第27回 WBA勉強会

2019/07/19(金)18:00 〜 20:20 開催
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イベント内容

第27回 全脳アーキテクチャ勉強会

テーマ:確率的グラフィカルモデルと脳

開催趣旨:脳は確率推論をする情報処理装置であり、予測符号化モデルのように一種の確率的グラフィカルモデルを用いた大脳皮質の計算論的モデルがいくつも提案されてきている。また、汎用人工知能の実現に向けた重要な課題の1つに確率推論と記号推論の統合があるが、確率的グラフィカルモデルはそのカギになり得る技術でもある。今回の勉強会ではボルツマンマシンやベイジアンネットの専門家をお呼びして、確率的グラフィカルモデルの高機能化・大規模化につながる様々な技術について理解を深めるとともに、今後解決すべき課題について議論する。

勉強会開催詳細

  • 日 時:2019年7月19日(金) 18:00~20:20
  • 会 場:東京大学医学部教育研究棟14階 鉄門記念講堂 東京都文京区本郷 7-3-1(医学部教育研究棟 / 交通案内
  • 定 員:200名
  • 主 催:NPO法人 全脳アーキテクチャ・イニシアティブ
  • 協 賛:文部科学省新学術領域「脳情報動態」

参加枠について

無料の参加枠:

抽選になります。募集締切になりましたら Connpass よりメールでの通知があります。 もし抽選に漏れた場合でも、キャンセルによる繰り上げで参加できる場合があります。 一般枠は応募多数になることが予想されます。確実に参加されたい場合は、有料枠や運営ボランティアによる参加を推奨します。 運営ボランティアになりますと、勉強会の記録用動画も見られますのでオススメです。

ボランティアの詳細情報、お申込みはこちら

講師謝金枠:

先着順のため、枠に空きがある場合はお申し込み頂いた時点で参加が確定します。また、前方に講師謝金枠の席をご用意致します。 お支払い頂いた謝礼は、今回の講師謝礼金に充当させて頂きます。

懇親会枠:

こちらは、勉強会と懇親会(情報交換会)の双方に参加できる枠です。 先着順のため、枠に空きがある場合はお申し込み頂いた時点で参加が確定します。 懇親会は登壇者の参加率が高く、多くの参加者が直接意見交換されています。 また「興味はあるけど解らないことばかり」といった方も歓迎です。

講演スケジュール

時間 内容 講演者
17:30 開場
18:00 開会の挨拶 尾藤 晴彦(東京大学)
18:02 会場説明 一杉 裕志(産業技術総合研究所 人工知能研究センター)
18:10 開催趣旨説明:大規模グラフィカルモデルのブレークスルーを目指す 一杉 裕志(産業技術総合研究所 人工知能研究センター)
18:25 動的ボルツマンマシンとPommerman 恐神 貴行(IBM 東京基礎研究所)
19:05 休憩(10分)
19:15 確率的グラフィカルモデルと離散構造処理 石畠 正和(NTT コミュニケーション科学基礎研究所)
19:55 ディスカッション
20:15 Closing Remark 山川 宏(全脳アーキテクチャ・イニシアティブ)
20:20 終了
20:40 懇親会 棲鳳閣

動的ボルツマンマシンとPommerman

講演者:恐神 貴行(IBM 東京基礎研究所)

概要:ボルツマンマシン等の従来の人工ニューラルネットワークはヘブ則に基づいて学習するが、近年の生物実験においてはヘブ則をより精緻にするスパイク時間依存可塑性(STDP)が神経細胞の学習則として確認されている。本講演では、STDPに対する理論的な基礎付けを与えるために、各時点に対応する層をもつボルツマンマシンを考え、層数無限の極限として動的ボルツマンマシンを導出する。特に、所与の時系列データの尤度最大化という目的関数から導出される動的ボルツマンマシンの学習則が、STDPの特徴を有することを示す。また、NeurIPS 2018 Pommermanコンペティションで1位と3位に入賞したエージェントに使われた、悲観的シナリオに基づくリアルタイム木探索技術についても紹介する。

確率的グラフィカルモデルと離散構造処理

講演者:石畠 正和(NTT コミュニケーション科学基礎研究所)

概要:人工知能・機械学習において、興味のある対象はしばしば確率モデルとして記述される。確率的グラフィカルモデルとは、確率モデルをグラフ構造により表現する手法であり、グラフの特性を生かした効率的な推論・学習アルゴリズムを提供するだけでなく、対象の確率モデルの直感的な理解にも貢献する。確率的グラフィカルモデルの1つであるBayesian Network (BN)は、同時分布を有向非巡回グラフにより表現する。このBN上の確率計算・学習には、一般には指数的な計算が必要である。本講演では、これらのBN上の指数的な計算が離散構造処理技術を用いることで、経験的に効率的に行えることを紹介する。

運営スタッフ

  • プログラム委員長:一杉 裕志
  • 実行委員長:藤井 烈尚
  • 司会:一杉 裕志
  • 懇親会幹事:生島 高裕
  • 当日会場準備:長田 恭治、横田 浩紀
  • 写真撮影:門前 一馬
  • 動画撮影:門前 一馬
  • connpass:藤井 烈尚
  • SNS告知:荒川 直哉
  • 会場マイク担当等:横田 浩紀
  • 備品:荒川 直哉

全脳アーキテクチャ勉強会オーガナイザー

◎ 産業技術総合研究所 人工知能研究センター 一杉裕志

1990年東京工業大学大学院情報科学専攻修士課程修了。1993年東京大学大学院情報科学専攻博士課程修了。博士(理学)。同年電子技術総合研究所(2001年より産業技術総合研究所)入所。プログラミング言語、ソフトウエア工学の研究に従事。2005年より計算論的神経科学の研究に従事。

「全脳アーキテクチャ解明に向けて」

◎ 全脳アーキテクチャ・イニシアティブ 山川宏

1987年3月東京理科大学理学部卒業。1992年東京大学で神経回路による強化学習モデル研究で工学博士取得。同年(株)富士通研究所入社後、概念学習、認知アーキテクチャ、教育ゲーム、将棋プロジェクト等の研究に従事。フレーム問題(人工知能分野では最大の基本問題)を脳の計算機能を参考とした機械学習により解決することを目指している。

◎ 東京大学 教授 松尾豊

1997年東京大学工学部卒業。2002年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。産総研、スタンフォード大学等を経て、2007年から東京大学勤務。深層学習を中心とする人工知能の研究に従事。産学連携やスタートアップの育成などにも取り組む。

http://ymatsuo.com/japanese/

全脳アーキテクチャ・イニシアティブ創設賛助会員

株式会社ドワンゴトヨタ自動車株式会社パナソニック株式会社株式会社IPパートナーズ株式会社東芝

全脳アーキテクチャ・イニシアティブでは、賛助会員を募集しております。賛助会員に登録いただきますと、当サイトに貴団体ロゴとホームページへのリンク掲載や、各種イベントの優先参加など、さまざまな特典がございます。詳しくは、こちらをご覧ください。

これまでに開催された勉強会の内容

第26回 全脳アーキテクチャ勉強会 テーマ:自由エネルギー原理

  • 正解のない問題の解決: 実用的知能と行動選択の心理学 | 熊田 孝恒(京都大学)
  • 感情と感情障害のしくみ -自由エネルギー原理の観点からとらえ直す- | 乾 敏郎(追手門学院大学)

第25回 全脳アーキテクチャ勉強会 テーマ:計算論的精神医学

  • エンジニアのための計算論的精神医学 | 浅川 伸一(東京女子大学)
  • 計算論的精神医学:脳の計算理論に基づく精神障害の病態理解 | 山下 祐一(国立精神・神経医療研究センター)

第24回 全脳アーキテクチャ勉強会

  • トップダウン制約からの強化学習と社会学習 | 高橋 達二(東京電機大学)
  • 仮説生成に向けた等価性構造抽出 | 佐藤 聖也(東京電機大学)
  • 現代人工知能によって何が変わるのだろうか | 前田 英作(東京電機大学)
  • アブダクションは具体的に研究しうる〜遮蔽補完の計算論〜 | 坂本 一寛(東北医科薬科大学)

第23回 全脳アーキテクチャ勉強会&第4回WBAハッカソン説明会 テーマ:脳における強化学習

  • 強化学習 もう一つの源流:分類子システム | 荒井 幸代(千葉大学)
  • 脳における強化学習| 太田宏之先生(防衛医大)

第22回 全脳アーキテクチャ勉強会 テーマ:自律性と汎用性

  • 創発インタラクションの意義:機能分化に対する変分原理と数理モデル | 津田 一郎(中部大学創発学術院)
  • デザインされた行動から自律発達的な行動へ:インテリジェンスダイナミクスに関して | 藤田 雅博(ソニー株式会社)
  • 勉強会概要と発表資料

第21回 全脳アーキテクチャ勉強会 テーマ:「推論」

  • 【脳科学】前頭葉での推論 | 坂上雅道(玉川大学)
  • 【認知科学】人の推論過程 | 服部雅史(立命館大)
  • 【人工知能】ベイジアンネット | 植野真臣(電気通信大学)
  • 勉強会概要と発表資料

第20回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 海馬における文脈表現

第19回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 脳・人工知能とアナログ計算・量子計算

第18回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 全脳規模計算

第17回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 失語症と発達性ディスレクシア ~

  • 失語症と発達性ディスレクシア
  • 脳内神経繊維連絡と失語症
  • 発達性ディスレクシア - 生物学的原因から対応まで

第16回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 人工知能は意味をどう獲得するのか ~

  • ヒト大脳皮質における意味情報表現
  • 画像キャプションの自動生成

第15回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 知能における進化・発達・学習 ~

第14回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 深層学習を越える新皮質計算モデル ~

  • 大脳新皮質のマスターアルゴリズムの候補としての Hierarchical Temporal Memory (HTM) 理論
  • サル高次視覚野における物体像の表現とそのダイナミクス
  • 勉強会概要と発表資料

第13回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ コネクトームと人工知能 ~

第12回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 脳の学習アーキテクチャー ~

第11回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ Deep Learning の中身に迫る ~

  • 深層学習の学習過程における相転移
  • Deep Neural Networks の力学的解析
  • SkymindのDeep Learning への取り組み
  • 勉強会概要と発表資料

第10回 全脳アーキテクチャ勉強会 「全脳アーキテクチャのいま」~ 全脳アーキテクチャプロジェクトとそれをとりまく周辺の最新状況報告 ~

  • 全脳アーキテクチャの全体像
  • 人工知能の難問と表現学習
  • 全脳アーキテクチャと大脳皮質モデル BESOM の実用化研究の構想
  • 全脳アーキテクチャを支えるプラットフォーム
  • 人工知能・ロボット次世代技術開発
  • 汎用人工知能に向けた認知アーキテクチャが解決するべき知識の課題
  • 感情モデルと対人サービス
  • 若手の会の活動報告
  • 勉強会概要と発表資料

第9回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 実世界に接地する言語と記号 ~

  • 脳内視覚情報処理における物体表現の理解を目指して ~ Deep neural network の利用とブレイン・マシン・インタフェースへの応用 ~
  • 記号創発ロボティクス ~内部視点から見る記号系組織化への構成論的アプローチ~
  • 脳科学から見た言語の計算原理
  • 勉強会概要と発表資料

第8回 全脳アーキテクチャ勉強会 時系列データ ~ 脳と機械学習技術は時間をどう扱うのか ~

  • 脳における時間順序判断の確率論的最適化
  • 順序とタイミングの神経回路モデル
  • 深層学習によるロボットの感覚運動ダイナミクスの学習
  • 勉強会概要と発表資料

第7回 全脳アーキテクチャ勉強会 感情 ~ 我々の行動を支配する価値の理解にむけて ~

  • 感情の進化 ~ サルとイヌに見られる感情機能 ~
  • 情動の神経基盤 ~ 負情動という生物にとっての価値はどのように作られるか? ~
  • 感情の工学モデルについて ~ 音声感情認識及び情動の脳生理信号分析システムに関する研究 ~
  • 勉強会概要と発表資料

第6回 全脳アーキテクチャ勉強会 統合アーキテクチャー ~ 神経科学分野と AI 分野の研究蓄積の活用に向けて ~

  • 分散と集中:全脳ネットワーク分析が示唆する統合アーキテクチャ
  • 脳の計算アーキテクチャ:汎用性を可能にする全体構造
  • 認知機能実現のための認知アーキテクチャ
  • 勉強会概要と発表資料

第5回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 意思決定 深いゴール探索と深い強化学習の技術をヒントにして、前頭前野の機構の解明を目指す ~

  • Deep Learning とベイジアンネットと強化学習を組み合わせた機構による、 前頭前野周辺の計算論的モデルの構想
  • BDI ― モデル、アーキテクチャ、論理 ―
  • 強化学習から見た意思決定の階層
  • 勉強会概要と発表資料

第4回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 機械学習と神経科学の融合の先に目指す超知能 ~

  • 全脳アーキテクチャ主旨説明
  • AI の未解決問題と Deep Learning
  • 脳の主要な器官の機能とモデル
  • 脳をガイドとして超脳知能に至る最速の道筋を探る
  • 自然な知覚を支える脳情報表現の定量理解
  • 脳型コンピュータの可能性
  • 勉強会概要と発表資料

第3回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 海馬:脳の自己位置推定と地図作成のアルゴリズム ~

  • 「SLAM の現状と鼠の海馬を模倣した RatSLAM」
  • 「海馬神経回路の機能ダイナミクス」
  • 「人工知能 (AI) 観点から想定する海馬回路の機能仮説」
  • 勉強会概要と発表資料

第2回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 大脳皮質と Deep Learning ~

  • 「大脳皮質と Deep Learning」
  • 「視覚皮質の計算論的モデル ~ 形状知覚における図地分離と階層性 ~」
  • 「Deep Learning 技術の今」
  • WBA の実現に向けて: 大脳新皮質モデルの視点から
  • 勉強会概要と発表資料

第1回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 機械学習と神経科学の融合の先に目指す超知能 ~

  • 勉強会開催の主旨説明
  • AI の未解決問題と Deep Learning
  • 脳の主要な器官の機能とモデル
  • 脳を参考として人レベル AI を目指す最速の道筋
  • 勉強会概要と発表資料

全脳アーキテクチャ勉強会の開始背景(2013年12月)

人間の脳全体構造における知的情報処理をカバーできる全脳型 AI アーキテクチャを工学的に実現できれば、人間レベル、さらにそれ以上の人工知能が実現可能になります。これは人類社会に対して、莫大な富と利益をもたらすことが予見されます。例えば、検索や広告、自動翻訳や対話技術、自動運転やロボット、そして金融や経済、政治や社会など、幅広い分野に大きな影響を与えるでしょう。

私達は、この目的のためには、神経科学や認知科学等の知見を参考としながら、機能的に分化した脳の各器官をできるだけ単純な機械学習器として解釈し、それら機械学習器を統合したアーキテクチャを構築することが近道であると考えています。

従来において、こうした試みは容易ではないと考えられてきましたが、状況は変わりつつあります。すでに、神経科学分野での知見の蓄積と、計算機速度の向上を背景に、様々な粒度により脳全体の情報処理を再現/理解しようとする動きが欧米を中心に本格化しています。 また Deep Learning などの機械学習技術のブレークスルー、大脳皮質ベイジアンネット仮説などの計算論的神経科学の進展、クラウドなどの計算機環境が充実してきています。

こうした背景を踏まえるならば、全脳型 AI アーキテクチャの開発は世界的に早々に激化してくる可能性さえあります。 そこで私達は、2020年台前半までに最速で本技術を実現できるロードマップを意識しながら、この研究の裾野を広げていく必要があると考えています。 そしてこのためには、情報処理技術だけでなく、ある程度のレベルにおいて神経科学等の関連分野の知見を幅広く理解しながら、情熱をもってこの研究に挑む多くの研究者やエンジニアの参入が必要と考えています。

注意事項

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