【レポート】IoTが実現する世界:日常化されていくIoT[第1部] - TECH PLAY Conference 2017
myThingsによるIoTデバイスとWebサービスが繋がる世界
笹本純也(ささもと・じゅんや)/ヤフー株式会社 IoTビジネス プロジェクトマネージャー。埼玉県出身。東京理科大学卒。2006年にヤフーへ入社し、2014年からIoTに関する事業に従事。
2016年のIoT国内市場動向の推測によれば、BtoC領域のIoTは全体の約14%ほど。ユーザーに直接サービスを届けるYahoo! JAPANでは、約7,000億円規模の市場となるBtoC領域でのIoTに乗り出しています。
IoT事業においてYahoo! JAPANが掲げるコンセプトは「Connect Everyting(すべてをつなげる)」。「人とウェブ」「人とモノ」「ウェブとモノ」「ウェブと街」など、ありとあらゆるものをつなげていくことを目指しています。
このコンセプトに基づいて展開しているのが「myThings」です。現在「myThings」のブランドで展開しているサービスは2つ。
まずひとつ目は、エンドユーザーに直接提供している「myThings」アプリです。ユーザーはSNSやサービスとIoTデバイスをアプリ上で「組み合わせる」ことが可能。例えば、「自宅付近で雨が降りそうになったら家族のスマホに通知する」といったことが実現できます。
さらに、事業者向けに提供しているのが「myThings Developers」です。「myThings Developers」は、事業者が自身のモノやサービスに「myThings」を組み込むためのプラットフォーム。Yahoo! JAPANとしてはBtoBtoCの事業モデルです。
この「myThings」では「◯◯だったら、✕✕する」という簡単な形式で異なるサービスやプロダクトを連携することが可能です。
連携できるサービスはYahoo! JAPANが提供する「防災速報」「天気」だけではありません。「YouTube」「Facebook」「LINE」「Slack」などのサービスと、スマートロック「Akerun」、体重計デバイス「Withings」、音量や室温をトリガーにする「Netatmo」など様々なIoTプロダクトと連携します。
続いて、笹本さんは「myThings Developers」の導入例を紹介します。
まず紹介したのは、MIYAKAWA21株式会社が提供するシニア向けIoT「まごころサポート」です。「まごころサポート」は、「MAGOボタン」を1回押すと家族へ定形メールが送信され、2回押すとコールセンターへ架電するというサービス。この「MAGOボタン」は、「Yahoo!天気」「Yahoo!防災速報」と連携しています。「MAGOボタン」からシニアが情報を送信することで、家族やコールセンターにつながるデバイスがあると言うことを忘れないようにする効果が期待されています。
株式会社MIJが提供する家庭用コミュニケーションロボット「タピア」では、「myThings」との連携で天気や防災情報が届きます。さらに、「いつものお米買っておいて」など、ユーザーが「タピア」に話しかけることで「Yahoo! ショッピング」や「LOHACO」でショッピングを行えるようになる予定です。
その他にも大和ハウス工業株式会社が実施する経済産業省の実証実験など、笹本さんは全部で7つの事例を紹介しました。
これらのBtoBtoC事業「myThings Developers」で、Yahoo! JAPANが目指すのはIoT領域でのビジネスエコシステムを構築すること。「myThings Developers」がプラットフォームとなることで、事業者は新たなサービスを創出することが可能です。その新たなサービスが、API利用を増加させるなどチャンネル企業の新たな収益につながる世界を目指しているのです。
「myThings」の基本的な概念は「◯◯だったら、✕✕する」というトリガーとアクションの連携です。笹本さんは「今後はプル型のコンテンツ連携機能を提供することで、インターネットとリアルの生活がロボットを介してつながる世界をもっともっと増やしていきたい」と展望を語って講演を終えました。
以上で第1部の講演は終了です。第2部のレポートもお楽しみに!