【レポート】データ活用ビジネスの始め方:デジタルマーケティング[第2部] - TECH PLAY Conference 2017

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パネルディスカッション

第2部の最後はパネルディスカッションです。講演をいただいた3名にご登壇いただき、「コトバDMP」開発の裏話を伺います。

ーー 「コトバDMP」の開発は具体的にはどのように進んでいきましたか?

青木 先ほど2014年に「コトバDMP」プロジェクトのきっかけがあったとお話ししました。リリースまでには3年かかっているわけですね。

まず、上司から話をもらって組織が立ち上がるまでに半年かかりました。その後、パートナーと1年くらい開発を進めていたのですが、どうにもうまく進んでいなかったんです。

きっかけがあってからは1年半くらい経過したその頃、インティメートマージャーさんとブレインパッドさんとお話する機会がありました。そうしたら「あれ? この座組で実現できそうだな」と気が付きまして。結局、開発パートナーはそこで総入れ替えを行いました。

そこからのスピードは速かったですね。去年の秋くらいに菅さんも含めてこのチームになったのですが、そこからは1年くらいでリリースできる状態になりました。

ーー 岸田さんから見て「コトバDMP」プロジェクトはどのように見えましたか?

岸田 「面白そうだけど、ホントにできるの?」と半信半疑なところはありましたね。メディアさんはやりたいとはよく言うんですけど、そこまでやりきった事例もなかったんです。だから大変そうだとは感じていました。

ーー どのような点が大変でしたか?

岸田 まず事例がなかったこと。また、小学館、インティメートマージャ―、ベストインクラスプロデューサーズ、ブレインパッドと4社が集まって週1回ミーティングしていたので、意見が食い違ったり、振り出しに戻るといったことはありました。

ーー 上手く進んだ時のブレイクスルーポイントは?

青木 サービス構想がきちんとできる前に、何社かブランドさんにヒアリングしたんです。その時に、感触がよかったんです。「私たちが進もうとしている道は間違ってないな」と自信を持てるようになりましたね。

ーー 菅さんはどのように参加されたのですか?

 実は、私が参加した当初、小学館の中でもデータ基盤を見るテック寄りの現場のチームと、経営層が立ち上げた横断組織の2つがあったんですね。私は「横断組織が出来るので、その部門と一緒に動いて欲しい」と声を掛けてもらいました。

青木 「編集者はワガママで、言うことは聞かないし、大変だよ」って菅さんにお任せしたような感じですね(笑)。

 だから、チームのステートメントを作ることが必要だったんです。

データビジネスには残念ながら失敗も多いですよね。もし、失敗したときに「このプロジェクトにはこういう志があって、こういうミッションがあって、今はこのプロセスにいる」って言えるのが大事なんですよ。そのディスカッションに2ヶ月くらいは使いましたよね。

ーー そのディスカッションはスムーズに進んだのですか?

 すごくスムーズに進みました。それは、役員や局長の方も喜んで参加してくれたからだと思います。

青木 ただ、メンバーは編集長経験者でキャラが強い人が多かったので、菅さんのようなファシリテーターが必要でしたね。

ーー ベンダーの選定のポイントはどこにありましたか?

青木 DMPを選定した際、製品に差異がそれほどなければ、窓口の人がどれだけ向き合ってくれるかを重要視しました。料金は安いに越したことはありませんが、多少高くても担当者が向き合ってくれれば高いパフォーマンスを残せると思っています。

ーー データビジネスを進める上で、組織作りがうまくいく秘訣はありますか?

岸田 プロジェクトマネジメントをきっちりやりきる人が絶対必要だと思います。あとは組織の人がエンジニアリング、マーケティングがわかる人が必要だと思いますね。

 複数部門またいだ権限のある人が、トップダウンで「データビジネスやるぞ」と言うとプロジェクトは動きやすいですね。また、青木さんみたいなキーマンがいるかいないかは大きいですね。小学館さんの場合だと、青木さんは編集さんともエンジニアさんとも話せるんです。

複数の立場の人と共通言語を持ってハブになれる人の存在は重要です。それは、知識のあるなしだけではなく、組織にとっての利害もわかりながらうまくコミュニケーションをとって動かせるという意味でもあります。

青木 組織を作る上ではタイミングがものすごく重要だと思います。社内の空気、役員の空気を読んで「あの人は今だったらこのカードを切れるかもしれない」と考えたりしましたね。

ーー データビジネスが成功している事業者に共通点はあると思いますか?

岸田 社内に旗振り役がいることが多いですね。社内にそういった人材がいなければ、菅さんのような外部に委託したり、採用したりすることで成功する企業も多いですね。

 その会社が持っている元々の強みを、データを使うことで拡張できるかという視点がとても大事だと思います。

例えば、全国に1000店舗あって、販売員が5万人いるような企業では、単に小手先でデジタルマーケティングの施策を打っても全然インパクトがありません。こういった企業では、事業の根幹に関わっている経営層や現場の人などもきちんとチームに入って、「リアル」を開発にフィードバックできているかが大切です。

ーー 菅さんに「データビジネスを始めたい」と相談にくる人は、どのような課題を持っている人が多いのでしょうか?

 私たちのところに相談に来るのは、小学館さんの事例のように「ある程度揃ってはいるはずなんだけど、何やってるんだっけ?」と止まってしまっている状況の方が多いですね。

既にデータ基盤が入っていて、データも取れるようになっているけど、あまり事業インパクトが出せていなくて、上から「このデータに掛けてきたお金どうするの?」と言われ始めている人に呼ばれることもあります。

ーー 本日はありがとうございました。


以上で、「TECH PLAY Conference 2017」4日目第2部「データ活用ビジネスの始め方」のレポートは終了です!

別日のレポートもお楽しみに!

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