業務時間の10%を活用できる自主活動「プリズム」で、新しいサービスやプロダクトを考える楽しさとは

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業務時間の10%を活用できる自主活動「プリズム」で、新しいサービスやプロダクトを考える楽しさとは
富士フイルムビジネスイノベーションには、社員に学習とスキル向上の機会を与え、自己成長やキャリア開発を促す制度「プリズム活動」がある。業務時間の10%はそれに割いてよいというルールだ。自由な発想で、新しいサービスやプロダクトを考える。普段の業務では知り合えない仲間との協業を通して、新しい気づきを得ることも多いという。そんなプリズム活動の楽しさを、2人に語ってもらった。

新しい技術やサービスを自由に考え、業務で得にくい知識を補えるプリズム活動

——勤務時間の10%を使って本来の業務とは全く別のテーマで活動できる制度「プリズム活動」は、いつから始まったのでしょうか

吉塚:私が入社した2010年にはもうありました。当時の私の上司が立ちあげた制度だったと聞いています。テーマによっては企画や管理系の社員が参加することもありますが、社内のソフトウェアやエレクトロニクス技術に関わるエンジニアが参加することが多いです。アイディア出しや技術的な観点から、基本的には複数名でのチームで進めていきます。

今期は15チームが動いていて、私の所属するソリューション開発部では、ざっくり2割程度のエンジニアが参加しているようです。他にも当社の研究部門にも同様の制度があります。

吉塚さん
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
リューション開発部統合ソリューション開発グループ 吉塚 公則氏

2010年新卒入社後、生産技術系部署に配属。2018年に自身の希望によりソフトウェア開発部署へ異動。現在は、請求書などの帳票をOCRで読み取り、クラウドで共有するプロダクトの中で使われる画像処理の技術開発や商品開発に携わる。

——プリズム活動に参加するためには、社内手続きが必要なのですか?

吉塚:期初にこういったテーマをこういうメンバーたちとやりたいと申請します。基本的にはそこで受け付けてもらえないということはないですね。

——お二人がプリズム活動に参加してみたいと思われた動機は何でしょうか

吉塚:もともと新しい技術やサービスを考えることが好きなこともありますが、プリズム活動では普段の業務では関わらない人たちと一緒に活動したり、新しい技術に触れたりする機会があることですね。しかもそれが業務時間にカウントされて、それなりの工数を踏んで作っていける。私自身はプリズム活動にもう5年関わっていて、現在のチームではテーマリーダーという役割を担当しています。

瀬戸:吉塚さんとは入社から2年目まで同じ部署で、私は社内技術の内製を担当するチーム、吉塚さんはそれを商品化するチームに所属していました。定例会議で私から進捗報告をして、吉塚さんから商品側の要求を聞いたり、互いに仕様をすり合わせたりすることはよくしていました。

最近は私が異動したため、業務でのつながりがなくなってしまったのですが、吉塚さんがテーマリーダーになったときに「一緒にプリズムをやらないか」と声をかけてもらい、興味を持つようになりました。

あくまでも自主活動ではありますが、単に技術を作るだけでなく、それを商品化してみるというところまで関われる。それは自分が持っていない新しい知識の学習につながりそうだと考えたんですね。

私はコロナ禍での入社だったので、社内の人的ネットワークを広げるのに少し時間がかかりました。プリズム活動では、業務では関われないような他部署の人としっかりコミュニケーションが取れて、人脈を広げることもできそうだとも思いました。

瀬戸さん
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
技術開発グループ 瀬戸 卓弥氏
2021年に新卒入社後、一貫してソフトウェア系の技術開発を担当。大学時代はAI系の研究を専攻。入社後は業務の自動化に関連する深層学習の研究・開発を進め、AIを用いたOCRのエンジンなど、AI技術に関連した業務を担当している。

ベビーベッドの様子をモニターして危険を知らせる「赤ちゃん見守りアプリ」

——今期のプリズム活動では、どのようなテーマに取り組んでいるのでしょうか

瀬戸:AIを使ったWebアプリの構築です。具体的には「赤ちゃんの見守りアプリ」をクラウド上で動かそうとしています。

吉塚:実は最近、子どもが生まれたんです。そこで親がちょっと離れていても、赤ちゃんの様子を見守れるアプリを調べたところ、あまりないことに気づきました。AIを使って子どもの寝返りの様子を検知するツールなどもありそうだなと思っていたのですが、これも意外となかったのです。

そこで、機能の高い見守りアプリを作れば、ビジネスチャンスがあるのではないかと考えました。似たような製品が保育園向けに販売されていることもあり、個人向けだけではなくて、そういうマーケットニーズもありそうだなと感じたのが、一番のポイントです。

——「赤ちゃんの見守りアプリ」はどのような仕組み・機能なのですか?

瀬戸:例えば、赤ちゃんが寝返りをうまくできなくて、ベッドでうつ伏せになってしまう時間が何秒か続いたときには、危険を察知してアラートを送ります。仰向けの状態であれば顔がずっと映っているので、寝返りを検知するのは比較的簡単です。ところが、うつ伏せになると顔認識ができなくなるので、そうした検知不可が何秒か続いたときに、アラートを出せるように、今実証しているところです。

その後の技術拡張では、泣いている顔や笑っている顔など、認識の幅を広げたいと考えています。ただ、そうした付帯機能をつけようとすると、画像や動画や音声のモデルを作り、しっかり学習データを用意する必要があります。データが重くなると、リアルタイム性が失われてしまうため、入れるデータや次元の量については検討しているところです。

——瀬戸さんは学生時代にAIの研究をしていて、現在も深層学習を使った業務自動化に関する技術開発をしています。AIの知見はプリズム活動でも活かされていますか

瀬戸:AIモデルの構築にはもともと興味ありましたが、プリズム活動でやりたかったのは、むしろしっかりシステムをクラウド上で動かすところです。実際に自分が作った技術をユーザーに届けるシステム化の部分の知見があまりないため、そこに関わりたかったのです。

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——昨年のチームテーマは、「クラウド上でごみの分別判断ができるアプリ」だったそうですね

吉塚:弊社のオフィスのゴミ分類はとても細かくて、10種類ぐらいあります。柔らかいゴミや固いゴミも分けなくてはいけません。かなり判断が難しいんですね。そこでカメラで撮ったゴミが、何のゴミなのかがわかるアプリがあればと考えて開発しました。商品化というよりは、社内のちょっとした困りごと解決のためのツールです。その開発過程で、私たちエンジニアがいろいろ勉強できたという側面が強かったですね。

瀬戸:プリズム活動の狙いとしては、市場や世の中のトレンドを意識しながらテーマを設定し、最終的には社外展開も含め、実際にユーザーに使ってもらうところを考えるという側面もあります。

去年はどちらかというと、社内利用に限定したものでした。ただそうしたアプリを開発することが、特に若手エンジニアの学習と成長につながっていく。プリズム活動ではその側面も重視されているので、こうしたテーマも面白いと思っています。

若手の発想を自由に活かし、必要なツールは会社が支援

——具体的には、どのような時間帯にプリズム活動をされているのでしょうか?

吉塚:基本的には、毎週定例でやるようにしています。去年はリモートでやることが多かったのですが、やはり顔を合わせながらの方がはかどります。今年はできるだけリアルに会って活動していきたいと考えています。

例えば、「金曜日の18時から30分間、会議室に集まろう」という感じです。今年度のメンバーは6人。部署はバラバラで、アプリ開発やクラウド技術だけでなく、デバイスの組込みエンジニアも参加しています。

自主活動とはいえ、期初に期末のゴールイメージを立てて、進捗は管理しています。活動自体は1期で終わるものばかりではなく、成果が上がるまで数年にわたって一つのテーマを追いかけるものもあります。活動後はメンバーで飲みに行って、そこでも技術話を続けるなんてこともありますね(笑)。

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——とても楽しそうですね

瀬戸:楽しいです。何が楽しいかと言えば、自由にやれるところ。私はまだ年次が3年目なので、普段の業務をこなすのが精一杯なのですが、プリズム活動ではどちらかというと自発的に好きなことをやっています。

開発・実装ではAWSを使っているのですが、こうしたクラウドサービスを個人で使うとなるとインスタンスごとにお金がかかってしまいます。プリズム活動ではそうした予算が会社から出ることも嬉しいですね。

吉塚:プロダクト開発のためのツールや教材やクラウド環境の費用なども、すべて会社が負担してくれます。先日もRaspberry Piを1台買いました。機器などの選定も比較的自由なのはうれしいです。チームの雰囲気もいいですね。集まると、まずは雑談から盛り上がります。仕事で直接関わらない人もいるので、近況などの話ができるのもプリズム活動ならではだと思っています。

期末の成果報告会で知る他部署のエンジニアたち。役員からは厳しい意見も

——普段の業務での付き合いがない人とプリズム活動で知り合うことで、どのような刺激がありますか?

瀬戸:技術的な部分では、プリズム活動の商品に近い領域のエンジニアと関わることが多いため、その方面の知識は得られるようになりました。

技術以外の面でも、同じ会社でも部署によって納期管理や品質管理の様子や働き方が結構違うということを知れたのもよかったですね。それぞれの職場の雰囲気の違いを知ることは、今後自分の社内キャリアを考える上でのヒントにもなっています。

吉塚:期末に今期のプリズム活動を振り返り、チームごとに成果を発表する場が設けられているのですが、多種多様な部署からいろいろなテーマが出ていることがわかります。他部署の若いエンジニアが、とても良いサービスを作り上げているのを見ると、これは負けてはいられないなと思ったりします(笑)。

成果発表会には役員もいて、経営の視点から「このサービスをビジネスにつなげるためには、こういう視点が必要だ」というような意見が入ることもあります。発表会自体は楽しいだけではなく、ある意味引き締まる感じで面白いと感じています。

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プリズム活動での学習と成長は評価の対象にもつながる

——自主活動への参加は社内制度で保証されているとはいえ、本来業務と自主活動のバランス、時間のやりくりは難しいのではないでしょうか

瀬戸:それぞれの仕事が多忙になると、やはりプリズム活動の優先順位が下がってしまうところはありますね。業務をこなしながら、同時にプリズム活動も頑張るのは精神的にも体力的にもきついところがあります。

ただ、テーマリーダーにもよるとは思うのですが、進捗が遅くて怒られるみたいなことはなく、優しくお尻叩いてもらえる感じで、心理的安全性がかなり高い。だからプリズム活動を続けていられるのかなと思っています(笑)。

吉塚:メンバーが日常の業務に押されて進捗が進まないこともありますが、一応私がリーダーなので、みんなのお尻を叩いて回るという役目を担っています(笑)。

私がプリズム活動に参加するようになって5年経ちますが、メンバーの業務が忙しくなって、そのうち1人抜け、2人抜けとだんだん少なくなっていった時期もありました。本来の業務と自主活動のバランスはすごく難しいと思っています。

ただ私は忙しいからこそ、プリズム活動のような時間がないと、次のことがなかなかできないタイプ。忙しくてもプリズム活動の時間で頭を切り替えて、リフレッシュできる。しかも、10%ルールで会社には文句言われない。良いことばかりです(笑)。

——プリズム活動へ参加していることは、実際の勤務における評価にも関わってくるのでしょうか

瀬戸:年次が若い人の場合は、自主的な学習と成長が評価項目になるので、プリズム活動も評価対象になっていると思います。幸い、昨年はプリズム活動で表彰していただき、それによって私の勤務評価も上がるというありがたい結果になりました。

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プリズム活動によって得られる知られざる楽しみも

——これからの若い人にも、プリズム活動への参加を薦めたいと思いますか?

瀬戸:特に年次の若い人はやるべきだなと思います。やはり自分が関わっていない業務分野の人と一緒に活動することで、知識や経験の幅は確実に広がる。社内の知り合いを増やすという意味でも参加するべきなんじゃないかなと思っています。

吉塚:他部署の様子や情報も聞けますしね(笑)。

瀬戸:たしかに、同じ部署の先輩には聞きづらいような話も聞けたり、普段の業務では得られない楽しみもあったりしますね(笑)。

——今後のプリズム活動について聞かせてください

吉塚:プリズム活動のテーマリーダーは若い人が多く、私も最近は古株になってきました(笑)。そろそろリーダーを瀬戸さんのような人に任せて、私は一メンバーに戻って純粋にものづくりを楽しんでいきたいですね。

瀬戸:私も引き続き参加したいです。もう3年目になりましたから、そろそろかつての吉塚さんのように、後輩を同じテーマに引き入れるなど、チームマネジメントも考えていきたいと思っています。

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【取材を終えて】     

「業務時間の10%を本業とは別のプロジェクトに使える」という10%ルール。個人やチームの自発性を促し、新しいアイディアを引き出し、さらには社内のコミュニケーションを改善するうえでも役立つとされています。

そもそも本業の仕事だけに全精力を傾けていると、心のゆとりがなくなり、ストレスにつながることは科学的にも実証されているそうです。とりわけエンジニアの場合は、好きな技術を好きなだけ究められるという場所が、成長のエネルギー源になったりします。

富士フイルムビジネスイノベーションでは、「プリズム活動」が始まってから、10年以上経っています。ルールは定着し、年次や部署を越えて、毎日のようにどこかの会議室ではエンジニアたちがコード書いたり、ツールをいじったりしています。チームの進捗は管理するが、自分もものづくりを楽しむリーダー。普段は関わることのないサービス実装の醍醐味に目覚めた若手エンジニア。プリズム活動を語る二人の表情は本当に楽しそうでした。

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の新卒採用情報
https://techplay.jp/r/790c6593
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