【レポート】巨大なレガシーシステムを時代の潮流に乗せる方法 - Accenture流 最新Fintech事例 -

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【レポート】巨大なレガシーシステムを時代の潮流に乗せる方法 - Accenture流 最新Fintech事例 -

2018年3月26日(月)19時30分より、「【Accenture流 最新Fintech事例】巨大なレガシーシステムを時代の潮流に乗せる方法」が開催されました。 

「レガシーなシステムにおけるFinTech事例」をテーマにアクセンチュアが主催する本イベントには、定員を大きく上回る申込みが殺到。当日は当選した約70名が参加しました。

登壇者と講演のテーマは下記の通りです。

「Business Agilityを実現するレガシーモダナイゼーション」
アクセンチュア株式会社 杉山泰之さん

「Journey To Cloudで実現する次世代IT」
アクセンチュア株式会社 伊藤欣也さん

「先端テクノロジーによる金融ITアーキテクチャ」
アクセンチュア株式会社 鈴木章太郎さん

それでは内容を紹介します!

Business Agilityを実現するレガシーモダナイゼーション

まずは杉山さんの登壇です。杉山さんはホストを中心にモダナイゼーションについて共有します。

杉山泰之(すぎやま・やすゆき)/アクセンチュア株式会社 金融サービス本部 テクノロジーコンサルティンググループ シニア・マネジャー。大学卒業後、エンジニアとしてのキャリアをスタート。SIのPMなどの経験を経て、2000年にアクセンチュアへ入社。

はじめに杉山さんはホストにまつわるマーケットの動向を次のように紹介します。

  • ホスト出荷
    10年前と比べて約10分の1に縮小

  • ホストベンダーの大手4社
    デジタルの提供に注力するようにシフトしている

  • ブログラミング言語
    「Java」へのニーズが強く、「COBOL」「アセンブラ」の求人は低調

  • 生産性
    ホスト環境と比べて、オープン環境での開発効率は約30〜50%高い。また、ホスト環境で生産性向上のイノベーションも起こっていない

「多くの方がご存知のように、近年のトレンドとして、金融機関においてもホストに依存しない方向性が明確になっています。ベンダーもホストではなく、サービスに力を入れていますし、開発者数・案件数も大きくオープン化に向いているわけですね」(杉山さん)

それでは、モダナイゼーションには何が期待されているのでしょうか? 杉山さんはその要件として次の4つを挙げます。

  • コスト削減
    高額なメインフレームの保守費をどうにか削減したい

  • ビジネスの高速化
    市場の動向に合わせて、例えば半年くらいのスピードで金融商品を販売したいというニーズへ対応したい

  • 運用上のリスク低減
    「COBOL」の技術者の平均年齢はおよそ48歳と高齢化しているため、業務継続リスクを低減したい

  • ビジネスへの貢献度向上
    タブレット端末を使ってセールスに貢献したい、請求関連のバックオフィス業務をペーパレス化したなどのニーズに、ホストの制約の問題で応えられなかった問題を解決したい

さらに杉山さんは、モダナイゼーションの手法を4つ紹介します。

  • リビルド(作り直す)
    既存のロジックやデータは活かすものの、新たな要件を加えて作り直す方法

  • リユース(再利用する)
    ロジックとデータを再利用して、UIや業務をニーズに合わせて再構築する方法、業務統合した金融機関で採用されることが多い

  • リライト(書き換える)
    「COBOL」等で書かれた既存アプリを、「Java」等のオープン言語に書き換える手法。コスト削減が目的。

  • リプラットフォーム(乗せ換える)
    既存アプリに極力手を加えずに、別のプラットフォームへ移行する手法。コスト削減が目的。

「モダナイゼーションには大きく4つのタイプがあります。どの手法を選択すべきなのでしょうか?

お客様のニーズには『高速開発』『業務統合』『システム改修』『ペーパレス化』などが挙げられます。こうしたお客様のニーズに応えるために『リビルド』を検討するケースが多くあります。既存のシステムを全てキレイにしたいと考えるわけです。

その気持ちはよくわかるのですが、現実問題として様々な要望を実現するときに『リユース』『リライト』『リプラットフォーム』のいずれか、あるいはその組み合わせで解消できるようになっていますね。

私はいくつかのプロジェクトを推進したのですが、一般的なSIとは別にモダナイゼーションに固有の難所があると感じています。モダナイゼーションは、現在のシステム構造を新しく作り変えるということです。

しかし、それが非常に伝わりにくく過度な期待値を持たれることがよくあります。既存のシステムがわからないものですから、調査をすると規模感を見誤ってたりすることもありますね。通常のシステム開発を想定していると、つまってしまったりするんです。

また、既存のシステムに『後から見た人がわかりにくいソースコード』が使われていることもよくあります。そのソースコードを解析するためにはしっかりした技術は必要ですね。さらに協力体制が欠如することもありがちです。『計画』『技術』『人』の3点において、モダナイゼーション特有の難所があると考えています。

私たちのお客様ではありませんが、京都市のモダナイゼーションでは、進捗が遅延し、訴訟になったニュースが話題になりました」(杉山さん)

最後に杉山さんは「計画策定に最低でも3ヶ月は時間を確保すべきだ」とモダナイゼーションを推進するポイントを共有して、講演を終了しました。

Journey To Cloudで実現する次世代IT

続いて2人目は伊藤さんの登壇です。

伊藤欣也(いとう・きんや)/アクセンチュア株式会社 金融サービス本部 テクノロジーコンサルティンググループ シニア・マネジャー。日本IBMでの勤務を経て、2017年にアクセンチュアへ入社。

伊藤さんはまず金融業界を取り巻く課題の認識について話します。

「国内の金融業界には課題が山積しており、『待ったなし』の状態だとアクセンチュアは認識しています。

まず、社外環境としては生産年齢人口の減少が挙げられます。収益環境の悪化につながるマイナス金利、FinTechに代表される異業種からの参入も大きな課題です。さらに、社内環境としては経営の効率化、レガシー資産の大量保有、システムの柔軟性の欠如などの課題があります。

ご存知の通り、ITの技術はこの数年の間に劇的に進展しており、生産性の向上に大きく寄与しています。アプリケーションの領域では、パッケージ開発・SOA・マイクロサービス化、インフラ基盤ではクラウド・イミュータブルインフラ、開発プロセスではアジャイル・スクラム・テスト駆動などがトレンドになっています。

保守的な金融業界でもニュースがいくつか出ていますね。三菱UFJ銀行の『AWS』への移行、『Azure』上で稼働する勘定系システム基盤『BankVision』の地方銀行10行での採用などが注目されています。このように金融業界でもクラウドの活用は重要な戦略のひとつになっているのです」(伊藤さん)

では、このようなクラウド化にはどのような効果があるのでしょうか? 伊藤さんは「ビジネス」と「IT」の観点から説明します。

・ビジネスの視点

「これまではパブリッククラウド化、インフラの高度化・最適化などコスト削減をメリットとして投資が行われてきました。しかし昨今では、APIを使ってシステム連携をして新しいITサービスを開発したり、デジタルトランスフォーメーションによって新しい顧客体験を創造したりするなど『攻めの投資』をするために不可欠な基盤になってきています」(伊藤さん)

・ITの視点

「ITの視点から捉えると、クラウド化にはインフラ基盤の構築運営に関して主に5つのメリットがあります。早期にビジネスを立ち上げることができる俊敏性、使った分だけの料金を支払う従量課金制、小さく始めていつでも撤退が可能であるという点、運用負荷の軽減、EOSの概念からの解放の5つですね」(伊藤さん)

続いて伊藤さんは、アクセンチュアが考えるクラウド化のロードマップを紹介します。そのステップは大きく3つ。

1. 会社・事業単位のクラウド化の戦略と移行計画策定
クラウド戦略、アプリ移行アセスメント・移行計画、インフラ移行アセスメント・移行計画の策定

2. クラウド化対象のIT資産のクラウド移行実施
クラウド移行管理、DevOpsサービス、クラウド移行サービス、アプリケーション・モダナイゼーション、クラウドネイティブアプリ開発の実施

3. クラウド化実施後の運用、継続的改善
クラウド運用、クラウドセキュリティ、クラウド最適化、アプリケーションマネジメント、BPOの実施

伊藤さん金融業界のお客様に実際にロードマップを策定した事例を紹介します。

「このお客様においても、やはり3つのステップでクラウド化を進めていくロードマップを作りました。まず、最初のステップではIaaSへのリフト&シフトでコスト削減のメリットを早期に享受できるようにするのがポイントですね。

次のステップでは、クラウドの環境に慣れていただき、PaaSを使ったマイクロサービス化、コンテナ化でクラウドのメリットを最大化していきます。

最後のステップとして、私たちはアジャイル開発に向けたIT組織や体制再編の支援までするという流れになっています」(伊藤さん)

最後に伊藤さんは、クラウド時代に求められるIT人材像について考察します。

「『所有』から『利用』へのパラダイムシフトが起こっているクラウド時代では、ミドルウェアからネットワークまでの調達・構築・運用に掛かる負荷や、学習コストが大きく低下しています。それによりIT人材は定常的な業務から解放されているわけですね。

そしてその結果、経営視点で付加価値の高いITの利活用を提言したり、IT活用によるビジネスの効率化を遂行することが必要になっています。そこで3つのスキルが求められると私たちは考えています。

まず、最適なクラウドサービスを組み合わせてビジネス戦略を実現するスキル、次に仮想化・分散処理などクラウド基盤構築・運営に関するスキル、そしてクラウド上でアプリを開発するスキルです。つまり、従来までの『ITの導入と維持管理』ではなく、『ビジネスの成長への貢献』ができる人材が必要なのです。

現在、クラウド事業者、システムインテグレーター、そして私たちのようなコンサルティングファームは、こういった人材の獲得合戦を繰り広げています。是非、みなさんの今後のキャリアの参考にしていただければと思います」(伊藤さん)

先端テクノロジーによる金融ITアーキテクチャ

最後は鈴木さんの登壇です。

鈴木章太郎(すずき・しょうたろう)アクセンチュア株式会社 金融サービス本部 テクノロジーコンサルティンググループ シニア・マネジャー。マイクロソフト、Dellなどでの勤務を経て、アクセンチュアへ入社。

はじめに鈴木さんは「Accenture Connected Technology Solution(以下、ACTS)」という開発のフレームワークを紹介します。デジタル・エコシステムのアジャイルな構築に必要なすべてのベース機能と開発機能を備えたソリューションである『ACTS』の特徴は次の4点。

  • 顧客パーソナライズ
    モバイル端末を含めて、1人ひとりにパーソナライズが可能。

  • APIによる拡張性
    外部システムとのAPI連携による拡張に対応。

  • ビッグデータ分析
    様々なデータを集約し、多くの場面にフィードバックできる基盤を提供。

  • アジャイル開発
    全体をアジャイル、DevOpsで回し、運用できる仕組み。

鈴木さんはこの「ACTS」を活用して開発した2つの事例を紹介します。

「まずひとつめは、ふくおかフィナンシャルグループが中心となって実現した『Everyday Bank』というアプリです。このアプリはオンラインバンキングではありません。

例えば、家計簿を入口とするのですが、裏側では福岡銀行の口座と連携しています。このプロジェクトにおけるふくおかフィナンシャルグループの目的は、顧客と多くの接点を持つことです。ですから、『福岡銀行』の名前は一切ない登場しないんです。それはおもしろい点だと思います。

もうひとつは第一生命さんの事例です。保険業界はこれまで加入時と支払い時のみにしか顧客とのタッチポイントがないという課題を抱えていました。そこで、様々なパートナーと連携して『健康増進』をテーマにしたアプリを開発しました。

このアプリでも『ACTS』のパーソナライズ機能を活かしたプッシュ通知、API連携による拡張、ユーザーの行動ログを分析したマーケティング施策などを実施しています。

この事例では、エンタープライズで、マルチベンダーで、さらにアジャイルであるという3点がマネージメントにおけるポイントでした」(鈴木さん)

鈴木さんは続けて「ACTS」上で構築されたAIチャットボットを活用した「Butler」のデモを披露し、その後どのようにDevOpsを進めるべきなのかを説明します。

「当然のことながら、DevOpsとは『Jenkins』や『Gradle』などのツールを導入することではありません。ただ、自分の手を動かしてツールの使い方を覚えることは必須です。

大切なことは、協調と改善がサイクルとして上手く回る状態を作り出すことにあります。アクセンチュアでは、DevOpsのためのプラットフォームを『GitHub』に公開しているので、是非試してみてほしいと思います」(鈴木さん)

最後に鈴木さんは、自動UIテストのデモ、拡張現実を利用したマーケット情報ソリューションを紹介して講演を終了しました。

※ もう少し詳しく知りたい方はこちらのブログをご参照下さい。XR についても順次取り上げます。
 https://www.accenture.com/jp-ja/blogs/cloud-blog-japan-acts

懇親会!

約90分の講演終了後は、懇親会が開催されました。技術やキャリアをテーマに参加者同士や登壇者と交流を繰り広げていました。

またの参加をお待ちしています!

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