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はじめに 以前、Androidの開発者を確認するAndroid Developer Verificationという記事で、2026年に、Androidのアプリの提供方法に大きな変更が生じるというお話しをさせていただきました。 簡単にまとめますと、Androidにインストールするアプリには、Googleが定める開発者登録が義務付けられるというものでした。 昔からAndroidをご存じの方は、サイドローディングが可能という、その自由さを好まれてきた方もいらっしゃるかと思いますが、昨今のセキュリティ事情などを踏まえ、身元確認を行いインストールされるアプリの開発者の身元を特定することになりま
こんにちは。昨年度まで社会人大学院生(修士課程)として学び、無事卒業した Hunachi です 🙌 研究生活の中で、 SICS 2026 と DEIM 2026 に参加し、論文の執筆や発表、ポスター発表をしてきました。 私の研究内容は「Android搭載端末での pKVM 環境を使ったセキュアな声紋認証の実装と評価」です 👀 このブログでは、 私が研究で扱っている pKVM ってなに? どんな研究をしていたのか(ざっくり) 学会に参加したり、論文を書いて発表してみての感想 社会人大学院生をしてみた感想 以上の4 本立てで、私の研究や大学院生活について紹介していきます。 SCISは函館開催でした。その時に食べたごっこ汁 🐟  pKVM ってなに? モバイル端末でも「セキュアな実行環境」が欲しい 最近のスマートフォンでは、生体認証・決済・オンデバイス AI(Gemini Nano など)と、機密性の高い処理を端末上で動かす場面がどんどん増えていますよね。 Android でのセキュアな環境としては 2014 年から Trusty TEE (Trusted Execution Environment)という ARM TrustZone ベースの隔離環境が使われてきました。Android の一般的なアプリが動作する環境( REE: Rich Execution Environment )とは、ハードウェアレベルで分離されたセキュアな環境です。そのため、堅牢なセキュリティを実現できます。 ただし TEE には以下の弱点があります。 利用できるメモリが 数 MB 程度 ととても小さい 開発のハードルがそれなりに高い 端末のベンダーによってセキュリティの質がまちまち 特に利用できるメモリが少ないので、DNN モデルなどを動かすのは大変困難です 😖 pKVM の登場 そこで Android 13 から導入された Android Virtualization Framework(AVF) の中核として、 pKVM(Protected KVM) という仮想化技術が組み込まれました。 ざっくり言うと、 ベースは Linux 由来の KVM (Kernel-based Virtual Machine) そこに「ホスト OS からも触れない VM( Protected VM, pVM )」という概念を載せる 端末の物理メモリ容量いっぱいまで使える隔離環境が手に入る という、Trusty TEE のメモリ制約を解消した比較的新しい技術です 🚀 ちなみに数年前、「 Pixel で root を取らずに Linux(Arch や Ubuntu)が動かせる 」という話題、目にした方もいるんじゃないでしょうか。Danny Lin 氏の Nestbox というアプリで Android 上に Linux VM を立ち上げるものです( 参考記事 )。この基盤になっているのがまさに pKVM で、「ホスト OS から保護された VM」という枠組みを使えば、セキュリティ用途だけでなく汎用的な OS だってホストできてしまう、というのを実証した一例です。 pKVM のアーキテクチャをざっくり ARM のアーキテクチャでは、特権レベルが Exception Level(EL) という階層で分かれています。pKVM 環境に関する階層分けはこのようになっています。 EL2 : pKVM ハイパーバイザ EL1 : Android Host OS と Protected VM EL0 : ユーザアプリケーション EL2 で動く pKVM が ステージ 2 ページテーブル を使って、ホスト OS からの pVM メモリへのアクセスを物理的に遮断します。さらに IOMMU を使うことで、DMA デバイス経由の不正アクセスもブロックしてくれます。 また、pKVM上で動かすプログラムはC/C++で書く必要がありますが、TEE向けアプリの開発に比べれば容易です。 セキュアな環境を成り立たせる仕組み pKVM(AVF)の凄いところは、ただメモリを隔離するだけじゃない点です。 pvmfw (Protected VM Firmware)がペイロードの署名を検証して改ざん検知 DICE (Device Identifier Composition Engine)プロトコルで pVM ごとのシークレットを導出 DICEで導出したシークレットからsealing secretを生成し、さらにsealing keyを作成して永続データなどを暗号化 pVM 終了時にはハイパーバイザがメモリページをゼロクリアして残留防止 つまり、コードの正当性 → 起動時のシークレット → 永続データ → 終了時の残留防止 まで一貫してハイパーバイザがケアしてくれる、という設計です。 そして 2025 年 8 月、Google が pKVM で SESIP Level 5 認証を取得したと発表しました 🎉 SESIP(Security Evaluation Standard for IoT Platforms)は IoT デバイス向けセキュリティ評価基準で、Level 5 は最高レベルです。 大規模消費者向けに展開されるソフトウェアセキュリティシステムとして取得したのは世界初 で、最新かつかなりセキュアな技術であることがわかります( Google Online Security Blog )。 私の研究をざっくり やったこと ここからは自分の研究をかなりざっくり紹介します。 タイトルは「 Google Tensor 搭載端末の pKVM におけるセキュアな音声処理および声紋認証の実装手法と課題の検討 」です。 論文はこちらから読めます 👉 DEIM2026 3D-01 すごく簡単に言うと、 (pKVM環境)上で話者識別のDNNモデルを動かし、実用可能な処理速度で動作する声紋認証システムアプリを実現 pKVM のメモリアクセス特性を細かく測定 提案システムの認証精度・処理時間・pKVMのVM 起動時間などを多角的に評価 を行った論文です。 そしてありがたいことに、この発表で DEIM 2026 学生プレゼンテーション賞 をいただきました 🎉 一緒に研究を進めてくれた共著の先生方、コメントをくださった皆さん、本当にありがとうございました 🙇 まだまだ改善の余地がたくさんある研究内容ですが、興味のある方は論文を読んでもらえると嬉しいです 🙇 学会の感想 SICS に参加した感想 SICSは、以前は暗号系の発表が多かったようですが、最近は傾向が変わってきたようです。セキュリティ関連の発表では、高レイヤの話も多く見られました。特にLLMのセキュリティや研究方法に関する講演や発表が印象的でした。最先端のLLMの研究をしている日本人研究者もいることや、LLMのセキュリティの研究がどこまで進んでいるかの話を聞くことができ、面白かったです。 DEIM に参加した感想 たくさんの学生さんが参加している学会で、色々な研究の発表やポスター発表を見ることができました。特に土日にリモート開催だったので、社会人の私にとって大変嬉しかったです。LINEヤフーさんのDBの話なども興味深く聞かせていただきました。 最近の研究は、やはりLLM関連が多く、自分も研究でLLMも扱えるよう、ある程度は詳しくならないといけないと思いました。 論文執筆・発表・ポスター発表をしてみた感想 学部時代の研究をそのまま続けなかったこともあり、成果が出せる研究テーマにたどり着くまで時間がかかり、とても大変でした。一方で、先生方の助言やAIの活用により、先行研究や最新技術の調査を効率化できました。その結果、成果を出せてよかったです。 また論文を執筆するにあたり、慣れない部分については、AIに手助けしてもらいながら執筆しました。4年前の学部時代や高専時代に論文を書いた時と比べて、LaTeXのエラーに悩まされる時間や、誤字脱字の修正にかかる時間が、ほぼゼロになりました。本当に楽な時代になったなと感じます。 発表では厳しめの質問をいただくこともありましたが、それ以上に嬉しいこともありました。似た研究をしている方が少ないにもかかわらず、特にDEIMでは私の研究に興味を持って質問してくださる方が多く、とても嬉しかったです。 人に自分の研究内容を伝えることは、社会人におけるプレゼンテーションを行う際にも活かせるなと思いました。 社会人大学院生(修士課程)をしてみた感想 大学の教授やD進している同期、夫の家事サポートがあったからこそ、卒業できました。関係者の皆さんに感謝しかありません。 人におすすめできるかというと、とても忙しい生活スタイルになるため、研究が趣味な人以外にはおすすめしにくいです。ただ、AIの活用で調査や文章執筆が容易になった今の時代だからこそ、「チャレンジは可能だ」と思います。 私の感じたメリット・デメリット メリットは、金銭的な問題で困りにくいことです。いろいろな理由があり、猫と暮らしている自分には働かないという選択肢がなかったため、社会人学生を選びました。働きつつ学生でいることを許してくれた大学の教授には感謝しかありません。そのおかげで猫と暮らしつつ学費も安定して払うことができました。 デメリットは以下のとおりです。 大学以外のことをするプライベートな時間がかなり少なくなること 研究に時間を費やす必要があるのはもちろんのこと、学会や授業の参加で有給が消費されます 仕事や大学が忙しい時期には睡眠時間以外はパソコンの前にいる、というような不健康な生活が日常になること 学生らしい生活ができないこと 私の場合は、大学に行く時間が取れず在宅で研究を行なっていた関係で、友人と研究室でおしゃべりしたり、飲み会や合宿への参加などはできませんでした。 また私は、学部時代に大学院の授業単位を取得できる制度を活用していたため、大きな問題はありませんでした。ただし、大学や単位の取得状況によっては、授業のために有給を使う必要が出てくるかもしれません。さらに、大学生らしい生活が送れないのはもったいないと感じるため、個人的には可能であれば通常の大学院生として通うほうがよいと思います。 ※ 私の大学生活のほとんどはコロナでオンラインだった関係で大学生活をまともにしたことがないので意見が偏っている可能性もあります。 ただ、事情があり社会人になる必要がある人やすでに社会人の方で、研究をしたい・続けたい人は十分頑張ってみる価値があると思うので応援しています 🚩 おわりに 引き続きpKVMや研究関連の勉強は続けようと思っています 🧑‍🎓 最後まで読んでくださってありがとうございました!
みなさんこんにちは。ワンキャリアでSRE(Site Reliability Engineering)をしているXin Wei(ギ シン)です。 2025年4月に新卒として入社してから、あっという間に1年が経ちました。入社して3ヶ月目の頃にも一度テックブログのインタビューでお話しさせていただきましたが、今回は私自身の言葉で、この1年間でどのような壁を乗り越え、エンジニアとしてどう変化したのかを振り返ってみたいと思います。

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