考えてくれる「献立のレコメンデーション」。このグループは男性が参加していたのですが、土日はパパが作る日などの情報を入れておくと、パパに適切なレシピをおすすめし、パパの人気 向上につながるという、男性ならではの視点が入っていました。

まとめ

全体を通して印象に残ったのが、全て自炊を支援するサービスであったこと。自炊をしていたり、興味がある方が多いのだなと思いました。
また、多くのグループが苦戦していたのは、サービスをビジネスとして成立させることでした。サービスに価値があると考えればユーザーはデータを共有するということは想定できても、さらに対価を支払う価値のあるサービスであるかは、いずれのチームも頭を悩ませた点でした。マネタイズ方法に関してはユーザーへの課金ではなく、他の事業によるスポンサーを検討するグループがほとんどでした。
1時間という短い時間でのアイデアソンでしたが、自分たちの役に立ちそうなサービスを和気あいあいとディスカッションしながら、パーソナルデータを活用したサービスを考えることができました。

データサイエンティスト女子部では、今後も皆さんが興味のあるテーマでセミナーを開催していきます。データサイエンティストではない方も大勢いらしていますので、興味がある方はぜひ遊びにいらしてください。

見上紗和子(NEC)

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