【レポート】IoTが実現する世界:日常化されていくIoT[第1部] - TECH PLAY Conference 2017

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IoT

工場モニタリングIoTに最適なLazuriteと事例の紹介

斎藤直孝(さいとう・なおたか)/ラピスセミコンダクタ株式会社 新規事業開拓室。1971年生まれ。神奈川県出身。青山学院大学卒。1994年ラピスセミコンダクタへ入社。FC東京ファン。

半導体メーカーであるラピスセミコンダクタは、家電などに搭載されるマイコンや、スマートメーターなどに搭載される無線通信LSIを主力の商品としています。

そもそもラピスセミコンダクタでは「モノ」である製造装置はイントラネットでつながっています。そこから営業がオーダー入力をしたり、部材調達を行ったり、精算部で生産計画を立てたりしているため、斎藤さんは「なぜいまさらIoTが注目されているのか疑問を感じた」といいます。

その答えとして斎藤さんはまず、センサーやマイコンの小型化などの技術進歩、電子部品の流通、ソフトウェア面ではOSSの普及、「Raspberry Pi」などオープンハードの登場、廉価で高度なクラウドサービスの浸透、などの変化を挙げます。つまり、アイディアと根性さえあれば誰でも簡単に高度な「モノ」が作れるようになっていると斎藤さんは分析します。

このような変化が起これば、仕事の進め方にも変化が生まれます。これまでは、アイディアを考えた後、調査・稟議・開発を経て量産するというプロセスをとっていました。しかし、IoT時代の現代ではアイディアを思いついたらすぐにプロトタイプを作ることが可能です。

ただし、プロトタイプの状態はハードとソフトの両面から思わぬ不具合が発生することも多くあります。その結果、斎藤さんは現在の仕事の進め方は、まずプロトタイプを作って実証実験し、稟議・開発を経て量産するパターンと、保証を問わないお客様にプロトタイプを提供するパターンの2つがあると捉えています。

続いて斎藤さんはラピスセミコンダクタが展開する「Lazurite」を紹介します。そもそものきっかけは、「オープンワイヤレスアライアンス」で銀賞を獲得した「ぽちっとじょうろ」という中学生が開発した作品にありました。「ぽちっとじょうろ」は、旅行に出かける際にスマートフォンから遠隔操作で植物へ水をあげるというもの。

しかし、実際には「ぽちっとじょうろ」には2つの課題がありました。まず、「ぽちっとじょうろ」に利用した「Arduino」のバッテリは1日しか保ちませんでした。また、無線には3Gモジュールを利用していたため、水を上げるべき植物が複数あればその数の分だけSIMカードが必要になってしまいます。

この2つの課題を解決すべく、ラピスセミコンダクタが自社のマイコンと無線を使って開発した低消費デバイスが「Lazurite」です。

「Lazurite」は「Arduino」と互換があるハードに無線モジュールをつけたデバイス。斎藤さんはIoTにおいて「Lazurite」を使うメリットとして次の4点を挙げます。

まずは「Lazurite」が電力の消費が少ないマイコンであるという点。「Arduino」では単3電池1本が1〜2日で終わる約40mAを消費します。「Lazurite」のマイコンボードは4mA程度しか消費せず、更に動作していないときは停止状態にできるため、ボタン電池1つで3ヶ月以上動き続けます。

次のメリットは、無線が「サブGHz」と呼ばれる920MHzに対応していること。スマートメーターなどに使われているこの無線は、画像データを送るには難しいもののセンサーデータを送る分には十分な速度があり、消費電力が低いのが特徴です。また、数100mという通信距離の長さも大きなメリットです。

3点目は、マイコンボードだけでなくゲートウェイもラインナップしていること。「Raspberry Pi」に無線モジュールを搭載することでゲートウェイの提供も実現しました。

さらに、10月には「Lazurite」の専用サイトをオープン。アプリケーションやソースコードを公開することでユーザーの開発をサポートしています。

続いて斎藤さんは「Lazurite」の導入事例を紹介します。

ある旋盤加工機工場では、どのくらい設備が稼働しているのかをモニタリングする目的で「Lazurite」を導入しました。作業担当者を監視する目的で導入を決めたわけではありませんが、現場からは反対の声もあがったそう。しかし、導入して稼働率が可視化されるようになると、担当者も稼働率が向上することに喜びを感じます。単に作業するだけではなく、意識を持って作業するように組織も変化しました。

斎藤さんは他にも、ウインドサーフィンに取り付けたセンサーから収集したデータでワールドカップチームの走行を改善する事例や、自社の工場内にある設備の14台のパトランプを1台のカメラでモニタリングした事例を紹介します。

最後に斎藤さんは「Lazurite」を搭載した羽ばたき飛行隊「ORIZURU」のデモを実践。制御された「ORIZURU」が見事に会場を一周して斎藤さんの講演は終了しました。

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sakura.ioで実現する世界 〜量産前提のモノゴト作り〜

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