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このブログは、 “ Highlights from the 2025 AWS Life Sciences Symposium’s Drug Discovery track ” の翻訳です。 5月6日、ニューヨークで開催された第7回AWS ライフサイエンスシンポジウム には、 400を超える組織から1,000名以上のライフサイエンス業界のリーダー が集いました。「AIがもたらすブレークスルー:製薬バリューチェーンの革新」をメインテーマに掲げ、39名の専門家による26のセッションが開催され、ライフサイエンス分野におけるAI活用の成功事例や課題について、活発な議論が交わされました。シンポジウムを通じて浮かび上がった明確なメッセージ。それは、生成AIがもはや未来の技術ではなく、すでに医薬品の発見から開発、提供方法に至るまで、製薬業界全体を変革する原動力となっているという事実です。特に創薬分野のセッションでは、AIの活用により研究が加速し、科学的精度が向上し、コストが削減され、結果として新しい治療法をより迅速に患者のもとへ届けられるようになっている具体例が次々と紹介されました。 創薬プロセスの抜本的な見直しに向けて 私たちは今、科学、データ、テクノロジーが融合して全く新しい治療法の地平を切り開く、バイオメディカルイノベーションの黄金期にいます。しかし、創薬プロセスは依然として時間がかかり、高コストで、成功の見通しも不確実なままです。医薬品候補の約90%が臨床試験で失敗し、1つの治療薬を市場に送り出すまでに10年以上を要することもあります。巨額の投資が行われているにもかかわらず、多くの疾患に対して効果的な治療法が見つかっていないのが現状です。 この課題の根本にあるのは、生物学そのものが持つ驚くべき複雑さです。私たちの体内には数千種類の細胞、2万を超える遺伝子が存在し、それらの間で起こる分子レベルの相互作用は個人によって千差万別です。研究者たちは、10⁶⁰もの低分子と、20³²にも及ぶ治療用抗体の候補という、ほぼ無限とも言える可能性の中から最適な選択を迫られています。さらに、研究に不可欠なデータは、学術誌やデータベース、各社の独自システムに散在し、体系化されていない状態で存在しています。従来のR&Dツールは確かに優れたものですが、このような規模と複雑さ、そしてスピードへの要求に十分に応えられる設計にはなっていません。 経済面での課題も深刻です。製薬会社は今後数年間で、特許切れ(LOE)により推定2,500億ドルもの収益が失われるリスクに直面しています。イノベーションギャップは広がる一方であり、外部からの資産取得は一時的な解決策にはなりますが、長期的な成功のカギは社内での改革にあります。 このような状況を打開するため、製薬業界にはAIを中心に据えた新しいR&D戦略が必要です。これは単に試行回数を増やすだけでなく、個々の取り組みをより迅速に、より正確に、そしてより成功の可能性が高いものにすることを目指しています。 この変革は、段階的な改善ではなく、パラダイムシフトと呼べるものです。そして、シンポジウムの講演者たちが示したように、この変革はすでに現実のものとなっているのです。 Lab in a Loop:GenentechのAI主導型研究ビジョン Genentech の機械学習による創薬部門バイスプレジデント、 Rich Bonneau 氏が同社がAIを研究の中核に据えて、初期段階の研究プロセスを刷新している取り組みについて紹介しました。 その中心となるのが「 lab in a loop 」という概念です。これは、実験データと臨床データで学習したAIモデルが予測を行い、その結果に基づいて実験室での研究が進められるという、緊密に統合された反復サイクルを指します。新たな実験結果はモデルにフィードバックされ、予測の精度が継続的に向上していきます。このサイクルにより、研究者たちはより正確な予測のもと、広大な化学空間を効率的に探索し、複数の治療特性を同時に最適化することが可能になり、発見のプロセスが劇的に加速されています。 このような革新を支えているのは、Genentechが数十年にわたる研究・臨床活動を通じて構築してきた、質の高い大規模データセットです。これらのデータは、かつては対応が困難と考えられていた課題に取り組むAIモデルの重要な基盤となっています。さらに同社は、生成AIを研究ワークフローに直接組み込む取り組みも進めています。 AWSとの協力により開発された gRED Research Agent は、その代表例です。Amazon Bedrock Agents上で動作するAnthropic社のClaude Sonnet 3.5を搭載したこの知的アシスタントは、科学文献や構造化データベースの調査など、時間のかかる作業を自動化することで、科学者たちがより創造的で影響力の高い研究に注力できる環境を実現しています。 その効果は目覚ましく、これまで数週間を要していたプロセスが数分で完了できるようになりました。例えば、バイオマーカーの検証作業だけでも、43,000時間以上の工数削減が見込まれています。 しかし、これは単なる作業の高速化にとどまりません。科学研究そのものを、かつてない規模で展開できる新たな段階へと押し上げているのです。 セッション録画を視聴する | プレゼンテーションにアクセスする BioFMを活用した分子設計:AbbVieの包括的アプローチ 次に議論は、創薬におけるもう一つの重要課題である 低分子設計 に移りました。 AbbVie のR&Dデータ分析部門バイスプレジデントの Jennifer Van Camp 氏と、グローバルリード兼主任機械学習サイエンティストの Abhishek Pandey 氏が、生物学的基盤モデル(BioFMs)を活用した革新的なアプローチについて発表しました。彼らは生物学を優先した大胆な手法で、イノベーションを推進しています。 AbbVieは画期的な成果として、ヒトゲノム全体の薬剤化可能性スコアの算出に成功しました。これは、どのタンパク質が低分子医薬品の標的として適しているかを予測するものです。この網羅的な評価は、従来のように化合物(リガンド)の特性のみに注目するアプローチからの大きな転換点となりました。AbbVieは、 EvolutionaryScale が開発したESM-2などのbioFMモデルを活用し、タンパク質とリガンドの特性、およびそれらの相互作用パターンを包括的に分析する手法を採用しています。 この生物学的な複雑さを予測可能な形に変換するため、AbbVieはESMの埋め込み技術をリガンドデータと組み合わせ、AffinityNetを開発しました。このシステムは、タンパク質、リガンド、それらの相互作用の特性を階層的に分析するグラフアテンションネットワークを用いた深層学習モデルで、結合親和性を極めて高い精度で予測することができます。これにより、生物学的な知見に基づいた、データ駆動型の低分子探索が可能になりました。 AWSのインフラストラクチャ、拡張性の高い計算能力、そして Amazon Bedrock を通じたBioFMsへのアクセスを活用することで、AbbVieは膨大な生物学的データを、かつてないスピードで実用的な知見へと変換できるようになりました。 セッション録画を視聴する | プレゼンテーションにアクセスする AIエージェント:研究者の役割の新たな形 バイオテックスタートアップのOwkinとBioptimusは、AIを活用した科学研究の新しい協働の形を提示し、生物学の理解をさらに深める取り組みを紹介しました。 Owkin のR&D最高責任者の Jean-Philippe Vert 氏と製品部門VPの Thea Backlar 氏、は、生物学者が生物学者のために開発したAI搭載コパイロット「 K Navigator 」を発表しました。このシステムは高度なエージェントシステムを基盤とし、腫瘍学分野で世界最大の空間オミクスデータセットである MOSAIC Window をはじめとする膨大なデータに接続しています。研究者は自然言語での指示により、多様なデータの探索、分析、視覚化が可能になり、科学的直感を増強し、作業の効率を高め、複雑な問いを実用的な知見へと変換できます。これにより、創薬ターゲットの特定、患者グループの特性評価、既存薬の新たな用途発見などが促進されます。 研究者は現在、3,500万件を超える科学論文へのアクセス、臨床試験の設計、患者データの調査を、単一のインターフェースから行うことができます。しかし、K Navigatorは単なる効率化ツール以上の存在です。これは、人間とAIが協力して新たな知見を生み出し、これまで到達できなかった科学的領域を探索するための新しいパラダイムを示しています。すでにアカデミアで利用可能なこのプラットフォームについて、Owkinは 生物学的人工超知能 (BASI)への足がかりとして位置づけています。これは、AIが人間の発見能力を大規模に拡張する協働システムとなることを目指しています。 一方、フランスのスタートアップ Bioptimus は、生物学特有の多面的な性質に着目したアプローチを展開しています。シンポジウムでは、共同創業者兼主任研究員の Zelda Mariet 氏が、数百万枚の病理画像スライドで学習させた基盤モデル「 H-optimus-1 」について発表しました。このモデルは、がんの種類の分類、腫瘍の段階評価、バイオマーカーの検出、デジタルスライドの品質管理など、主要な診断・研究領域で最高水準の性能を実現しています。生物学における異なるスケール間の関係性を学習することで、より深い洞察を可能にしているのです。 現在、AWS Marketplaceで利用可能 となったこのモデルにより、ヘルスケア・ライフサイエンス分野のお客様は、Bioptimusの最先端病理モデルを自社の安全なクラウド環境に素早く導入し、AWSベースのワークフローにシームレスに統合することができます。これにより、病理学や生物医学研究における知見の獲得が迅速化され、業務効率が大幅に向上します。 しかし、これはほんの始まりに過ぎません。Bioptimusは現在、ゲノミクス、分子データ、イメージング、臨床記録を統合した次世代マルチモーダルモデル「 M-optimus 」の開発を進めています。このモデルは、生命現象のあらゆる複雑さを学習対象とするよう設計されています。彼らの野心的な目標は、生物学における世界初の汎用AIファンデーションモデルの創出です。 セッション録画を視聴する | プレゼンテーションにアクセスする 未来のラボの構築 Deloitte のヘルスケアおよびライフサイエンス部門のマネージングディレクターの Raveen Sharma 氏は、「 未来のラボ 」についての斬新なビジョンを提示しました。それは、計算科学と実験科学が完璧に調和したデジタル統合型のAI駆動エコシステムです。このシステムでは、ドライラボとウェットラボがリアルタイムデータと自動化技術によって緊密に連携し、継続的かつインテリジェントなループを形成することで、科学的発見のプロセスを加速させます。 このモデルにおいて、ドライラボはAIモデルの訓練、調整、改良を担当し、計算機上で実験をシミュレートします。一方、ウェットラボは実際の実験を通じて仮説を検証し、高品質な実験データをシステムにフィードバックします。このデータは FAIR 原則(Findable:見つけやすい、Accessible:アクセスしやすい、Interoperable:相互運用可能、Reusable:再利用可能)に基づいて管理されることで、ループ全体の自己改善が促進され、研究のスピードと科学的厳密性の両立が図られます。 DeloitteとAWSは、このビジョンを実現するため、データの取り込み、統合、ガバナンスを自動化するクラウドネイティブなモジュール型ソリューションを開発しました。これにより、従来は断片化していた研究室のデータを FAIR な資産へと転換することが可能になります。DeloitteのLab of the Futureアクセラレータは、物理的な研究機器とデジタルインフラの間のギャップを埋め、 AWS DataSync 、 AWS IoT Greengrass 、 Amazon S3 、 Amazon DataZone など、実績あるAWSサービスを活用しています。そして、これらすべてを AWS Control Tower で一元管理する仕組みを構築しています。 この新しいアプローチがもたらす影響は大きく、科学者たちはデータ管理に費やす時間を大幅に削減し、本質的な研究活動により多くの時間を充てることができるようになります。結果として、より質の高い治療候補の開発が加速され、革新的な治療法をより迅速に患者のもとへ届けることが可能となるのです。 セッション録画を視聴する | プレゼンテーションにアクセスする データの壁を打ち破る:連合学習による安全な協力体制 科学の進歩は協力があってこそ最も加速します。この原則は、特に創薬の分野で顕著です。 現代の創薬におけるAI活用の最大の課題の一つは、効果的なモデルの学習に不可欠な高品質なタンパク質とリガンド構造データへのアクセスです。確かに公共データベースは存在しますが、困難な創薬ターゲットに対する薬剤設計に必要な、構造的な多様性や分子間相互作用に関する深い知見が不足しています。製薬企業は、これらの相互作用を捉えるための独自のデータセット構築に多額の投資を行ってきましたが、データの機密性が企業間の協力を妨げ、結果として個々の進歩を遅らせる要因となってきました。 連合学習は、こうした壁を打ち破りつつあります。活発な議論が交わされたパネルディスカッションでは、 Johnson & Johnson のIn Silico Discovery部門VP Justin Scheer 氏、AbbVieの計算創薬部門長 John Karanicolas 氏、そして Apheris の共同創業者兼CEO Robin Röhm 氏が、 AI Structural Biology(AISB)コンソーシアム の取り組みを紹介しました。このコンソーシアムは、連合学習を活用することで、各社の機密データを公開することなく、分散したデータセット全体でAIモデルを協調的に学習させることに成功しています。この手法により、知的財産を保護しながら、薬剤の特異性向上や分子間相互作用の最適化、より効果的な治療法の開発加速に向けた知見の共有が可能となっています。 AIモデルの構造予測精度がX線結晶構造解析と同等のレベルに達しつつある今、連合学習は安全で協調的な創薬の新時代を切り開いています。これにより、業界全体の知見を結集し、精密医療における画期的な進展を加速することが可能になってきているのです。 セッション録画を視聴する 発見の新時代 わずか10年前、AIが私たちの移動手段、買い物、音楽鑑賞、ニュース消費の方法を根本から変えることになるとは、ほとんど誰も想像していませんでした。 そして今、同様の変革が創薬の現場で起きています。AIはもはや実証実験の段階を超え、研究開発の全工程において実質的な進歩をもたらしています。科学者たちは、AIの支援を受けながら疾病の生物学的メカニズムを解明し、より効果的な治療法をこれまでにないスピードで設計できるようになっています。これにより、長年にわたって治療法の確立が困難とされてきた疾患に対しても、新たな希望がもたらされています。 2025年のAWSライフサイエンスシンポジウムで明らかになったのは、AIがもはや研究の補助的なツールではないということです。基盤モデル、マルチモーダルデータ、AIエージェント、クラウドネイティブインフラストラクチャーを通じて、研究そのものを根本から変革しているのです。創薬の未来は遠い将来の話ではありません。その変革は、まさに今ここで進行しているのです。 AWSは、お客様がより遠くへ、より速く進むことをサポートできることを誇りに思っています。 世界の大手製薬会社トップ10社のうち9社が、生成AIと機械学習戦略の実現にAWSを選択している という事実は、私たちへの信頼の表れだと考えています。 次のステップを加速するための方法について、詳しくはAWSの担当者までお問い合わせください。 参考資料: 第7回AWS Life Sciences Symposium: 基調講演のハイライト | 基調講演のダイジェスト動画を視聴する ライフサイエンスのイノベーションをAWSのAIエージェントで加速 臨床開発セッションのハイライト – 第7回 AWS ライフサイエンス シンポジウム 製造セッションのハイライト – 第7回 AWS ライフサイエンス シンポジウム コマーシャルセッションのハイライト – 第7回 AWS ライフサイエンス シンポジウム <!-- '"` --> Oiendrilla Das Oiendrilla DasはAWSのライフサイエンスおよびゲノミクスマーケティングのカスタマーアドボカシーリードです。ライフサイエンスマーケティングのバックグラウンドを持ち、ライフサイエンスとクラウドコンピューティングを専門としています。マーケティングのMBA学位を取得しており、MBA取得前にはバイオテクノロジーの工学を修了しています。 このブログは、Senior Solutions Architectの松永が翻訳しました。
このブログは‘“ Revolutionizing Generative Biology with AWS and EvolutionaryScale ”を翻訳したものです。 本日、AWS は EvolutionaryScale と提携し、同社の新しいバイオロジー向け最先端言語モデルを、創薬からカーボンキャプチャまで、さまざまなアプリケーションを推進する科学者や研究者に提供することを発表する運びとなり、大変興奮しています。 この発表により、EvolutionaryScale の最先端で最高水準の言語モデルファミリー ESM3 を AWS で利用可能になります。この提携により、生成的で多様な ESM3 モデルファミリーを含む EvolutionaryScale の最先端モデルを、業界をリードする AWS のインフラストラクチャ、エンタープライズグレードのセキュリティ、プライバシー対策、ヘルスケア・ライフサイエンス業界および生成 AI 向けの特化したサービス、生成 AI の機能(ファインチューニング、ガードレール等)と組み合わせることができます。これらは現在、製薬企業やバイオテックにより研究が行われている分野です。これには、生成 AI および機械学習に AWS を既に利用している、数十万人の AI /機械学習を利用する顧客と、上位 10 社のグローバル製薬企業 9 社が含まれ、この分野のさらなる民主化が促進されます。 ESM3 のような基盤モデルを使えば、研究者は複雑なマルチドメインタンパク質を一から生成したり、タンパク質設計のワークフローを作成したり、機能的な理解を組み込むことができます。ESM3 の強力な機能により、自然界には存在しない全く新しいタンパク質の創造が可能になり、科学者や研究者は革新的な「プログラム可能なバイオロジー」のアプローチを取ることができます。これにより、新薬の市場投入までの時間とコストを数年間と数十億ドルコストダウンできる可能性があります。 お客様は Amazon SageMaker を通じて ESM3 を簡単に利用開始でき、後にリリースされる Amazon Bedrock のサポートにより、 AWS HealthOmics を使ってエンドツーエンドの創薬ワークフローを完全自動化することができます。 Amazon Bedrock は、基盤モデルを使った生成 AI アプリケーションを構築・スケーリングする最も簡単な方法です。 ライフサイエンス業界での生成 AI の大きな機運: AWS は、さまざまな業界で生成 AI のイノベーションを加速する最前線にあり、大規模言語モデル (LLM) や基盤モデル (FM) の力を活用できるよう組織を支援しています。 Amazon Bedrock を利用して高性能の生成 AI モデルに簡単にアクセスできる数万社のお客様、 Amazon SageMaker で数百のプリトレーニングモデルを提供している AWS は、生成 AI アプリケーションの構築とスケーリングを簡素化しています。ライフサイエンス業界では生成 AI への熱気と機運が非常に高く、プロセスの自動化から研究や発見の仕方を根本的に変革するまで、お客様がビジネスを変革しています。例えば、 アストラゼネカ はゲノミクスを活用して創薬と精密医療の変革を加速し、研究者が洞察を迅速に科学的知見に変えられるようにしています。ギリアドは、企業全体のさまざまなソースからの非構造化情報の大量を迅速に分析できるよう、主要データセットから洞察を生成しています。 ファイザー は Bedrock や SageMaker などのサービスを使い、医学/科学コンテンツや特許出願を作成する AI ソリューションを展開し、画期的な成果を早期に患者に届けられるようにしながら、年間最大10億ドルのコスト削減も可能にしています。 そこで本日、EvolutionaryScale との、ライフサイエンス業界の研究開発を変革することを目指す共同イニシアティブと、 Go-To-Market での提携を発表する運びとなり、大変喜ばしく思います。 EvolutionaryScale は、バイオロジー向けの最先端言語モデルのトレーニングと適用を主導するリーディングチームで、バイオロジーデータへの大規模言語モデリングの最初の適用例の1つである Evolutionary Scale Modeling (ESM) モデルファミリーの開拓者です。彼らはバイオロジーへの生成 AI の適用で、バイオロジー特化の最初のトランスフォーマー言語モデル、スケーリング則、生物学的配列の構造予測手法の開発など、主要なマイルストーンを達成しています。本日、EvolutionaryScale は、この重要な分野で全く新しい地平を切り開く、初の生成的で多様な言語モデルファミリー ESM3 の発表を行いました。 生成 AI がバイオロジーを変える可能性: 生物学的配列を「生命の言語」と捉えることで、タンパク質工学やデザインの分野に生成 AI の手法を適用する可能性が広がります。大規模言語モデルが膨大なテキストデータセットで学習することで言語理解を示す有用なアシスタントになるのと同様に、ジェネレーティブ・バイオロジーモデルは大量のタンパク質配列データから「タンパク質の言語」を学習できます。これらのモデルはこれらの配列内のパターンや関係性を理解することで、創薬設計、酵素工学、合成生物学などの用途に合わせて機能的な新規タンパク質配列を生成できるのです。タンパク質はテキストとは 3 次元構造が異なりますが、これは生命の基本単位に関わる分野で生成 AI の力を活用して発見やイノベーションを加速する可能性を示唆しています。この技術は、進化、分子生物学、人工知能、医療、人々の健康をつなぐ変革の中心にあります。 ESM3: ジェネレーティブ・バイオロジーの画期的成果 EvolutionaryScale の ESM3 は、配列、構造、機能を同時に推論できるバイオロジー向けの画期的で最先端の生成モデルで、従来のタンパク質言語モデルには無い機能です。38 億年の進化を経た数十億のタンパク質配列で複数のモダリティを学習した ESM3 は、さまざまなソースからの複雑なバイオロジーデータを理解し、自然界には存在しない全く新しいタンパク質を生成できます。ESM3 モデルファミリーには、3 つの独自モデル(パラメータ数 98B、7B、1.4B)と 1 つのオープンソースモデル(パラメータ数 14 億)が含まれ、オープンソースバージョンは本日から Amazon SageMaker と AWS HealthOmics で、2024 年後半に Amazon Bedrock でも利用可能になる見込みです。 ESM3 モデルを使えば、お客様は以下のことが可能になります。 配列、構造、機能の「言語」を理解した ESM3 を使い、複雑なマルチドメインタンパク質を一から生成できる。 異なるモダリティに基づいて個々のドメインを設計し、それらを組み合わせて新規タンパク質を作れるタンパク質設計ワークフローを作成できる。 抗体の理解を組み込める: ESM3 は抗体配列と構造を非常に良く理解しているため、in silico で多様化、最適化、進化工学などの操作が可能。 ESM3 で作られた蛍光タンパク質 esmGFP バイオロジー基盤モデル (biological Foundation Models: bFM) を安全に民主化: 汎用の LLM や FM と同様に、AWS の包括的なヘルスケア・ライフサイエンス業界および生成 AI 向け特化サービスポートフォリオ (Amazon SageMaker 、 AWS HealthOmics、 AWS HealthScribe、 Amazon Bedrock など)を通じて、研究者は ESM3 のような bFM に簡単にアクセスできるようになります。Amazon SageMaker と AWS HealthOmics から始まり、お客様はEvolutionaryScale の最新オープンソースモデルバージョンを活用できるようになり、独自の ESM3 モデルファミリーもすぐにこれらのサービスと Amazon Bedrock で利用可能になります。フルマネージドなAWSサービスにより、研究者は ESM3 のようなパワフルな bFM を創薬ワークフローにカスタマイズしてシームレスに統合する最も簡単な方法をご利用いただけます。 この発表により、お客様は独自データセットで ESM3 をファインチューニングでき、独自データをプライベートに保ちながら、医薬品開発での画期的な発見を可能にし、イノベーションを加速できます。また、お客様はAWSの業界をリードする生成 AI インフラ (高性能 GPU インスタンスや AWS Trainium のトレーニング向け機械学習専用アクセラレータ、AWS Inferentia の推論向け機械学習専用アクセラレータなど) を活用してこれらのイノベーションをスケーリングできます。AWS の並外れた計算能力により、お客様は ESM3 のトレーニング、構築、実行を効率的に行えます。ESM3 のようなジェネレーティブ bFM を AWS サービスと統合することで、デプロイが簡素化され、データの暗号化処理、プライベートネットワーキング、HIPAA および GDPR コンプライアンスによる強固なセキュリティが確保されます。責任あるモデルの挙動をガイドするため、ガードレールが多層で組み込まれています。EvolutionaryScale の ESM3 は、有害なタンパク質の生成などの安全性リスクを軽減するよう設計されています。Amazon Bedrock のガードレールにより、お客様は倫理的 AI ポリシーに沿った入出力へのカスタムフィルタを実装できます。この公平性、安全性、透明性へのコミットメントにより、bFM の驚くべき可能性が責任を持って実現されます。 バイオロジーにおける生成 AI の未来 このマイルストーンは、バイオロジーアプリケーション向けにカスタマイズされた生成 AI 搭載モデルの新時代の幕開けを告げるものです。飛躍的な前進であるESM3は、AWSの生成 AI 機能とEvolutionaryScale の革新的 AI モデルが、計算パワーとデータスケールの最前線で相乗効果を発揮することで、創薬のタイムラインを大幅に短縮する可能性を秘めています。この提携により、プログラム可能なバイオロジーを可能にし、ライフサイエンス企業は責任ある生成 AI の力を活用して創薬の境界を押し広げ、プロセスを合理化し、最終的には新しい治療薬をより早く患者に届けられるようになります。ターゲット特定の合理化、イノベーションの促進、開発時間とコストの削減、創薬の成功確率向上につながります。 著者について Matt Wood: Matt は AWS の AI 関連プロダクトの Vice President です。この役割において、彼は顧客、パートナー、内部の AWS チームと緊密に連携し、あらゆる業界における AI の効果的な活用を推進しています。 Matt はアマゾンに 14 年間在籍しており、クラウドビジネス全般 (Lambda、Kinesis、SageMaker、DeepRacer、Athena、EMRの立ち上げ支援を含む) に携わってきました。特に、データ、分析、機械学習、人工知能に重点を置いてきました。彼の情熱は、NFL、Cerner、Intuit、Pinterest、GE、FINRA、Celgene、NASA などの AWS 顧客と協力し、彼らのアイデアを実現することにあります。アマゾン入社前は、英国で医学を学び、機械学習の博士号を取得し、コーネル大学で博士研究員を務めていました。 このブログはヘルスケア・ライフサイエンス事業開発部 シニア事業開発マネージャー 片岡 が翻訳しました。
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